鯛の淡々:徳島/青柳・婆娑羅
(タイトルでお店の名前を間違えて「婆沙羅」と標記しておりましたので、正しく「婆娑羅」と訂正して再UPします)それと、随分以前のお話ですので、営業時間とか値段については、お店の 公式HP の方でご確認ください。大昔の晩御飯のお話。掲示板でRESしようとしましたら、昔のメモがあまりに大長文すぎまして書けません。よって、「今夜の・・」ぢゃあないんですが番外編で書かせてもらいます。(以下転記)■婆娑羅(ばさら):カウンター割烹(料亭[青柳]に隣接) 徳島市鷹匠町1-39/Tel:0886-55-5311 12:00~14:00/17:00~21:00日祝休昼\3,800~夜\13,000~明石大橋開通のおかげで、車で走って2時間。これなら京都にある料亭とアクセスは対等。山陽道とか名神走るよりも明石大橋と大鳴門橋がある分こちらの方が楽しいといえる。難点といえば、吉野川を渡ってから徳島市内の大渋滞。はるばる150kmくらい走ってきて、目の前まで来てから20~30分かかるんやもん。構造的に混むよ~にできとるで、あの道。ロケーション&店内繁華街の一角。周辺には、飲み屋あり中華屋あり、斜め向かいがソ-プランドだったりする。店の構えは落ち着いた感じ。お隣の本店[青柳]の名前の通り大きな柳が枝を道までかけてくる。中は、詰め詰めにして9席くらいのカウンター。脇に座敷がひとつと奥にテーブル席が、小(6~8人?)、大(15~6人?)の2部屋。カウンターがまたエエのよ。布張りに塗りをかけたカウンターと、しっ とりとした造りは、「さぁ、今日は和食やな・・」っちゅ~気分にしてくれる。2枚入った厚手の大俎板が綺麗のよね~。・1皿目/ワタリ蟹の三杯酢、若布添え 三杯酢は三杯酢でも、小皿に入れたり浸しとんやなしに、なんとジュ レ (言うたら煮凝りみたいなモン)になっちょる。上品に茹でられたワタリ蟹 も美味いが、添えられた若布がよ~締ってまた見事。さすが鳴門の名 産やね。・2皿目/鯛と紋甲イカのお造り 鳴門~高松あたりの海とゆ~と、同じ瀬戸内播磨灘の対岸っ ちゅ~ワ ケで、兵庫側でも結構エエ鯛を目にするコトはあるんやが、ここまでの 鯛が出てくるとサスガと思う。なんせ、鳴門海峡が目の前やもんね。フレ ッシュで美味しいが、一度飴色になりかけくらいのヤツも食べてみたい。 イカは、紋甲イカを表裏から蛇腹に細かく包丁が入っており、おかげで、 口の中に入れると原形がないくらいニチャヌタした食感となる。剣先イカ のコリコリもエエけど、アタシャこのニチャヌタに目がないのんよ。菊花・ 若布・海苔が添えてある。・3皿目/椀 季節に合わせて萩柄の椀で出てきたのは、すまし。入っているのは、 「海老の魚すり身寄せ」と「松茸」・「あわび」。「すり身寄せ」は、前回の 「揚げしんじょ」と違って山芋気がないもの。「海老」がプリプリしている。 しかし、「海老」といえば特筆しとかんならんのんが前のときのヤツ。 「椀」の中に1尾入っておったが、なんと完全に火を通しているのでは ない。「海老の身」の真ん中あたりに、甲殻類のあの甘みが残っちょる。 「椀」でココまでやるかぁ。・4皿目/大トロとエボダイの握り 脂の乗った美味しい大トロ。醤油は席に出さず、サラサラの「つめ」を 塗って出てくる。エボダイは締まった身で、これも美味しい。しかし、ここ は隠し包丁をよ~使うね~。「椀」のあわびもそうやし、このエボダイも 細かぁ~い隠し包丁が一杯入っとうよ。・5皿目/吹き寄せ小盆盛り 根来のよ~な朱塗り丸小盆に七種。 1)、ピータンの練り物。中華のピータンを刻んで醤油と酒を足したモノ らしい。つなぎに百合根の裏ごしを使っているとのこと。ど~もフォ アグラかレバーペーストみたいな動物っぽい匂いがするんやケド、 そんなん使うてへんっちゅ~コトでした。 2)牛タン芥子添え。ボイルド・タンかな?小さなサイコロ切り。 3)白芋茎の煮物。シャキシャキ感がアクセントになる。海苔を添えて。 4)大根・椎茸・三つ葉の煮びたし。この大根がちとクセもの。火を通し て透明になっているが、茎若布のよ~な食感。 5)イカのキャビア添え。イカのエンペラ糸造りに、灰オリーブ色のキャ ビア。このキャビア全然生臭いないねん。塩もよ~効いとる。 6)蛸の柔らか小豆煮。柔らか煮を小豆と一緒に。