OSKの『三銃士』。
もう先月のことになりますが、娘とOSK日本歌劇団の『三銃士』を観劇してきました。21世紀になっても人気の高い『三銃士』、娘は『三銃士』ファンで、じつは昨年、宝塚歌劇でも『三銃士』の舞台公演がありさそわれていたのですが結局彼女が繁忙期(笑)だったのでボツになったのを、この3月にOSKが上演するとのことで声をかけたらつきあってくれました。感想は、いわずもがな、すばらしかった、うつくしかったにつきるばかりです。『三銃士』ファンの娘は上演中なんどもハンカチで感涙をぬぐっていました。宝塚版が『三銃士』をモチーフにしながらかなり自在な解釈(すでに若き太陽王ルイ14世の時代?)で新機軸を拓いているのに対し、OSKはデュマの原作に忠実な舞台でOSK初心者(笑)にもやさしい公演でしたね。主人公ダルタニアン演じるまもなくOSK卒業予定のトップスター・高世麻央さんはあくまで凛々しく美しく、ダルタニアンが思いを寄せるうら若い人妻コンスタンスに扮する舞美りらさんは恋する可憐な乙女そのもの、対立する美しき悪女、ミレディ―の白藤麗華さんはあくまで妖艶さにおいたつ雰囲気。All For One, One For Allとロック調のビートを刻む銃士隊のテーマはじめとして音楽もすてきだった。(ネタばれになってしまいますが)ミレディ―の処刑と死の場面、ここが原作に忠実で、かえって驚きました。夢の舞台に似合わぬシビアさ。これで宝塚版だったら、たとえ彼女が政治の要人ふくめ何人も欺き殺害においやった大悪人であろうと(『ミレディ―』という妖婦はもうこれでこの世にいなくなった。今後は生まれ変わって別人として生きるように。もちろん二度と我々の前にあらわれるな。)とかなんとかいって、みのがしてやりそうな気がするのですが。原作どおりとはいえ、処刑人いれて5人の男がひとりの女の処刑と死を黙視するのも(ぬるい現代ニッポンでは)後味わるいなあ、と思ったり。(しかしミレディ―の死とともに、我々のなかでなにかが終わった。)友情と団結を誓った三銃士もやがて銃士隊をぬけてそれぞれの道を歩み始め、愛する人との死別や幾多の政変や戦争を乗り越えてダルタニアンは銃士隊隊長、やがて将軍を拝命する。なぜ/人は愛し/人は苦しみ/人は夢見る/なぜ/人は笑い/人は涙し/人は生きる/…DVD発売されたら、これは買ってしまいそうです。ダルタニアンとコンスタンス。コンスタンスのエメラルドグリーンのドレスとロングヘアは『ロミオとジュリエット』のジュリエットのよう、舞台衣装をみるのも観劇の楽しみのひとつ、宝塚みたいに衣装ギャラリーもやってくださらないかなあ。四銃士そろいぶみ。寡黙なアトス、陽気で豪放磊落なポルトス、僧院に入る希望をもちながらも多くの貴婦人と浮名を流し、また自らも美女とまちがえられるほど美形の色男アラミス(女性のような美男子を男装の麗人が演じる、この倒錯?が少女歌劇の魅力。)の好対照。原作の『三銃士』はもちろん、続編の『二十年後』も読んでみたくなりました。人気ブログランキングにほんブログ村