イタリアで食べたい

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  サボテンの実～フィーコディインディア

  シチリアはサボテンの島でした。森がほとんどないシチリアの山々は、みごとなまでに、サボテンで覆われています。　　↑これは、タオルミーナのギリシャ劇場のサボテン。アメリカの団体さんが、「アリゾナみたいだ」、と言ってました。サボテンの先端にくっついているオレンジがかったものは、サボテンの実です。イタリア語では、フィーコディインディア ficod'india と言います。タオルミーナのホテルでは、朝食に、サボテンの実のジャムが用意されていました。なかなかおいしくて、お土産にお勧めです。サボテンの実は、まだ丸ごと１個食べたことがないので、一度食べてみたいなあ、と、前々から思ってたんです。すると、たまたま入ったスーパーで、サボテンの実が計り売りされているのを発見～♪自分で選んで、袋に入れるようになってます。よーし、アボカドの熟れ具合を調べるのは得意だから、サボテンの実も、一番食べ頃のを選ぶぞー。サボテンの実を、あれこれ軽く押してみて、色が赤くて適度に柔らかいのを２個、選び出しました。それでは、レジでお勘定。･･･、ん？んんん！！！なんなんだあ！指が、手が、チクチク痛～い！ぎゃー、痛さが広がっていくー。あー、そう言えば、以前にブログで、サボテンの実の棘の話、聞いていたなあ。今頃思い出して、遅いんだよー。なんと、サボテンの実は、目に見えないくらい細くて短い棘で覆われているんです！全然気がつかない私は、両手の指と手の平中に、細かい棘を無数に刺してしまいました。何もさわらないと気がつかないけど、指同士がこすりあったりすると、チクチクーっと、痛みが走ります。水で洗っても落ちません。結局、２日間ぐらい、ずーっとチクチクしたままでした。みなさん、サボテンの実は、絶対に素手で触らないようにしましょうねー。　　↑これがその時買ったサボテンの実。ナイフとフォークを外科医のように使って、慎重にカット。身体を張ったかいがあって、真っ赤に熟れて、ジューシーでおいし～い実でした。　　↑こちらは、翌日、『グランブルー』でおなじみの、カーポタオルミーナのホテルで食べたサボテンの実。皮はお上品にむいてあるけど、味は、私が選んだ実のほうが、ずーっとおいしかったぞー。サボテンの実は、面倒なのことがもう１つあります。タネです。小さな粒々のタネが無数に入っていて、おいしい実を、パクッと食べる、というわけにはいきません。結局、ぴゅっぴゅっ吹き飛ばしながら、その顔に大笑いしながら食べました。翌日、サボテンの実のジャムを買った時、店番の、かなり年配のおじいさんに、タネはどうするのかきいてみました。すると、前歯が全部抜けた顔でニコニコ笑って、「面倒だから、じぇんぶ食べちゃうんじゃよー。なーに、しばらくしたら出てくるから、だいじょぅぶだよー、ふぉっふぉっふぉっ」★ . . .メキシコ原産のサボテンは、スペイン統治時代にイタリアに伝わったそうです。現在では、イタリアのサボテンの実の生産量は、メキシコに次いで、世界第２位。特にシチリアは、イタリア最大の生産地です。サボテンの実には、赤、黄、白の３種類があり、赤いからといって熟しているわけではないそうです。一番甘いのは、白い品種だと言われています。８月に収穫するタイプと、10月に収穫するタイプがあり、10月のほうが大きな実ができます。サボテンの実の収穫祭も、10月の、ちょうど今ぐらいの時期に行われることが多いようです。こちらのサイトに、サボテンの実の皮のむき方が、イラストで載っています。まず、フォークをぶすっと刺して、両端を切り落とします。次に、縦に切り込みを入れ、ナイフで皮を持ち上げて、静かにむきます。皮をむいたら冷蔵庫で数時間冷やします。チクチクと痛かったサボテンの棘も、今ではいい思い出です。サボテンの花の蜂蜜というのも買ってきたので、食べるのが楽しみ～♪

  Oct 17, 2005

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  パレルモのおみやげ

  私は旅行に行っても、お土産はあまり買わない性分です。肝っ玉が小さいので、高額のものを、思い切りよくぱーっと買っちゃうこともできません。今回の旅行でも、初日に本を１冊買って以来、２回目の買い物をしたのは、パレルモ滞在３日目になった時でした。この日は、１日乗車券を買って、バスであちこち移動する計画でした。でも、例によって、やっぱり道に迷いました＾＾；行き先が逆の方向のバスに乗ったことに気づいて、すぐに降りたのですが、ここはどこ？仕方ない、今来た道を、歩いて戻ろう･･･。と、その時、「シチリアの特産品販売所～♪」という看板発見！車がびゅんびゅん通るなーんにもない通りに、唐突に、その店はありました。お客は私たち以外は、たった一人。「あのー、おみやげ用の、軽くて小さいもの、何かありますか？」「そうですねー、うーん･･･、あっ、そうそう、こんなのどうでしょう」そして出てきたのが、これです。　　↑カポナータの缶詰！直径７cmぐらいの小さな缶で、値段は、１個0.52ユーロ。なぜか女の人の写真がついた、こじゃれたデザインです。カポナータは、アランチーニと同じくらい、シチリアでおいしかった食べ物です。どケチな私の買い物心が、動きました。店員さん、他に高級品はいくらでもあるのに、こーんな格安品を勧めるなんて、ナ～イス♪旅の仲間たちが５個ぐらい買うのにまぎれ込んで、私も１個、お買い上げ～。もったいなくてまだ開けてないので（ほんと、私ってケチ･･･）、味は不明。★ . . .パレルモでは、他にも安い買い物をしましたよー。今度の場所は、ヴッチリア市場です。この市場は、カーポ市場よりは観光客向けですね。ここでも、食材屋さんで、「お土産用の、軽くて小さいものないですか？」と聞くと、「ボッタルガは？」ボッタルガは、シチリア中の店で、まず最初に勧められました。でも、高血圧の私には禁断の食べ物なので、食指が動かず、パス。「じゃあ、これは？」と次に勧められたのは、こちら。　　↑スパゲッティ用の乾燥ハーブ類のミックスです。イタリアではよく見かけますよねー。普通は、多分５ユーロ前後です。これはもっと小さなパックにしてあって、なんと、１袋１ユーロ。はいっ、買います。これも、仲間たちが10袋ぐらい買うのにまぎれて、１袋ゲット。プッタネスカ味を買いました～。さらに、ケッパーが安い！パレルモの市場で売ってるのは、ほとんどがパンテッレリーア産ケッパーでした。一方、タオルミーナで見かけたのは、近くのサリーナ産ばかり。サリーナとは、エオリエ諸島の島です。どちらもシチリアを代表するケッパーの産地です。ヴッチリア市場の人は、パンテッレリーアの方がおいしい、と言ってましたが、素人には、食べても区別はつかないようです。　　↑パンテッレリーア産ケッパー。いろんなサイズのパックがありましたが、私が買ったのは、当然、一番小さなもの。１ユーロでした～♪この３つ全部で、日本円にすると、350円ぐらい。私ってほんと、小さな人間です。これだけの買い物でも、かなり満足。でも、チーズ屋さんでは、味見してみたいものがあったので、どーんと14ユーロも買い物しました。 　　↑左はリコッタ･サラータ。右は上がペコリーノ･シチリアーノ、下がプリーモ･サーレ。リコッタ･サラータは、リコッタに塩を加えてオーブンで焼いてあるので、日もちがして、おろしてパスタなどにかけることができます。ノルマ風パスタには欠かせないチーズです。ペコリーノ･シチリアーノは、こくがあって、塩分も適度なおいしいチーズ。プリーモ･サーレは、ペコリーノのフレッシュチーズです。モッツァレッラの水分をもっとなくしたような歯ごたえで、塩気はほとんど感じません。ほんとはこれだけ買えば十分だったのですが、店員のおやじさんの陽気な話にのせられて、シチリアのサラミを１本、追加でお買い上げしました。さっきまで、「軽くて小さくて安いもの」限定で買い物してたのに、結局は、重くて大きくてちょっと高いものを買ってました～。▼カポナータの缶詰を買った店→Andrea Pensabene e Carlo Chiossone S.R.L.：viale delle scienze 5, Palermo、ノルマン王宮の比較的近く▼チーズを買った店→Salumeria Censuales：via Pannieri 32, Palermo, ヴッチリア市場の端

  Oct 7, 2005

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  ポルチーニのリゾットとパスタ

  ９月になると、イタリアではあちこちでポルチーニの収穫祭が開かれるようですね。きのうレシピを紹介したエミリア･ロマーニャのAlabaretoでは、９月10日までだー。早いなあ。カンパーニアのCastelpaganoでは９月16～18日、トスカーナのZeriでは９月24、25日。同じくトスカーナのCertaldoでは、９月９日から10月２日までの毎週金･土･日は、ビステッカとポルチーニの収穫祭。これ、行きたーい。ビステッカ･アッラ･フィオレンティーナとポルチーニの食べ放題かなあ！ポルチーニは肉にも魚にも合うし、トマトにも生クリームにも合う万能選手ですね。メインの１品にもなるし、付け合わせやソースにもなります。ソースにする料理の定番は、ポルチーニのリゾットです。パスタの場合は、タリアテッレ、タリオリーニ、フェットゥッチーネ、パッパルデッレなどの平たい麺がよく合います。 こちらのサイトでは、ポルチーニのリゾットの作り方を写真で細かく説明しています。レシピは別のものを紹介しますが、作り方は大体同じです。ポルチーニのリゾット Risotto ai porcini材料：４人分　米･･320ｇ、ポルチーニ･･200g　バター･･70g、ブロード･ディ･カルネ･･1.5リットル　白ワイン･･100cc、玉ねぎ･･小１個　にんにく･･１片、EVオリーブオイル･･大さじ２　パルミジャーノ･･50g、イタリアンパセリ･･１房　塩、粗挽き黒こしょう(1) ポルチーニは軸２～３本をみじん切りにし、残りは厚さ２mmにスライスします。(2) 鍋にバター50gと玉ねぎのみじん切りを入れてしんなり炒めます。刻んだポルチーニを加えて１分炒めます。(3) 米を入れて中火でさっと炒め、ワイン（あらかじめ室温にしておきます）をかけます。火を強めてアルコール分を飛ばし、レードル１杯のブロード（常に軽く沸騰させておきます）をかけて煮ます。(4) 水気がなくなったらブロードを足しながら煮ます（約15分）。時々静かにかき混ぜます。(5) 油に潰したにんにくを入れて熱し、にんにくに焼き色がついたら取り除きます。スライスしたポルチーニを入れて塩、こしょうをし、水分が出なくなるまで炒めます。(6) 米がアルデンテで煮汁がややとろみのある状態になったら塩味を調え、炒めたポルチーニを加えてひと混ぜします。火から下ろし、残りのバターとイタリアンパセリのみじん切りを加えて和えます。パルミジャーノをかけて食べます。※ワインはコクがあって香りのよい赤が合います。パスタのソースにする場合、基本はトリフォラートです。トリフォラートとは、オリーブオイルかバターににんにくを入れて熱し、薄く切ったきのこと塩を加えて水分が出なくなるまで炒めることです。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らします。ちなみに、ポルチーニを角切りにして作ると、きのこのフンゲットという名前になります。トリフォラートにトマトや生クリームを加えれば、ボリュームのあるソースになります。トリフォラートを作る時に、ローズマリー、玉ねぎ、タイムなどを加えれば、風味の違うソースになります。野菜のブロードと野菜の小角切りを加えれば、ミネストラの出来上がり。ポルチーニのパスタのおいしそうな写真を見つけました。トレンティーノ地方の観光情報が専門のサイトで、聞いたことのないアルプスの町が、たくさんの写真で紹介されています。北イタリアには、地中海とは違った魅力がありますね！こちらはヴァッレ･ディ･プリメーロという場所のページ。トップの写真のウエイトレスさんが持ってるのは、多分、ポルチーニのリゾットですねー。ずーっと下の方には、ポルチーニのフェットゥッチーネの写真も。他にもおいしそうな料理や興味深い写真が一杯。そしてこちらはヴァッレ･ディ･ファッサという場所。スキー場の写真のさらに下の方に、スペルト小麦のタリアテッレを使ったポルチーニのパスタがありました。

  Sep 9, 2005

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  ポルチーニのレシピ

  旬の時期に入ったポルチーニ。今日はレシピです。トリフォラートやソテーはきのう簡単に書いたので、今日はポルチーニの傘の料理を中心にピックアップしてみました。ちなみに、火を通すレシピは椎茸でも応用できます。レストランでよく見るポルチーニ料理は、グリルとフリットかな。ポルチーニの産地の１つ、アルバレートのサイトにあったレシピをどうぞ。原文はこちら。まずはポルチーニの傘のグリル。セコンド･ピアットとしていただきます。ポルチーニの傘のグリル:1 Cappelle di funghi alla griglia(1)材料：４人分　形のきれいなポルチーニの傘･･８個、にんにく　オレガノ　オリーブオイル、ぶどうの葉　塩、こしょう(1) ポルチーニの傘をオイル、塩、こしょう、オレガノ、にんにくの薄切りでマリネします。(2) これを熱したグリルパンで片面３～４分ずつ焼きます。(3) ぶどうの葉の上に盛り付け、マリネ液のオイルをかけます。ポルチーニの傘のグリル:2 Cappelle di funghi alla griglia(2)材料：４人分　大きくて締まったポルチーニの傘･･８個　オリーブオイル、にんにく、塩、こしょう(1) ポルチーニの傘の中央に包丁目を入れます。(2) 塩、こしょう、にんにくのみじん切り少々を散らしてオイルをかけ、やや弱めの火でグリルします。次はフリット。レストランでは、フリット･ミストの中に入ってることもありますよね。ポルチーニのフリット Funghi fritti材料：　やや開いたポルチーニの傘　パン粉、卵、塩(1) ポルチーニの傘を厚めにスライスします。軽く塩を振ってしばらく置き、柔らかくします。(2) これに溶き卵（塩少々を加えます）とパン粉をつけて油で揚げます。※ または、ポルチーニを縦にスライスして、卵１個、小麦粉、水、塩のゆるい衣をつけて揚げます。次は、ポルチーニを生で食べるインサラータ。ポルチーニのインサラータ Insalata di funghi crudi材料：４人分　小型のポルチーニ･･450g、EVオリーブオイル･･大さじ５　レモン汁･･１個分、アンチョビーペースト･･小さじ１　粗挽き白こしょう、塩(1) ポルチーニを縦に薄くスライスします。(2) アンチョビーペーストをオイルで溶き、レモン汁と塩少々を加えてよく混ぜます。(3) これをポルチーニにかけて和え、白こしょうをかけます。削ったパルミジャーノを散らしてもOK。アルバレートのレシピではないのですが、無農薬のぶどうの葉が手にはいるなら、包み焼きにすることもできます。ぶどうの葉がなければ、シートで包んでカルトッチョにすればいいかな。ポルチーニの包み焼き Porcini profumati nelle foglie di vite材料：４人分　ポルチーニの傘･･12個、ぶどうの葉･･12枚　厚くスライスした生ハム･･60g、にんにく･･２片　タイム･･少々、EVオリーブオイル　塩、粗挽き黒こしょう(1) ぶどうの葉を洗って水気をふき取り、ポルチーニを１個ずつのせて油を塗ります。(2) ポルチーニに粗く刻んだ生ハム、にんにくのみじん切り、タイムをのせてこしょうをかけ、葉で包んで糸で縛ります。(3) 葉にも油を塗り、油を塗った天板にのせて180度のオーブンで７～８分焼きます。(4) 葉をやや開いて塩を振り、タイムを散らします。長くなってきたので、今日はこの辺で。ポルチーニのパスタとリゾットのレシピは明日で～す。

  Sep 8, 2005

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  ポルチーニ

  リクエストをいただいたので（Grazie castagnaさん!）、予定を急遽変更。今日のお題は、フレッシュのポルチーニです。９月ですもんねー。生のポルチーニは、初夏から初霜の間、つまり６月から11月ぐらいに多く出回ります。以前、乾燥ポルチーニのことを書いた時（05.06.25）にも書いたのですが、ポルチーニは松茸と同じで栽培ができないにもかかわらず、イタリアではすごーい量が出回っています。実は、かなりのものが輸入物なんだそうです。特に、近くに森がない地域や南イタリアでは、その可能性が高いようですね。だから、生のポルチーニを買う時は、信頼できる店で買うこと。レストランで食べる時は、繁盛してる店を選ぶこと。これが大原則。イタリア産の最上質のポルチーニが出回るのは、真夏から秋にかけて。ということは、そろそろポルチーニが食べ頃ですねー。生のポルチーニを買うときは、実が締まっているものを選びます。調理はシンプルなのが一番。スライスしてフライパンで強火で焼いて、塩、こしょうをかけたり、にんにくとパセリでトリフォラートにするのが一般的です。トリフォラートとは、にんにくのみじん切りをEVオリーブオイルでしんなり炒めて油に香りを移し、そこにポルチーニを入れて焼いたり炒めたりして、イタリアンパセリのみじん切りを散らす方法。小麦粉やパン粉をつけて揚げてもおいしいですよねー。笠の部分をグリルしたり、うんと新鮮なものは、スライスして、削ったパルミジャーノやヴィネグレットをかけて、生で食べることもできます。生で食べる時は、笠が開いていないもの、つまり、軸と笠の太さの差があまりないものが最適です。ポルチーニを買ってきたら、または採ってきたら、栗の葉を敷いたかごに入れて（通気性のないものは避ける、ということです）、冷蔵庫以外の涼しい場所に置きます。そして24時間以内に調理します。虫がいそうだったら、スライスして軽く塩を振ってしばらく置きます。許可を取ってポルチーニを森に採りに行く時は、かごを容易します。ビニール袋のような通気性のないものは避けます。採る時は、若すぎるものや育ちすぎたものはとらないようにします。若くてきれいなものだけを採りましょう。（人間のこと想像しないように＾＾）こんなのが生えてたらすごいですねー。採る時は軽くねじるようにします。ナイフで切ると残った部分が腐って、他のきのこに害を及ぼすことがあります。ナイフは、軸やひだの間についた土地を落とす時に使います。きのこが食用がどうか分からなかったら、鑑別する専門家がいるので、必ずみてもらうこと。レストランで食べるなら、当然、森が近くにある場所、というのが条件ですよね。北イタリアなら、どこでもおいしい料理に出会えるはず。たとえば、ポルチーニの産地として知られるピエモンテのチェーヴァという町は、たっぷりのローズマリーと一緒にソテーしたポルチーニ･アッラ･チェヴァーナというのが、町のトラットリーアの名物だそうです。生のポルチーニのインサラータは、これからの時期、北イタリアに行く人にはお勧めです。それと、オーヴォリというきのこがもしメニューにあったら、ぜひ生のインサラータを食べてみてください。小さい時は卵にそっくりの形をしていて、袋の中から卵が出てくるように見えるきのこです。イタリアではポルチーニより珍重されています。(このページの下の方に写真があります)明日はフレッシュ･ポルチーニのレシピなぞを･･･。

  Sep 7, 2005

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  イタリアのチョウザメ＆キャビア

  きのうはキャビアのことをちょっと調べて、びっくりする事実を色々知りました。その１つが値段です。こちらのHPから価格表のページに行ってみてください。これが現在の日本のキャビアの相場ですよー。なんと、一番高級なベルーガは、20gで9000円！20gって、市販のスライスチーズ１枚分の重さなんですよー！ふう･･･。キャビアは幻の食べ物になりつつありますね。親のチョウザメのほうにも、びっくりする話が一杯あります。まず、チョウザメは100年も生きるんだそうです。人間より長生きだったんですねえ。しかも、生きた化石と言われるくらい大昔から地球に棲息しています。人間の祖先が木から下りようかどうしようかと迷っていた頃、チョウザメの祖先は、他の動物の攻撃を完璧に防御する術を身につけて、海や川を悠然と泳ぎ回っていたそうです。チョウザメは、大きなものだと体長９ｍにもなります。身体には、鱗の突起が５本走っていて、尾はサメのよう。こちらはイタリアで養殖されているチョウザメ。サメの仲間ではないのですが、大きなものは魚も食べます。サケのように、一定の時期になると海水から淡水へと回帰する習性があって、普通は春に川を上って産卵します。イタリアの北部を横切るポー河には、60年代初めまでは、チョウザメがたくさんいたそうです。もっと昔は、ローマを流れるテヴェレ河や、フィレンツェを通るアルノ河にもいました。しかも、イタリアのチョウザメは、最高級キャビアがとれるベルーガでした。50年ほど前までは、ポー河沿いのマントヴァやフェッラーラは、キャビア加工の一大拠点だったそうです。現在は、イタリアの川でチョウザメがとれることはほとんどありません。今でもキャビアが取れるロシアなどは、昔から国を挙げて環境の保護に取り組んできたので、まだチョウザメが生きていくことができるんですね。ただし、ソビエト崩壊以後、違法行為が横行するようになって、今や急激に減っているそうです。何の保護もしてこなかった国では、あっと言う間に姿を消してしまいました。イタリアでチョウザメの養殖が本格的に始まったのは、1980年代です。私がチョウザメの養殖のことを知ったのは10年程前ですが、当時は「21世紀の魚」、と呼ばれていました。こちらが、ブレッシャ県（ロンバルディア）のカルヴィサーノという所にある、イタリアの代表的なチョウザメの養殖場です。ここでは、カリフォルニアでとれたチョウザメの卵を孵化して育てています。ストリオーネ･ビアンコという、世界で唯一、白い肉を持った品種だそうです。（写真）アメリカ産やフランス産もあるんですね　　↓ チョウザメの養殖のことを知って以来、一度食べてみたいと思っているのですが、いまだに口にしていません。一度、ナポリのレストランで、メニューにチョウザメのスモークがあったので注文すると、品切れでした。イタリアでも、チョウザメを食べる習慣が途絶えていたために、食べ方が分からない人が多いそうです。生の肉を薄くカルパッチョに切って、EVオリーブオイルをかけるのが一番おいしい、という人もいます。多分、一番手頃なのは、スモークしたものを買う、という方法です。先ほどの養殖場のサイトによると、食べ方は、「スモークしたチョウザメを、食べる30分以上前にパックから出しておき、厚さ５mm程度に切って皿に盛り付け、一番軽いタイプのEVオリーブオイルをたらして、黒こしょうを軽く散らす」だそうです。オンライン購入もできますが、一応、イタリアとロンドンで扱っているのはこちら。こんな本もありました　　↓私はチョウザメが食べたかった。キャビアは、今はワシントン条約で規制されているから、免税店以外で買ったものは日本には持ち込めません。でも、イタリアの養殖物のキャビアはどうなんでしょう。それに、スモークのチョウザメは？せっかく買って、税関で没収なんてことになったら嫌だしなあ。どなたかご存知だったら教えてくださーい。

