「オルズ」の謎
みなさん「オルズ」ってどういう意味か知ってますか? 「オルズ」 不思議なコトバである。 マイミクの八雲出さんの日記とかによく出てくるので,ずっと「どういう意味だろう…」と気になりつつも,誰にも聞けずにいた。 ちまたで流行のコトバなのかもしれない。 どうも文脈からさっするに,「おおっと」みたいにちょっとずっこけた時に使っているようなんだけど,なぜ「オルズ」なんだろう?? どうも気になる。 あ,ちなみに「orz」と書くんだけどね。 そんなある日…… まこすけ侍さんの日記に出ている,_| ̄|○ ガクッ をみてピカっと閃いた。 Aha! もしかして,orz(オルズ) って _| ̄|○ の逆向き縮小版なんじゃないの!! そう,“o”“r”“z”といった記号の連続ではなくて,人型絵文字だったのだ!(たぶん,まちがってたらどうしよう)。 アルファベットの連続として見る限りは,永遠にこの“像”(ゲシュタルト)はみえないが,一度わかってしまえばこっちのものさ。もっとも,orz を「オルズ」と読んでしまうくせがついてしまったみたいで,読むたびにいちいち頭の中で「オルズ」という音がなっているけど。 ともあれ,このなぞはずっとひっかかっていたことだったために,喉につかえていた魚の骨がごはんといっしょに飲み込めたときぐらいにすっきりした。 そういえば高校の頃,授業中は寝ているか,隠れて早弁しているか,回ってくるマンガを読んでいるかで,まったくといって良いほど授業を聞いていなかった僕は,数学のテストの前日友達に,「この“スィン”“コン”“タン”って何?」と質問したことがある。 え,“スィン”“コン”“タン”なんて習ってないって? では表記してみよう。 「sin,con,tan」 そう「sin(サイン),con(コサイン),tan(タンジェント)」を,僕は「スィン,コン,タン」と読んでたのである。 その友達が, (((;゚Д゚))))ガクガクプルプル となったことは言うまでもない。 ちょっとでも授業を聞いていたらそのぐらい読めそうなものだから,「授業を聞いていない」ということの真の状態は,こういうことをいうのだろう。 ちなみに,僕はその高校にはトップ入学して,県内トップの高校のトップ入学者とも3点差だったと教えてもらい,代表の挨拶をしたことがあるのだが,1年生の夏休み後の実力テストでは300番代に急落下していた(ちなみに一学年三百数十人だったと思う)。もともとテニスをやるためにその高校に入ったので,勉強するするつもりは毛の先ほどもかったのである。 両親はもともと教育熱心というより,小学校の頃など「勉強よりも家の手伝いをしなさい」という方だったこともあり,「この子はやる気になったらなんとかなるだろう」と思っていたのか,単に楽観的だったのかわからないが,別段叱られるということもなく,朝昼晩テニスに明け暮れていた。 ただ,2年生になって代数幾何と基礎解析のテストで,10点と15点,計25点/200点を取ったときには,数学の担当だった学年主任に職員室に呼び出され,「トップ入学者でこんな成績を取ったやつは前代未聞だ!」とガミガミ説教されてさすがに一瞬反省したが,次の日にはすっかり何処吹く風でテニスをしていた。 そのくせ,テストの際には,友達と「賭け」をするのが好きだった。もちろん点数が高い方が勝ちなのだが,テストを受けた後結果が出る前に,自信がなければ降りることができ,その場合は半額だけ払えばよいというルールである。 あるとき,数学の実力テストでヨシテルという友達と賭けをした。テスト直前に,お互い前日にどれだけ勉強したかを話していて,僕は数時間は勉強したと素直に伝えた。それを聞いたヨシテルはまったく勉強しなかったらしくかなり焦っていた。賭け勝負の前にまったく勉強しないなんてアホだなと思う僕。 テスト終了後,「どうだった?」