カテゴリ:万葉恋々
大伴家持(おおとものやかもち) 痩せたる人を咲へる歌 石麻呂に吾物申す 夏痩せに良しといふものぞ鰻取り食せ 万葉集 3853 痩せた人を笑った歌 (その痩せこけた姿を見るにつけ) 石麻呂に友としてあえて僕は物を言う。 夏痩せに良いというものだぞ。 ウナギを取って召し上がれ。 註 石麻呂:大伴家持の親友。石麻呂は字(あざな、通称・ニックネーム、おそらく幼名か)。成人名、吉田連老(よしだのむらじおゆ)。 鰻(むなぎ):「うなぎ」の古語。語源は「胸黄」といわれる。天然ウナギを見ると、ビタミンA(カロテン)系の栄養素の色だろうか、確かに胸が黄色い。 今日は土用丑の日。 よく鰻料理店の壁などに、この歌を刷り込んだポスターが貼ってあったりする。 こういった万葉集の「戯咲歌・戯笑歌(ぎしょうか)」の数々は、近世の「狂歌」の源流となり、江戸の知識人であった平賀源内は当然知っていただろう。土用の丑の日にウナギを食すという食習慣(恒例行事)を創始した源内の発想は、この辺りから生み出されたと思われ、幕末以降一気に定着した。 なお、ウナギは古くは筒切りまたは丸刺しの串刺しで、焼いて食べたものと考えられる。その形が「蒲(がま、かば)の穂」に似ていることから、「蒲焼」の名が付いたという説が有力。 「蒲焼」という単語の初出は、いわゆる現在言う形の蒲焼になった江戸中期を遥かにさかのぼる室町時代の1399年(応永6年)の「鈴鹿家記」という本であることも、この傍証となる。 ちなみに「蒲鉾」も同様な語源で、原型は今でいう「竹輪」のようなものである。形だけで言えば「きりたんぽ」なども似ている。 ウナギ 蒲焼 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月01日 20時42分09秒
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