●●●てなもんやコネクション
“アホは国境を越える”ドエラいキャッチコピーですわ~。まあ、しゃない。山本政志監督、1990年作品。この監督ってね、当時からインディーズで強烈な「異彩」とか、「鬼才」って言われたりしてなさったが、今でもそのままのようだ。それってスゴイじゃございませんか。なにせ、アホ、扱ってるんですから。(アホは決して悪い意味じゃございません)国境を越えるといっても、返還前の香港大阪、釜が崎、東京、浅草というラインナップ。この映画の中じゃ「魔都」にさえ見える。はじまりは、香港で水上生活している一家の長男が、日本旅行をゲットしたことだった。でもね、代理店が個人商店で、連れてこられた飯やは通天閣の串カツ屋。おまけにワケわからん奴に金盗まれるが、ホンマにワケわからん奴だった!!「二人一役」なのである。「一人二役」の間違いではなく。鈴木みち子さん(♀)室田日出男さん(♂)が釜が崎の(おっちゃん/おばちゃん)を交代で演じるのだ、前半と後半で。でまあ、そんなこんなで香港の青年とカタコト広東語の日本人通訳と、釜が崎の(おっちゃん/おばちゃん)が憧れの東京ディズニーランド目指すねんけど、行ったのは浅草の花やしき、そこで香港旅行が当たる!え、香港では日本旅行、当たってんよな?ウダウダウダが続く日本編から、一転、香港編は、日本人からの二人をまじえ、巨大地上げ組織と香港水上生活者のバトルとなる。ちなみに香港の家族、インチキ占い師やスリなど誰一人、まともな商売してない三世代所帯!この地上げ組織の親玉が「タッタタラリラ~♪」で有名、近藤等則さんというスゴサ(音楽もいいよ~)バイタリティあふれるアホな戦いで、相手側に2,000億円の損害を与えてしまう。プロの役者がホントに少ない。鈴木みち子さんに至っては教育評論家である。近藤等則さんは、ミュージシャン。香港側と日本側の若い二人もたどたどしい。でも、それがどうした!なのである。欠けたものが多ければ、欠けたものの代わりに人間の根っこのエネルギーが湧いてくるのである。逆境に立たされても、悲痛にならない、生きて生きて生き抜いてゆく、真っ直ぐなエネルギー。アホとは。余計なこと考えず、突き進むエネルギー。だからこそ、2,000億円だ、まあ、そんなに上手く実際はいかないだろうが、世界規模の金額をインチキ家族が動かした。国境を越えたのである。