『ポルターガイスト(1982)』~霊が騒ぐそのわけは・・・。
『ボルダーガイスト』か『ポルダーガイスト』かと思ってインターネットの検索にかけたのだけれども出てこなかった。正解は『ポルターガイスト』。“タ”は濁らなかったのだ。 アメリカの新興住宅地に住む幸福な一家を襲う怪奇現象。ひとりでに物が動き出すうちはまだよかった。ある夜、5歳の娘キャロル・アンがクローゼットの中に吸い込まれ、忽然と姿を消してしまった。 キャロル・アンの父スティーブ・フリーリングは不動産会社の勤勉なトップセールスマン。母親は若くて美しい。高校生の姉と小学生の弟、そしてキャロル・アン。裕福で何不自由なく過ごしていた一家が、何故騒霊(ポルターガイスト)に襲われるのか……。 フリーリング一家の暮らしぶりを見ていると、富める国アメリカの象徴と感じる。新しくて広い家、大きな車、家の中にはしゃれた家具。日本人は、こんなアメリカに憧れた。 子供達はベッドの中までスナック菓子を持ち込み、食べながら眠ってしまう。そして朝食をお互いに投げ合い、犬に食べさせてしまう。でも、親は叱らない。子供部屋には夥しいおもちゃが並んでいる。おそらくショッピングモールに行くたびに買い与えられているのだろう。 アメリカの裕福さ、繁栄とは、生活に必ずしも必要のない過剰な物を売ること買うこと。 ともあれスティーブは勝ち組なのだ。彼はこの新興住宅地の4割を自力で販売したという実績をもっている。彼自身は正攻法で仕事に取り組んだ結果、この王侯貴族のような生活を謳歌している。嫌味な様子のない善人だ。 しかし、じつはこの新興住宅地、ネイティブアメリカンの墓地の上に建っているのだったのだ。スティーブ自身はそのことを全く知らなかった。 先住民が大切にしてきた穏やかな暮らしが、後からやってきたアメリカン・ドリームによって吹き飛ばされちゃったわけだからね。ポルターガイストは、先住民の怨念パワーだったのだ。 この映画の監督はあの『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーだが、実質的につくったのは、スティーブン・スピルバーグだといわれている。スピルバーグは、エイミー・アービングと結婚したときに、日替わりで乗るように七色のフォルクスワーゲン(だったかな?)をプレゼントしたそうだ。裕福じゃねぇか。