  Sep 3, 2005

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  チョウザメ＆キャビア

  今日のお題は、キャビアの親、チョウザメです。と言っても、キャビア抜きにはチョウザメは語れないので、まずはキャビアの話から。東ヨーロッパの社会主義が崩壊した数年後、プラハを訪れたことがありました。そこで異様に目に付いたのが、西側からの観光客目当てに、路上でキャビアの缶詰を売る怪しげな人たちです。外見はいかにも普通のキャビアの缶詰。でも、値段がかなり安いんですよー。確か、日本の相場とは１桁違ったような気がします。これはどう考えてもうさんくさい。私は気味が悪くて買わなかったんですが、かなり繁盛してました。今でも売ってるのかなあ。その時は、なんでプラハでキャビアなのか、深く考えませんでした。元社会主義国のルートで、ロシアから入ってくるのかなあ、なんて思った程度で･･･。でも、ロシアのキャビアは、生産量がどんどん減っているはずですよね。あんな安い値段で道端で売るなんて、絶対にありえなーい！キャビアはチョウザメの卵ですが、その卵を採るためには、親を殺さなくてはなりません。ところが、チョウザメは生後７、８年から20年たたないと卵を産みません。プラハの道端で大量にキャビアを売るには、かなりの数のチョウザメが必要なはず。チョウザメは、無謀な乱獲にあって各地で姿を消しつつあります。今ではワシントン条約で絶滅危惧種に指定されているのですが、世界のキャビアの大部分を占めるカスピ海沿岸のキャビアは、９割が違法取引によるものだそうです。最後にキャビアを食べたのはいつだったかなあ･･･その時は、絶滅する恐れがある魚の卵だとは、考えもしなかったなあ。愚かでした･･･。でも、私が天然もののキャビアを食べることなんてないと思うので、まあ、深刻に悩む必要もないか。そんな貴重なキャビアですが、イタリアでは、チョウザメの養殖が行われていて、イタリア産キャビアというのが流通するようになっています。日本にも入ってるんですね。　イタリア産キャビア　　　　　　↓日本でも養殖は行われているようですが、食べたことのある人、いるのかなあ。新見漁協のサイトチョウザメは北半球にだけ棲む魚で、北回帰線と北極圏の間にいます。日本もこの中に入るので、チョウザメがいてもおかしくありません。チョウザメは雑食なので、本来ならどこでも生きていける魚らしいです。こちらはチョウザメ漁の様子。すごい迫力ですねー。こんなのが川を泳いでいたら怖～い。でも食べてみた～い。と言うわけで、チョウザメの話は明日に続きまーす。

  Sep 2, 2005

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  秋刀魚食べました？

  きのうに続いて秋刀魚のお話。今年、秋刀魚漁が解禁されたのは、小型船の７月10日から始まって、最後の大型船は、ついこの間の８月18日だったそうです。今年は大漁で値段が崩れて、休漁という措置も取ってるとか。解禁日に釧路港から漁に出た漁師さんの日記には、その日は北海道の市場で値段が急落したので、急遽気仙沼に移動して水揚げした、と書いてありました。漁は、ただ魚をとればいいってもんじゃないんですねー。今年の秋刀魚は、去年のように大型で脂がのってるそうです。水産試験場では、前半は大漁で後半は少ないと予想してるらしいですよー。秋刀魚は、今は北海道の東の方にいて、それが成長しながら南下して、10月に房総沖へやって来るんだって。あるサイトには、「10月の秋刀魚は脂があっておいしい、と言うが、時期よりとれた場所が大事。秋刀魚は南下するほど味が落ちる」、と書いてありました。つまり、秋刀魚がまだ北にいる今の時期が一番おいしいんだってー。しかも、オスよりメスのほうがおいしいそうですよー。秋刀魚のオスとメスの見分け方なんて、知ってます？なんでも、メスは下あごの先端が淡い黄緑色（オリーブ色）で、先が丸く、オスの下あごはオレンジ色でとがっているそうです。明日から秋刀魚をチェックする目つきが変わりそうだー。今日は、イタリアとはまったく縁のない魚のお話で、そちら方面の方には失礼しましたあ。そう言えば、多分、アジもイタリアにはないですよね。　　↑でも、「ドーバー海峡のアジ」なるものがあった･･･その逆に、イタリアにあって日本にはない魚も、当然あるわけですが、私が一番食べてみたいなあと思っているのは、チョウザメです。キャビアの産みの親の方ですねー。　　↑不気味なもの見つけました。チョウザメの剥製だって。ギョー！（あっ、おやじギャグ言ってしまった･･･）イタリアの川には、かつてはチョウザメが泳いでいました。今は天然ものは絶滅してしまったのですが、養殖の研究は行われています。この話、明日に続きま～す。

  Sep 1, 2005

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  トマト料理

  初めて焼いたトマトを食べたのは、どこでだったろう。多分、どこかの国のホテルで出た朝食だったと思います。輪切りのトマトをフライパンで焼いたフライドトマトだったか、プチトマトをオーブンで焼いたローストトマトだったか･･･。焼いたトマトは、生の時よりこくがあって、いくらでも食べることができて、温かいので目玉焼きに添えてもバッチリで、時々、思い出すと朝食に作っています。　　 今日の朝食のフライドトマトと目玉焼き。これにこしょうをかけて、トーストしたパンと一緒にいただきました。ソーセージとハッシュドポテトがあれば、ちょっとしたイングリッシュブレックファーストだなあ。飲み物は、正統派ならミルクティーですねー。世界各地の朝食、色んなのがありますよねー。卵１つとっても、それぞれにこだわりがあるし･･･。これも話しだすと止まらないので、いつか別の日に。ということで、トマトですよ、トマト。トマトの調理の基本の基本は、生で食べること。マリネにするなら、塩、EVオリーブオイル、にんにく、バジル（またはオレガノ）あたりが定番ですよね。トマトを小角切りにしてマリネすれば、パスタのソースや、ブルスケッタのトッピングに。たっぷりのチェリートマトの皮を湯むきして、にんにく、バジル、イタリアンパセリ、EVオリーブオイルで数時間マリネして、塩、こしょうで調味すると、インサラータ･ディ･ポモドリーニの出来上がり。トマトの水分を飛ばす方法は、色々ありますね。★その１は、裏漉し。かなり大変だけど、トマトを裏漉しして、布にのせて一晩水気をきったものを、スプーン２個でクネル形（ラグビーボール形）にして、オリーブとモッツァレッラを添えれば、前菜になります。プロじゃなきゃここまで手間はかけないですね＾＾;★その２は、炒める、焼く。輪切りにして焼いたり、チェリートマトを丸ごと炒めたり･･･。ずぼらな私向き。★その３、オーブンで焼く。ピッツァのトッピングに、潰したプチトマトをのせて焼くのもそうですね。丸ごと焼いて付け合わせにするのは、イギリス風かな。イタリアでは、定番は、グラティナーレかリピエーノ。グラティナーレは、オーブンで焼き色が付くまで焼くことです。リピエーノは、トマトに詰め物をすること。一番簡単なグラティナーレは、パン粉を散らして焼く方法です。もう少し手をかけるなら、たとえば･･･、トマトを横に半分に切り、汁を集めながら種を取ります。漉した汁、パン粉、香草のみじん切り（ミント、バジル、イタリアンパセリなど）、おろしたチーズ、塩、こしょう、EVオリーブオイルを混ぜてトマトに詰め、200℃のオーブンで20分焼きます。詰め物入りは、たとえば、ウンブリア風なら、トマトの上部を切り取って種と汁を取り除き、パン、卵、にんにく、イタリアンパセリを詰めて、200℃のオーブンで25分焼きます。（写真）お米を詰めることも多いですね。スパゲッティのソースにする時は、小さく切ったトマトに、油とにんにくを加えてオーブンで焼きます。丸ごとローストする場合、イタリア風にするなら、トマトに切り込みを入れて、間ににんにく、イタリアンパセリ、アンチョビーをはさんでオーブンで焼くなんて手も。タルトタタンのトマト版も、よく見かけるレシピです。★その４、乾燥させる。ドライトマトは天日で乾燥させますが、もう１つ、ポモドーリ･カンディーティといって、低温のオーブンで長時間かけて水分を飛ばす方法もあります。トマトの皮を湯むきして半分に切り、種を取ります。ざるに入れて最低30分水気をきり、シートを敷いた天板に並べて、100～120℃のオーブンで水分がなくなるまで焼きます。約１時間かかります。このまま前菜や付け合わせにしたり、ざっと刻んで様々なソースに加えれば、独特の風味が加わります。ナポリなど南イタリアには、コンセルヴァと言って、裏漉しトマトに塩を加えて天日で赤黒くなるまで乾燥させたものがあります。時々かき混ぜながら、何日もかけて干すそうです。手間がかかるので、今では作る家庭はほとんどないとか。かなり塩辛そうなのですが、トマトの保存食の原点と言えるものです。今日も長くなっちゃいました。トマトを煮るレシピの代表、パスタ用のトマトソースについては、明日ですねー。

  Aug 28, 2005

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  イタリアのトマト

  イタリア料理と言えばトマト。あっ、これ昨日と同じでした。トマトの原産地は、中南米のペルーやメキシコあたりだそうです。だから、コロンブスがアメリカを「発見」するまでは、ヨーロッパやアジアにトマトは存在しなかったわけですね。コロンブスが新大陸にたどりついたのは1492年。それから500年後の1992年には、コロンブスの生誕地ジェノヴァで、盛大なイベントがあったんですよー。その時は、新大陸から伝わった野菜が脚光を浴びたのですが、その種類を見てびっくり。なんと、トマトだけじゃなく、じゃがいも、ピーマン、カボチャ、とうもろこし、唐辛子、いんげん豆なども、ぜーんぶ新大陸からやってきたんですねー。それまでのイタリア料理には、トマトもピーマンも入っていなかったんですよー。しかも、トマトは、イタリアに伝わってすぐに普及したわけではなく、料理に使われるようになったのは、18世紀半ばになってからです。さらに、トマトソースをかけたパスタが登場するのは、なんと19世紀半ばになってから。数千年に渡るイタリアの歴史に比べて、トマトソースの歴史は、たった150年ぐらいです。過去のほとんどの期間、パスタに赤い色のソースはかかっていなかったんですねー。トマトソースが存在しなかったら、パスタやピッツァは、ここまで世界中に広まったかなあ。日本にトマトが広まったのは明治時代らしいので、イタリアでパスタにトマトソースをかけるようになってしばらくたったころですね。南米から伝わったトマトは、日本とイタリアでは、ずいぶん違う進化の道をたどってきました。生食が一般的な日本では、トマトの甘さを追求して、トマトソースが普及したイタリアでは、ソース用のトマトの開発が盛ん。以前は、ソース用のトマトというと、サン･マルツァーノという品種が主流でした。サン･マルツァーノ･トマト管理組合のHPはこちら。サン･マルツァーノはDOP製品なので、生産地区が決められています。でも、今は生産量が激減してしまいました。現在流通しているサン･マルツァーノのほとんどは、アメリカで開発されたクローンの、サン･マルツァーノ“タイプ”のようです。もっぱらソース用だったサン･マルツァーノに代わって、現在一般的なのは、生食用にも使えるペリーニという品種です。丸いラマーティというトマトも、生、ソース、両方に使えます。こちらはロシア語のサイトなんですが、イタリアのトマトの種類がよく分かる写真が載っています。日本でも名前を聞くようになったパキーノは、シチリア産のIGPトマトです。管理組合のサイトはこちら。生食用のトマトの代表的なものは、クオーレ･ディ･ブーエ、「牛の心臓」という名前のトマトです。(写真）表面がうねうねしていて、一見して生食用と分かりますねー。イタリアでトマトを見つけると、１、２個買って味見してみるんですが、日本のトマトと比べると、甘味が少ないせいか、もっと野菜らしく感じます。ナポリのピッツェリーアでは、房つきのプチトマトを吊るして軽く干してあって、それをちょっと潰してのせただけで、素晴らしくおいしいピッツァが出来上がります。水分を飛ばして味を凝縮させる方法に、おいしいトマト料理作りの秘訣がある、私はそうにらんでます。よーし、明日のお題は、トマト料理のレシピだな。

  Aug 27, 2005

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  裏漉しトマト

  イタリア料理と言えばトマト。トマトが熟すのは８月頃だから、その近辺になったら、イタリアのトマトについて、じっくり書こうと思っていました。ところが、いつの間にか、もうすぐ９月ですよー。世間の皆様が、夏休みだ、バカンスだ、海だ、山だと楽しんでいらっしゃるのを横目に、私は、史上最悪の二日酔いになったり、買ったばかりのエアコンが壊れたり、爪をはがしたり、昨日は台風が来たりと、ひたすら耐え忍んで、普段とまったく変わらない生活を送ってました。というか、まだ耐え忍んでいます。ブログにお邪魔する先々で、「明日から旅行で、しばらく日記の更新はできまっせーん♪、ルンルン☆☆☆」という言葉を残して、一人、また一人と去って行く日々･･･。私の唯一の慰めは、二日酔い以来、運動もしないのに、2.5kgやせたということだけ･･･。えーっと･･･、なにを書こうとしてたんだっけ？あっ、そうだ、トマトだ。今日、turkuvazさんが生の裏漉しトマトのビン詰めを作られたという日記を読んで、生でも作れるんだーとびっくり。そして、ちょうど今は、南イタリアの各家庭では、山のように収穫したトマトで、自家製のビン詰めを作る作業が山場を向かえている頃、というこに気がつきました。日本の街に住む私は、畑で赤く熟しているトマトをこの目で見る機会は、まずありません。近所の人が、トマトの苗をプランターに植えて道端で育てていましたが、散歩中のワンコが脚を引っ掛けて倒してしまい、無事に育ったトマトは、たった１個でした。そんな場所でも、今がトマトの旬だということは、スーパーのトマトの値段で分かります。普段は１個100円ぐらいなのが、今は４個で300円ぐらい。それでも高いなあ。トマトの自家製ビン詰め作りは、きっと楽しいでしょうね～。以前にも紹介しましたが、イタリアには、トマト専用の裏漉し器があります。半分に切って下ゆでしたトマトを、皮ごとこの裏漉し器に通せば、簡単にビン詰めができて、それを煮沸殺菌すれば、長期保存ができるわけです。検索してたら、イタリア語のお勉強ができて、裏漉しトマトの作り方も分かるサイトを発見。こちらです。下線の単語や写真をクリックすると、発音も聴けますよー。おもしろーい。最初の写真がトマトの裏漉し器、パッサポモドーロです。このサイトは、ネット上の学校のようになっていて、小学校から大学まであるようです。裏漉しトマトの作り方は、６～10歳向けのイタリア語の授業の１つで、トマトソースの作り方を見ながらイタリア語のお勉強をする、というレッスンの一部でした。こんなに小さい時から、トマトソースの作り方を学ぶんですねー。トマトソースの作り方のページを最初から見てみました。１ページ目は、こちらです。なんと、いきなり登場したトマトの写真！これぞイタリアですねー。日本人がトマトの絵を描いたら、丸いトマトしか描かないと思うのですが、イタリアでは、トマトソースのトマトと言えば、この楕円形のトマトですよねー。教材にも、「トマトは生で食べます。トマトは煮て食べます。トマトでトマトソースを作ります。」と書いてあります。さらに、「トマトはよく熟している必要がありますが、熟し過ぎていてはいけません」だってえ。６歳児が、こんなことを学ぶんだあ。そして次のページでは、トマトをゆでています。その後に、最初に紹介した裏漉しの過程があって、最後のページは煮沸殺菌です。ビンが割れないように、陶器のかけらを入れたり、紙を敷いたり、ビンに紙を巻きつけたりと、いろんな工夫をするんですねー。この後、授業はトマトソース作りへと続いていきます。面白くて、このままだといつまででも見ていそうなので、今日はここまでにしておきます。トマトの話、もう少し続けまーす。

  Aug 26, 2005

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  セイタン＆テンペ

  シチリアで履きたいと思って買った青いサンダルを初めてはいて、重度の靴ずれになりました。しかも、その数日後、右足の小指の爪が、いつの間にかはがれてました～。ぎゃー、きれいさっぱり、ないー。全然気が付かなかったー。なんだか爪がサンダルに引っかかるなあ、とは思っていたけど、まさか、こんなに突然、消えてしまうとは･･･。サンダルも小指の爪も、シチリアには連れていけない運命だったのかあ。というわけで、小指だけ赤ちゃんみたいな状態で、毎日過ごしてます。最近、イタリアの料理雑誌に、耳慣れない外国の食材がよく登場します。今日も、セイタンというのが出てきました。以前にも時々見かけて、中華の材料？と思ったのですが、調べてみると、あちこちで、「日本人が考えた食品」という説明を見かけました。セイタンて、小麦のグルテンなんですね。肉の代用品として食べるとか。ひょっとして、よく知られた食べ物なんでしょうか。知らなかったのは私だけ？イタリアでは、日本で市販されている醤油煮のタイプではなく、プレーンなものを使うことが多いようです。（写真）今日訳したレシピは、「スペッツァティーノ･ディ･セイタン」、セイタンのシチューのような料理でした。セイタンは、市販のものではなく、マニトバ粉から手作りする方法でした。小麦粉と水をよくこねて生地にして、それを洗いながら絞って、ひたすらデンプンを落としていくと、後にグルテンが残ります。それをにんにく、ローズマリー、しょうゆで煮てから一口大に切って、あとは肉のように使っていました。実は、以前に、テンペという食材をイタリアの料理書で見かけて、なんだろうと思って周囲に聞いてみたら、みんな知っていて、知らないのは私だけ、ということがありました。インドネシアの大豆発酵食品で、ヘルシーだというじゃないですか。スーパーでも売ってたので、早速買って食べてみました。感想は･･･うーん･･･、おいしくない･･･。それ以来、食べていません。この体験で学習したから、セイタンも、誰かがおいしかったと言うまで手は出さないぞー。今、この他に気になっているのは、お米の粉で作ったスパゲッティ。（写真）ペンネやフジッリもあるんですねー。これは怖いもの見たさで、食べてみてもいいなあ。

  Aug 25, 2005

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  パルミジャーノ･レッジャーノの話～３

  エアコンが直って１日経ちました。ちゃんと冷えてる。うれしい～。このところのお題、パルミジャーノの話です。パルミジャーノの刻印は熟成前に行う、ということがきのう分かったのですが、その後で、刻印をあらためて見て、気づきました。パルミジャーノの刻印がつけられるのは、製造を始めてから数日後。ということは、この製造月の表示は、牛のミルクを搾った時期も意味してるんですね。1984年までは、４月１日から11月11日の間に作られたものだけが、パルミジャーノと名乗ることができました。この間は、牛が新鮮な草を食べ、それ以外の時期は干し草を食べていたからです。これ以外の時期に作ったものは、ヴェルネンゴと呼ばれて、パルミジャーノより安く販売されていました。でも、テーブルチーズとしては、ヴェルネンゴのほうがおいしい、と言う人もいます。1984年の法律の改定でこの区別は無くなったのですが、今でも、４月から11月の間に作ったものがおいしい、と言われています。　　　　↑このパルミジャーノの製造月は、９月ですね。つまり、夏の牧草地の新鮮な草を食べた牛のミルクから作られているっちゅーことかあ。なるほどー。それともう１つ。上段のメーカーの番号ですが、これが３桁のものはレッジョ･エミリア県で生産されたもので、４桁のものはそれ以外の場所で作られているそうです。だからどうだって言われると困るんですが、マニアックなウンチク話のネタにいかがでしょうか。さーて、お次はパルミジャーノの食べ方です。パルミジャーノは、２年前後熟成させると、おろして使うのに最適な状態になります。生クリーム、おろしたパルミジャーノ、バルサミコ酢を熱してソースにして、生ハムにかけるというレシピがありました。なかなかおいしそう。冷製パスタ、カルパッチョ、タリアータ、サラダのような夏の料理には、薄ーく削って散らします。食前酒のつまみにする時は、くるみを添えるのがイタリア流。パルミジャーノをじっくり味わうなら、熟成期間が違うものを盛り合わせると本格的。アーモンド形のカッターを用意して、添えるのは、数種類のパン、くるみ、ぶどう、洋梨とりんごの薄切り、干しいちじく、蜂蜜、バルサミコ酢、ジャム（いちじくなど）、モスタルダなど。パンは、くるみ入り、レーズン入り、全粒粉で天然酵母のパン、パーネ･トスカーノ、グリッシーニ、パルマのミッカなどが合います。薄く割ったパルミジャーノに、トラディツィオナーレタイプのバルサミコ酢をたらすのはモデナのスタイル。 きのうのヴァッケ･ロッセのパルミジャーノは、数が少ない貴重なチーズなので、少量をおいしく味わうなら、アペリティーヴォのスプマンテと一緒に食べたり、食事の最後に、赤ワインと一緒にじっくり味わうのがよさそうです。パルミジャーノは、白、ロゼ、赤、どのワインにも合うチーズなんですね。定番の組み合わせは、フレッシュな白→メトド･クラッシコのスプマンテ、シルヴァーネル、ガヴィロゼ→キアレット･デル･ガルダ赤のフリッザンテ（微発泡性）→ランブルスコ･ディ･ソルバーラ赤→ドルチェット、キアンティなどが代表的ですが、世界中のさまざまなワインが合うようです。 castagnaさんのおもしろい疑問、パルミジャーノの皮はどこまで食べていいの？は、言われてみれば、私も疑問。皮の厚さはだいたい６mmぐらいだそうなので、生で食べられるのは、そのあたりまででしょうか。皮の部分はどうするのか、ちょっと探してみました。例えば、こちらのサイトには、10cm角に切った皮をブロードに入れて煮たパスタ･エ･チェーチが紹介されてます。料理の写真にも、PARMIGIANOと刻印された皮が見えますねー。香味野菜、生ハム、にんにく、香草のみじん切りをオリーブオイルで10分かけてしんなり炒め、ホールトマト、鶏のブロード、チェーチ（ひよこ豆）、ローリエ、トマトピューレ、そしてパルミジャーノの皮を入れて30分煮ます。一度皮を取り出し、１cm角に切ってスープに戻します。そして仕上げにディタリーニを入れて煮ます。この他に、グリルして食べるのも一般的みたいです。一番外側は削り取った方がいいかも。

