麻薬が金正日将軍様を生かしたのか?
今年6月末、中国の「中広網」に、北朝鮮との国境地域である吉林省が、中国最大の麻薬密売市場として浮上しているという興味深い記事が掲載された。2009年の上半期に吉林省公安政府に検挙された麻薬密売容疑者は総勢367人で、彼らから押収した麻薬は総計6,139tに達するという内容である。6,000tが超過したとは、信じ難い記事である。押収された麻薬は、北朝鮮で製造されて流通しているメスアンフェタミンとエクスタシーが主流を占めているとのことである。中国の一つの省で6,139トンが押収されるほどなら、北朝鮮で麻薬がどれくらい出回っているのかは、見当がつかない。北朝鮮で麻薬は咸興(ハムン)市で主に製造されているが、他の地方でも、やはり製造されている。北朝鮮で麻薬が拡散した理由は、国家が独占していた麻薬製造技術が、民間に流出したからだとされている。 北朝鮮では麻薬が、既に深刻な社会問題としてクローズアップされている。2006年9月に会寧(フェリョン)市で党幹部をはじめとする約200人が、麻薬投薬などの疑いで摘発されて処罰された。北朝鮮産の麻薬は韓国にも密輸される。北朝鮮の人々は、麻薬に対して全く違和感を感じていないと言う。北朝鮮で麻薬は、「オルム(氷)」、「アイス」、「ビンデゥ」、「銃弾」という隠語と呼ばれている。ところでこの「オルム(麻薬)」が、北朝鮮では万能の新薬のように認識されていると言う。病気になったら、「オルム」を飲むのが一般的だと言う。「オルム」を試飲した北朝鮮住民の証言を聞いて見ると、これを飲んだら饒舌になるし、記憶力も良くなり、気分も良くなり、いくら働いても疲れないとのことである。しかし、口の中が渇いて、舌がもつれるのが問題だと言う。薬効が切れると、寝続けてしまうと言う。しかし、中毒性についてはよく知られていない。「ビンデゥ」は主に水に溶かして飲む。もちろん、吸入も一般的である。北朝鮮で現在、1グラムが中国貨幣で100ウォン程度で取り引きされている。北朝鮮では、麻薬中毒者を国家次元で厳格に処罰しているが、減少しない。麻薬中毒者たちは非常に多い。関連記事によれば、中学生たちまで「オルム」を使うと言う。北朝鮮に麻薬が急速に拡散したのは、1990年代初めに「白桔梗」という名前で芥子を大量に栽培し始めてからである。芥子の採取には幼い学生たちも動員されるが、強烈な臭いにより、子供達が倒れる場合もあり、周囲に医療陣が待機したりした。ヤニを摘出した後の実を乾かすと、粟のような黄色い種がいっぱい詰まっていて、子供達はこれを間食のように食べるのである。しかし、最近、国際社会の監視が厳しくなり、生産された阿片の輸出が難しくなったので、芥子の栽培面積は急速に減少し、栽培地も国境付近から、監視が難しい内陸に移された。外国駐在の北朝鮮大使館に出入りする人々は、外交官の兔責特権を利用して、阿片を持ち歩くと言う。高価な他の麻薬代わりに、相対的に安価な阿片を持ち歩く理由は、麻薬は成分の鑑定に時間が掛かるので、すぐに取り引きをするのが負担になるが、阿片は比較的識別が簡単なので、汽車や空港で数秒の内にお互いに確認して、お金と阿片を交換することができるからだと言う。北朝鮮に拡散している「オルム(麻薬)」に関する記事は、今まで沢山登場した。子供たちにまで麻薬が拡散しているというのは、既によく知られた事実で、はなはだしくは金正日が死亡して生き返った理由が、麻薬のおかげだという噂もある。最近、金正日が非常に痩せてしまった理由も、麻薬によるものだというのである。金正日が麻薬を服用しているという噂が事実かどうかは分からないが、充分に可能な話である。北朝鮮の住民たちに、してはならないと言うことを、金正日は結局、自分独りで全てしているではないか。あらゆる贅沢と性的な乱れ。それに麻薬が付け加えられたとしても、それほど驚くことではない。 全国が麻薬に侵されている状況なら、滅亡するのは時間の問題である。多くの関連ニュースを分析して見ると、金正日の死と北朝鮮政権の崩壊は遠くないということが、明らかに見えて来る。