水月真兎さん「危険の報酬」
イラストは、竹中せいさん。主人公・神住忍(かすみしのぶ)は、ハーフで肌の色が透き通るように白く、髪はふんわりしたシルバーグレーで、その容姿は、近づきがたいほどの清浄で神秘的な雰囲気をもっています。そして、37歳という年齢ですが、とても若く見えます。神住は、ゲイですが、そのことを隠していません。神住は、世界に会社のある天宮グループの重役です。天宮グループの会長も神住の部下たちも彼を過保護のように大事にしています。神住は、長かった髪を切ってきました。失恋したのでした。その姿は高校生にも見えます。折りしも新宿2丁目で若い男の子が連続で殺害される事件が起こっていました。神住の部下たちは、冗談ではなく心配します。神住は、仕事帰りに新宿でゲイバーを経営している友人の悠の店に行きます。そして、部下と同じように事件のことも気をつけろと心配され、早く帰るように忠告されます。それでも帰る気が起こらず、普段はあまり足を踏み入れない店に行きます。若者が多い店でした。神住と同じように店にはそぐわない上質のスーツの二十代後半かと思われる男が声をかけてきました。会話の途中で男に携帯がかかってきます。携帯に出るため男は席をはずしました。神住も椅子から立ち上がった瞬間、足元が崩れかけ、それを若い男性が支えてくれました。さっきの男よりひとまわり大柄な体躯で、心配そうに神住を見ています。そして、何か聞きたそうな様子でした。男性が外へ連れ出してくれ、名乗ります。彼は、新宿署の刑事課の新堂克也(しんどうかつや)といいました。さっきの神住が話していた男のことを聞かれます。 男の子が殺害される事件を調べていたのでした。新堂は神住を未成年と思い注意をします。しかし、神住の年齢を聞いて驚く新堂でした。酔って足元もおぼつかない神住をマンションの部屋まで送ってくれます。そして神住は、新堂を誘ってしまいます。新堂は・・・。ゲイの37歳の天才学者の神住とストレートの真面目な刑事の新堂との恋物語です。恋も進展していきますが、事件も進みまして、神住は、巻き込まれて大変なことになってしまいます。本当に辛い目に遭いますよ。神住には、悲しい過去もありました。そのため、今までの恋愛は上手くいきませんでした。しかし、新堂だけは、違っていました。そして、似ていないのですが、悲しい過去の思い出の中のある人を新堂は思い出させるのでした。オジサン受けでございますね。しかし、神住は、性格も容姿もオジサン的ではないので、年齢がなければわかりません。神住の周りの人は、とても大事に大事にしているので、どこか浮世離れしてしまうのかもしれませんね。頭脳は天才的なのですが・・・。悲しい過去は、それだけでも1冊の小説になりそうなものでしたが、さらりと説明されてます。でもとてもかわいそうなのですよ。新堂が若いなりにも器の大きな男性のようなので安心です。