  Aug 19, 2005

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  ヴァッケ･ロッセのパルミジャーノ･レッジャーノ

  きのう、パルミジャーノ･レッジャーノの製造年の刻印の話を書きましたが、あの刻印はいつつけられると思いますか？パルミジャーノ作りは、まず、牛乳を熱し、レンネットを加えて固めるところから始まります。それを粒状に砕いて再び熱し、布に取って枠に入れ、２日ほど置いて余分な水分を出します。この時点で、チーズの表面全体のPARMIGIANO REGGIANOの文字と、メーカーの番号、製造年月がつけられます。その過程も含めて、パルミジャーノ作りの詳細は、パルミジャーノ管理組合のサイト（こちら）で、動画で見ることがでます。チーズ作りに興味がある人にはお勧めですよ～。イタリア語の場合は、「IL FORMAGGIO」→「Come si fa」→写真の「entrare」の順でクリック。英語の場合は、「THE CHEESE」→「How It is Made」→「enter」。パルミジャーノのマークをああやってつけてるなんて、知らなかったなあ。スタンプで１個ずつせっせと押してるんだと思ってました＾＾塩漬けは、マークをつけた後に行うんですね。約20日間塩水につけたら、熟成です。熟成期間は最低12か月で、普通は２年。管理組合のマークの焼印は、熟成させてからつけます。これは焼きごてでつけるので、動画で見ると、炎が上がって迫力ありますねえ。パルミジャーノ･レッジャーノは、パルマの名物として有名ですが、このチーズの名前には、パルマとレッジョという、２つの地名が入ってます。そうでした。そう言えば、レッジョ･エミリアも、パルミジャーノ･レッジャーノの産地でした。こちらの地図が、パルミジャーノの生産地区です。レッジョには、このチーズの発祥地はレッジョだと主張して、レッジャーノ･パルミジャーノと呼ぶ人もいるそうで、なかなか屈折した思いがありそうだなあ。レッジョ地方には、フォルメンティーネと呼ばれる古い品種の牛がいます。この名前は、地元の方言で、熟した小麦のことを意味するんですが、その名の通り、牛の毛は、熟した小麦のような赤みがかった黄金色をしています。この色は、パダナ平野にこの牛を伝えたロンバルド族の髪の色でもあるそうです。（この写真の上の牛です）この赤い牛のミルクから作られたパルミジャーノは、味、香り、色が独特なので、とても珍重されます。ただ、50年ほど前に、質より量という考えが主流になって、機械で搾乳するのに適したフリゾーナという品種が広まり、1955年には13万頭いたフォルメンティーネは、1980年にはわずか900頭にまで減ってしまいました。フォルメンティーネを消滅から救うために、1991年に、９軒の酪農家が集まって管理組合が結成されました。最近では、品質重視の傾向が強くなってきたため、この牛も再び注目されるようになり、現在では2000頭以上が飼育されているそうです。この赤い牛、ヴァッケ･ロッセのミルクから作られたパルミジャーノには、それを証明する焼印が押されています。（写真）外見は他のパルミジャーノ･レッジャーノとほとんど変わらないのですが、色は濃い麦わら色で、新鮮なかいばの香りが感じられ、とても甘いそうです。生産量はとても少ないのですが、約40％は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本に輸出されているそうです。ひょっとして、知らないうちに食べてるかも？ただ、値段は普通のパルミジャーノの２倍近くするそうです。買ってみようという方は、「Vacche Rosse, Razza Reggiana」という文字と、２頭の牛が台車を引いているマークが目印ですよ。　　　　　　　　↓ヴァッケ・ロッセパルミジャーノ約300g（10円/g）超稀少！赤牛の高価なレッジャーノ♪

  Aug 18, 2005

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  パルミジャーノ･レッジャーノ

  エアコンはもう直ってるはずだったのに、今だに蒸し暑い部屋で、ミニ扇風機の風だけで、どうにか耐えて生きてます。ブログで外国で生活される方の苦労話を読むにつけ、日本はいいなあー、なんにも問題ないから～、なんて思ってた私、つくづくお人好しでした。トラブルは、世界中、宇宙中、どこにいってもついてくるもんなんですね。明日、別の人が修理に来るので、明日の夜こそは、ぎんぎんに冷えた部屋にいるはずです。パルマの話をしておきながら、パルミジャーノ･レッジャーノの話をしないというのは何なので、今度のお題はパルミジャーノ･レッジャーノです。今日は、パルミジャーノのウンチク、こんなのいかがでしょう。　　　↑パルミジャーノ･レッジャーノです。表面いっぱいに「PARMIGIANO REGGIANO」という文字が刻印されていますねー。どこをカットしても、皮が付いていれば、管理組合が保証する本物のパルミジャーノだということが分かるようになってるんですね。管理組合のＨＰはこちら。トップページは、なかなか凝ってます。レストランで、中をくりぬいたパルミジャーノを丸ごとドーンと置いて、その中でリゾットを和えたりすることありますよね。そんな時、私が必ず見ちゃうのが、パルミジャーノの製造年です。パルミジャーノには、１個ずつ、製造年月が刻印されてるんですよ。　　↑製造年月の部分をアップにしました。一番上の番号は、メーカーの番号です。中央は管理組合のマークですが、これにも左右に製造年が記載されています。毎年焼きごてを作るんですね。そして一番下が、製造された月と年です。丸ごとのパルミジャーノ･レッジャーノを見つけたら、製造年を確認してみるのもおもしろいですよん。とりあえず今日はこんなところで、次回に続きま～す。

  Aug 17, 2005

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  クラテッロとワイン

  クラテッロの話をもう少し。昨日の話に出ていた、ジベッロの管理組合のHPは、こちらです。双頭の鷲のマークをクリックすると、中に入れます。こちらのページでは、製造過程を見ることができます。レストランやサラミ屋さんなど、組合員の一覧はこちら。ここでは、クラテッロの食べ方も紹介されています。クラテッロは作るのも大変ですが、食べる時も、手間がかかります。まず、糸を外して、膀胱を取り除きます。乾燥してくい込んでいる時は、１時間ほど水に漬けると取りやすくなります。横糸も全部取ったら流水で洗い、布で水気をしっかりふき取ります。もし乾きすぎているようだったら、辛口白ワインで湿らせた布で包んで、数日置きます。すぐには食べられないんですねー。その後は、皮と外側の脂身を完全に取り除き、薄くスライスします。（写真）スライスしたら、地元の伝統的なパン、カールさせたバター、そしてあまりアロマの強くない辛口のフリッザンテワインと一緒に、すぐに食べます。バターは、かなり乾いている時、特に冬は、必需品のようですね。当然、無塩バター。残りのクラテッロを保存する時は、切り口に薄くオリーブオイルとバターを塗って、布で包みます。そして冷蔵庫以外の涼しい場所に置きます。めんどくさいですねー。やっぱり、地元近辺まで行って、レストランで食べるのが一番！クラテッロの産地には、クラテッロ･ロードというのがあって、食べ歩きや観光が楽しめる体制も整っています。こちらはストラーダ･デル･クラテッロのHP。作曲家のジュゼッペ･ヴェルディもこの辺りで生まれたので、ヴェルディの足跡巡りなんかもできます。レストランも、こんなにいろいろあります。クラテッロに合うワインは、管理組合では、辛口の微発泡性ワイン、つまりランブルスコを勧めていますが、生ハムに合うワインなら、クラテッロにも合うようですね。一般的なのは、マルヴァジーアのセッコやトレッビアーノなどの中程度のボディーの白と、若い赤。先日も紹介したソムリエのサイトのwww.vinoinrete.itでは、メトド･クラッシコのミッレジマートのスプマンテ（ヴィンテージが表示されているスプマンテ）を挙げています。徹底的にゴージャスに行こうという路線ですね。リグーリアのピガート･ディ･アルベンガ、アルト･アディジェのミュラー･トゥルガウ、ウンブリアのトルジャーノ･ビアンコなども合うそうです。

  Aug 13, 2005

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  クラテッロ

  今日は、生ハムの一種、クラテッロの話です。私がクラテッロを知ったのは、イタリアの雑誌に載ったあるコラムを読んだ時でした。それ以来、クラテッロを食べてみたい、と強烈に思うようになり、数か月後にイタリアに行った時は、クラテッロを食べるのが目的でパルマを目指したほどでした。待望のクラテッロ。一口食べて、すぐに生ハムとの違いが分かりました。ほおーっと言いたくなるくらい甘くて、柔らかくて、ジューシーで、デリケートなんです。一度クラテッロの味を知ると、もう普通の生ハムには戻れないー！と思ったのですが、請求される金額のことを考えたら、速攻で普通の生ハムに戻れました＾＾私がクラテッロを知った記事は、今はもう廃刊になった雑誌に、かなり昔に載ったものです。書いたのは、チーノ･トルトレッラという人。おもしろかったので、紹介します。★★★･･･クラテッロは、パルマ県北部のジベッロという町で生まれた。クラテッロとジベッロ、この二つの名前が韻を踏んでいるのも単なる偶然とは思えないほど、両者は太い運命の糸で結びついている｡クラテッロは、ジベッロ以外の場所では生まれることのなかった生ハムなのだ。ジベッロでは、夜の間にたちこめた霧が、朝になるとさっぱり蒸発してしまうように、憂鬱な気分もすぐに消し飛んでしまうような陽気な町だ。ここでは、何世紀も前から、クラテッロが創りだされる用意が整っていた。ポー河から立ち上る霧、おいしいものとはどんな物かを知っている人々、空気、太陽･･･。私が初めてクラテッロと出会った時の衝撃は、初めてモーツアルトを聴いた時と同じくらい強烈だった。それからほぼ40年がたったが、その時のことは今でもはっきりと覚えている｡1957年5月、場所はジベッロの少し南にあるサンボセートという町の、カンタレッリというトラットリーアだった。その店のカメリエーレは、まるで神官のように厳かに、クラテッロを運んできた。そして私がナイフとフォークで食べようとするのを見ると、こう言った。「手で食べるんですよ。クラテッロは手で食べなくちゃ」あわてて私は手を使って、クラテッロを口の中に入れた。するとたちまち、強い快感が私を包みこんだ。それ以来、何度食べても同じ気持ちを味わう。クラテッロはいつ頃から作られるようになったのだろう。一説には14世紀だと言う話もあるが、これはやや誇張があるようだ。とは言え、中世の農民が、領主だか王様だかのご機嫌をとるためにクラテッロを作り上げて、その褒美として伯爵か公爵の称号を手に入れた、と想像するのはなかなかおもしろい。その農民は、きっと詩人だったに違いない。豚のももの一部を切り取って形を整え、塩をまぶし、膀胱で包み、洋梨形に縛って熟成させるなどという発想は、詩人の想像力がなければ思いつくものではない。もしクラテッロ誕生の地が分かっていれば、きっとそこには記念碑が建てられていたことだろう。そして生誕の家を目指して、大勢の巡礼が訪れてくるに違いない。トルテッリーニの誕生にまつわる言い伝えがたくさんあるように（一番有名なのは、裸のヴィーナスのへそを見てあの形を作り上げたという話）、クラテッロの名前や独特の洋梨形の由来、あるいは微妙な味わいについては、艶っぽい言い伝えが色々ある。しかし、クラテッロの値段に関しては、謎は何もない。上質のクラテッロは、並の生ハムの３～４倍以上の値段がする。クラテッロは、最大でも３～４kg程度だが、１個のクラテッロを作るには、豚のももが丸ごと１本必要なのだ。さらに、熟成には時間と手間がたっぷりかかる｡クラテッロ作りは、最初の段階は男性が行うが、その後は女性の手にゆだねられる。クラテッロを熟成させるのは赤ん坊の面倒を見るのと同じだから、と地元では言う。赤ん坊との唯一の違いは、成長するにつれて重さが減っていく、という点だ。クラテッロの重さは、５月から12月の間に約50％も減少する｡これがクラテッロに高値がつく理由でもある｡クラテッロは価格が高い。当然、大量生産したら儲かると考える企業も出てくるはずだ。しかし、そうなると、クラテッロの品質は確実に下がってしまう。そんな事態を防ぐために、ジベッロでは、生産者の管理組合が作られている｡この管理組合が定めた厳しい基準を満たした製品には、パッラヴィチーノ伯爵家の紋章である双頭の鷲のマークがつけられている。このマークがついたクラテッロは、ふすま、とうもろこし、大麦だけで育てた豚を原料として、２か月の加工期間の後、レンガの壁と木の梁の部屋で、外気と湿気と、秋と冬の霧と、夏の蒸し暑さの中で熟成させてできあがったものであることを意味している｡手作りでなければできない本物のクラテッロは、今や消滅の危機に瀕している｡管理組合の会長で、ポレジーネ･パルメンセのリストランテ、カヴァッリーノ･ビアンコのオーナー、スピガローリ氏の場合は、彼が飼育している豚から作るクラテッロは、年間80個足らず。あとは信頼できる農家から集められる数が200個ほどだと言う。リストランテ･コロンボのカゼッリアルド氏の場合は、かろうじて1000個を集める｡ジベッロのリストランテ･ブーカのカンティーナには300個のクラテッロがあり、２か月ごとにていねてに布でふいて、馬の骨で作った針を刺して味をチェックしている｡管理組合の他の５人の会員の分は、合計で5000個に満たない。クラテッロという名前がついていて洋梨形をしていても、管理組合のものでないクラテッロは、年間15万個も市場に流通している｡これらの大量生産のクラテッロは、豚の飼料に規定はなく、熟成期間も半分程度しかかけていない。最近では、伝統的なクラテッロの生産者や支持者が産地間のライバル意識を捨てて団結し、県や州に製品の保護を訴えている｡手作りでサラミを作る場合、カンティーナの壁を天井までタイル張りにする、という法律があるのだが、もしこれを守ったら、湿気によってクラテッロが台無しになってしまうのは明白だ。暗い部屋で静かに熟成させながら、世界中のグルメの賞賛を浴びる時を待っているクラテッロは、何世代にも渡る経験の蓄積によって作り上げられている｡この伝統は、守らなくてはならない。もし法律に従ってすべて平均化してしまえば、大量生産品と変わらなくなってしまうだろう。何年か後、私たちの子供がクラテッロを食べた時に、昔の人はずいぶん大げさに言っていたものだ、などと言うことにならないように願いたいものだ。★★★･･･

  Aug 12, 2005

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  生ハム（プロシュット）の食べ方

  今日は、生ハムの食べ方についてです。 生ハムの原木がオンラインショッピングで手にはいる時代だから、商売でなくても、生ハムを丸ごと買う人もいるかもしれないですね。生ハムを丸ごと１本買おうと思ったら、保存する場所と切る道具も必要なので、そちらの用意もお忘れなく。ちなみに、生ハムを保存する温度は、４～７度です。スライスしたものなら、冷蔵庫の野菜室に入れればいいですね。骨付きのものは、15～18度だとさらに熟成が進んでいきます。カットしだしたら、保存期間は１か月です。ハムの骨と違って、生ハムの骨は料理には使えませんが、皮の下の脂身は、刻んで、パスタ･エ･ファジョーリ（写真）などの料理に入れます。スライスした生ハムの真空パックを買う時は、色は赤～バラ色で艶があり、白い脂身が適度にあるものを選びます。ブロックを真空パックにして冷凍すると、保存期間は長くなります。　生ハムの味を左右するのは豚の飼育方法なんだそうですが、DOPやIGPの製品なら、原料となる豚についても法律で細かく定められているので、味は確かです。お店でスライスしてもらう時は、一度で食べきる量だけを買うのが一番。生ハムの香りは「カンティーナの香り」と呼ばれ、これも味わうポイントです。食べる10分前には、冷蔵庫やパックから出しておきます。歯ごたえは、柔らかいだけでなく、締まっていることも大切。生ハムは、スライスサーや細長いナイフで、薄～くスライスします。その厚さは、いつも議論のまとになるそうです。甘口の生ハムの産地では紙のように薄くスライスするそうですが、塩気のきいた生ハムの産地では、もう少し厚めが好まれるようです。カットの方法は、こちらのページの下の方にあるイラストで説明します。骨付き生ハムをスライスする順序は、まず、生ハムを横にして、細い面を上にしてスライスしていきます。(Figura 1)骨まできたら慎重に骨を取り除き、今度は広い面を上にしてスライスします。骨なしの場合は、（Figura 2）のイラストを見てください。まず、FIOCCOの部分からスライスし、次にPUNTAをスライスします。半分にカットしてある場合は、PUNTAの面からスライスします。(Figura 3)生ハムは、スライスしたものをグリッシーニやパンと一緒に食べるのが、一番おいしい食べ方だそうです。相性のよい果物は、いちじく、メロン、キウイー、パイナップル、スイカ、ぶどうなど。ピクルスは合いません。半分に切ったメロンを小さな球形にくりぬいて皮に入れ、マルサラ･セッコやシェリー酒などをかける食べ方があります。有名な食べ方なんですが、これに細く切った生ハムを加えたレシピもありました。バターで炒めたアスパラガスとも合います。パルマなど、エミリア･ロマーニャ地方のレストランで、生ハムやサラミの盛り合わせ（イタリア語では“アッフェッターティ･ミスティ”）を注文すると、トルタ･フリッタ、またはニョッコ･フリット、クレッシェンティーナなどと呼ばれる一口大の揚げパンが一緒に出てきます。（写真）この地方では、これが欠かせないんですよね。イタリアのレストランでは、スモークサーモンには必ずバターと耳を取った食パンを添えるのですが、それと同じ感覚です。ちなみに、イタリアのレストランでは、パンにバターは添えないものと思い込んでいた私は、バターが出てきた時に、かなり違和感を感じたものです。でも、スモークサーモンの時だけは、パンにバターを添えるんですねー。ついでですが、イタリアでは、高級スモークサーモンと言えば、スコティッシュ･サーモンです。日本ではあまり見かけないですが、たまに売ってます。すごくおいしいですよ～。話はトルタ･フリッタに戻ります。専門家は、生ハムにはシンプルなパンが最適で、トルタ･フリッタは合わない、と言うのですが、私は素直に一緒に食べることにしてます。でも、トルタ･フリッタの油で、口直しが絶対に必要になります。そんな時、微発泡性のセッコのランブルスコは、油をすっきり流してくれるんですよねー。なるほど、伝統の生んだ組み合わせだー。ということで、次は生ハムとワインについてで～す。