と聞いてきたので,僕は「全部書いたよ」と答えた。 記述式だったので,全問自分なりに考えて,すべて解いたのである。自分の中の論理としては通っていると思っていたので自信があふれ出ていたのか,ヨシテルはひよりだし,「西條君…おれ降りるわ」といい,掛け金の半額をもらいうけた僕はいつもより多く買い食いをした。 はたして結果はどうだったか。 テストが返却され,大問ごとに○がたくさんついている!と喜んだのは束の間,不思議なことに,合計点欄にも○と書いてあった。 それらは○ではなくて0(ゼロ)と書いてあるということに気づくのにさほど時間はかからなかった。0をいくつ足しても0というわけか。 ふーん,そっかそっか~。 えっ。 ともあれ,点が無くても勝つことはできたというこの劇的な事実から,僕は「実力と勝敗は別」ということを身をもって学んだ。 ヨシテルは「チクショー騙された!」と地団駄踏んで悔しがったが,僕は「数時間勉強した」という事実と「全部解いた」という実感を語っただけだから,降りた方が悪いのである。 ヨシテルをみて「自分を信じることのできないものは勝てる勝負も落としてしまう」ことを観察学習した。そのせいかどうか忘れたが,ひよってることを,部活仲間は「ヨシッテル」といっていた。 そして,自分なりに全部解いたつもりだった僕は,「“数学的な考え方”ってやつはどうもよくわからんな」といぶかしく思い,またテニスに汗を流すのであった。ちなみに,数学,正確には統計学的検定というべきだが,その有効性を実感するには,大学院に入り自分でデータを分析するようになるまで待たねばならなかった。 ずいぶんと脱線してしまった。 話を「オルズ(orz)の謎」に戻そう。 そのような閃き体験を最新の脳科学用語では“Aha!体験”という。 そんなこというと何だかすごそうな気がするかもしれないけど,だからといってどうだってこともなくて,ようするにに「あ,そっか!」ってことなんだけど,オルズの謎はまさにその典型といえるだろう。 そういえば,ちょっと前に,茂木健一郎氏が“Aha!体験”のことを「英語でしゃべらナイト」というテレビ番組で紹介していた。 へえ,こんなのにも出るんだと思ってみていたら,茂木さんが,道化師のような黄色い服でナハナハみたいに手を頭上にかざしながら,“Aha”“Aha”“Aha”とかやりはじめた。 前一度茂木さんと話したときに,クオリア止まりになるんじゃないかと感じつつも,今後の動向が見物だなと思っていただけに,そのテレビをみて,そこまで自分を落とさなくてもいいのにと憐憫の情を禁じ得なかった。_| ̄|○ ガクッ それから,茂木さんが“Aha!センテンス”とかいうものを英語で自作してきたといって披露していたのだが,パックンに「それってなぞなぞですよね!」とふつうにつっこまれて,「あ,うん,そう」と答えていたのも,何かメッキが剥がされたようで物悲しかった。orz 「テレビに出るのは良いと思うのだけど,“Aha”“Aha”“Aha”とかってどうしてあんなヘンなことまでしちゃったんだろう」と言ったら,友達が「釈由美子に会いたかったんだよ,きっと」と言った。 なるほど,それならまだ分かる。 僕も「加藤ローサと共演できますよ」といわれたら,あんな道化師みたいなこともやってしまわないとも限らない。 さすがにあれは恥ずかしくてできないと思うが,果たしてそうした状況に陥ったときに,ちゃんと信念を優先し続けることができるだろうか…。そう考えるとなかなか悩ましい問題である。 そして何よりも,こういう杞憂で頭を悩ますのは,宝くじを買いもせず当たったらどうしようと心配するオッサンと同じぐらいおろかなことかもしれない。オルズ。 おまけ:ミクシーで暁さんにおせーてもらいました。http://www.dfnt.net/t/photo/your/craft_06suman.shtml