モチ、発見される。
ここのところCチームグラウンドの雰囲気がだらけている。私は昔からスポーツをやってきて、封建的な武道の世界を見てきたので、このゆるい感覚が受け容れられない。いつもグラウンドにいることが多い数人の母たちが、遊びに来ている感覚なのだ。グラウンドのテーブルの上にキャンディーがたっぷり入った瓶を置いて、好きなときにいつも何か食べている。子供たちに与えるわけじゃなく、自分が好きなように。試合中、応援している最中に焼き芋が回ってきたり、試合中でもモクモクとタバコを吸って感じが悪い。最近はマイ餅を持ち込んで、七輪で焼いて食べるようになった。私はそういう雰囲気が嫌いだ。もちろん楽しく仲良くやっていく必要があるけれど、それはもっと前向きな方向で、ママたちのランチ感覚ではなく、グラウンドではもっと規律ある方向であるべきだと思っている。低学年代表の母が率先して焼き芋を焼いている状態なのだから、3年の保護者である私が口を出せる状況にはない。そしてその日が今日やってきた。私はお茶当番だったので、朝早くメイングラウンドに行き、サブグラウンド用のお茶道具と救急箱を取りに行った。6年生の親切な母がサブグラウンド用品を倉庫から出して準備していてくれた。お茶道具の箱のふたが閉まりづらく、6年生母が苦労していた。「なんだかいっぱい入ってて、閉まらないわねえ~」とがんばってくれていたので私は「何が入ってるんだろう」と開けてみた。そこにはスーパーの袋。中には切り餅としょうゆと海苔。厳しい後援会長母が見つけた。「munmunchiさん、それは何?」「・・・・。」言葉がとっさに出なかった。「ある人の私物です。」と答えた。「どうしてグラウンドに餅が必要なの?そしてこのお茶道具の箱はチームの物でしょ?そこに私物を入れてお茶当番さんに運ばせるっていうのはどういうこと?サブグラウンドで飲み食いしてる話は聞いてるよ。どういうことか説明してちょうだい!!」と迫られた。私は以前から彼女らと一線を引き、もうグラウンドで長い時間を過ごすことはなくなっている。「これはNさんとMさんが買ってきてくれたもので、先週子供たちに焼いて食べさせてくれたのです。」と答えた。メイングラウンドに差し入れが届くと、サブグラウンドの人数まで考えて必ず分けてもらえる。でもサブだけに届くとメインに届けることをしない。野球チームはまずAチームを第一にしなければならない。低学年の本番はまだまだこれから・・・とにかく上の学年を支えていくことを考えるのが本筋だ。責任ある役員さんから指示を受けたらそれに従うべきだ。私が後援会長母から責められているかとマイナスの雰囲気を感じて、たくさんの母たちが集まってきた。後援会長母も私を責めるつもりはないのだけれど、ただとても感情的になり激高してしまうタイプ・・・怒りが爆発した。私は別に傷つかない。私はこの方向にいつも反対してきたのだから。それに小さな声ではあるけれど、自分なりに反対姿勢を示してきたつもりだ。後援会長母は餅を取り出した。「この箱はチームの物が入っているべきだから、これもチームのものでしょう。本当なら寄贈されたものとしてチーム全員に分けたいところだけれど、いきなりそれではかわいそうなので、私が預かります。私から話をさせてもらいます。」と言った。この価値観をわかってもらうのは難しい。その後サブグラウンドに移動してからも、ほとんどの母たちから「うるさいよね。もう無視しよう。いちいち細かいこと言うんじゃないよ」という意見が大勢を占めた。このままだと私は孤立してしまうかも知れない。それでも数人の母からねぎらいの電話があった。もちろん少年野球は楽しく。低学年だからさらに楽しく、野球が好きになるように・・・それが大事なこと。でも楽しくの質はいろいろある。野球は安全なスポーツではない。緊張感は必要だ。母たちがママランチのように好きにしゃべりまくり、好きに飲み食いしていては、子供たちも緊張感が持続しない。餅が食べたければ家で食べれば良いし、スイーツが食べたければお店に行けばよい。お茶当番と指導者がいるのだから、遊びにくるのなら来なくてよいのだ。