意外に当たり「拝啓父上様」
日本国民で脚本の勉強をしているにも関わらず、私は「北の国」からの脚本家、倉本聡が嫌いな非国民なのである。どうもあの「…と思われ」ていうあのぬるいナレーションと、計算ずくの美しすぎる映像がうーんただ悔しい事にあの人の作品がこの上なく日本人好みで、そしてこの上なく胸を打つ事もよーく知っている。脚本が死ぬほど上手い事も…で、「拝啓父上様」を見た。今期、私の中の一番「ハケンの品格」、ぼちぼち気になる「ヒミツの花園」この二つの印象が一気にぶっ飛んだなんと私はねっ転がる事もなく、トイレに行く事もなく、HDDのリモコンを片手にCMは規則正しくすっ飛ばし、一気に本編を見てしまった。はー落ち込むなー。ビリーワイルダーの作品を見た時と同じ位落ち込む。最近のドラマを見ても、その世界観に「ダサダサ!」という感想しかもてずにいたのに!この人、雪国の人情話だけでなく、ちょっと裏社会っぽい日陰の世界で生きている人の話も書けるのね。確かに設定が「神楽坂の料亭」を舞台に、主人公の母は昔売れっ子芸者だった高島れい子で、拝啓父上様はわからず…て辺りが私好みの題材なんだけどさ。それにしても自分が、「世界観は嫌いだけど上手い」と思っている作家に、自分の得意分野のフィールドでやられるのって落ち込むわーでもなんか久々に楽しいわくわくする敗北感…て、向こうは日本の脚本家の巨匠。こっちはまだ長編を4,5本書いただけでふーふー言っているど素人なのに、落ち込む事自体がずうずうしいんだけどさ。まさか倉本作品が今期の気になるドラマになるとは…私も年をとったんだろうか???