L'Histoire du Soldat composed by Igor Stravinsky
標題ではカッコつけて横文字で書いたが、「兵士の物語」である。今晩の演目は全てストラビンスキー。"Homage to Stravinsky"と銘打ったHK Sinfoniettaの演奏会。会場は葵芳駅前にある葵青劇場。会社からの帰り道だ、超ラッキーだ。《演目》1曲目:Ragtime2曲目:Octet for Wind Instruments3曲目:The Devil's Tale(adapted from L'Histoire du Soldat)《感想》1曲目:Fl,Cl,Hr,Tr,Tb,Per,Harpcicodeという珍しい編成。特にハープシコードが頑張ってる印象があった。幕間に指揮者の葉詠詩がゴルフのパターに興じる真似をして間を持たせていた。聴衆は何が始まるのか興味津々で見入っていたので彼女の作戦は成功だろう。サービス精神旺盛で高感度アップです。2曲目:不協和音で形成されている。最初からお仕舞まで不協和音。でもよくある楽器の限界を試してやろうというパターンではなくほどのよいところで楽器を使っている。このあたりが新古典派と呼ばれる所以であろうか。3曲目:舞台の半分をバレエに使っていた。バレエがくっついている音楽とは今の今まで知らなかった。ナレーションがあるのは聞いたことがあるような気がする。しかし、どんな格好の兵士かと思えばスーツに身を包んでいる。ナレーターは普通話を使っていた。パンフレットに翻訳者の話が出ているのだがそれによると、普通話を使う事で「権力」を意識させた。とある。日本人から見ると共通語と方言程度の違いかと思う程度だが、香港人にとっては圧力を感じるのか、と改めて知った。月曜日に他の香港人にも聞いてみよう。この翻訳家だけがそう思い込んでいるかもしれないから。ちょっと長くなるが、粗筋を紹介しよう。休暇を貰った兵士がVnを持って家路へ急いでいる。川べりで老人と出会い、金持ちになれる本とVnを交換してしまう。どうやらVnは魂を象徴しているらしい。どこかで聞いたことのある話と思いませんか?ファウストですよ、ファウスト、ゲーテの。兵士は金持ちになったものの、田舎の人たちは兵士が死んでしまったと思っていたのでろくに口も聞いてくれない。悪魔に本を返しVnを取り戻した。どっか遠くへ行けとばかりに行った先でお姫様の病気をVnで見事に治し、めでたく結婚する。そのまま大人しくしていりゃいいものを故郷へ帰ろうとする。そこで待っていたものは悪魔の復讐。終に兵士は魂を悪魔に永久に奪われてしまう。最後は悪魔の勝利の踊りとなる。舞台ではコンミスが自分のVnを悪魔役のダンサーに渡して終了した。=香港でこんなのが聴けるとはねぇ。なかなか捨てたもんじゃないよ。邱先生は香港はカネの事ばっかりで文化が不毛だと何かの本に書いていたが、なかなかどうして。立派に文化が育ってますよ。明日も同じ演目が上演されるのでホンコンスターオーは2日連続で聞きに行く。何を隠そうホンコンスターオーは遠い遠い学生時代はClarinet吹きだったのだ。「兵士の物語」のパッセージは超絶技巧として教則本に掲載されているほど有名で幾度となくさらった事がある。しかし、残念ながら自ら演奏するチャンスはなかった。大学の合宿で先輩たちが「兵士の物語」をアンサンブルするのを間近で聴いて、あこがれていた。ボクにとってはそういう曲なのだ。意欲的なプログラムを組む葉詠詩さん、これからもたのんまっせぇ~。それから、HK Sinfoniettaのみなさん、あしたもがんばってや。ここを“カチッ”人気blogランキングへ戸田ゼミ通信HP