石原慎太郎「完全な遊戯」
都知事に再選した石原慎太郎石原慎太郎は読んだことがなかったのですが、図書館に短編集が並んでいるのを見つけて少し斜め読みしました。タカ派の政治家としての発言と、聞こえてくる作品の一般的評判や村上龍を芥川賞に推すという作家としての位置の違いに興味があったので以前から読んでみたいとは思っていました。感想は、先入感からかもしれませんが時代を感じるなと。登場人物の会話など大島渚監督の「青春残酷物語」をちょっと思い浮かべました。村上龍の「限りなく透明に近いブルー」も発表からかなりの時間が経っていますが、そこからもずいぶん雰囲気が違うと思いました。(読後の衝撃度は「限りなく透明に近いブルー」の方が何倍も大きかった)石原作品の内容は、表現に対して規制強化しようとしている政治家の立ち位置よりも作家としての立ち位置が強く表れていると思います。表題作のあらすじは、女性を拉致して監禁して熱海に売り飛ばすというもの・・「乾いた花」は賭場での若い男女の交流を描いた作品。これはけっこう後味が悪くなく(もちろん凄く爽やかというわけではないですが・・)青春小説として嫌いじゃない作品でした。篠田正浩監督が映画化しているそうで、主演が加賀まりこというのはぴったりの配役かなと。[DVDソフト] 乾いた花価格:3,072円(税込、送料別)【送料無料】石原愼太郎の文学(9(短篇集 1))価格:5,985円(税込、送料別)