  Aug 9, 2005

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  イタリアの生ハムはこんなにいろいろ

  今日こそは、横道にそれないで、イタリアの生ハムについて書きます。生ハムは、イタリアが世界に誇る食材の１つで、イタリア産のハムやサラミの中では、「最も高貴」なものとみなされています。有名なのは、パルマ産とサン･ダニエーレ産ですよね。サン･ダニエーレはフリウリにあります。この他に、ノルチャ（ウンブリア）やトスカーナ産も有名です。生ハムは、イタリアのハムやサラミの中ではもっとも脂肪分が少なく、不飽和脂肪酸の割合も多いそうです。生ハムは、きのうも書いた通り、豚のももが原料です。まず、肉を冷蔵庫で最低１日空気にさらしてから、余分な皮や脂肪を切り取って形を整えます。この時の形は、産地によって違います。次に肉に塩を数回に渡ってもみこんで、数日寝かせます。塩を洗い落としたら15度以下で乾かし、熟成させます。熟成は、風通しのよい場所で、14～15度に保って、約８～16か月かけて行います。この間は、肉がむきだしの部分を豚の脂、塩、こしょうなどを混ぜたパテで覆って、水分の蒸発具合を調節します。生ハムのおいしさは、熟成によって凝縮されたこくのある風味、柔らかさ、フレッシュさ、塩気と甘さの共存などにありますが、産地の気温や湿度、風などによって、さまざまな味になるわけですね。パルマの生ハムは、主に、ポー河の支流のパルマ川の周囲で作られています。色はバラ色と赤色の中間、香りはデリケート、味は甘口で独特の香ばしさがあります。熟成は、一般的なものは10～12か月。14か月以上熟成させたものは、“リゼルバ”と呼ぶことができます。管理組合のHPはこちら。日本語のページもあります。日本語のサイトでは、パルマの生ハムのことを、英語を直訳して「パルマハム」と書いてありますねー。なんだか普通のハムみたいですねー。英語では、ハムに「生」という言葉はつけないということ、初めて知りました。生ハムのことは、「cured ham」と言うんですね～。でも、やっぱり「生」の方がしっくりするなあ。サン･ダニエーレの生ハムは、ウーディネ郊外のサン･ダニエーレの丘で作られています。ここは、イタリア北部の涼しい空気と南の暖かい空気が、近くを流れるタリアメント川によって混ざり合う独特の位置にあります。サン･ダニエーレの生ハムは、足が先端までついていて、さらに軽く型押しするので、ギターのような独特の形をしています。この写真の左から２つめが、サン･ダニエーレの生ハム。その右がパルマの生ハムです。全体像はこの写真の方が分かりやすいです。肉の色はピンク色を帯びた赤。香りは強く、味は甘くてデリケート。独特のはっきりした後味があります。熟成は、最低12か月。管理組合のHPはこちら。残念ながら日本語のページはありません。こちらは英語では「サンダニエーレハム」ですねー。味も素っ気もないですねー。ノルチャの生ハム（写真）は、もっとも歴史の古い生ハムの１つ。皮を薄くしてアロマが肉にしみ込みやすいようにしてあります。塩漬けする時は、バルサミコ酢も加えます。肉は鮮やかな赤い色。味は豊かで、心地よい塩気があります。トスカーナの生ハム（写真)は、丸みがあるアーチ形で、色はルビーレッド。香ばしい個性的な香りで、味は適度に締まっています。ヴェネトのベリコ･エウガネオの生ハム（写真）は、昔は王侯貴族だけが口にすることができる高級品だったそうです。軽く型押ししてあって、色はバラ色。味はフレッシュで、塩気と甘味のバランスが完璧だそうです。食べてみたいー。足つきのものもあります。この他に、モデナ産（写真）、カルペーニャ（マルケ）産（写真）、ヨーロッパで最も標高の高い場所で作られているヴァッレ･ダオスタのジャンボン･ド･ボス（写真）などが、代表的な生ハムです。いやー、イタリアの生ハムって、すごく種類が多いですねー。DOPとIGPのものだけでもこれだけあって、それ以外のものはもっとたくさんあって、さらに、サウリスの生ハムとか、クラテッロとか、スペックとかもありますからねー。どれも食べてみたいけど、その前に、生ハムの食べ方とか、生ハムに合うワインのことも、知っておきたい、っていう訳で、これ、明日のお題にしよっと。

  Aug 7, 2005

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  イタリアのハムと生ハム

  きのうの流れから、今日のお題は、生ハムです。イタリア語では、豚のもも肉は、生の場合はコッシャ･ディ･マイアーレと言います。それが塩漬けになると、プロッシュット prosciuttoになります。（･･･日本語では「プロシュット」という表記が一般的なので、ここでもそう書くことにします）塩漬けにした後で加熱したら、プロシュット･コット。いわゆるももハムです。ただし、加熱してスモークしたハムは、プロシュット･コット･アッフミカートと言います。代表的なのが、プロシュット･ディ･プラガ。（写真）日本のももハムも、このタイプですね。そして、加熱しないプロシュット、生ハムは、プロシュット･クルードです 。日本では一般的なロースハムですが、これはイタリアにはあるんでしょうか。もも以外を使ったハムでは、肩肉を使ったプロシュット･コット･ディ･スパッラというのがあります。でも、ロースのハムというのは、少なくとも料理書には出てきたことないなあ。ロースを使ったものでは、ロンツィーノというのがあるんですが、３～４か月熟成させるので、普通のハムとはちょっと違うようです。（写真）ロースハムがない、というのは、日本から見るとちょっと信じられないですが、生ハムロースというのも、イタリアから見れば、信じられないかもしれないですね。イタリアでプロシュット･クルードと呼ばれるものは、すべてもも肉が原料です。肩ロースを使ったものは、コッパという名前になります。ロースを使った生ハムもあるのかもしれませんが、見たことないなあ。日本では、ハムも生ハムも、ロースが主流のようですが、いったい、もも肉はどこに行ってしまうんでしょうか？そもそも、ロースハムや生ハムロースというのは、日本以外の国では、メジャーなんでしょうか。謎だー。生ハムロースは、ドイツ風の生ハム、という説明を見ました。軽くスモークしてあるようですね。イタリアにも、スモークする生ハムはあります。サウリスの生ハム（写真）や、スペック(写真）がそうです。スペックは、正確には生ハムではなくて、生ハムの仲間ですね。スペックにはとても上品な香ばしさがあって、私は最近では生ハムより気に入ってます。でも、やっぱりこれもももを使います。もも肉でも、牛や馬の肉を使った生ハムは、ブレザーオラと言います。赤くて硬いので、豚の生ハムとはかなり違います。ハムの説明だけで長くなっちゃいましたね～。肝心の生ハムの話は、次回ですね。

  Aug 6, 2005

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  ディチェコと生ハム

  行きつけのスーパーで、「生ハムとトマトの冷製スパゲッティ」、by日清フーズ(株)、のレシピカードを見つけました。生ハムの細切り、玉ねぎのみじん切り、粗く刻んだホールトマトを、オリーブオイル、にんにくのみじん切り、レモン汁で調味してソースにして、その中に、冷ましたスパゲッティを入れて和え、塩、こしょう、ちぎったバジルで調味する、というレシピです。ここで新事実発見。デ･チェッコの販売元、日清フーズでは、商品名を「ディ･チェコ」としているんですねー。イタリア語では“DE CECCO”なんで、「デ･チェッコ」と発音するものだとばかり思ってたんですが、世界的には、「ディ･チェコ」なんですねー。知らなかったー。 でも、急に英語読みにはできないので（カフェ･ラッテをカフェ･ラテと言えないのと同じです＾＾）、多分この先も、私は「デ･チェッコ」で行きます。そうそう、エクササイズの「ピラティス」のことを「ティラピス」と言って笑われました。「ティラミス」とこんがらかってますねー。かっこつけて慣れない言葉を使うと、すぐにぼろが出ます。この冷製スパゲッティのレシピ、「ディ･チェコ」以外にも、つっこみたくなる所がありました。まず、缶詰のトマトを使うっちゅーのは、なぜ？トマトは夏が旬だから、今の時期なら生のトマトのほうがおいしいんじゃない？それに、オリーブオイルではなく、EVオリーブオイルのほうがいいですよねー。EVオリーブオイルなら、余計な塩や調味料を必要としないほど風味があるし。他の油とEVオリーブオイルの最大の違いは、風味と栄養価。みのもんたなら、もっと突っ込んでますね、絶対。おばちゃんののりであれこれ言ってみましたが、普通に作れば、このレシピ、おいしいんじゃないの～。あーっ、でも、１つ気がついたー。最大の問題点があるじゃないですかー。生ハムですよー。私、会社勤めしてた頃は、色んな仕事をやらされましたが、その中に、有楽町の百貨店で、３日に渡って生ハムの試食販売をする、というのがありました。イタリア直輸入の生ハムを、骨付きもものまま丸ごと１本売ってる所がありまして、その輸入を代行していた私が勤務する会社は、顧客サービスのために、試食販売のお手伝いを提案したんです。やり手の部長さんが、「女子社員に適当なのがおりますから、お任せください」、みたいなことを言ったんですよ～。その結果私は、３日に渡って、骨付き生ハムの前に立ってスライスし続けるという、今にして思えば、すごーく貴重な体験をさせていただきましたよ、部長さん！生ハムっちゅーもんは、数枚薄ーくスライスした時が一番おいしくなるようにできてるんですよねー。何本もの塊の中に数日いると、香りが強烈で、かなりトラウマになります。しかも勉強熱心（＾＾）な私は、売り物の味は常時チェックしなきゃ、って訳で、30分置きぐらいに味見をして、気がつけば、相当な量の生ハムを摂取していました。普段は白いご飯とかアジの塩焼きとか食べてる日本人にとって、生ハムの許容範囲は、１週間に数枚程度ですね。30分ごとに一口は、後で相当きました。本来はそんな強い風味のある生ハムなのに、最近、日本のスーパーで売られている生ハムは、よーく見ると、みんな「生ハム“ロース”」って書いてあるじゃないですか。なんですかー、これ！値段がお手頃なんで、気がつけばよく買ってるんですが、でも、このままでは、日本人にとっての生ハムは、お上品な味の生ハムロースってことになりそうな勢いですねー。そのうち、生まれてから一度も、もも肉の生ハムを食べたことがない、なんて世代も現れますよー、きっと。 長い物には巻かれる主義の私は、それはそれでいいのですが、一応、イタリアの生ハムのことも、知っておいてほしいなあ。だから、明日はイタリアの生ハムのことをお題にしますね。

  Aug 5, 2005

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  ヨーグルトの話

  最近、朝食にはもっぱらフルーツ味のヨーグルトを食べています。イタリアのホテルの朝食ビュッフェには、いろんな味のヨーグルトが登場しますよね。ヨーグルトは、イタリア語でもヨーグルト。英語でもヨーグルト。フランス語でもヨーグルト。ヨーグルトって、世界共通の呼び方なんでしょうか。ヨーロッパにヨーグルトが伝わったいきさつには、おもしろい話があります。その昔、フランスに、フランソワ一世という王様がいました。この人は、1515年にミラノと戦ってミラノを手に入れますが、1522年には、ドイツの神聖ローマ帝国に奪われてしまいました。その３年後にはパヴィアで戦いに敗れてスペインに囚われています。その時は子供を人質に出して解放されますが、その後も、戦いと、色恋沙汰と、陰謀と芸術にあふれた人生を送りました。この王様、王位に就いてからずっと、同盟や傭兵への資金繰りに明け暮れていたので、本人は気がついていなかったと思いますが、実は、料理の世界では２つのことで後世に名を残しています。フランソワ一世は、パヴィアで戦いに敗れた夜、ある農家に逃げ込みました。その家のおかみさんは、王様に少しは元気をつけてもらおうと、急いでスープを作りました。一切れのパンの上にブロードをかけて生卵をのせた、そしておそらくおろしたチーズをかけたシンプルなものでした。これが、イタリアでは有名な、ズッパ･パヴェーゼという料理の始まりだと言われています。ただし、例によって、証拠は一切ないそうです。ズッパ･パヴェーゼのレシピのサイトに、フランソワ一世の肖像画がありました。こちらです。これがズッパ･パヴェーゼ　　↓もう１つのエピソードは、16世紀に書かれたヨーロッパ世界の食物辞典の中に記されています。イタリア征服をあきらめたフランソワ一世は、40歳を過ぎて、今度は内政に取り組むようになりました。当時、彼は、腸の病気で苦しんでいました。この時代の王侯貴族は、肉を多く食べて野菜を嫌っていたので、腸の病気がとても多かったそうです。おりしも、コンスタンチノープルから、サルタンが腸の病気によく効く薬を見つけたらしい、という情報が届きます。ヨーロッパでは敵ばかり作っていたフランソワ一世ですが、サルタンとは友好関係にありました。その薬は山羊のミルクを原料とした酸味があるクリームで、作りたてでないと効き目がないらしいのです。フランソワ一世から依頼を受けて、サルタンは、医者と選りすぐりの山羊をフランスに送ることにしました。ただし、薬の製法は秘密、というのが条件です。トルコからの長旅の末に、山羊は生きてルーブルにたどりつきました。そして、そのミルクから作られた秘密の薬は、素晴らしい効き目を発揮しました。ところが王様は、病気が治ると、薬に対する興味をころっとなくしてしまいます。医者はトルコに帰り、山羊は死んでしまいました。こうして16世紀の貴重な出来事は、失われてしまいます。ただ、ヨーグルトという、トルコ語を語源とする言葉だけは残ったのでした･･･。その後、ヨーグルトがヨーロッパで注目されるようになったのは、19世紀末になってからでした。牛乳を発酵させたフレッシュクリームをたくさん食べるブルガリアの農民が、とても長生きだ、という事実に注目したロシアの科学者メチニコフが、長寿の食べ物として、ヨーグルトと、ヨーグルトという名前を広めたそうです。トルコからはるばるフランスまでミルクを出しに行った山羊がいたから、ヨーグルトにヨーグルトという名前がついたんですねー。ヨーグルト業界の人は、山羊に足を向けて眠れませんね＾＾やぎのヨーグルト(人間用の食品です) 300g

  Jul 31, 2005

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  イタリアの柑橘果実(２)　

  イタリアの柑橘果実、その２です。レモン→リモーネ limoneグリーンレモン→リモーネ･ヴェルデ limone verdeグリーンレモンは、黄色くなる前のレモンですよね。イタリアの料理書にも時々登場します。私は食べたことがないのですが、どんな味なのかなあ。ＥＵが認定した産地限定品は、イタリアではＩＧP（indicazione geografica protetta）と呼ばれます。レモンには、有名なＩＧＰ製品が２つあります。しかもまぎらわしいことに、すぐ近くで作られています。1つは、ソレント周辺で作られるリモーネ･ディ･ソレントＩＧＰ。ソレントは、カンパーニア州の半島の先端にある町で、目の前にはカプリ島が浮かんでいます。カプリ島のレモンも、この中に入ってますね。そしてもう1つは、アマルフィ周辺で作られているリモーネ･コスタ･ダマルフィＩＧＰ。アマルフィは、ソレントのある半島の付け根のほうにあります。ＩＧＰ製品かどうかは、マークを見れば分かるようになってます。こんなマークです→ソレント、アマルフィさーて、味はどう違うんでしょうねえ。ライム→ライム lime、またはリメッタ limettaキンカン→カンクアット kumquatキンカンは、イタリアの料理書では日本よりよく見かけます。キンカンやライムの発音は、英語風でいいのでしょうか。ご存知の方、教えてくださ～い。　　↑（その後、キンカンのイタリア語の発音は、クムクァットと教えていただきました。 grazie castagnaさん!）おまけで、ソレントのイ･クアットロ･パッシというレストランの、レモンを使ったレシピをいくつかどうぞ。リモンチェッロ Limoncello材料　無農薬のレモン･･1.2kg、95度のアルコール･･１リットル　水･･１リットル、砂糖･･500g(1) レモンを洗い、皮の黄色い部分を切り取ります。(2) ガラスの密閉容器にレモンの皮とアルコールを入れ、暗くて涼しい場所で３～４日寝かせます。(3 水に砂糖を入れて火にかけ、砂糖を溶かします。(4) ガラスの密閉容器に漉した(2)と(3)を入れ、15日間寝かせてからボトルに移します。表面に皮の油分が浮かぶことがありますが、問題ありません。時間がたつと色と風味が弱まるので、１年以内に飲みます。レモンのグラニータ Granita di limone材料　レモン汁･･500cc、砂糖･･350g　水･･１リットル(1) 鍋に水と砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら冷まします。レモン汁を加えてアイスクリームメーカーに入れます。(2) アイスクリームメーカーが無い場合は、製氷皿に８分目まで入れて冷凍庫で冷やし、固まり始めたら金属のへらかフォークでよ～く混ぜて再び冷やします。これを繰り返して雪のようになめらかにします。レモンのタリオリーニ Tagliolini al limone材料：６人分　パスタ　　小麦粉･･400g、卵･･５個　　EVオリーブオイル･･大さじ２、塩　ソース　　牛乳･･250cc、バター･･20g　　無農薬のレモンの皮のすりおろし･･１個分　　小麦粉･･20g、パルミジャーノ･･30g、塩(1) 小麦粉、卵、油、塩をこねてなめらかな生地にします。丸めて布で覆い、１時間休ませます。薄く伸ばしてタリオリーニに切ります。(2) バターを熱し、小麦粉と塩を入れてよく混ぜます。熱い牛乳で溶き、クリーム状に煮詰めます。(3) パスタをゆでて(2)に加えます。パルミジャーノとレモンの皮を加えてなじませます。イ･クアットロ･パッシ I Quattro Passi : via Marina del Cantone 15, Sorrento, tel-081.8081271

  Jul 28, 2005

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  料理のイタリア語～柑橘フルーツ(１)

  スポーツクラブでダイナミック･ストレッチというのをやりました。デュークなんとかさんみたいなウオーキングとか、お相撲さんの土俵入りみたいな開脚すり足(？)とか、動きながらするストレッチです。そのせいで、股関節のあたりが筋肉痛です。階段を下りる時に、気を抜くと、がに股になってます。でも、こう暑いと、気が抜けっぱなしです。きのうのレモンの話のついでで、今日は、オレンジとグレープフルーツの写真でも眺めてしゃきっとすることにします。ついでに、料理のイタリア語、柑橘フルーツ編その１ってことで･･･。 オレンジ→アランチャ aranciaブラッドオレンジ→サングイネッロ sanguinello、またはタロッコ taroccoマンダリンオレンジ→マンダリーノ mandarinoマンダリンオレンジは、みかんの一種ですよね。イタリアには、オレンジとマンダリンの中間の、マンダランチョ mandarancioというのもあります。別名クレメンティーナ clementina。（写真）イタリアではオレンジに次いで生産量が多い柑橘フルーツだそうです。グレープフルーツ→ポンペルモ pompelmoルビーグレープフルーツ→ポンペルモ･ローザ pompelmo rosaグレープフルーツとマンダランチョをかけ合わせたマポというのもあります。（写真）やたら酸っぱかったのを覚えています。柑橘フルーツは、道端で屋台を出してる果物屋さんにたくさん並んでいるので、観光客でも買いやすいですよね。たまには変わったものに挑戦してみるのもおもしろいですよん。シチリアに行ったらブラッドオレンド食べるぞー。

  Jul 27, 2005

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  イタリアのレモン

  先日のNHKの番組で、アマルフィのレモンを紹介していましたね。イタリアでレモンの木を見て以来、あんなのが庭にあったら素敵だなあと憧れています。でもレモンは、温暖で、湿度が低くて、気温の変化が少なくて、風にさらされない場所で育つ木なので、イタリアでも栽培できる地方は限られているそうです。主に、シチリア、サルデーニャ、そしてカンパーニアのソレントとアマルフィ地方で栽培されています。イタリアのレモンは、促成栽培なども行うので、年に３回開花時期があるそうです。３月から６月にかけて、６月から７月末、８月半ばから10月の３回。だから１年中どこかで実が熟しているわけです。ナポリからアマルフィにかけては、昔はぶどう栽培と絹の製造が主な産業でした。ところが、17世紀末にぶどうの樹に病気が蔓延し、絹の生産も、中国や日本の製品が出てきて、競争力を失ってしまいます。早急に新しい産業を起こす必要に迫られて、人々が取り組んだのが、柑橘果実の栽培でした。アマルフィ地方のレモンは、普通のレモンの倍くらいの大きさで、皮が厚いのが特徴です。　　↑左がアマルフィのレモン、右が普通のレモンアマルフィのレモンを輪切りにするとこうなります。　　↓この皮に香りのエッセンスを含む油がたんさん含まれていて、おいしいリモンチェッロの原料になります。レモンの皮に詰めたグラニータで有名なのは、ナポリの老舗カフェ、ガンブリヌス。この店には、レモンのクロスタータや、レモン風味のクリームが詰まったプロフィトロールもあります。レモン風味のドルチェと言えば、クリームたっぷりのデリツィエ。（写真）歴史の古いドルチェで、貴族の食事の最後には欠かせないデザートでした。レモンのリゾットが初めて作られたのは、ソレント郊外のカサルラーノという村だとか。イタリアには、これよりもっと大きなレモンがあります。チェードロと言って、巨大なものは１kgにもなるそうです。（写真）カラブリアのディアマンテ産のものが有名です。ディアマンテのことは、以前、唐辛子の話でとりあげたことがあります。（2005.2.8）チェードロは、英語ではシトロン。フランス語では、セドラかな。正確に言えば、レモンではなく、レモンの仲間です。分厚い皮をシロップ煮にしたものは、イタリアのドルチェの中には、かなりの確率で入っています。（写真）レモンピールは黄色ですが、チェードロは薄緑色。本格的なイタリアのドルチェを作りたい人は、イタリアに行ったら探してみてはいかがでしょうか。カフェ･ガンブリヌス Gambrinus : Piazza Trieste e TrentoHP→http://www.caffegambrinus.com/

  Jul 26, 2005

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  マイブームのバーモント飲料

  飲み過ぎた後、４日間アルコールを一滴も飲まないで、３日間毎晩スポーツクラブに通ったら、体質が変わったみたいです。今日、久々に缶チューハイを飲んだら、半分飲んだところで、もう飲みたくなくなりました。この調子だと、ワインが飲めるくらいに肝臓が復活するには、もう少し時間がかかりそうです。アルコールに代わって毎晩飲みだしたのは、りんご酢飲料です。これです→夏バテで食欲がない時は、酸っぱいものが欲しくなる！１リットル298円で売ってるのを見つけて、しかもノンカロリーだというので、買ってみました。これを運動をした後に飲んでみたら、うーん、おいし～い。疲れが軽くなって、すっきりしゃっきり。というわけで、現在のマイブームになっています。寒天は２日で飽きちゃったけど、これは、もう少し続きそう。りんご酢飲料で、しかも蜂蜜入りのものを、「バーモント」って呼ぶんですね。カレーだけじゃないんだ。 お酢と蜂蜜の組み合わせは、意外とたくさんありました。 　　 やっぱり、梅干は写真を見てるだけで酸っぱそ～。ちなみに最後のは、お犬さまがリラックスするためのサプリメントだそうで。今日は酸っぱいもの尽くしでした！

