連載小説 緑のおっさん 7
前回までのあらすじ 程なくしてママがパートから帰ってきた。「ただいま」「ヤバ、もうこんな時間。お米研いでないよ」 夏休み中、ママより早く帰宅した日は、夕飯のお米は私が研いで炊飯器にセットする約束だ。なのに今日は、おっさんと話していてすっかり忘れていた。「藍香、帰ってるんでしょー」「はーい、ママ、お帰りー。今、行くからー」 私は焦って立ち上がり、おっさんに向かって言った。「ちょっと着替えるから、あっち向いてて」「はいはい。ガキの着替えなんぞ興味ないがな。まぁ、ワシは紳士だし、エチケットはよう心得とる」 おっさんはくるりと背を向けた。私は急いで制服を脱ぐと、素早くTシャツと短パンに着替えた。「もう、ええか?」「うん」「ほな、行こか」 のっそりとおっさんが立ち上がった。「え、どこに?」「決まっとるやないか、おかんのとこ行くんやろ?」「何で? ついて来なくていいし」「どうせ、お前のおかんにも、ワシは見えへんのやからええやろ」「そういう問題じゃなくて、何て言うか、付いて来る理由もないわけだから、もう付いて来ないで欲しいの」 おっさんは眉間に皺を寄せて険しい顔をした。「それはちゃうで。理由がないわけやない。どんなことにも必ず理由があるんや。ただそれが何なのか、今は分からないだけのこっちゃ」「はい、はい、分かった、分かった。じゃ、ここでその理由考えといて」 私のおざなりな返事におっさんは不服そうではあったけれど、「うーむ」とだけ返事をしてまたベッドに座り込んだ。良かった、ここは素直に言うことを聞いてくれて。「じゃ、そういうことで」 おっさんがまた何か言い出さないうちに、さっさと部屋を出た。 今日は部活が長引いてさっき帰ってきたばかりだと、ママに嘘の言い訳をして、早速お米を研ぎ、一緒に夕飯の支度を始めた。パパは飲み会で遅くなるというので、そのままママと二人で出来立ての夕飯を食べた。 おっさんのこと、ママに話そうか迷ったけれど、余計な心配をかけたくないので黙っておくことにした。ママにもおっさんが見えればいいけれど、もし見えなかったら私がおかしなこと言い出したとか、変なものが見えているらしいとか、心配するに決まっているもの。 正直、私自身も自分が大丈夫なのか自信はなかった。こうしておっさんから離れてみると、やっぱり私がおかしいのかなと思ったりする。大好きな茄子と豚肉の味噌炒めを食べながらも気はそぞろだった。「そう言えば、野々口さんとこの翔太君」 ふいにママの口から出たその名前に、ギクッとした。「今日ね、ウチの店の前通ったんだけど、可愛い女の子と一緒だった。あの子、翔太君の彼女なの?」「さぁ・・・知らないけど」 彼女だよ、とは言えなかった。ママが翔太に彼女がいることを、翔太のママに告げ口したら困る。翔太のママも知っているならいいけれど、もし知らなかったらバラしたのは私だってことになってしまう。 それも心配だったけれど、その子は彼女だよって、私が言えないのはそれだけではなかった。そう言ってしまえば私もそれを認めたことになってしまうから。 焼きもちなんかじゃない。でも何か面白くない。「明るい感じの子で、二人とも楽しそうだった」 何気ないママの言葉で、胸の中に真っ黒なもやもやが広がっていく。「へー、そうなんだ。ご馳走様。お風呂入るね」 できるだけ関心なさそうな顔をして、食卓を後にした。 (続く) ※この作品はフィクションです。登場人物や団体等、実在するものとは一切関係はありません。都市伝説的なものをヒントにしてはいますが、それらとも関係ありません。ちなみに私は小さいおっさんなんて見たことないし、実際にいるともいないとも思っていません。更新情報は 楽天プロフィール・ぽあんかれ Amebaなう・ぽあんかれ Twitter・ぽあんかれ @poincare_tweet ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ご訪問、ありがとうございました^^映画はDVDレンタルかWOWOW等で週3本くらい観ますといってもゆったり座って観ることはなくてほとんど洗濯物畳みながらとか、食器を洗いながら。なのでちょっとずつ観ては、続きはまた家事するときにといった感じwなかなか進みませんwww映画は好きですが、映画館で観ることはほとんどありません。だって、映画って何気にお高いんだものwあっても1年に1~2回くらいかな?家族や友人がどうしても観たいから行こう!とならないと家計を預かる主婦としてはなかなかね~ (^^;)息子と息子の友だちが観たいと言った「宇宙兄弟」に保護者として付いて行ったのが、映画館で一番最近観たものかなー月面での「日の出」ならぬ「地球の出」のシーンがきれいだったなー 本当はあの大きなスクリーンで映画観たいです。でも、映画って何気にお高いんだものww自分が観たいものは「レンタルになってからでいいやー」ってなる。そんなことを言ってたら地元にある唯一のシネ・コンの閉館が決定!そこがなくなると車で1~2時間かかるところまで行かなきゃシネ・コンはない! ><;マジかよー!!!!!って、思ってたら、閉館したシネ・コンを居抜きで買ってくれるところがあって2か月くらいしたらその会社の経営で再びシネ・コンとして営業することに!やったーーーーー!!!!!って、思ったけど・・・そこにもそんなには行かないよなーだって、映画って何気にお高いんだものwwwそれではまた次回、お時間がありましたら、お付き合いくださいね。(*^^)v 1日1回、世界の自然と子どもたちのために m(__)m 上のバナークリック → 協賛スポンサークリック → 世界の子供や自然を守る活動に1円募金 相当気ままなひとりごとブログ ※一部リンクは携帯からはご覧になれませんので、ご了承ください。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~Copyright (c) 2007 - 2013 “fragments”All rights reserved.