ほっと ブックカフェ
ランチやコーヒーと同様に、読書も楽しみ。「2、3時間のんびりしていく人もいます」書店とは違った味わい オーナーや常連客らが持ち寄った本に囲まれながら、のんびりと飲食を楽しむことができる「ブックカフェ」。姿を消しつつある昔ながらの喫茶店にも似た存在として、人気を集めている。 「ぐりとぐら」「スーホの白い馬」「こどものとも」……。こぢんまりとした店内の本棚やカウンター下に、懐かしいタイトルの絵本がビッシリと並ぶ。その数は、実に1500冊以上。東京・原宿の「カフェ・シーモアグラス」は、絵本の図書館のようなブックカフェだ。 「子どもが読んでいた絵本を少しずつ持ち込んだり、お客様からもらったりしているうちに、どんどん増えてしまいました」と、オーナーの坂本織衣さん。来店するのは、子連れの母親よりも、若者やカップルが目立つそうだ。 特製「納豆たまごカレー」。後ろの書棚には絵本がズラリと並んでいる(東京・原宿の「カフェ・シーモアグラス」で) 店の料理は「ふだんから作っている家庭料理」と控えめだが、手間暇をかけている。人気があるのは、じっくりと煮込んだカレーに納豆と半熟卵、モロヘイヤなどを加えた「納豆たまごカレー」だ。 意表をつく組み合わせに戸惑うが、「混ぜても、別々でもお好みで」と、坂本さん。“勇気を出して”卵をつぶし、納豆、カレーと絡めて口に運ぶと、辛さが消えて、実にまろやか。玄米のご飯とも良く合う。 平日の正午から午後3時まで楽しめるランチでは、飲み物とセットで1000円。同店自慢のチャイを飲みながら、絵本を読んでいると、つい仕事のことも忘れてしまいそうだ。絵本だけでなく、かわいらしい雑貨やポートレートが並んでいる店内 ブックカフェとは、店にある本を読んだり買ったりできて、飲食も楽しめる場だ。「ブックカフェものがたり」(幻戯書房)をまとめたフリー編集者の河上進さんによると、本の選定や料理にこだわったり、ギャラリーを併設して作家の個展を開いていたりと、形態は様々。数年前から増え出したという。河上さんは「大型化あるいはコンビニ化が進む書店や飲食店と違い、ゆったりと時間を過ごせるところが、人々を引きつけている」と言う。