この小豆が旨いん や。小豆の香りまでするわ。 7)唐辛子の有馬煮。唐辛子を炒めてから山椒と煮ちょる。この「吹き 寄せ」の皿の中では、香りの強い盛りはこれくらいで、アクセントと して効いておる。唐辛子を炒めて香りを立てておいて、山椒の方は 喧嘩せんよ~に香り抑え目。・6皿目/鯛の淡々 出た!本日もメイン。前回初めて食べてみて、こんだけしっかりした 味や のに、食べた後の皿が全然ベトつかへん。これは「鯛のあら煮」やろぉ? みりんや砂糖や醤油はどないなっとんやぁ?と思うた一品。本席「青柳」 の名物料理。 2人に兜割りのアタマがひとつずつ。それぞれ鯛の皮の色が違うのんくら いは皿が出てきてすぐわかる。ところが、半身ずつ食べてから取り替えて みると・・・・・、ゲゲッ!味付けが明確に違う。 これが「鯛の顔を見てから味をつける」っちゅ~ヤツかぁ? 皮の赤い方のA鯛(仮称)は、ややぽってりとした味付け。甘みがあり、 お腹にしっかりきて燗酒に合うねん、これが。皮はこちらの方が粘度が あり味も強い。 皮の黒い方のB鯛(仮称)は、身自体の味がやや濃い目で締まっちょる。 こっちはもう、なんせ目の廻りのゼラチン質が絶品。濃度が高くて、糸を 引かずにプルプルと箸についてくる。口の中で噛んでみても、通常の、ト ロッと流れ出す感じやなしにゲル状に残る。 それぞれ、今まで食べたことのある鯛の中で一番旨い。旨い旨い。 めちゃ くちゃ旨い。「あら煮」やら「蟹」やら、しゃぶりついたり、ねぶりついたりする モンが好きで好きで、あっちゃこっちゃで食べてはきたが、昔[谷かつ]で出 してもらった甘鯛(ぐじ)の西京漬と並んで目出度くアタシの「鯛の殿堂」入り です、これは。 あ~~、来てよかったわぁぁあああ。・7皿目/ひろうずと揚げ生麩の炊き合わせ、茗荷千切り天盛り・8皿目/玉子丼、ハモ・松茸入り 今回は玉子の仕上げ方がスクランブル・エッグ状態。個人的には前回 のときの、玉子にフワッと空気が噛んだよ~な食感が好き。 喩えてゆ~なら、神戸北野/パチシエ・イデミ・スギノのムースケー キ のよう。(どんな喩えや)食べたら、口の中からフワッと消えて、香りだけ 夢のように残る感じ。 (う~~ん。玉子の場合、そこまでアッサリとはしてないけどね) 注:イデミ・スギノは東京に行ってしまいましたんで、今は 神戸にはありません。 特に前のときは、目の前で骨切りしとるハモが全然出てこず、 「ひょっと して、通常メニューに別途 [淡々] をお願いしたせいで、オレらのコース からはハモなくなったんかなぁ?」と心配しておった故、具の中にハモを 発見したときは余計に嬉しかった。・9皿目/デザート 愛宕梨とぶどうのアングレーズ・ソースかけ、クリ スタル・ジュレ添え、上 にリンゴの細切り乗せ。それと昔プリン。 ここのデザートは凄いわ。単品の旨さに加えて、それを増幅させる仕掛 けが、あれこれ仕込んである。 前回スティック状であった梨は今回ブロック。香りが大変綺麗で、ひ ょっ として瀬戸内対岸の岡山から幻の「パスクラサンヌ」でも仕入れたかぁ? と思ったが、聞いてみると地元の愛宕梨やった。アングレーズ・ソース(カ スタードクリーム味のソース)は、ちょうど梨の香りを邪魔しないよ~な軽 い仕上げ。添えてあるクリスタル・ジュレ(透明な煮凝りみたいなモン)は、 ど~もクアントローとかマラスキーノみたいなオードヴィー系の酒を入れ たジュレみたい。 うん?ひょっとするとポアール・ウイリアムス(梨のリキュール)か?あり得 るあり得る。うう~~ん、ここはホンマに和食割烹かぁ? 上に乗っとるリンゴの香りもエエんやが、茶色く変色もしてないし、シナッ とした柔らかさがある。シロップ漬にでもしてんのやろか?ほんでまた横 にあるぶどうが凄いねん。皮剥いて種とったダケのぶどうなんやケド、こ れがまぁゴッツイ美味しい。たまらんね、ここのデザート。昔プリンは、き めが細かぁて軽い苦みが乗っており、食後に心地よい。・(10皿目)皿数に入れたらオカシイかもしれんが、食後に出た「お茶」。 玉露よりは温度が高いんで、多分煎茶なんやろ~と思うんやが、甘みが あって美味しい。あんまり美味しいんで、おかわりしたケド、しっかりと重 さがあるモンで、こら3杯まではよ~飲まんやろな。 下手な食後酒負けるでぇ。 最後の最後までやってくれますわぁ。