  Jul 15, 2005

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  イタリアの貝料理～スパゲッティ･アイ･フルッティ・ディ･マーレ

  何日かずっと貝の話をしてきましたが、締めくくりとして、今日のお題は、私の中では「イタリアで食べたい」貝料理ナンバー１の、スパゲッティ･アイ･フルッティ･ディ･マーレ、つまり、いろんな貝がいっぱい入った、貝好きにとってはとびきりゴージャスなスパゲッティです。「貝」のスパゲッティではなく、「フルッティ･ディ･マーレ」のスパゲッティという呼び方がぴったりなのが、この料理。１種類でもおいしい貝を何種類もたっぷり使って、貝のうまみをパスタにたっぷりからめた１品です。殻つきの貝は、一見すると食べるのが面倒そうだけど、実際は、パスタに貝のこくのある味がしっかりしみ込んでいるので、麺だけをフォークに巻きつけて食べても十分においしいんですよね。その後に、貝のマリナーラを食べる感覚で、貝もしっかり味わえます。つまり、１度でパスタと貝料理の２品が楽しめる料理です。食べ終わった後に、殻が取り皿に山盛りになっているのを見ると、大満足。私のこだわりとしては、海辺のテラス席で、青い海を見ながら、できれば昼間にいただきた～い。イタリアの料理関係のフォーラムのこちらのサイトでは、過程の写真つきで、作り方を紹介しています。この人は、アサリとファゾラーリ（小さなハマグリのような貝）を使ってますね。まず貝を熱して開け、殻から出して汁を漉します。「貝に砂が残っていると嫌なので、私は別々に開けます」、と書いてあります。次に、にんにく、イタリアンパセリ、赤唐辛子のみじん切りをEVオリーブオイルでしんなり炒め、貝、貝の汁、ワインを加えて煮ます。そこにゆでたスパゲッティを入れてなじませます。貝を殻から出すと、ゴージャスさはかなり減っちゃいますねえ。でも、おいしそうとか、おいしかったというコメントがいっぱい寄せられています。プーリア州のヴィエステという町のエノテーカ･リストランテ、パードレ･ピオのサイトには、なかなかおいしそうなスパゲッティ･アイ･フルッティ･ディ･マーレの写真があります。こちらです。こんなスパゲッティを、海辺でのんびり味わうのは、至福のひと時！この店の、タコのルチアーナ風というこちらの料理も、なかなかおいしそう～。さて、上の写真のスパゲッティの作り方は、次の通りです。スパゲッティ･アイ･フルッティ･ディ･マーレ Spaghetti ai frutti di mare４人分(1) EVオリーブオイル大さじ４に、にんにく１片、生の赤唐辛子の輪切り１本分（種は取ります）、オレガノ少々を入れてしんなり炒めます。(2) そこに砂抜きしたアサリ300g、ムール貝250g、ルマキーネ･ディ･マーレ（小型の巻貝）250g、殻から出したシャコ貝100gを入れて白ワイン1/3カップをかけ、蓋をして貝が開くまで熱します。(3 スパゲッティ300gを表示のゆで時間より２分短くゆで、貝の鍋に加えてじっくりなじませます。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らします。あー食べたい。イタリアに行くまで、もう少しの我慢だー。

  Jul 13, 2005

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  イタリアの貝料理～帆立貝

  今日は、プーリア州の町、ターラントのグルメ情報を訳してました。ターラントは、ムール貝の養殖が盛んな町なんですね。記事にも、おいしそうなムール貝の料理が次々に出てきました。そうだ、ナポリでアサリを食べて、ターラントでムール貝を食べる旅行なんて、どうよ～。シチリアの次の旅行の候補地に入れておこう。まだ読んでいる途中なので、ムール貝のおいしいレストランなどの情報が出てきたら、後日、まとめてみます。そうそう、今日、スーパーで売ってたアサリは、昨日の写真で見たように管をびよーんと伸ばしてましたが、２本の管が、先端の手前までくっついてました。養殖ものってことか･･･。アサリもムール貝も大好きですが、私が一番好きな貝は、帆立貝です。　　帆立貝は、イタリア語ではカペサンテ、またはコンキッリエ･ディ･サン･ジャコモ。サン･ジャコモとは、スペインの、サンティアゴ･デ･コンポステラという町の大聖堂に祭られている聖人、聖ヤコブのイタリア語読みです。この大聖堂は巡礼地として有名で、帆立貝の名前の由来にもなっているのは有名な話。サンティアゴ･デ･コンポステラには、中世には、ヨーロッパ中から巡礼が訪れました。そして彼らが必ず持っていたのが、帆立貝の殻です。帆立貝は、スペインの砂浜では、どこでもとれる貝でした。巡礼たちは、旅の途中で、帆立貝の殻を器の代わりにして、水を飲んだり、食べ物を食べたりしていたそうです。それがいつの間にか巡礼の象徴として定着し、帆立貝のことを聖ヤコブの貝、と呼ぶようになりました。ちなみに、聖ヤコブは、フランス語ではサンジャック、スペイン語ではサンティアゴだそうで。イタリアでは、サン･ジャコモより、カペサンテという名前の方が一般的です。カペサンテcapesanteは複数形で、単数形はカパサンタcapasanta。Capo del Santoという意味だそうですが、「聖人の頭」と訳していいのかなあ。カッペサンテcappesanteと呼ぶこともあります。まっ、とにかく、帆立貝は、イタリアでも年中出回っています。どちらかと言うと、冬が旬なのかな？帆立貝の名物料理が多いのは、ヴェネト州です。そこで、食べたいなあ、という思いを込めて、ヴェネトの帆立貝のレシピを２つ。帆立貝のマリナーラ Capesante alla marinara材料：４人分　殻つき帆立貝･･12個、イタリアンパセリのみじん切り･･大さじ１　にんにくのみじん切り･･１片分、白ワイン･･1/4カップ　EVオリーブオイル･･大さじ６、塩、黒こしょう(1) 帆立貝を殻から出します。殻のくぼんだ方を４枚取っておきます。(2) 油ににんにくを入れて熱し、帆立貝を入れて２分焼きます。塩をしてワインをかけ、アルコール分が飛んだらイタリアンパセリを散らします。(3 殻に帆立貝を盛り付けてこしょうをかけます。帆立貝のヴェネチア風 Capesante alla vaneziana材料：４人分　殻つき帆立貝･･12個、イタリアンパセリ･･40g　にんにく･･大１片、バター･･20g　EVオリーブオイル、パン粉、塩、黒こしょう(1) 帆立貝を殻から出します。きれいな殻を４枚取っておきます。(2) 鍋に油大さじ３とバターを熱し、イタリアンパセリとにんにくのみじん切りを入れて炒めます。(3 殻に帆立貝をのせて塩、こしょうをし、(2)をかけてパン粉少々を散らします。180度のオーブンに入れて表面に焼き色がつくまで焼きます。(3 殻が滑らないように皿にナプキンを敷き、その上に殻を盛り付けます。仕上げにレモン汁をかけてもOK。

  Jul 12, 2005

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  イタリアのアサリ＆スパゲッティ･アッレ･ヴォンゴレ

  今日はだいぶ食欲が戻ってきました。でも、まだ、肉のような重くて熱い食べ物のことは、考えられません。夏バテと二日酔いで食欲がない時、食べる気になるものといったら、冷奴ぐらいかなあ、なんて考えながらスーパーで買い物をしてたら、アサリが安くなってました。アサリのスパゲッティなら食べられるかな・・・。こんなのが食べたい→結局は、かんぴょう巻きとかっぱ巻きが、今日の晩ご飯でしたが、貝の話を続けるつもりだったので、今日のお題はアサリに決定。イタリア語でアサリと言えば、ヴォンゴレ。イタリアのアサリは、日本の物とは種類が若干違うようです。イタリアで一番おいしいアサリと言われているのは、ヴォンゴレ・ヴェラーチと呼ばれる種類のアサリです。メニューでこの名前を見つけて、ヴォンゴレとどう違うんだ？と思った人もいるのでは。ヴォンゴレ･ヴェラーチは、主にティレニア海（イタリアの左側の海）でとれるアサリです。日本名は「ヨーロッパアサリ」、学名はruditapes decussatus。この他に、ヴォンゴレ・コムーネと呼ばれるアサリもあります。こちらは流通量が多く、主にアドリア海（イタリアの右側）でとれます。イタリア在住の方なら、ヴォンゴレ・ヴェラーチという名前はよく耳にすると思います。私は、ヴェラーチとコムーネの違いがよく分からなくて、訳す時に、いつも悩んでました。それが今日、こちらのサイトで、イタリア料理人協会の人が、写真つきで、詳しく説明しているのを見つけました。このページ右側の、一番上の写真が、コムーネです。その下が、ヴェラーチ。さらにその下は、養殖ものです。写真は、これらの貝を海水に漬けた時の状態です。コムーネは、貝から特になにも出ていませんが、ヴェラーチと養殖ものからは、管がびよーんと伸びています。アサリにこんなに長い管があるなんて、知らなかったー。ヴェラーチの管は、根元から２本に分かれていますが、養殖ものは、先端までつながっています。違いを見つけるのはこの方法しかないようですが、味は、ヴェラーチと養殖ものでは、だんぜん、ヴェラーチの方がおいしいそうです。多分、日本のアサリも、専門家が見れば、いろいろ違いがあるんでしょうね。こちらのサイトの日本のアサリも、管がびよーんと出てますねー。ヴェンゴレと言えばナポリです。言われてみれば、ナポリは、ヴェラーチがとれるティレニア海側にあります。身がぷっくりする旬の時期は、５月から８月。６月は繁殖期のために禁漁。ただし、最近では収穫量が減り、ヴェラーチによく似た、フィリピン辺りからの輸入ものも多いそうです。まあでも、メニューにヴォンゴレ・ヴェラーチと書いてあったら、アサリの中では一番上質らしい、と思っておけば、いいですよね。さきほどのイタリア料理人協会のサイトには、ポジッリポ（ナポリの隣町）のスパゲッティ・アッレ・ヴォンゴのレシピが紹介されています。この、ポジッリポ風スパゲッティという名前は、ナポリとポジッリポの間のナポリ湾で取れたアサリで作った時しか使わない、こだわりの名前なんだそうですよー。ポジッリポ風スパゲッティ Spaghetti alla Posillipo材料：４人分　スパゲッティ（バリラの５番）･･400g、砂抜きしたヴォンゴレ・ヴェラーチ・・300g　にんにくのみじん切り・・１片分、EVオリーブオイル・・120g　枝つきのミニトマト・・300g、塩、イタリアンパセリのみじん切り(1)浅鍋に油200gとにんにくを入れて熱し、アサリ、水大さじ１、４つに切ったミニトマトを加えて蓋をします。(2) 貝が開いたらフォークでトマトを潰し、塩味をみます。(3 スパゲッティをアルデンテにゆでます。(4) ソースからアサリを取り出します。スパゲッティをソースで和え、イタリアンパセリ、アサリ、残りの油を加えます。一応、普通のアサリを使った一般的なレシピもどうぞ。スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレ Spaghetti alle vongole材料：４人分　スパゲッティ･･220g、砂抜きしたアサリ・・１kg　イタリアンパセリのみじん切り・・大さじ２、潰したにんにく・・２片　皮を湯むきしたトマト・・400g、EVオリーブオイル・・レードル1/2杯　塩、黒こしょう(1)鍋に油とにんにくを入れて熱し、にんにくに焼き色がついたら取り除きます。(2) これにトマトを入れて15分煮たら、イタリアンパセリ大さじ１とこしょうを加えます。(3) 浅鍋にアサリを入れて蓋をして熱し、貝が開いたら火を止めてアサリを殻から出します。(4) アサリの汁を漉してトマトソースに加え、１分煮ます。仕上げにアサリを加えます。(5) スパゲッティをアルデンテにゆで、ソースと残りのイタリアンパセリで和えてこしょうをかけます。もちろん、トマトを抜かせば、スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレ・イン・ビアンコ（日本語ならボンゴレ・ビアンコ）ですよね。ビアンコもおいしいそうだなあ。あれー、なんだか食欲が完全に戻ってきたみたいー。

  Jul 11, 2005

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  イタリアの貝

  ９月のシチリア旅行、ホテルもすべて予約して、あとは、誰かが飛行機をキャンセルするのを待つだけとなりました。面倒なことは終わったあ、と思ってたら、アリタリアの運賃が値上げになりましたー、との連絡。ふう～っ･･･。ホテルが決まったら、次は、レストラン探し。イタリアで食べたいのは、やっぱりシーフードです。海辺のレストランで、冷えたスプマンテと一緒に、まず、前菜は、貝の盛り合わせ。プリーモは、ウニやボッタルガのパスタ。セコンドは、スカンピのグリルとか、イセエビまるごと１尾のベッラヴィスタ。あ～、イメージトレーニングは、もうばっちり。きのうは、貝の話を少ししましたが、イタリアには、日本ではお目にかかることのできない貝もあります。こちらのサイトでは、イタリアの一般的な貝が、イラストつきで分かりやすく説明されています。左側は、上から、ムール貝（COZZE O MITILE）、牡蠣（OSTRICA）、ファゾラーリ（FASOLARO）、タルトゥーフィ･ディ･マーレ（TARTUFO DI MARE）、アサリ（VOLGOLA）。右側は、クオーリ（CUORE）、マテ貝（CANNOLICCHIO）、ルマキーネ（LUMACHINA O BOMBOLINO）、テッリーネ（TELLINA）、帆立貝（CAPASANTA）です。貝の卸業者のこちらのサイトには、ブッリ（bulli）、カネストレッリ（canestrelli）という貝もあります。写真をクリックすると拡大されます。この中でも、食べてみたいのは、タルトゥーフィ･ディ･マーレです。→地中海と大西洋東部でとれる二枚貝で、直径５～６cm。トリュフに似ているからこう呼ばれるんだろうなあと、勝手に想像しています。どんな味なのかなあ。シチリア料理に、ムール貝のマリナーラというシンプルな１品があります。私がイメージする貝料理の代表的なものが、これ。ムール貝のマリナーラ Cozze alla marinara材料：４人分　ムール貝･･約２kg、イタリアンパセリ･･30g　にんにく･･１片、赤唐辛子･･１本　EVオリーブオイル、塩(1)鍋に掃除したムール貝、イタリアンパセリ、にんにく、赤唐辛子のみじん切り、水1/2カップ弱、油大さじ４を入れて混ぜ、蓋をして火にかけます。(2) 時々揺すりながら熱し、貝が全部開いたら皿に盛りつけます。トーストしたパンを添えます。貝って、海辺で食べると、どうしてあんなにおいしいんでしょうねー。貝料理のレシピ、もう少し探してみようかな。

  Jul 8, 2005

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  メニューのイタリア語～魚の名前(２)

  今日は、イタリアのレストランのメニューに載ってる魚の名前辞典、その２です。イタリアのレストランで、メニューを渡されて、おーっとイタリア語だーって時、これを知っておけば大丈夫、という魚の名前を、昨日と今日に渡って、集めてみました。これだけ知ってれば、きっと、海辺のレストランで、おいしい料理にありつけます。魚の名前はアルファベット順。AからPの途中までは、きのうの日記を見てください。今日は後半です。pesce spada　ペッシェ･スパーダ　　↓カジキpolpo　ポルポ　↓タコricci di mare　リッチ･ディ･マーレ　↓ウニrombo　ロンボ　↓ヒラメsalmone　サルモーネ　↓サケsalmone affumicato　サルモーネ･アッフミカート　↓スモークサーモンsarde　サルデ　↓イワシscampi　スカンピ　　↓スカンピ（手長エビ）scorfano　スコルファノ　↓カサゴseppie　セッピエ　↓コウイカsgombro　スゴンブロ　↓サバsogliola　ソリオラ　　↓シタビラメtonno　トンノ　↓マグロvongole　ヴォンゴレ　↓アサリイタリアでおいしい物を食べたい、でもイタリアは初心者、という人にお薦めする魚料理は、エビと貝です。エビ類のイタリア語は、ガンベレッティ（芝エビ）、ガンベロ（エビ）、ガンベローニ（車エビ）、スカンピ（手長エビ）。ちょっと上級編で、カノッキエ（シャコ）なんか知ってると、おいしい前菜にありつくことができます。マッツァンコッレ（直訳すると皇帝エビ、つまり大型のエビ）というエビもありますよ。イタリアの貝は、奥が深いです。スパゲッティのヴォンゴレ･ロッソとヴォンゴレ･ビアンコは、入門編。これをクリアしたら、次は、コッツェ、つまりムール貝なんかどうでしょう。貝の盛り合わせとか、貝のミックスのスパゲッティを食べたい人は、フルッティ･ディ･マーレという言葉を覚えておくと便利です。貝の盛り合わせという意味です。「フルッティ」は果実、「マーレ」は海です。シーフードという意味で使われる場合もあります。ちなみに、森の果実、フルッティ･ディ･ボスコは、ミックスベリーという意味です。日本では食べることのできないイタリア独特の貝や魚もたくさんあります。その話は、また明日～。

  Jul 7, 2005

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  メニューのイタリア語～魚の名前

  数日前にフルーツのジェラートのことを書いた時、イタリア語のジェラートのメニューを写真つきで訳してみました。それがなかなか面白かったので、今度は魚の名前編を作ってみました。イタリアのレストランのメニューに載っている一般的な魚の中で、日本でも知られているものをピックアップしています。アルファベット順です。aragosta　アラゴスタ　　↓イセエビastice　アスティチェ　↓オマールbranzino, spigola　ブランジーノ､スピーゴラ　↓スズキcapesante　カペサンテ　↓帆立貝calamari　カラマーリ　↓ヤリイカcozze　コッツェ　↓ムール貝dentice　デンティチェ　↓マダイgallinella　ガッリネッラ　↓ホウボウgamberi　ガンベリ　　↓エビgamberoni　ガンベローニ　↓車エビmoscardini　モスカルディーニ　↓イイダコnasello　ナゼッロ　↓タラnero di seppia　ネロ･ディ･セッピア　　↓イカ墨orata　オラータ　↓クロダイostriche　オストリケ　↓牡蠣pescatrice　ペスカトリーチェ　↓アンコウ今日は"P"の途中まで。ホウボウは、ズッパ･ディ･ペッシェなどによく使われる魚です。アンコウは、イタリアでも比較的ポピュラーのようです。タイは、マダイとクロダイでは、名前が全然違います。イカも、ヤリイカとコウイカでは、名前がまったく違います。コウイカも登場する後半は、明日で～す。

  Jul 6, 2005

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  バジル（バジリコ）～保存とレシピ

  今日もバジル（バジリコ）の話。きのうのジェノベーゼペーストに続いて、今日は、まず、バジルの保存の仕方。冷凍：手でちぎったり、乳鉢ですり潰したバジルを製氷皿に入れて凍らせます。オイル漬け：●葉を湿らせた布でふき、密閉容器に入れて、EVオリーブオイルで覆います。１か月程度保存できます。●または、岩塩少々と一緒にすり潰してからオイル漬けにします。塩漬け：密閉容器にバジルの葉と岩塩を交互につめます。余分な空気が入らないようにします。最後は岩塩で覆い、油をかけて表面を薄く覆います。密閉したら涼しい場所で保存します。塩漬けバジルを料理に使う時は、まずバジルを加えて塩味をみて、必要なら塩を足すようにします。次に、ちょっとおもしろそうなレシピをどうぞ。バジル入りパン粉(1) 樹脂加工のフライパンを熱し、生パン粉１カップを入れて炒めます。これをキッチンペーパーなどに広げて冷まします。(2) バジルひと握り、塩少々、パン粉をミキサーにかけてバジル入りパン粉にします。(3) たとえば、スパゲッティをゆでて油をまぶし、バジル入りパン粉をかけて、いただきます。または、野菜のグラタンなどにも。(1) バジル入りの生パン粉を作るなら、耳を取った食パンとバジルをミキサーにかけます。(2) これは、たとえば、魚の切り身につけて、バターで揚げたりします。 バジル入り粉チーズ(1) バジルひと握り、塩少々、硬質チーズ（パルミジャーノやペコリーノ、ミックスでもいいですね）の小角切り200gをミキサーにかけます。(2) 普通の粉チーズの代わりに、パスタにかけます。または、オリーブオイルと一緒に、ゆでたじゃがいもなどの温野菜にかけます。バジリコのフリット(1) バジル１把をたっぷりの油で少量ずつさっと揚げます。葉から水分が出るので、油はねに気をつけて。(2) シンプルなトマトソースのパスタに加えたり、肉や野菜の付け合わせに。(1) または卵黄１個、ガス入りミネラルウオーター大さじ３、小麦粉大さじ１を混ぜて衣にし、バジルにつけて油で揚げます。(2) こちらは、食前酒に添えたり、フリット･ミストの１品に。バジルとスプマンテのソルベット(1) 水250ccに砂糖120gとレモンの皮の黄色い部分1/2個分を加えて10分煮ます。(2) バジル250gとスプマンテ大さじ３～４をミキサーにかけ、漉した(1)を加えて冷まします。(3) これにスプマンテ200ccとレモン汁１個分を加え、アイスクリームメーカーに入れてソルベットにします。半ばで、卵白１個を堅く泡立てて加えます。ドライトマト入りクリームチーズのバジル巻き(1) ドライトマト４個をぬるま湯に30分浸し、水気をふき取って小さく切ります。塩、タバスコ、にんにく１片分の薄切り、EVオリーブオイルをかけて調味し、にんにくの香りがついたらにんにくを取り除きます。(2) 好みのクリームチーズ（リコッタ、山羊のチーズなど）150gを練り、塩、こしょう、レモン汁、バジリコ数枚（ちぎります）、EVオリーブオイルで調味して(1)を加えます。(3) これを16個に丸め、バジルで巻いてシブレット（チャイブ）で縛ります。そういえば、今日は偶然、クリームチーズのバジル巻きに似たものを作りました。チーズではなく、アボカドを潰してクリーム状にして、バジルやレモン汁などその他の材料を加えて、ペンネのソースにしました。ドライトマトは入れなかったのですが、入れてもおいしそうだなあ。

