HAREM SCAREM w/ SILENT FORCE @Club Quattro 9/27
しょっちゅうあってもらっちゃ困るけど、解散ライヴというのは滅多に体験できるモンじゃないし、やっぱり通常のライヴより感傷的になる確率は高いと思う。ボクがいままでに体験した解散ライヴとしては、THUNDER(復活したけど)THE WiLDHEARTS(復活したけど)あたりかな。そしてまた今回、惜しいバンドが解散する。HAREM SCAREM。20年以上活動してきたカナダのメロディアスハードロック(変なカテゴリーだ)バンドだ。 ファンの方なら当然ご存じだと思うが、彼らの代表作は初期2作、特に2ndのMoodswingsはテクニカル且つ分厚いコーラスがふんだんにちりばめられた名盤として語り継がれている。不幸にもその後彼らはそのイメージに悩まされ続け、ダークになったりポップになったり迷走を続けるが、ここ数作は、初期の彼ららしさが発揮された快作を連発している。昨年発表されたHuman Natureは個人的に年間ベストアルバムに入れさせてもらった。 とまあ前置きはそれぐらいにして、とにかく個人的に思い入れのあるバンドにも関わらず、ライヴは今回が初体験。来日自体も久しぶりだが、まさかコレが最初で最後になるとは思わなかった。東京は2日間あり、ボクは初日に行こうと思ったが、仕事で行けず、2日目に無理矢理仕事を終わらせて、当日券で急遽参戦した。実は今回のツアーは彼らの単独ではなく、元ROYAL HUNT(といってももう大分前の話か)のD.C. Cooper率いるSILENT FORCEとのダブルヘッドライナーという形をとっている。タイトルもMelodic Power Metal Nightとか。HAREM SCAREMがパワーメタルかどうかは置いておいて、実際ビミョーなカップリングではある気がした。HAREM SCAREMであれば、先週来日したGOTTHARDと組ませた方がファンとしては嬉しかったはずだがまあ仕方ない。ROYAL HUNTは結構好きだけど、SILENT FORCEは個人的にはあんまりなので、申し訳ないが今回は“空気読めよ(KY)”としか言いようがない。 ということで会場は“重たい扉を開けるとそこには柱があった”でお馴染みのクアトロだ。19:30頃に到着し、扉を開けると。。。人がいた。満員!!すげー 扉付近、というか扉まで人が溢れていた。人の間からじゃないとステージが見えないくらいの勢い。ギュウギュウではないにしろこの入りは凄い。やはり解散効果は絶大か。 で、肝心のSILENT FORCEだが、いかんせん曲がつまらないッスねー。D.C.の声も良いのだが伝わらないというかね。演奏も、手堅いのだがそれ以上でも以下でもないというかね。このテの音楽をやり続けてくれていることは賞賛に値するし、今まで好きだったくせに今はもう聴かないというのは聞き手の僕の全くの嗜好の問題なのだが、今のボクには彼らの音は響いてきません。 まぁそれはそれとして上記で述べたKY。ガッツリ裏切ってくれました。1時間以上の長さ。さらにアンコールまでやってしまった(曲はROYAL HUNT時代のMessage To God)。う~辛い。長杉でしょ。ダブルヘッドライナーだし、もともと決まってた尺なんだとは思うけど。1時間以上っていったらフルでやるのと変わらないよね。そんなこんなで会場が混みすぎてビールも飲めなかったボクは、客電がつくと同時にBarへGo!ビールでGo!Go!!。 スーツで行ってはいたが、やはり最後の彼らの勇姿は近くで観ておかなくては、ということでフロアへ降りる。入りきっている。いろいろな思いが交錯する中客電が落ち、メンバーが登場。一発目はOverloadアルバムからDagger。オープニングとしては重めだが、Harryの“ライヴではワイルド目”ヴォーカルが絶妙にマッチング。そして2曲目で最新作からのHuman Natureを炸裂させる。サビのシンプルさもあり、場内は“ひゅ~・ま~・ね~ちゃ~!!”の大合唱。ここで、ドラムも含めた4声コーラスの音の分厚さを知る。そしていきなりウルウルのつぼに入りかけてしまう。ライヴバンドとしても実に素晴らしい技量を持ったバンドだ。Harryはライヴ中も結構MCを入れ、客を巧く操る。Barry、Craitonの堅実なリズム隊。そして何よりPete。童顔でコミカルな顔のイメージしかなかったが、間近に観る彼は歳を重ねて貫禄充分でかなりカッコいい。淡々と確実に曲をこなしていく様は、雰囲気的に最近観たTHUNDERのLukeに似た感じを受けた。 そんなこんなで曲が続いていくわけだが、個人的に期待していたのはやはり1st、2ndからの曲。まず飛び出したのがWith A Little Love。この甘く切ないハードポップ、ウルウルポイント第2回が襲ってくる。何度も書くが、このコーラスの力強さは圧巻だ。客席の盛り上がりもやはりこちらの方が大きい。 この夜飛び出した初期2枚からの曲はWith A Little Love, Honestly, If There Was A Time, Mandy, Change Comes Around, Hard To Love, そしてアンコール前のNo Justiceの7曲。前16曲のライヴの中では約半分をやってくれたという意味では日本のファンにあわせてくれたセットだったと思っていいのかもしれない。ただやっぱりボクとしては…and moreを望んでしまう。Saviors Never CryやStranger Love, Empty Promises, Slowly Slipping Awayなど、このアルバムからやって欲しい曲は腐るほどあるのだ。やってくれたそれぞれの楽曲がアルバムと違わずに素晴らしいものであっただけに残念だ。 そして、どうしてもボクがバンドとの距離を感じてしまったのが、本編の最後をVoice Of Reason、アンコールの最後をKarma Cleansingで締めたところ。この2曲がバンドにとって大事な曲だというところが、バンドの葛藤そのものに見えてしまって、何ともやるせなくなった。そして曲を終えた彼らは簡単に今までのサポートへの感謝を述べ、あっさりと帰っていった。客は20人以上、客電がついても拍手を送り続けていたが、バンドは出てくることはなかった。(物販コーナーにその後出てくるんだけどね) こちらも1時間以上やって終演が10時を過ぎていた。両バンドがここまでフルなセットを見せるとは思っていなかったので、予想外だった。しかし今回は誰がどう見てもHAREM SCAREMがメイン。なんとも変な構成になっていたことも事実だ。そしてそのHAREM SCAREMの淡々とした去り際をボクらはどう受け止めればいいのか。彼らにはもう先しか見えていないということなのか、変な感傷に浸りたくないためだからなのか、それとも、、、まだコレで終わりではないということなのか。。。 終演後の物販に出てきたメンバーの一人一人にサインをもらった。話す時間はほとんどなかったので、何も聞けなかった。ただ、ありがとうということ、残念だということしか伝えられなかった。最初で最後のHAREM SCAREMのライヴは最後まで複雑な想いが交錯した中で終わっていった。Thanx a lot for giving me a special night. Your music lives on forever.HAREM SCAREM are:vo/g. Harry Hess g/cho. Pete Lesperance ba/cho. Barry Donaghy dr/cho. Creighton Doane