カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
良夜なりすっぴんママのワイン会 吾子抱えつまむ秋刀魚は骨多し 秋の宵ビブとあなたと白ワイン ランチ寿司ひとりで頬を赤く染め ママ友会エンドレスなる夜もみじ 秋爽の皿やオリーブオイルの黄 二軒目へ行く汝帰る吾薄月夜
10月31日のプレバト俳句。 お題は「外食」。 ◇ 相席スタート・山﨑ケイ。 良夜なり すっぴんママのワイン会 上五を「なり」で切る手法を、 確信犯的にやってるのか知らないけど、 ふつうは、なかなか勇気が必要です。 内容は下の松丸友紀の句と似てますが、 同じ音数なのに、こっちのほうが情報量が多い。 ◇ 松丸友紀。 ママ友会 エンドレスなる夜もみじ 夜よの紅葉 ママ友会はエンドレス(添削後) 作者の話によれば、 「ほろ酔いの赤ら顔が紅葉のようだ」 という比喩として季語を使ったらしい。 でも、まあ、 そのことを知らずに読めば、 最下位にするほど悪い句でもありません。 唯一、変なのは、 「夜の紅葉がエンドレス」ってところだけなので、 その語順を逆にして、 夜もみじ エンドレスなるママ友会 と直せば、そこまでおかしな句でもない。 添削句が正解だとは思うけど、 評価としては50点台の凡人くらいが妥当でしょ。 ◇ すみれ。 秋の宵 ビブとあなたと白ワイン ビブの子と夫つまと秋夜の白ワイン(添削後) 赤ちゃんを「ビブ(よだれかけ)」に象徴させた、 …とのことですが、 字面からは、 ビブだけが置かれてるように見えるので、 「赤ちゃんはどこへ行ったのかしら??」 と考えてしまいます。 これも添削が正解ですね。 ◇ 三倉茉奈。 吾子抱えつまむ秋刀魚は骨多し 吾子抱きつ食はむや 秋刀魚は小骨ごと(添削後) サンマは、 魚のなかでも骨を取るのが容易だと思うし、 とくに骨が多いという印象もありません。 そこの共感性がかなり弱い。 たんに魚を食うのがヘタなのでは?? 添削句は、二句一章ではなく、 《吾子を抱きつつ秋刀魚は小骨ごと食む》の倒置法。 あいかわらず「食む」を用いてますね。 音数合わせとして、 「食べる」の代わりに「食む」を使うのが妥当とは思えないけど、 噛んで飲み込む…というニュアンスを強調するためなら、 あえて古語の「食む」を使うのもアリかなとは思う。 そうでなければ「食う」と「噛む」を使い分ければ済む話です。 現代語の「食う」にはやや粗暴なニュアンスがありますが、 古語の「食う」にそのようなニュアンスはないのだから。 他方、現代語の「食む」は、 牛馬に使うことはあっても、人間には使いません。 ◇ 菊地亜美。 ランチ寿司 ひとりで頬も赤く染め 寿司つまむ一人の昼や 一献す(添削後) どう考えても、これが最下位でしょ!! 季語は「鮨」で季節外れの夏。 助詞の「で」と「も」の使い方も不用意。 そして、作者の話によれば、 一人ランチが恥ずかしくて赤面してるのでも、 恋の喜びにひとりで浸ってるのでもなく、 若い母親が、 昼間っから寿司屋で日本酒を引っかけてるのだと!! おやじギャルというより、ヤンキーママの句。 まあ、 それがイマドキの母親ってことでもあるし、 正直、わたしもちょっとやってみたいと思うし、 その行為を否定する気はまったくないけど、 一昔前なら考えられないような光景だし、 それを当たり前のように俳句にされても、 ふつうの読み手には伝わらないはずです。 そのへんの常識感覚が根本的にズレている。 ちなみに、 蕎麦好きの上白石萌歌は、 「昼間に蕎麦屋で一杯呑む」と言ってたけど、 彼女の場合はまだ独身貴族だからね。 …わたしも蕎麦屋で一杯なら、いちどやってみたい。 ◇ 清水アナ。 秋の宵 四杯目のドリンクバー 先生がいうように、 語順を逆にすればリズムは定型になります。 でも、 助詞の「は」を使う必然性はないので、 秋の宵 ドリンクバーの四杯目 でも十分に成立するのでは? かりに、 季語のほうもひとひねり加えて、 嬉しいか悲しいかを描き分けるとすれば、 それこそ前回の応用ですが、 「星流る」or「降り月」を使う手もあります。 まあ、作者の気分としては、 嬉しいわけでも悲しいわけでもなく、 たんに時間をもてあまして退屈だったんじゃないの? そう考えれば、 ジュニアが下の句で使った「薄月夜」でもいいよね。
◇ 千原ジュニア。 二軒目へ行く汝な帰る吾あ 薄月夜 中七の「行く汝帰る吾」が面白い。 番組の映像では3人の場面になってましたが、 字面だけを読むと2人の場面に見えます。 英語の「You」なら複数の可能性があるけど、 日本語の「汝」に複数の意味はないからです。 しかも、 「汝」という字に「女」が含まれるので、 「吾」が男性で「汝」が女性に見えるのよね。 女性がひとりで二件目に行くの??と思ってしまう。 あるいは、 飲み会の複数のメンバーのなかに、 お目当ての女性がいるってことなのかな? 「僕は行かないけど、君は行くんだね…」 みたいな感じでしょうか。 ◇ フルポン村上。 秋爽の皿や オリーブオイルの黄 掲載決定でしたが、 ジュニアが「嫌い」と言ってたとおり、 好みが分かれるタイプの句かもしれない。 一読して内容が無いしね。 皿にオリーブオイルがふってあるだけ。 それを俳句っぽく詠んでみたにすぎない。 そもそも「秋爽の皿」って何?! 皿は一年じゅう皿でしょ!…って気もする。 まあ、 秋らしいデザインの皿のうえに、 秋らしい食材を使った新鮮な料理があり、 そこにオリーブオイルがふってある、 …というところから、 黄色以外の食材の彩りも含めて、 いろんな想像を膨らませてね、ってことでしょう。 村上ならではの作品にはちがいありません。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.04 10:36:40
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