  Jul 4, 2005

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  バジル（バジリコ）～ジェノバ風ペースト

  私のご近所には、ガーデニング大好きの友人がいます。今日は、彼女の家に寄ったついでに、バジル、イタリアンパセリ、タイムをもらってきました。どれもよく茂っていて、特にバジルは、育ち具合から見て、少々持て余し気味のよう。バジルって、ほんとよく育ちますよね。そこで、今日のお題は、夏の香草、バジル、イタリア語では、バジリコです。バジルは、地中海料理には欠かせない香草ですが、原産地はインドやアフリカ辺りだそうです。イタリア料理で、バジルを使った代表的なレシピは、なんと言っても、ジェノヴァ風ペースト。バジリコの代表的な産地、ジェノヴァの、ペースト専門のサイトから、情報をピックアップしてみました。バジルが芽を出すには、最低15度は必要で、育つのに最適の温度は、20度から25度だそうです。夏の陽射しの下でもよく育ちますが、柔らかくてデリケートな味のバジルにするなら、軽い日陰も必要です。バジルの香りが一番強くなるのは、花が咲く直前だそうです。　↑イタリアにはこんなバジリコもあります。小さな葉が丸くこんもり茂るタイプで、剪定をしなくても、直径50～70ｃｍの円形になるそうです。ペーストに最適なのは、葉がついて２か月以内の茎から採った、若いバジルです。料理には、葉だけを使います。バジルの香りはデリケートなので、包丁で切ってはいけないと言われます。包丁で切ると、金属の臭いが移ってしまうんだそうです。だから、手でちぎるか、乳鉢ですり潰すのが、最適です。バジルのペーストを作る時は、大理石の乳鉢と木製のすりこぎで、力を入れずにゆっくりとすり潰すのが、伝統的な作り方です。正統派の乳鉢はこちら。そしてこちらは、ペースト作りの風景。イタリアでは乳鉢はこのスタイルが一般的ですが、日本では、この手の大理石の乳鉢と木製のすりこぎは、あまり見かけないですね。ペーストの材料は、バジル、にんにく、松の実、岩塩、おろしたパルミジャーノ、おろしたペコリーノ、リグーリア産のEVオリーブオイル。配合はいろいろです。(1)バジル60g、にんにく１片、松の実大さじ２、岩塩１つまみ、パルミジャーノ40g、ペコリーノ20g、オリーブオイル大さじ10、とか、(2)バジル４把、にんにく３片、松の実30g、岩塩１つまみ、パルミジャーノ40g、ペコリーノ･サルド30g、オリーブオイル大さじ４、など、ちょっと探しただけでも、ばらばらです。ただし、オリーブオイルは、甘くてデリケートなリグーリア産が最適、というのは、どれも共通しています。乳鉢に加える順番も、レシピによってさまざまです。松の実、にんにく、岩塩をすり潰して、次にバジル、そしてチーズと油を少しずつ加える、というのが多いような気がします。でも、もっと手っ取り早く作るなら、イタリア人でも、ミキサーを使います。その場合は、ミキサーの熱でバジルが温まらないように、時々ミキサーを止めながら攪拌するのがポイントです。ただし、金属でカットすることになるので、乳鉢で作ったペーストとは、風味が全然違うそうですよ～。できあがったペーストは、ビンに詰めてオリーブオイルで覆えば、数日、保存することができます。こちらは、ペースト専門サイトの製品。配合は、上記の(2)のものです。ペーストは、パスタのソースにするのが一般的ですよね。たとえば、ゆでたスパゲッティをペーストとおろしたチーズで和えれば、スパゲッティ･アル･ペーストのできあがり。この他にも、ゆでた野菜にかけたり、焼いた肉や魚にかけたり、いろいろ使い道はあります。アネージ ペースト ジェノヴェーゼ 185gPESTO ALLA GENOVESEバジルペースト80gジェノベーゼ　ペースト　190g次回は、バジルの使い方をもっと紹介しますね～。

  Jul 3, 2005

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  乾燥ポルチーニ

  今日のお題は、昨日に続いて、リクエストをいただいた、乾燥ポルチーニです。ポルチーニは、イタリアで一番一般的なきのこです。イタリア語で"きのこ"は、「フンギ」。“乾燥きのこ”は、「フンギ･セッキ」と言います。そして、たいていの場合、「フンギ･セッキ」と言えば、乾燥ポルチーニのことを意味します。ポルチーニは、松茸と同じで、栽培ができないきのこだと言うのに、イタリアではすごい数が出回っています。と言うことは、イタリアの森には、あちこちにポルチーニがにょきにょき生えてるんでしょうねえ。以前、フリウリの森の中に住んでる友人のところで、きのこ採りについて行ったことがあります。普通、イタリアの森ではきのこの採取は許可制になっているので、勝手に採ることはできません。地元の人たちは、たいていこの許可を取っているので、気が向いた時に採りに行きます。私たちが行った森は、いろんなきのこが生えていて、食用と同じくらい、毒きのこもたくさんありました。素人が勝手に取るのは絶対無理ですね。収穫の中には、ポルチーニもちらほらありました。こちらは、ポルチーニが名物の、パルマ県のアルバレートという町の写真です。Boscoという写真をクリックしてみてください。私がきのこを採った森にそっくりです。比較的身近に採れるポルチーニですが、上等なものと、そうでないものの差も、大きいようです。乾燥ポルチーニにも、等級があります。extra（明るい色、スライスの形状が崩れていない特上品で、開ききっていないポルチーニを使っている）speciali（色がやや濃く、若干崩れた小片も含まれる）commerciali（茶色、崩れた小片も含まれる）briciole（崩れた小片）in polvere（粉）という分類です。たとえば、こちらのオンライン･ショッピングのサイトでは、“extra”の乾燥ポルチーニを売っています。←こちらはspecialiタイプ←これはcommercialiタイプ乾燥ポルチーニを戻す時は、水やぬるま湯に漬けます。シェリー酒で戻すと、一段とおいしくなる、という人もいます。戻し汁は、漉してから少量を料理に加えますが、イタリアのレシピを見ると、まったく加えないものも多いようです。乾燥ポルチーニを使った料理の代表格は、リゾットですよね。先ほどの森の写真があったアルバレートのサイトには、こんなレシピがありました。原文はこちら。ポルチーニのリゾット材料：４人分　米･･350g、乾燥ポルチーニ･･15g　バター･･50g、おろしたパルミジャーノ･･50g　玉ねぎの薄切り･･1/2個分、沸騰したブロード･･1.5リットル　白こしょう(1) 乾燥ポルチーニをぬるま湯に１時間漬けて戻します。(2) 鍋にバターを熱し、玉ねぎを入れて炒めます。米を加えてさらに炒めます。(3) レードル１杯の沸騰したブロードをかけ、かき混ぜながら煮ます。水気が減ったらブロードを少量ずつ足し、米がアルデンテになるまで時々かき混ぜながら煮ます。(4) 半ばで水気を絞ったポルチーニを加えます。(4) 仕上げにポルチーニの戻し汁、バター10g、パルミジャーノ、こしょうを加えて和えます。生のきのこ入りのリゾットは、イタリアでも、ポルチーニが手に入らなければ、マッシュルームなど、他のきのこで作ります。その場合は、乾燥ポルチーニを少量加えれば、一段とおいしくなります。リゾットに限らず、きのこ料理にポルチーニを加えると、独特の風味が加わります。簡単な肉料理なら、スカロッピーネのソースなんかどうでしょう。スカロッピーネとは、とんかつ用ぐらいの厚さの切り身のことです。原文は同じサイトのこちらのページ。スカロッピーネのポルチーニソース材料：４人分　子牛もも肉（豚ヒレ肉で代用できます）･･600g、乾燥ポルチーニ･･40g　バター、EVオリーブオイル、小麦粉　ブロード、玉ねぎ･･１個、塩(1) 乾燥ポルチーニを水に10分漬けて戻します。(2) 玉ねぎを油で炒め、ポルチーニとブロード少々を加えて30分煮ます。ミキサーにかけてクリーム状にします。(3) 肉を叩いて平らにし、小麦粉をつけてバターで焼きます。水気が足りない時はブロード少々をかけて中まで火を通します。(3) 肉に(1)のソースを塗ります。ヴィテルボ（ラツィオ州）の料理を紹介したサイトには、乾燥ポルチーニのクロスティーニというのがありました。前菜にいいですね。原文はこちら。ポルチーニのクロスティーニ材料：　パン･･８枚、乾燥ポルチーニ･･30g　にんにく･･４片、玉ねぎ･･1/2個　EVオリーブオイル･･小２、白ワイン･･１カップ　イタリアンパセリ、塩、こしょう(1) 乾燥ポルチーニをぬるま湯で戻し、にんにく、玉ねぎと一緒にみじん切りにして油で炒めます。(2) 塩、こしょうを加え、水気がなくなったらワインをかけてアルコール分を飛ばします。(2) パンを軽くトーストしてポルチーニをのせ、イタリアンパセリのみじん切りを散らします。乾燥ポルチーニは、ソースや煮込みなど、水分の多い料理に使うのが一般的ですが、変わったところでは、乾燥ポルチーニを練りこんだパスタなんていうのもあります。簡単な作り方は、小麦粉100gにつき、乾燥ポルチーニ15gを戻して刻み、小麦粉に加えます。または、戻し汁少々と一緒にミキサーにかけてから、小麦粉に加えます。そしてあとは普通にこねます。この他に、トマトソースに加えて、スパゲッティ･アッラ･ボスカイオーラにしたり、コロッケに入れてもおいしそう。

  Jun 25, 2005

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  ドライトマト

  ドライトマトと乾燥ポルチーニのレシピ、何かないですか～とリクエストいただいたので、ちょっと探してみました。今日は、まず、ドライトマトについて。ドライトマトは、主に、ペリーニという楕円形のトマトを縦に半分に切って塩を振り、天日で干したものです。干してからオイル漬けにしたものもあります。こちらは、シチリアのエオリエ諸島産のドライトマト。こちらはトマトを干している風景。ドライトマトを買う時は、赤い色の鮮やかなものがいいそうです。黒ずんだものは、干しすぎて硬くなっていることが多いんだそうで。オイル漬けでないドライトマトの賞味期間は、約６か月。使う時は、水かお湯、あるいはワインに漬けて戻します。オイル漬けの場合は、１年程度保存できます。シチリア産ドライトマト（袋入り）50gポモドーリセッキオイル漬け200gアルドイノドライトマトは、凝縮されたトマトの風味と酸味、そして塩気が特徴ですが、料理の主役というよりは、脇役ですよね。アンチョビー、ケッパー、オリーブなどと同じように、小さく切って料理に加えると、料理に地中海の香りとアクセントを加えることができます。オリーブオイルと一緒にミキサーにかければ、簡単なソースになります。肉、野菜、魚、卵、チーズと、なんにでも合いますね。今回は、オイル漬けでないドライトマトのレシピで、日本でも比較的簡単に作れそうなものを、いくつか集めてみました。オイル漬けを使う場合は、レシピで使われているオリーブオイルの量を減らします。トマトの産地として有名な、シチリアのパキーノにある農園のサイトに、こんなドライトマトのレシピがありました。原文はこちらから「ricette」をクリック。ドライトマトのソース材料：　ドライトマト･･200g、にんにく･･３～４片　バジリコ･･30枚、赤唐辛子、EVオリーブオイル(1) 全部の材料をミキサーにかけます。ビンに入れて冷蔵庫で保存します。(2) パスタをゆでたら、ドライトマトのソースをゆで汁少々で溶き、パスタを加えてなじませます。パンに塗ってもOK。次は、ドライトマトのレシピを集めたサイトから。原文はこちら。ドライトマトの前菜(1) 沸騰した湯に塩少々を入れて火を止め、ドライトマトを入れて５分漬けます。(2) ドライトマトにEVオリーブオイル、オレガノ、刻み唐辛子、イタリアンパセリのみじん切りを散らします。ドライトマト入りペーストのフジッリ(1) フジッリをアルデンテにゆでます。途中で小さく切ったドライトマトを加えて一緒にゆでます。(2) フジッリとドライトマトの水気をきり、バジリコのペースト、イタリアンパセリ、松の実、くるみ、塩、こしょう、EVオリーブオイルで和えます。地方料理以外のレシピもあります。ブロッコリーとドライトマトのクロストーニ材料：６人分　ゆでたブロッコリー･･350g　スカモルツァ（とろけるチーズで代用できます）･･200g　パン･ド･カンパーニュなどの田舎風パン･･６枚　ドライトマト･･１個、にんにく、赤唐辛子　EVオリーブオイル、塩(1) ゆでたブロッコリーを油、塩、にんにく、赤唐辛子で炒め、小さく切ったチーズと小角切りにしたドライトマトを加えます。(2) パンに油を塗ってトーストし、(1)をのせます。220度のオーブンでチーズが柔らかくなるまで焼きます。じゃがいも、ドライトマト、チーズのオーブン焼き材料：４人分　ドライトマト･･200g、じゃがいも･･300g　卵･･３個、生クリーム･･100cc　おろしたエメンタール･･50g、おろしたパルミジャーノ･･50g　白ワイン･･50cc、シブレット･･10本　タイム･･２枝、EVオリーブオイル･･大さじ３　塩、こしょう(1) ワインと水1/2カップを混ぜ、縦に半分に切ったドライトマトを入れて20分漬けます。絞って水気をふき取ります。(2) じゃがいもの皮をむき、薄い輪切りにして５分蒸します。(3) 耐熱皿に油を塗り、じゃがいもとドライトマトを交互に重ねていきます。間に２種類のチーズとタイムを散らします。(4) 卵、生クリーム、刻んだシブレット、塩、こしょうを混ぜてかけ、180度のオーブンで25～30分焼きます。仕上げにオリーブオイルオイルをかけます。アーモンドとドライトマトのコンキリエ(1) ドライトマト200g、おろしたパルミジャーノ50g、にんにく１片、皮むきアーモンド50g、EVオリーブオイル100ccをミキサーにかけます。(2) コンキリエなどのショートパスタ320gをアルデンテにゆでます。(3) (1)をパスタのゆで汁少々でのばし、水気をきったパスタにかけて和えます。★★poonetoさ～ん、ドライトマトって、ケッパーやオリーブを使うような時に、代わりに使ったりすることが多いみたいです。チーズ、ツナ、鶏肉、カジキなんかとも相性がよさそうですよ。戻すのが面倒だけど、なんにでも使えそうなので、オリジナルレシピができたら教えてくださ～い。私も、おみやげに買ってこよ～と思ってます。★★

  Jun 24, 2005

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  色つきパスタ

  ここ数日、パスタの形の話が続きました。イタリアのパスタの大きな特徴は、形のバリエーションが、半端じゃなくたくさんあることですよね～。でも、形だけじゃなくて、色も、文字通りいろいろあります。ここでクイズです。この色つきパスタの着色料は、何でしょう？ 左から、黒いタリアテッレ、緑のラザーニャ、淡い緑のトレネッテ、赤いラザーニャ、淡いピンクのファルファッレ、茶色いパッパルデッレ、黄色いガルガネッリです。黒いパスタの着色料は、そう、イカ墨です。小麦粉100gにつき、小さじ１のイカ墨を加えていますが、かなり濃い墨です。緑も定番。ほうれん草です。小麦粉200g、ほうれん草のピューレ（ゆでて絞り、ミキサーにかけて裏漉しします）20g、卵１個、塩少々の割合。淡い緑は、バジリコです。小麦粉100gにつき、バジリコのピューレ（１把とEVオリーブオイル大さじ１をミキサーにかけます）、卵１個、塩を加えます。赤は、ビーツ。小麦粉に裏漉ししたビーツを少量加えます。淡いピンクは、トマトピューレ。小麦粉100gに、トマトピューレ大さじ１、卵１個。茶色は、ビターココアです。小麦粉にビターココア大さじ１を加えています。黄色は、サフラン。小麦粉に粉サフラン少々を加えます。この他に、にんじん入り、チリパウダー入り、全粒粉入りなど、いろいろありますね。プレーンの生地と緑の生地の２色のタリアテッレを混ぜたパスタは、パリア･エ･フィエーノ。“わらと干し草”という意味のパスタで、黄色はわら、緑は干し草です。工夫次第で、いろんなパスタができます。これは４色パスタ。イカ墨、ほうれん草、サフラン、ビーツ入りの各生地を厚さ2.5cmに伸ばして幅２cmに切り、４枚並べてパスタマシンーンで伸ばします。ストライプだけじゃなくて、水玉とか、格子柄とか、ひょっとしたら、タータンチェックなんかもできるかも。イカスミのタリオリーニ1食出来立て！作りたて♪生ほうれん草タリアテレトマトのフェットチーネ1食アルチェネロ　オーガニックデュラムセモリナ・トリコロールフジッリ　250gアメリカ有機認定機関QAI認定材料使用ツリーパスタ 200g

  Jun 23, 2005

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  バールのコーヒー、あれこれ

  きのうはエスプレッソの話をしましたが、イタリアのバールでエスプレッソを注文する時、イタリア語がまったくできない頃は、「エスプレッソ･プリーズ」と言っていました。でも、少し慣れたら、イタリア人みたいに、「ウン･カッフェ･ペルファヴォーレ」と言ってみたくなりました。エスプレッソとカッフェ、どちらを注文しても、出てくるのはエスプレッソです。イタリアのサイトでおもしろいコラムを見つけました。原文はこちら。タイトルは、『コーヒーと新しいトレンド』です。コラム氏は、「イタリアのバールで注文する時、“ウン･カッフェ”（コーヒー１つ）と言えば、世界中でエスプレッソと呼ばれているものが出てくるのはイタリアの常識」、と、出だしは誇らしげです。ところが、“マッキアート”の話を始めると、急に、「最近のトレンドにはついていけないっすよ～」という口調に変わりました。“マッキアート”とは、エスプレッソにミルクをたらしたものです。ミルクをどばどば入れると、“カフェ･ラッテ”（カフェラテは英語ですよん）だけど、“マッキアート”とは、「しみをつける」という意味なので、ミルクをちょっとたらすだけです。ところが、最近では、“マッキアート･フレッド”や“マッキアート･カルド”と言って、牛乳が熱いか冷たいかを、リクエストするようになったそうです。さらに、“ラッテ･マッキアート”と呼んで、牛乳にコーヒーをたらす飲み物まであります。カプチーノ（イタリア語風に言うとカップッチーノ）も、カルド（ホット）、ティエピド（ぬるめ？）、フレッド（アイス）と、区別する店が出てきたそうです。暑い季節に飲みたくなるのが、アイスコーヒー。単純にイタリア語にすると、“カッフェ･フレッド”で、もちろん、バールでも、こう言えば、冷たいコーヒーが出てきます。でも、通に言わせれば、これは、あらかじめ作ってあるものなので、コーヒーと言うよりは、ドリンクの一種なんだそうです。じゃ、なんて注文すればいいかと言うと、カッフェ･シェケラートです。なんだか、ラッパーが「ちぇけらっちょ」って言ってるみたいで、口にするのはちょっと恥ずかしい名前ですね～。私はまだ注文したことがないので、次回のイタリア旅行でトライしてみようと思っています。これは、いれたてのエスプレッソ、氷、砂糖をシェイカーでシェイクして、細長いグラスに注いだ飲み物です。私は普通のエスプレッソぐらいしか注文したことがないのですが、エスプレッソにも、いろんな注文の仕方があります。例えば、カッフェ･ルンゴ。“ルンゴ”は、「長い」という意味です。粉の量は普通のエスプレッソと同じですが、エスプレッソ･マシーンを動かす時間が長いので、お湯が多いコーヒーになります。“長い”の反対の“短い”は、“コルト”。カッフェ･コルトは、普通のエスプレッソを入れる時間の3/4でマシーンを止めたものです。さらに、フィルターの中の粉を押し固めたものは、カッフェ･リストレットと呼びます。コルトより、リストレットのほうが一般的です。普通のエスプレッソじゃ物足りなくなった中毒状態の人向きかも。エスプレッソは量が少ない、と思ってる人は、“ダブル”という意味の、ドッピオを注文してみましょう。エスプレッソ２杯分が、大きなカップで出てきます。“アメリカン”がよければ、アメリカーノ。リストレットをお湯で薄めたものや、ドリップ方式のコーヒーがでてきます。生クリーム入りは、コン･パンナ。カプチーノ用カップに砂糖入りのコーヒーを入れて、ホイップクリームを絞り出します。ヴィエンネーゼは、ウイーン風。ホイップクリームとシナモン入りなのは日本と同じですが、さらに溶かした熱いチョコレートが入ってます。マロッキーノは、モロッコ風。ミニサイズのカプチーノで、ココアパウダーを散らします。アイリッシュは、アイリッシュウイスキー、ホイップクリーム、ブラウンシュガー入りで、ロンググラスに注ぎます。ブラジリアーノは、ココアパウダーとシナモンパウダーを散らしたもの。グラッパなどの蒸留酒入りは、コッレットと言います。こちらのサイトでは、これらのコーヒーをイラストで説明しています。この他に、トリノの“ビチェリン”という老舗の名物コーヒーで、ロンググラスにホットチョコレート、コーヒー、ホイップクリームを重ねたビチェリン、ヘーゼルナッツクリーム入りでホイップクリームで覆ったノッチョラート、コーヒーの粉に甘草の粉を加えていれたエスプレッソに、砂糖を加えて熱いコニャックをかけたカラブレーゼなどがあります。そう言えば、以前、スペイン人の有名シェフ、フェラン･アドリア氏の話を書きましたが、彼がラヴァッツァと提携して考え出したのが、食べるコーヒー、“エスペッソ”です。彼はサイフォンを使った料理を考案して一世を風靡している人で、彼の店では、コーヒーもムース状にして出しているそうです。ホイップクリーム用のサイフォンで作るこのコーヒーを、ラヴァッツァが、１年かけて商品化したのが、エスペッソです。材料は、エスプレッソ、砂糖、粉ゼラチン。こちらのラヴァッツァのHP（伊・英･仏･独･西語）から、画面右下に、カップを逆さまにした「ESPESSO」の写真が現れたら、写真をクリック。エスペッソのPVや、現在世界各地でエスペッソを出している店のリストを見ることができます。　　↑これがエスペッソ。わかりにくいのですが、スプーンの中央に小さな穴があいていて（なぜ？）、このスプーンで食べます。「濃厚、分厚い」という意味の“スペッソ”と、エスプレッソをかけたネーミングらしいです。次回の私のイタリア旅行では、少なくとも、シェケラートとこのエスペッソは、トライしてみたいなあと思ってます。エスプレッソの話をしたら、次は、カップの話をしたくなりました。続きはまたあした～。

