入院中の事
手術の次の日の朝、ICUにパパと義父と義母が来てくれた。みんな泣いていました。私の頭を撫でながら、良く頑張ったね、痛かったねって傍にいなくてごめんねって言っていた。私は、頑張ったのも、痛かったのも、苦しかったのもかなちゃんだよって思ったけど、言葉を発する力もなく、ただ涙が出るだけでした。その後、先生からの説明でパパ達は別室に呼ばれたようでした。先生からの説明で、私が出血が止まらなくて、もう少し止血の様子がなければ子宮ごと摘出する所だった事、輸血をした事、早期剥離の事、午前中の健診の事、健診では元気だったのに数時間での急変の事等説明を受け、かなちゃんと対面したそうです。私はもしかしたらもう子宮がないのではないかと怖くて怖くて、術後しばらくは誰にも聞けずにいました。入院中に回診に来た先生が子宮を残す事が出来たって言ってくださった時はホッとしました。その事をパパに話したら、あれー?てっきり知っているもんだと思って言わなかったって・・私がどれ位心配していたか。。色んな説明をされても私はかなちゃんが亡くなった事を納得できるものはひとつもありませんでした。午前中あんなに元気だった姿が頭に焼き付いて離れない。何でどうしてこんな事に?何で私が?かなちゃんが?こんな思いをしなければいけないの?世の中で一番不幸で立ち直れないと思っていました。パパが仕事を急遽休み、病院に1週間寝泊りしてくれました。ICUから出てから入った病室は、りなちゃんを産んだ時に入った個室と偶然にも同じでりなちゃんもかなちゃんも同じお部屋に入れたと思ったらほんの少しホッとしました。病院では、かなちゃんを他の新生児と同じように扱っていただきました。洋服を着せていただき、帽子をかぶせてもらって、足型やへその緒も残していただけました。写真も数枚ですが、かなちゃんだけの写真、ママと一緒の写真、パパと一緒の写真を撮っていただきました。助産師さんも先生もしっかりしたキレイな赤ちゃんです。苦しい顔はしていないですよって言ってくださいました。全てが私の大切な宝物です。手術翌日かなちゃんに会う事が出来ました。かわいいかわいいかなちゃん。りなちゃんが産まれた時によく似ていました。私はまだ寝たきりで、動くことも出来ず、横に寝かせてもらい、頭を撫でて手をつないであげる事しかできませんでした。指もしっかり5本あり、ちっちゃい爪もありました。本当に寝ているだけじゃないのって位穏やかな顔をしていました。目を開けて、息をして、泣き声を聞かせて、とどんなに思った事でしょう。12月13日かなちゃんの火葬の日。私はまだまだ寝たきりでかなちゃんの火葬にすら行く事が出来なかった。小さな棺に入れるものも自分で選べずに、母や義母にお任せした。棺の中に入っているかなちゃんは起き上がることが出来なかった私には見ることが出来ませんでした。病院から火葬場に向かう時、沢山の助産師さんや看護婦さんが外に出て見送ってくれたと後になって母から聞かされました。りなちゃんはまだ小さいから火葬なんて衝撃的だろうから連れて行くかどうか母は迷ったらしいが、パパはちゃんとかなちゃんを覚えていて欲しい、大好きな弟だってずっと思っていて欲しいから連れて行くって言って連れて行きました。火葬場からパパとりなちゃんが私に電話をかけてきました。りなちゃんがかなちゃんお空に行っちゃって悲しいよ。お水いっぱいあげたんだ。パパもばあばも泣いてるよ。って言いました。ごめんねりなちゃん、大好きな弟と遊ぶ事をとっても楽しみにしていたのに、遊べなくなっちゃった。ごめんねりなちゃん。ごめんねかなちゃん。パパは色んな手続きやママの心配で大変なのに、不便な病院生活を何の文句も言わずママの傍に付いていたくれた。泣きたい時は泣いていいんだよって。でも、泣いて叫んでもかなちゃんが戻ってくるわけではない。時間は戻る事は出来ない。私はあまり泣けなかった。悲しすぎる時は泣けないんだって初めて分かった。パパの付き添いがなくなってから消灯後の病室で、眠れずに泣いていたら助産師さんが突然入ってきてビックリしていた。あんまり泣かなかったから・・心配してましたって。悲しすぎると涙が出ないんですよって答えて、その後私の話に付き合ってくれて、CDを持ってきてかけてくれたり、アロマを焚いてくれたり私が少しでもリラックス出来る様にしていただきました。術後はお腹の傷が痛いのか何なのかよく分からなかったけど、よく明け方苦しくなると座薬を入れてもらいました。殆ど寝れない食べれないの日々が続き、ようやく起き上がれるようになったのが術後5日位でした。でもまだ貧血が凄くて、少し上体を起こしてもフラフラしたり、お腹にはドレン(管)も入っていたり症状の凄さを思い知らされました。24時間の点滴で腕も内出血でどす黒く変色していました。何度試してみても針が血管に入らなかったり、点滴が終わるとすぐ交換しないと、血液が詰まって次の点滴が落ちなかったり、点滴で苦労しました。抜糸はとっても痛かったです。普通の人はホチキスで止めているだけなのに、私は出血がひどかったから糸でキツク縫った上で、普通の帝王切開より多い数のホチキスをしていて、キツク縫っている所が、皮膚にくっついてとっても痛くて、処置してくれていた先生と助産師さんに痛いーと叫んでいました。先生が今日は半分にしとく?と言ったのですが、こんな痛いの明日もなんていやだから、今日やっちゃって下さいと言い、助産師さんに手を握ってもらっていました。私の手にはすごい汗が・・かなちゃんの痛さや苦しさを考えながら必死で抜糸に耐えました。手術から10日後何とか退院する事になりました。担当していた助産師さんがお休みの日だったのにも関わらず、休日返上して出勤してくださって、不安な事や心配な事があったらいつでも連絡下さいと書いた紙をそっと渡してくれました。本当にありがたかったです。かなちゃんを新生児と同じく扱ってくれた事、助産師さん・看護師さんの対応に感謝して退院しましたが、病院の外に出た瞬間、何でかなちゃんを連れていないのかとても悲しくなってしまいました。