日銀、2年連続増益 前期、当期剰余金7647億円 【日本経済新聞】
2018.5.29 日本経済新聞 日銀が29日発表した2018年3月期決算は、企業の最終利益に相当する剰余金(税引き後)が、前の期比50.9%増の7647億円となった。 増益は2年連続。 上場投資信託(ETF)の買い入れの増加で分配金の収入が増加したほか、国債利息収入も増えた。 収益の柱である国債の利息収入は1兆2211億円で2年ぶりに増加した。 16年9月の政策の枠組み変更に伴い、償還まで持つと損失が出る短期国債の買い入れを大幅に減らした。 長期国債も含めた保有国債の全体の運用利回りは平均で0.279%と初めて3%を下回り、会計基準を変えた04年以降で最低水準を更新した。 日銀は国債の利息収入などの5割をめどに、将来の損失に備えて引当金を積んでおり、前期は4451億円を計上した。 大規模な金融緩和の「出口」に向かう際に、金利上昇で当座預金の利払い負担が増し、日銀の財務が悪化する恐れがある。これを避けるため日銀は16年3月期から引当金を計上している。 3月末の自己資本比率は前の期比0.02%高い8.09%だった。日銀は財務の健全性の下限を8%としている。 引当金積んで、国債買いまくって、それで増収増益ですから、文句なしの決算だと思います。 「マイナス金利」だの「異次元緩和」だの不安を煽るような施策ですが、今のところはなんとかなっている状況かと思います。 とはいえ、そろそろ出口政策も意識し始めている時期でもありますので、これをどう着地させていくのか、黒田日銀総裁の手腕が問われてくることになると思います。 おまけとして、日銀決算リリースを引用します。第133回事業年度(平成29年度)決算等について2018.5.29 日本銀行1.第133回事業年度(平成29年度)決算(1)資産・負債の状況 平成29年度末における資産・負債の状況をみると、総資産残高は、国債を中心に前年度末と比べ38兆1,963億円増加(+7.8%)し、528兆2,856億円となった。 また、総負債残高は、預金(当座預金)を中心に前年度末と比べ37兆9,128億円増加(+7.8%)し、524兆3,363億円となった。 こうした日本銀行の資産・負債の変化を詳しくみると以下のとおりである。 まず、資産の部をみると、国債が、買入れを進めるなか、448兆3,261億円と前年度末を30兆6,146億円上回った(+7.3%)。 また、貸出金は、「貸出支援基金」による貸付けが増加したことから、46兆4,119億円と前年度末を1兆7,473億円上回った。 金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)は、買入れを進めるなか、18兆9,348億円と前年度末を5兆9,994億円上回った。 次に、負債の部をみると、当座預金が、国債の買入れ等を通じた資金供給により、378兆2,379億円と前年度末を35兆4,824億円上回った(+10.4%)。 この間、日本銀行券の発行残高は、104兆4億円と前年度末を4兆2,002億円上回った(+4.2%)。(2)損益の状況 平成29年度の損益の状況についてみると、経常利益は、前年度比1,335億円増益の1兆2,287億円となった。 これは、金銭の信託運用損益や国債利息収入が増収となったこと等によるものである。 特別損益は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の実施に伴って生じ得る収益の振幅を平準化する観点から、債券取引損失引当金の積立てを行ったほか、外国為替関係損益が損超となったことを受け、外国為替等取引損失引当金の取崩しを行ったこと等から、▲3,388億円となった。 以上の結果、税引前当期剰余金は、前年度比1,824億円増加の8,899億円となり、法人税、住民税及び事業税を差し引いた後の当期剰余金は、前年度比2,581億円増加の7,647億円となった。(3)剰余金処分の状況 剰余金の処分については、日本銀行法第53条第1項に基づき、法定準備金を382億円(当期剰余金の5%)積み立てたほか、同条第4項に基づき、財務大臣の認可を受け、配当金(500万円、払込出資金額の年5%の割合)を支払うこととし、この結果、残余の7,265億円を国庫に納付することとした。(4)自己資本の状況平成29年度末の自己資本比率(剰余金処分後)は、8.09%と、前年度末(8.07%)に比べ上昇した。(引用ここまで)