障子の張り替え
法事が2週間後に迫り、上天気なので障子の張り替えをすることにした。梅雨の晴れ間の障子張りだ。雪見障子というちょっとこった障子なのでそれなりに手間がいる。ガラスと障子の2つが一緒になっており、ガラスを可動の障子が覆う。可動の障子を持ち上げれば部屋の暖気を逃すことなく雪景色が見られるという趣向で作られたものだろう。まず可動の障子枠と固定の部分を分けなければならない。溝がほってあって片方は寄り深い溝で、ここに盗みを作って可動部をはめ込んだ後、木で埋めて外れないようにする訳だ。後は普通に水で濡らして糊を緩め、古いのをはぎ取って行き、枠に残った紙の繊維や糊を取り除いてしまう。こんな時、大活躍するのがミクロスパテルだ。誤って会社から持ち帰ったものがそのままになっている。mgの世界で粉末薬剤を使っている人なら誰でも知っているが、機械的強度があって薄いものというとなかなかないものだ。写真右の匙部分と左のコテかヘラのような部分が同居している。長さは15cm位か。これは本来、微量の薬剤を扱うもので、ヘラは掻き落としたり剥ぎとったりに使うが、優秀な攪拌棒でもあり、ペーパーナイフにもなる。更には時計の電池交換のためにフタを開ける道具にもなるし、スマホのカバーだってねじ込んではずせる。もちろん耳かきにも使える。だから、糊と紙の繊維の混じったクズとりなんて朝飯前。非常にはかどる。この雪見障子は60年以上前のものだ。だから材料も非常に吟味してあり、近頃の障子枠みたいに木の繊維が逆むけになったりは絶対にない。水に濡れても乾かしても狂いもでない。指し物師の芸術みたいなところがある。