Bar UKマスターのつぶやき(定番商品が入らない!)
サントリーのシングルモルト・ウイスキー「白州」が、最近、普通のオーセンティック・バーに全然入荷しません。12年ものではなく、スタンダードのNV(ノン・ヴィンテージ)の話です。別に、一番取り引きのあるメインの酒屋がうちの店(バーUK)に嫌がらせしてる訳ではなく、「発注をかけても、本当に、いつまで経っても入ってこない」と言うのです(小さな酒屋ではなく、そこそこの規模の酒屋です)。関空の免税店には同じ商品が溢れていて、大箱の居酒屋チェーンには十分供給されているのに、我々のような普通に、真面目に営んでいるバーには、正規取引のある酒屋を通じて注文しても、3〜4カ月に1本すら入ってこない異常な状況です。最近の傾向として、なぜか、サントリーでは山崎NVよりも白州NVの方がお客様に人気があるのに、この現状です。お客様のご要望に全く応えられていません。なので、バーUKでは現在、白州だけでなく、他にも供給が少ない山崎、響、余市、宮城峡の計5銘柄は、お客様1人につき1杯までに制限させてもらっています。S社の営業マンには1年くらい前から、「真面目に営んでいるバーには、きちんと必要分を供給してください」と言い続けてますが、事態は改善されるどころか、今年に入ってさらに悪化するばかりです。サントリーは、7〜8年ほど前から生産能力を約4割アップする設備投資を順次行い、今では増産体制も整って、原酒のストックもかなり増えてきたはずです。なので、ノンヴィンテージものなら、そろそろ今年くらいからは、バー業界への供給は安定してくるかなと期待してましたが、現状はむしろ逆です。ウイスキー業界通の方に尋ねたら、実は、近年では海外の方が高く売れるので、サントリーだけじゃなく、他の大手メーカーも生産本数の6割以上を輸出に回していて、その分、国内への供給が減っているというのです(要は、国内バー業界への供給より海外での販売が重視されているということなんですね。そりゃ、メーカーにとってはより利益が上がる海外市場の方がおいしいんでしょうね)。バーUKでは、現在はストック分でなんとかやっていますが、そのうち「白州」の販売を一時停止することも検討しなければならない日が早晩来ると思います(仕入れ価格に糸目をつけないのであれば、別ルートで入手可能なのですが、そんなバカバカしいことは長続きしませんし、結局、お客様に提供するお値段に転嫁せざるを得なくなります)。昨今、若い世代のお酒離れ、ウイスキー離れが指摘されていますが、普通のバーできちんとウイスキーが提供できなくなったら、ますますそうした傾向に拍車がかかり、結果的に、国内のウイスキー消費減、バー離れにつながり、メーカー、バー業界のどちらにとってもマイナスでしかないと思いますが、定番商品の供給は一向に改善されません。現状では大変残念ですが、バーUKや私ひとりの力では、巨大メーカーには勝てません(バー業界の団体がこういう時に、メーカーに要望してくれたら嬉しいのですが、まぁ、そういう動きはあまり期待できないでしょうね)。