海 ~NHK短歌より
6月22日『NHK短歌』 題「海」または自由 選者 川野 里子特選三首の中から、私が注目した歌にコメント。君逝きて窓辺の定位置空きたれば野島灯台の全景見ゆる千葉県船橋市 安藤ふよ 人が一人亡くなると、たとえば家が広くなったとか部屋が広くなったとかいう感じが出てくるが、この人の場合は自動車内の視界が広がったという感じ。“君”といつも自動車に乗っていて、それがとても印象に残っていたのだろう。夕暮れの街へと帰る交差点 右左見てもう一度海宮城県岩沼市 山田洋子 この海は後ろにあるのだろう。この交差点をすぎると海が見えなくなるのだろうと思われる。海の感じと街の感じはぜんぜん違うから、心理的には別の世界に移行する瞬間であり、この交差点がその境目にあたる。海への名残惜しさから、もう一度海を見てしまうのだろう。七割五分が海なる星の片隅に空と名づくる曾孫生れたり青森県新郷村 田茂 總介 こういう歌を見ると、では孫は?子は?と想像を巡らせてしまう。地球本体→陸の発生→海の発生→空の発生なのだろうか? 片隅とは何だろうか? 地球の周辺を覆う皮一枚が空なのだから、三次元で見ているのではなかろうか。一方、七割五分という場合には地球表面を(球面ではあるが)二次元的に見ている。いろいろな観点から複眼的に見なければならないが、壮大な地球の歴史を歌っているようだ。では、最後に自作。荒波の突然寄せ来る苦海にて なす術(すべ)もなくただ耐えるのみ桜井和空 苦海とは「生死の苦海」の意味である。まあ、煩悩熾盛の苦しみというところ。う~ん、最近は暗い歌が多いかなあ。(u_u; 《『NHK短歌』のホームページ》人気blogランキング↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping<日本人なら“和”にこだわりたい> 《「天皇はどこから来たか?」連載中》 私の第2ブログ「時事評論@和の空間」と第3ブログ「浮世[天(あめ)]風呂 @和の空間」もよろしく。ついでにこれも→(笑)無料メルマガ『皇位継承Q&A』登録はこちらから 目次 ブログ散策:天皇制の危機 も合わせて御覧ください。