貴族の家で現場仕事
イギリスで働いていた会社はある貴族の領地内に工房を構えていました。あまりにも所有する土地が広いので、敷地というより領地といった感じでした。この貴族の屋敷内の色んな物を修復したり、修理したりするのも会社の業務の一つでした。なので私も度々この屋敷で現場仕事をしました。私は元々アンティーク家具の修復が専門だったので、家具の修復に行く事が多かったです。写真はお屋敷のメインダイニングルームにあったダイニングテーブルです。ニスの塗装が剥がれて痛んでいたので、チームを組んで一週間この部屋に通って天板にフレンチポリッシュ(ニスの手塗り)を施しました。ニス塗りが終わってビカビカになったところです。仕事着の私が写ってます。このテーブルは写真の状態で5~6メートルの長さです。テーブルの両端は鉄の棒でつながっていて、テーブルの両側から引っ張ると鉄の棒がつながったまま伸びます。そして開いたスペースに天板を足していくとテーブルがどんどん長くなります。なのでディナー客が多いときには天板をどんどん足して、テーブルにつける人数を増やします。現場にいたある日、奥さんに呼ばれてダイニングルームの近くの部屋に連れて行かれました。20畳くらいのこの部屋には、先程のテーブルに使う伸張用の天板が何枚も建付けのラシャ貼り棚に保管してありました。奥さん曰くこの予備の天板の塗装の状態も調べて、必要があれば塗装しておいてということでした。こんな大きな部屋を天板の保管だけに使うなんて何てもったいない!と日本人の私は思うのでした。