『句集 海藻標本(佐藤文香)』
俳句を読む。自分で作るのではないので、「詠む」ではなく「読む」。佐藤文香の『海藻標本』昭和60年(1985)生まれ、だから現在24歳。この句集が発行されたのが、2008年なので、23歳の時のもの。「序」を池田澄子が寄せている。俳句甲子園で最優秀賞を得た、いわば記念碑的な「夕立の一粒源氏物語」を、文香はこの第一句集を編む時点で捨てた。見事な根性である。そして確かに句集の作はその句を超えている。この健気を以て更に、俳句形式を悦ばせる俳人になっていくだろう。大変なライバルの出現である。では、『海藻標本』から・・・、少女みな紺の水着を絞りけり靴箆の後ハンケチを渡しけり草笛に草の名前のありにけり秋の野にゐてポケットのある不便狂ひ花短き釘を買ひ揃へ青に触れ紫に触れ日記買ふ晩春の買へば臙脂のものばかり国破れて三階で見る大花火などなど『句集 海藻標本(佐藤文香)』2008年6月3日 初版発行 2009年6月3日 第二刷ふらんす堂