  Jun 15, 2005

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  エスプレッソのいれ方、あれこれ

  世界で通じる日本語って、なんでしょう。「スシ」、「サムライ」、「カラオケ」あたりかなあ。最近じゃ「オタク」も通じるらしいですね。そう言えば、最近読んだ元祖サイバーパンク作家、ウイリアム･ギブソン（キアヌ･リーヴスのファンなら、北野武共演『ＪＭ』の原作者と言えば想像つくかな）の、『パターン･レコグニション』には、電車男なんて目じゃない東京のオタク男が登場したり、主人公の女性のお気に入りの飲み物が「ビックル」だったり、「バズリクソンズ」のフライトジャケット（日本のメーカーが造った米空軍ウエアの芸術的なレプリカ）が、重要なモチーフになってたりして、びっくりしました。じゃあ、世界に通じるイタリア語は、何だと思いますか。「スパゲッティ」、「ピッツァ」、それから？「グッチ」、「プラダ」、「ブルガリ」････････あっ、そうだ、「エスプレッソ」だ～！（わざとらしくてすいまっせーん）エスプレッソって言葉、イタリア語だとは感じないほど、自然と普段の生活になじんでませんか。エスプレッソを飲みたいと思ったら、パリでもニューヨークでもロンドンでも、「エスプレッソ」で通じますよね。中国やモスクワやトルコあたりでは、どうなのかは知りませんが･･･。（無責任ですいましぇ～ん）で、イタリアでも、「エスプレッソは国の財産だ」、ということに気付いたようで、1998年に「国立イタリア･エスプレッソ協会」というのを作りました。HPはこちら。英･仏･独･西語があります。ここでは、「正統派エスプレッソと呼べるのはこういうコーヒーだ」、という化学的な理論を研究して、発表しています。それによると、エスプレッソ･イタリアーノとは、挽きたてのコーヒーの粉6.5gに、90度のお湯25mlを９気圧で25秒間通したものだそうです。う～ん、分かったような、分からないような･･･。エスプレッソがどんなものかを理解するには、コーヒーはどうやっていれるか、ということを知っておく必要があります。コーヒーのいれ方には、「浸水」、と、「透水」、という２つの方法があります。お湯や水にコーヒーを浸す方法と、お湯をコーヒーに通す方法です。前者は、水出しコーヒーや、トルコ式のターキッシュコーヒーがそうですよね。後者には、重力によって湯を通すドリップ式や、ナポリ式、蒸気の圧力によって通すモカ式、機械によって水圧を起こすエスプレッソマシーンがあります。水出しコーヒーのポット。水にコーヒーを浸してじっくり待つ！　↓トルコ風コーヒーをいれる道具、イブリック。これに粉、砂糖、水を入れて煮ます。　↓いわゆる普通のコーヒーメーカーは、ドリップ式。　　↓ナポリ式というのは、こちら。エスプレッソ･メーカーの変形版。　　↓モカ式はこれ。オーソドックスなエスプレッソメーカー。　　↓エスプレッソ･マシーンは、見るからに機械。　　↓ナポリ式は、エスプレッソメーカーを逆さまにして、下になった部分にお湯とコーヒーを入れて火にかけ、沸騰したら、元の向きに戻してドリップさせるいれかたです。詳しい仕組みは、こちらのサイトを見てください。モカ式より時間はかかるのですが、なめらかで香りの高いコーヒーができます。モカ式は、下段に水を入れ、中間にコーヒーを入れて沸騰させ、蒸気の圧力によって湯が上段まで上る間にコーヒーを通る方法です。圧力が大きなものほど、お湯を通す時間が短くなります。モカ式は約１分、エスプレッソマシーンだと約30秒です。カフェインの量は、コーヒーを水に浸す時間に比例して多くなるので、ドリップ方式やモカ式より、エスプレッソ･マシーンの方が少なくなります。そこで話はエスプレッソ協会に戻ります。なんでエスプレッソがイタリアの誇る財産なのかと言うと、このいれ方の仕組みを確立したのがイタリア人だからなんです。現在、協会では、世界中で、協会が認めるおいしいエスプレッソを出している店に、この認定マークを提供しています。　　↓さて、次回は、イタリアのバールで出しているコーヒーの種類についてですよん。

  Jun 14, 2005

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  コーヒーの話

  コーヒーは、イタリア語では「カッフェ」と言います。英語の「カフィー」のように、“カ”にアクセントがあるのではなく、最後の「ェ」にアクセントがあります。だから、日本語で、「うるせえ」、という時のアクセントのように、「かっふぇえ」と言うと、イタリア人みたいに聞こえます。ほんとですよ。コーヒー豆の原産地はエチオピアだそうです。「カッフェ」の語源は、エチオピアの地名の“カッファ”、という説や、アラビア語で、植物がベースのワインなどの飲み物をさす、“カーワ”という言葉、という説などがあります。ヨーロッパにコーヒーが伝わったのは17世紀ですが、その時は、「アラブのワイン」と呼ばれたそうです。エチオピアのコーヒーって、いろいろあるんですねー。エチオピアデルカゴ　（深煎り）　500gパックエチオピア・シバモカ　500gエチオピア　アビシニア・モカ　 （2kg）FAIR TRADE エチオピア イルガチェッフェ G-2 2kgエチオピアG4・ブラックエレファントモカ　（2kg）ヴェネチアの商人が初めてアラブからコーヒーを輸入したのは、1615年でした。日本では、大阪夏の陣、つまり真田幸村が討ち死にした年です。猿飛佐助とか、忍者が大活躍してた時代ですねえ。（ん？）ヨーロッパにコーヒーが広まったのは、1683年にオスマントルコがウイーン包囲に失敗して敗走する際に、コーヒー豆の袋を大量に残していったからだという説があります。トルコからウイーンまで、大量のコーヒーを担いで戦争に行くっていうのは、ずいぶん優雅な時代ですねえ。ちなみに日本では、その頃、徳川綱吉が５代将軍になってます。日本もヨーロッパも、大河ドラマの時代だったんですね。トルココーヒー100gパックヨーロッパでは、アラブとのコーヒー貿易では、オランダがかなりの力を持っていました。一時はコーヒー貿易を独占し、焙煎も自分たちで行って、他国に技術がもれないようにしていたそうです。日本にコーヒーを伝えたのも、出島のオランダ人でした。最高の一杯を…。ダウエグバーツコーヒー。モカローヤル250g（オランダ）長崎出島珈琲物語　200g一方、イタリアのヴェネチアでは、コーヒーを飲む習慣が、すぐに広まりました、コーヒーを出す店は、“ボッテーガ･デル･カッフェ”と呼ばれていたのですが、やがてシンプルに、“カッフェ”と呼ばれるようになります。イタリア最古のカフェとして知られるヴェネチアのカフェ･フローリアンは、フロリアーノ･フランチェスコーニが、サン･マルコ広場で1720年に始めた店です。客の中には、カサノヴァやダヌンツィオなどがいました。私も何度が行きましたが、客を選ぶスノッブな雰囲気の店で、お値段もセレブ向きです。でも、客の大部分は、私を含めて、世界中の勇気あるおのぼりさんたちです。フローリアンのHPはこちら。ローマで一番古いカフェは、スペイン広場の正面にあるブランド通り、コンドッティ通りに1760年にできたカフェ･グレコです。こちらは、ロッシーニ、ワーグナー、ピカソ、ダリなどが常連でした。こちらは1947年のカフェ･グレコの常連たち。いろんな人がいるのですが、私が知っている名前は、オーソン･ウエールズのみでした。右から４人目じゃないかなあ。ちなみに、これはトリノの歴史資料館のサイトの１ページです。カフェ･グレコの写真の下には、往年の映画スターたちの写真がずらずらあります。コーヒーの歴史だけで、長くなってしまいました。次回は、イタリアのコーヒーのお話で～す。

  Jun 13, 2005

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  ケッパー

  イタリアを代表する食用の花と言えば、ズッキーニ。では、花よりもっと若い、つぼみを食べるのはなんでしょう。そう、ケッパーですねー。ケッパーは、フウチョウボク属という、なんだかよく分からない種類の植物です。地中海沿岸や北アフリカの沿岸部に自生していて、暑くて日当たりのよい乾いた土地や、砂利の多い土地、古壁のひび割れなどに生えるそうです。イタリアでは、シチリアや、その周辺の島で栽培されています。中でも、パンテッレリーア島のケッパーが有名で、地元では、島のケッパーは世界一だと宣言しています。シチリアで買ってくるつもりなので、ちょっと気合を入れて調べました。パンテッレリーアのケッパー生産者組合のサイトには、詳しい写真がたくさん載っています。こちらのHPから、「Il Cappero」→「Coltivazione e Maturazione」をクリックすると、ケッパーの栽培に適した場所の写真があります。こんな荒れた土地で育つんですね。ケッパーの花は、５月の末から９月半ば頃まで咲いています。ちょうど今頃、咲きはじめるんですね～。ケッパーは小粒のものほどおいしいと言われるので、つぼみがついたらすぐに収穫します。つぼみは５日ほどで花になってしまいます。花とつぼみの写真は、上記のHPから、「Il Cappero」→「Riconoscimenti」へ。収穫の様子は、HPから「Chi siamo」へ。収穫したつぼみは、苦くて生では食べられません。そこで、パンテッレリーアでは、ケッパーの重さの40％の粗い海塩をまぶして、毎日かき混ぜながら、10日ほど熟成させます。この間に、ケッパーから出た水分に塩が溶けて、塩水漬けの状態になり、一種の乳酸発酵が行われます。10日たったら一度水気をきり、今度は20％の海塩をまぶして、再び10日寝かせます。こうしてケッパーの塩漬けができあがります。パンテッレリーアの海塩で漬けたケッパーは、IGP製品（生産地限定品）なので、買う時はIGPのマークを確認してください、と書いてありました。製品の写真は、HPから「Prodotti」へ。工場で大量生産される製品は、酢漬けにします。パンテッレリーアのサイトでは、元々香りがよいケッパーを、香りの強い酢で漬けてしまったら台無しだ！と主張しています。酢漬けのものはそのまま料理に使えますが、塩漬けの場合は、塩を洗い流したり、塩気がきついものの場合は水に１時間ほど漬けて、塩抜きしてから使います。ケッパーの花は、薄ピンク色に紫色の長ーい雌しべと雄しべが映えて、とてもきれいですね～。つぼみのうちに収穫されずに、きれいに開花した花は、その後、実をつけます。これはケッパーベリーって言うんですね。これも酢漬けにしますよね。ケッパーを使った料理のレシピも、たくさん紹介されています。イタリア語ですが、HPから「Il Cappero」→「Ricettaro」へ。おもしろそうなものを訳してみます。ケッパーのブルスケッタ Bruschetta ai Capperi材料　スライスしたパン･･４枚、卵黄･･４個　おろした硬質チーズ･･大さじ４、サバのオイル漬け･･1/2缶　パンテッレリーアの塩漬けケッパー･･30g、種抜き黒オリーブ･･４粒・サバと塩抜きしたケッパーを細かく刻みます。・卵黄、刻んだサバとケッパー、チーズをよく混ぜてパンに塗り、粗く刻んだ黒オリーブをのせます。・220度のオーブンで８分焼きます。パンテッレリーア風ペーストのスパゲッティ Pesto alla pantesca Crudo材料　スパゲッティ･･400g　パンテッレリーアの塩漬けケッパー･･50g　種抜きグリーンオリーブ･･５粒、オリーブオイル漬けツナ･･100g・ケッパー、オリーブ、ツナを刻み、オリーブオイルを少しずつ加えてソース状にします。･スパゲッティをアルデンテにゆでてソースで和えます。スパゲッティ･アッラ･プッタネスカ Spaghetti alla Puttanesca材料　スパゲッティ･･400g、オリーブオイル･･1/2カップ　バター･･20g、種抜き黒オリーブ･･150g　塩漬けアンチョビー･･２尾、にんにく･･２片　パンテッレリーアの塩漬けケッパー･･30g　イタリアンパセリ、ホールトマト･･250g、塩、こしょう・オリーブを小さく切ります。ケッパーの塩を洗い落とします。アンチョビーの骨を取って刻みます。･バターと半分に切ったにんにくを熱し、アンチョビー、刻んだケッパー、オリーブを加えてなじませます。トマトを加えて塩味を調え、20分煮ます。･スパゲッティをアルデンテにゆでてソースで和え、イタリアンパセリのみじん切りを散らして黒こしょうをかけます。この他にも、カジキをオリーブオイルで焼いて、トマトソース、白ワイン、こしょう、ケッパーを加えて煮詰めたり、ゆでたじゃがいもの輪切りに散らしたりと、色んな使い方が載ってます。 シチリア海塩漬けシチリア産ケッパー100g ケッパーベリー

  Jun 7, 2005

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• ズッキーニのレシピ

  先日のお題のズッキーニの料理が、なんとなく物足りなかったので、もう少し集めてみました。ズッキーニを使った代表的な料理の１つが、イタリア風オムレツ、フリッタータです。ローマの観光情報サイトの、ローマ料理のページに載っているレシピを紹介します。原文はこちら。ズッキーニのフリッタータ Frittata di zucchine材料：６枚分　ズッキーニ･･２本、卵･･６個　グアンチャーレ（豚頬肉の塩漬け、パンチェッタやベーコンで代用できます）･･20g　トマトペースト、オリーブオイル・ズッキーニを薄い輪切りにし、グアンチャーレの小角切り、トマトペースト少々と一緒にオリーブオイルで炒めます。・卵、塩、こしょうを混ぜてズッキーニにかけ、焼き固めてフリッタータにします。・バリエーション；トマトペーストとグアンチャーレを加えずに、卵２個につき小麦粉大さじ１を加えて焼きます。ズッキーニって、苦味のないゴーヤみたい。ゴーヤチャンプルーに似ていなくもない料理もあります（正確にはスクランブルエッグですが）。プーリア料理のサイトで見つけました。原文はこちら。ズッキーニとチーズ入りスクランブルエッグ Zucchine cacio e uova材料　ズッキーニ･･１ｋｇ、玉ねぎ･･１個　おろしたペコリーノ･･100g、卵･･３個　バジリコ、塩、こしょう　オリーブオイル・玉ねぎのみじん切りをオリーブオイルでしんなり炒めます。小角切りにしたズッキーニ、水少々、塩、こしょうを加えて炒め煮にします。・卵、ペコリーノ、バジリコのみじん切りを混ぜます。これをズッキーニにかけてスクランブルエッグにします。ズッキーニはきゅうりにも似ています。そこで次は、きゅうりのようなクリームスープはどうでしょう。プリーモ･ピアットを集めたサイトのレシピです。このページには、クレーマだけでなく、パスタやリゾットなど、ズッキーニを使ったさまざまなプリーモ･ピアットのレシピが集められています。ズッキーニとポロねぎのクリームスープ Crema di zucchine e porri材料：４人分　ズッキーニ･･800g、ポロねぎ･･１本　ブロード･･湯１リットルに固形ブイヨン２個を溶く　バジリコ･･１房、　バター･･30g・ポロねぎを輪切りにしてバターでしんなり炒めます。房のままのバジリコと薄い輪切りにしたズッキーニを加えて数分炒め、沸騰したブロードをかけて蓋をして15分煮ます。・バジリコを取り除き、残りを全部ミキサーにかけてクリーム状にします。・クリームを再び火にかけてかき混ぜながら熱します。冷たいドリンクにすることもできます。ズッキーニ･ドリンク Drink di zucchine・ズッキーニ150gを蒸し、ヨーグルト、オリーブオイル、塩、タバスコ、角氷と一緒にミキサーにかけます。・仕上げにバジリコで飾ります。サンタ･マルゲリータという有名なワインメーカーのサイトには、ズッキーニのピューレを生地に加えた“パン”のレシピがあります。サンタ･マルゲリータのHPはこちら（伊･英語）。レシピの原文はこちら。ズッキーニのパーネ Pane alle zucchine材料：４人分　ズッキーニ･･700g、薄力粉･･40g　おろしたパルミジャーノ･･40g、牛乳･･400cc　卵･･4個、バター･･40g、塩・ズッキーニを蒸してミキサーにかけます。・小麦粉、牛乳、バターでベシャメルを作り、ズッキーニのピューレ、パルミジャーノ、卵黄を加えて塩味を調えます。卵白と塩少々を堅く泡立てて加えます。・これをパウンド型（バターを塗ります）に入れて湯煎にかけ、200℃のオーブンで固まるまで焼きます。・粗熱を取って型から出し、スライスします。・にんじん、ズッキーニ、グリーンピースなどを蒸して溶かしバターをかけ、イタリアンパセリのみじん切りを散らしてパンに添えます。最後に、ズッキーニと鶏肉のカレー風味という料理のレシピをどうぞ。シエナ近郊の、コッレ･ディ･ヴァル･デルサという町の情報サイトで見つけました。原文はこちら。写真もあります。鶏胸肉とズッキーニのカレー風味 Bocconcini di petto di pollo alle zucchine材料：４人分　鶏胸肉･･500g、カレー粉･･小さじ１　エシャロット･･１個、花ズッキーニ･･10本　野菜のブロード（香味野菜から取ったスープ）･･１カップ　EVオリーブオイル･･大さじ４、塩・胸肉を一口大に切り、カレー粉と微量の塩をまぶして15分休ませます。・花ズッキーニから花を取ります。雌しべを取って掃除し、細く切ります。ズッキーニは薄い輪切りにします。・フライパンにオリーブオイルとエシャロットの薄切りを入れて熱し、胸肉を入れて強火で５分炒めます。ブロード1/2カップをかけて５分煮ます。・残りのブロードをかけてズッキーニの花とズッキーニを加え、水気がなくなるまで炒めます。仕上げに塩味を調えます。ふう、今回も長くなってしまったあ。さすがに、これだけ書けば満足です。

  Jun 6, 2005

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  ズッキーニ

  ズッキーニの花の話をしたので、次のお題はズッキーニです。ズッキーニは夏が旬。おいしいズッキーニは、若くて、小型で、皮につやがあって、実が締まっているもの。育ち過ぎると種が大きくなって、苦味も出てきます。ズッキーニはカボチャの一種、というのは、あの姿からはあまり想像できませんが、 こんな丸いズッキーニもあります。これだと、ちょっとカボチャに近づきますね。ズッキーニにはいろんな品種があります。 これは白いズッキーニ。 そしてこれは白くて丸いズッキーニ。他に、こんなのやこんなのもあります。ズッキーニのレシピは無数にありますが、付け合わせにする時の一般的な調理方法は、トリフォラート、オーブン焼き、フリット、スカペーチェあたりでしょうか。トリフォラートというのは、きのこや一部の野菜を、イタリアンパセリ、にんにくと一緒にオリーブオイルで炒めることを言います。ピエモンテやロンバルデイア地方の方言では、トリュフのことをトリフォラと呼ぶらしいのですが、きのこや野菜をトリュフのように薄く切って炒めるところから、こう呼ばれるようになったのではないかと言われています。たとえば、ポルチーニのトリフォラートは、定番中の定番。椎茸やマッシュルームのトリフォラートもおいしいです。ズッキーニの場合は、厚めの輪切りにして、にんにくで香りをつけた油（赤唐辛子を加えることもあります）で強火で炒めて、仕上げに塩を振ってイタリアンパセリのみじん切りを散らします。オーブン焼きの場合は、輪切りでもいいんですが、私のイメージでは、縦に半分に切ったズッキーニです。半分に切ったら実をややくりぬきます。くりぬいた部分をみじん切りにして、パン粉、イタリアンパセリのみじん切り、塩、こしょうを加えて、ズッキーニに詰めます。そして油をかけてオーブンで焼きます。スカペーチェは、エスカベッシュのことです。つまり、揚げてからマリネする料理です。ズッキーニを輪切りにしたら塩を振って２時間置き、水分を出します。水気をふき取ってオリーブオイルで揚げ、ミントとビネガーをかけてマリネします。にんにくのみじん切りを加える場合もあります。こんなイメージです。ズッキーニの付け合わせは、イタリアのセルフサービスのレストランには必ずありますよね。貧乏旅行中に野菜が食べたくなって、ズッキーニのトリフォラートばかり食べていたこともありました。ゴージャスな料理もたくさんあるはずなのに、なぜか全然思いつきませ～ん。

