カテゴリ:万葉恋々
小野老(おののおゆ) あをによし奈良の京は 咲く花のにほふがごとく今さかりなり 万葉集 328 青と赤の彩りも美しい奈良の平城京は 咲いた桜の花が照り映えるように今盛りだ(ということだ)。 註 上司・大伴旅人とともに九州・大宰府に左遷された部下である作者の哀切な望郷の歌、という背景事情を知っても知らでも馥郁たる名歌である。 あをによし:「奈良」に掛かる枕詞。「青丹よし」(青緑色と朱色が美しい)の意味という。ちなみに、「にきび」の語源は「丹黍」(赤いキビの実)といわれる。 にほふ:一語で簡明に対応する現代語はない。しいて言えば「映える、輝く」などか。主として、華やかであふれこぼれるような美しい情景や色合い(視覚)について言うが、妙なる芳香(嗅覚)や余韻(一種の詩情、脳内感覚)なども含意する。これらの意味の一部(嗅覚)だけが現代語「匂い、臭い」に残った。具体的には、花や紅葉、女性の美しさなどについて用いることが多い。 奈良公園 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン * 画像クリックで拡大 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月08日 04時57分17秒
コメント(0) | コメントを書く
[万葉恋々] カテゴリの最新記事
|
|