  Jun 3, 2005

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  ズッキーニの花のレシピ

  きのうに続いてズッキーニの花の話、今日はレシピ集です。ズッキーニの花の料理が充実しているのは、ローマやリグーリア地方あたりです。ズッキーニの花に衣をつけて揚げる場合、衣は、小麦粉、卵、水を混ぜたシンプルなもの、イースト入り、ビール入り、卵白入り、ガス入りミネラルウオーター入りなど、無数にありますよね～。中にモッツァレッラとアンチョビーを詰めたローマのフリットは有名。詰め物なしのシンプルなフリットのレシピは、フィレンツェ郊外の「ビッタレッリ」という食料品店のサイト（HPはこちら）で見つけたものを紹介します。このお店、食料品店でバールでタバッキです。写真で見る限り、外見はかなりローカルな雰囲気なのに、HPはやけに充実してます。レシピの原文はこちら。写真もあります。トスカーナ風ズッキーニの花のフリット Fiori di zucca fritti in pastella材料：４人分　ズッキーニの花･･12～16個　小麦粉･･100g、卵･･１個　白ワイン、EVオリーブオイル　塩、こしょう、揚げ油・小麦粉、オリーブオイル大さじ２、卵黄１個、塩、こしょう、白ワイン1/2カップ、水適量を混ぜてなめらかな衣を作ります。 ・これを１時間休ませ、揚げる直前に、堅く泡立てた卵白を加えます。・掃除したズッキーニの花に衣をつけて油で揚げ、塩を振ります。・詰め物をする場合は、アンチョビーか、リコッタにパルミジャーノと卵黄を加えたものを詰めます。ローマ名物のチーズとアンチョビーを詰めたズッキーニの花は、こちら（レシピ集のサイト）やこちら（料理がテーマのフォーラム）で、作り方の写真つきで紹介されています。レシピは、ローマの観光情報サイトのこちらのページのものを紹介します。ローマ風ズッキーニの花のフリット、モッツァレッラとアンチョビー詰め Fiori di zucca fritti in pastella材料：６個分　ズッキーニの花･･８個　プロヴァトゥーラ（ローマのモッツァレッラタイプのチーズ、モッツァレッラより硬い）･･100g　ハム･･50g、アンチョビー･･50g　小麦粉、塩、オリーブオイル、生イースト・ズッキーニの花を掃除し、中に小さく切ったチーズ１片とハムかアンチョビー１片を詰めます。 ・小麦粉、水、塩、生イーストを混ぜて衣を作ります。・衣の中にズッキーニの花を入れて衣をまぶし、スプーンですくって熱した油で揚げます。おいしいズッキーニの産地、リグーリアでは、じゃがいもとパルミジャーノを詰めるのが伝統的です。レシピの原文は、イタリアの観光情報サイトのこちらのページから。このページには、トスカーナ風やローマ風のレシピも載ってます。ズッキーニの花のじゃがいものピューレ詰め、リグーリア風 Fiori di zucca ripieni alla Ligure材料：４個分　ズッキーニの花･･16個、じゃがいも･･３個　卵･･１個、卵黄･･１個　おろしたパルミジャーノ･･大さじ４、ミントのみじん切り･･大さじ２・じゃがいもを塩ゆでしてポテトマッシャーで潰し、卵、卵黄、パルミジャーノ、ミント、塩、こしょうを加えます。・これを掃除したズッキーニの花に詰め、天板(シートを敷きます)に並べます。オリーブオイルをかけ、180度のオーブンで10～15分焼いて熱いうちに食べます。、ズッキーニの花の料理、リコッタ詰めとか、パスタとか、まだまだいろいろあるのですが、とりとめなくなってきたので、このへんにしときます。そうそう、中に山羊のフレッシュチーズとかりっと炒めたベーコンを詰めて、ベシャメルをかけてオーブンで焼くのもおいしそう。　　↓

  Jun 2, 2005

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  ズッキーニの花

  今日から６月ですねー。イタリアでは、ズッキーニの花が旬を迎える季節だとか。そこで、今日のお題は、ズッキーニの花です。イタリア語では、ズッキーニの花は、「フィオーリ･ディ･ズッキーナ」というのが正しいのですが、なぜか、「フィオーリ･ディ･ズッカ」～カボチャの花、と呼ぶ習慣があります。ただ、時々、ほんとうにカボチャの花を使う料理もあるので、ちょっとやっかいです。ズッキーニはカボチャの一種なので、花もよく似ているのですが、カボチャの花はズッキーニよりやや大型です。面白いサイトを見つけました。平塚市博物館の、野菜の花あてクイズのページです。野菜の花の写真がいろいろ載っているのですが、その中に、カボチャの花もあります。多分、すぐに分かりますよ。こちらです。ズッキーニは地中海料理には欠かせない野菜ですが、カボチャの一種ということは、コロンブスが新大陸を発見するまでは、ヨーロッパには存在しなかった野菜なんですねー。カボチャの一種を品種改良して、イタリアで作られた野菜なんだそうです。日本では、スーパーにズッキーニの花が並ぶことはまずないと思いますが、ズッキーニを栽培している人は、大勢いるはずです。ということは、ズッキーニの花は、それほど珍しいものでもないはずですよね。ただ、食べ方があまり知られていないようで、もったいない話です。ズッキーニの花には、実がついている雌花と、茎がついている雄花があります。どちらも同じように食べることができます。左が雌花がついた花ズッキーニで、右が雄花。　　↓　　　料理に使う花は、丸みがあって、しわがなく、がくがやや開いているものを選びます。花を摘むのは、花が開いて、しゃっきり、ふんわりしている早朝が最適だそうです。料理する前に、花の中の雌しべや雄しべを取り除き、湿らせた布でふきます。ズッキーニの花の料理の定番は、フリットですよね。中に詰め物をしない場合は、１人あたり６個ぐらいが目安です。「ズッキーニの花は淡白でデリケートな味なので、１個や２個じゃ、食べた気がしない」と、ある本には書いてありました。一番簡単なフリットは、掃除したズッキーニの花に、小麦粉と溶き卵をつけて、マイルドな味のオリーブオイルで揚げます。これに塩を振って、すぐにいただきます。あー食べたい～！おいしそうなレシピはまだまだありますが、続きはまた明日です。

  Jun 1, 2005

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  ペコリーノ･フレスコ

  生の空豆とペコリーノの話を書いた時、生の空豆に合うペコリーノはどんなタイプか調べてみたのですが、人によって、いろんなペコリーノを組み合わせるようですね。ペコリーノは、種類がやたらといっぱいあるチーズで、私が持ってるイタリアのチーズの本には、20種類ものってました。有名どころは、ペコリーノ･ロマーノ、ペコリーノ･サルド、ペコリーノ･トスカーノあたり。ペコリーノには、フレスコ、セミスタジョナート、スタジョナートと、熟成具合が違うタイプが作られているのですが、フレスコタイプは、５月が食べごろなんだそうです。もう５月も終わりだけど、まあいいや。今日のお題は、ペコリーノ･フレスコです。でもその前に、まずはペコリーノ･ロマーノの話から。ペコリーノは羊のミルクから作るチーズですが、人類は牛より先に羊の飼育を始めたので、歴史上、最初に作られたチーズは、羊のチーズだと考えられているそうです。世界中に数あるチーズの中でも、最古の部類に入るのが、ペコリーノ･ロマーノです。ペコリーノというと、やたら塩辛いチーズというイメージがあるのですが、その歴史は、偉大なんですねー。ペコリーノ･ロマーノは、ミルクを固めたら、50～70日かけて塩漬けして、その後、最低５か月地下のカンティーナで寝かせます。若いものはテーブルチーズに最適で、８か月以上熟成させると、おろして使うことができます。でも、ペコリーノ･フレスコは、もっと若いチーズです。代表的なのは、ペコリーノ･トスカーノでしょうか。ペコリーノ･トスカーノは、塩漬けは最低８時間で、熟成は、ソフトタイプだと、最低20日間です。４か月以上熟成させると、セミハードタイプになります。それにしても、ペコリーノ･ロマーノの塩漬け期間はかなり長いんですねー。ちなみに、パルミジャーノ･レッジャーノの場合は、20～25日間です。トスカーナのペコリーノ･フレスコの中では、ペコリーノ･ディ･ピエンツァも有名です。ピエモンテでは、牛乳が主体で羊のミルクは30％の、デリケートなペコリーノ･フレスコが作られています。マルケのペコリーノ･フレスコは、型押ししないので、柔らかくてバター質。プーリアのものは、外側にたっぷり塩をまぶすので、若いものほど塩気が強いんだそうです。シチリアには、トゥーマとプリーモ･サーレという２種類のペコリーノ･フレスコがあります。固めたミルクを塩漬けも熟成もしないのがトゥーマで、塩漬けはして熟成はさせないのが、プリーモ･サーレです。ちなみに、セコンド･サーレは45～50日熟成させたもので、普通のペコリーノ･シチリアーノは、最低４か月、最高６か月熟成させます。ペコリーノ･フレスコは、空豆と一緒に食べてもいいし、いちじくを添えたり、蜂蜜をかけてもおいしいそうです。ワインは、あまりドライ過ぎないソフトなもの、例えば、アルカモ、ミュラー･トゥルガウ、ノヴェッロ、ドルチェットなどが合うそうです。こちらのサイトに、プリーモ･サーレやペコリーノ･フレスコの写真が載ってます。日本でも、いろんなタイプのペコリーノが手に入るんですね。 ペコリーノ　トスカーノ　フレスコ約300g（7．8円/g） ペコリーノ・ロマーノ　100g-P

  May 30, 2005

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  野菜の値段

  きのう空豆の話を書いたせいで空豆が食べたくなって、スーパーで買ってきました。でも、空豆って、高いですねー。さやむき空豆が約30粒入った150gのパックが、298円でした。そんな時に、昨日のぴっぴいさんのコメントで、イタリアでは、さや入り空豆が１kgで1.2ユーロ（約170円）、という事実が判明！さやをむいたら半分の重さになるとしても、500g170円ですよー。まあ、日本とイタリアの物価を単純に比較することはできないし、日本でももっと安く売られている所はあるとは思いますが（逆に、麻布あたりじゃもっと高いかも）、それにしても、日本の野菜は高すぎですよー。そういえば、先日、ズッキーニが安かったので買ったのですが、セールの値段で１本100円でした。普段は198円です。たった１本でですよー。直径は４cmぐらい、長さは20cmないです。これじゃあ私には高級品（悲しーい）。せめてきゅうり並に、３本198円ぐらいにならないもんでしょうかねー。アスパラガスも、５本で158円ぐらい。高いなー。カリフラワーなんか、１個298円で売ってたりすると、おっ、今日は安い！なんて思っちゃいます。私は普段、料理のウンチクを調べるのに追われて、料理をする時間がほとんどありません（と言うのがいつもの言い訳＾＾）。なので、さやむき空豆のように、少しでも手間のかからない食材を選びがちです。そんな私がすごーく重宝しているのが、冷凍食品です。最近の私のヒットは、明治乳業の『エビとペンネのグラタン』。実は、以前ペンネ･アラビアータのことを書いた直後に半額セールで見つけて、それ以来、マイブームです。このグラタンは、セールの値段で、２皿分が262円でした。１皿131円です。空豆30粒よりずーっと安いですよー。しかも、電子レンジでできるんです！明治乳業は、レンジでできる冷凍ピッツァも作ってます。このピッツァのサイトはこちら。レンジでピッツァなんて、普段料理しない人にしか分からない感覚かも。当然ながら、味はそれなりです。レンジで加熱するピッツァの製造技術、他のメーカーはまだ追いついていないようなので、株を買うなら、明治乳業はお薦めかもしれないですよ～（私は株はど素人ですが･･･）。

  May 29, 2005

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  イタリアの空豆

  きのうちょっと空豆のことを書いたんですが、空豆は、５月ぐらいまでが旬なんでしょうか。イタリアでは、まだ薄皮で覆われていない小粒の新空豆を、さやごと生で食べるそうですね。薄く切ったペコリーノと一緒に前菜として食べるのが、中部イタリアの伝統的な食べ方とか。まだ食べたことがないのですが、スーパーで空豆を見るたびに、この食べ方のことを思い出します。　　↑空豆はイタリア語ではファーヴェ。新空豆は、トスカーナではバッチェッリと呼ばれます。ここで空豆のウンチクをちょっと･･･。空豆は、とても歴史の古い豆で、ヨーロッパでは、もっとも古くから食べられている豆の１つと言われています。ちなみにヨーロッパの人たちともっとも関わりが古い豆は、レンズ豆だと考えられています。空豆は、紀元前2400年頃のエジプトの墓や、トロイやクレタの遺跡からも発見されています。空豆は、白い花で、黒い模様があります。これを見て、ピタゴラスは、ソラマメには死者の霊が宿っていると考えていたそうです。こちらのサイトで空豆の花の写真を見ることができます。なるほど、不思議な黒い模様なんですね。ローマ時代は、空豆は庶民の食べ物でした。主にピューレにしていたようです。空豆は、干して保存することもできたので、ヨーロッパ南部を中心に広まりました。ところが、16世紀に新大陸からいんげん豆が伝わると、空豆は、次第に影が薄くなってしまいます。薄皮をむかなくてはならないなど、手間がかかることも、いんげん豆に負けてしまった要因のようです。確かに下ごしらえは面倒だけど、食べればおいしいですよねー！それでは、レシピをいくつか紹介します。まずは、フィレンツェのレストラン、チブレオの料理。レシピの原文はこちら。空豆とペコリーノのインサラータ Insalata di fave e pecorino（６人分）・空豆２kgをさやから出して３分ゆでます。柔らかくなり過ぎないようにします。流水に取って冷まし、薄皮をむきます。・空豆、にんにく２片、オレガノのみじん切り大さじ２、イタリアンパセリのみじん切り大さじ２を混ぜます。・赤ワインビネガー小さじ２、白ワイン大さじ１、EVオリーブオイル大さじ２、塩、こしょうを混ぜてヴィネグレットを作り、サラダにかけます。・削ったペコリーノ100gを加えます。そして次は、ローマの空豆料理。原文はこちら。ちなみに、このサイトはローマの観光情報や写真が満載です。HP（伊語と英語）はこちら。空豆のグアンチャーレ煮 Fave al guanciale（４人分）・エシャロット（または玉ねぎ）１個の薄切りと、グアンチャーレ（豚の頬肉の塩漬け）100gの小角切りをEVオリーブオイルでしんなり炒めます。・さやから出して薄皮をむいた生の空豆500g、塩、白ワイン１カップを加えて15分煮ます。途中で水気が足りなくなったら湯少々を足します。バリラのHPにあったのは、空豆のファルファッレ。原文はこちら。空豆とベーコンのファルファッレ Farfalle con fave e pancetta affumicata（４人分）・ベーコン70gとにんにく１片をみじん切りにしてしんなり炒めます。・さやから出して薄皮をむいた空豆300g、塩、こしょう、ローリエ１枚を加えてブロード･ディ･カルネ１カップをかけ、空豆が柔らかくなるまで煮ます。・ファルファッレ350gをゆでて、バター大さじ１、空豆、フォンティーナ（チーズ）100gの小角切りで和えます。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りとタイムを散らします。インサラータもグアンチャーレ煮も、パスタに応用できますね。

  May 28, 2005

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• ペンネ･アラビアータ

  何日も前からペンネを食べたいと思っていて、ようやく今日、ペンネを買ってきました。でも、見れば見るほど、疑問が強くなってくるんです。いったい、穴あきパスタはどうやって作るんだあ！日清製粉のサイトで、「パスタができるまでを勉強しよう！」というのを見つけました。おー、これで疑問も解決だー。何々、「マカロニをつくる」？そうそう、これこれ。というわけで、こちらがそのページなんですが･･･。うーん、残念。ダイスを使って生地を押し出して成形するのは分かるけど、肝心の、「穴空き麺用ダイス」の仕組みが、ぜーんぜん分かんないじゃないですかー！その他の過程はよく説明されてるのに、残念！しょうがない、こうなったらイタリアのサイトを見てみよう。でも、はっきり言って、日本より親切丁寧な情報がイタリアで見つかるわけがないんです。私が見つけたのはこちらなんですが、説明してることは同じでした。日本で、マカロニ製造の仕事に携わっている人は、いったい何人ぐらいいるんでしょう。その人たちなら、この疑問の答えを確実に知ってるんですよねー。誰か教えてー！疑問の答えは見つからなかったけど、アラビアータのレシピでも訳してみることにしました。と言っても、唐辛子入りトマトソースという超簡単な料理なので、今さらレシピと言うほどのこともないですよね。一応、イタリアのデ･チェッコのサイトに載っていたレシピを紹介しま～す。デ･チェッコのHPはこちら。伊･英･仏･西･独語です。アラビアータのイタリア語のレシピは、トップから「Italiano」→「Mappa」→「Ricette:Paste asciutte corte」→「Ricette Tipiche」→「Penne lisce all'arrabbiata」で出てきます。なんと、筋なしペンネを使ってますねー。筋なしペンネは日本のスーパーじゃ売ってないですよねー。それと、ペンネ･アラビアータは、正確には、「ペンネ･アッラッラッビアータ」ですね。arrabbiataはrが２つなので、巻き舌ができない私には、まともに発音できませーん。さすがに、この呼び方でメニューに載せてる店はないだろうなあ。ペンネ･アッラッラッビターア Penne lisce all'arrabbiata材料：４人分　ペンネ（筋なし）･･350g　EVオリーブオイル･コッリーネ･テアティーネDOP（デ･チェッコの製品のようです＾＾）･･大さじ５　皮むきカットトマト･･500g、にんにく･･１片　玉ねぎ･･１個、グアンチャーレ（豚の頬肉の塩漬け）･･80g　赤唐辛子･･１片、おろしたペコリーノ･･大さじ３、塩(1)グアンチャーレを小角切りにして油大さじ１で炒める。グアンチャーレを取り出し、脂を取り除く。(2)残りの油を入れ、玉ねぎとにんにくのみじん切りを入れてしんなり炒める。(3)グアンチャーレ、トマト、塩を加え、弱めの火で20分煮る。(4)ペンネをアルデンテにゆでてソースで和え、おろしたペコリーノを散らす。我が家にはグアンチャーレとペコリーノがないので、ベーコンとパルミジャーノで作る予定です。

  May 14, 2005

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  穴あきロングパスタ～ブカティーニetc.

  ブカティーニについていただいたコメントで、みんなブカティーニには苦労してるんだ、ということがよ～く分かりました。日本人なら、初めてブカティーニを食べる時は、絶対、なんらかのハプニングが起きますよねー。まだブカティーニを食べたことのないそこのあなた！多分、この話はすぐに忘れちゃうでしょうが、初めてブカティーニを食べた時に、きっと、私が言っていることの意味が分かりますよー。ふふふ･･･。それにしても、これほどまでに食べにくい食べ物なのに、なぜイタリアでは、というか、中部と南イタリアでは、穴あきロングパスタが、ご当地パスタとして定着しているんでしょうか?そもそも、穴が開いた麺なんて、他の国には存在するんでしょうか??いったい、穴あきロングパスタは、機械でどうやって作ってるんでしょうか???うわーっ、凝り性の私には、はまったら抜け出せそうにない疑問が次から次に出てきました！この疑問が解決したら、トリビアの泉に投稿してみようかと、ちらっと考えたほどです。私が普段参考にしている本の１つ、『LA GRANDE CUCINA REGIONALE ITALIANA』 Fernanda Gosetti著（絶版です）によると、ブカティーニはローマで生まれた麺とされています。直径は約2.75mm。ちなみにスパゲッティは1.65mm。そして、新事実発見。ブカティーニは、場所によってはペルチャテッリーニとも呼ばれるそうです。これは、小さなペルチャテッリという意味です。つまり、ペルチャテッリはブカティーニより太い穴あきロングパスタなんですねー。直径は約4.6mmです。さらに、もっと太いパスタも見つけました。まず、メッザーニというパスタは、直径6.25mm。名前だけは聞いたことのあるツィーティは、直径8mm。そして極めつけは、ツィトーニ。直径9.25mmです！いったい、どうやって食べるんじゃー！ペルチャテッリは、ナポリで生まれた麺です。ナポリの方言では、「穴」、標準語では「ブーコ」のことを、「ペルトゥーゾ」と言うんだそうです。それで、「穴があいた」という意味で「ペルチャート」と呼ばれ、そのうちに「ペルチャテッリ」となりました。ツィーティというのは、ナポリの結婚披露宴で必ず出されていたことにちなんでつけられた名前です。ナポリでは、披露宴に穴あきロングパスタのオーブン焼きを出す習慣があって、このパスタのことを「新婦のパスタ」と呼んでいました。披露宴の料理の費用は新婦の親が持つ、という暗黙の了解があったからです。「新婦」のナポリ語は、「ツィテッラ」。ツィーティって、お嫁さん、ていう意味のパスタだったんですね。それにしても、ウエディングドレスを着て穴あきロングパスタを食べるなんて、信じられなーい！ナポリ人は、パスタの食べ方が相当上手なんですねー。ツィーティのような太い穴あき麺は、４つに折ってからゆでます。最初から短くしたタイプも売られていますが、手で折ると断面に凹凸ができて、機械でスパっと切ったものより、ソースのからみがよいそうです。《ヴォイエロ》ブガティーニV106　3mm【500g】真ん中に穴のあいたロングパスタディ・チェコブカティーニ　ピッコリ　500gベネデット・カウ゛ァリエーリ・ブカティーニパスタ #27 ペンネ ツィーティ リガーテ 500g

  May 12, 2005

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