茨城県水戸から発信　Bacon's Infomation Laboratory

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  緑内障の疑いあり？！

  先日、健診センターで受けた健康診断の結果が届き、要精密検査が１カ所。「緑内障の疑いあり」ということでした。何！！と思って既に数日たったのですが、気にしているせいか目が重い。６月入ったら眼科の検査を受けようと思っていましたが、たまたま時間がとれたので本日受診しました。緑内障の検査は眼底写真、眼圧測定、それから機械をつかって視野の検査をします。そもそも緑内障という病気は角膜（眼球の表面）と水晶体（いわずと知れたレンズの部分）の間の前房というところを満たしている房水という液体の流れが詰まって眼圧があがり、これが網膜を圧迫して視神経を損傷させることで、損傷した部分の視野がかけ、最終的には失明するというものです。（詳しくは、よくわかる緑内障・白内障と目の病気　など９本に書かれている症状に一部思い当たるもののあり、やばいと思いました。が、検査の結果、「緑内障を肯定するような検査結果は出ていません」とのこと。取り越し苦労で一安心しました。しかし、多いときで１日１０時間以上、すくなくとも３時間ぐらいは毎日液晶画面の注視で、だいぶ目が参っているかな？と思っていました。眼科医さんからも緑内障ではないにしても「適度に休ませるようにしてください」ぐらいは言われるかと思いきや、「まだ若いから大丈夫、大いにやってください」だって。目疲れがつらいんだけど～。（＞＿＜）

  2010.05.28

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  壁を壊す／吉川廣和・著

  壁を壊す／吉川廣和・著ＤＯＷＡホールディング（株）（旧同和鉱業）会長の企業改革体験記です。同和鉱業は非鉄金属の大手として、かつて国内に優良な鉱山をいくつももち、強固な企業基盤を築いていました。しかし、時代の流れで国内の非鉄金属だけでは先細りとなり、ご多分にもれず無謀な多角化の道を歩んでいったようです。危機的な状況の一歩手前で社長になったのが吉川氏。それ以前の人事部長のころから、体制に流されない信念を持ち、異端とされながらも改革に尽力してきた経緯が書かれています。大きな組織にどこにでもあるセクショナリズムや権力主義。普通なら上からの圧力に屈してしまうところですが、吉川氏は「諸先輩方」と敬意を表しつつも、会社全体のためにならないことは断固切り捨てる。これが本のタイトルに有る「壁を壊す」ということです。私はどうも人の意見に流されてしまうタイプ。吉川氏のように信念を曲げずに改革を断行できる力は素晴らしいと思いました。改革ということすなわち変えると言うことは、抵抗が大きいものです。それを成し遂げるため、切込隊長として誰を船に乗せるか？ということを重視されたようです。このことを”「然るべき誰か」が見つかれば、「やるべき何か」を彼らが考えてくれる”と説いています。何をするか？で立ち止まっているより、適確な「誰か」にやってもらうことが重要なのですね。どうしてそこまで信念をもって出来るのか？ということも、”大切なことは、「何もわかっていない」ということを「わかっている」ことである。その上で、日々予測の努力を怠らずに、進むべき方向を、這いつくばって探していくことだと思う”と語っています。リーダーの在り方としても感心させられました。

  2010.05.27

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  ブラジル巨大経済の真実／鈴木孝憲・著

  ブラジル巨大経済の真実／鈴木孝憲・著この本は、サブプライムローンが顕現化し始めた2008年初頭に書かれています。その後に起こったリーマンショックで、世界経済はさらに大きなダメージを受けましたが、その中でもブラジルは比較的堅調な評価だったようです。投資信託を利用して分散投資している方でも、ブラジルを組み入れている方は比較的早く回復したようです。サブプライム以前からブラジルの評価は高まっていましたが、その理由はこの本を読むと納得です。驚いたのは、他民族国家である割にはカントリーリスクが低いこと。宗教や人種による問題が珍しく少ないようです。むしろブラジルは第２次大戦でも戦争に大きく傾注することがなかったので、６０年代には大きな発展を遂げたということも驚きでした。そのことから言えば先進国に入っていても良いはずでしたが、時には3000％ものインフレ率により、経済が立ち後れたことが、足を引っ張った要素でした。それでも、利用可能な国土の広さ、天然資源の豊富さ、勤勉な国民性と培った技術。ポテンシャルのバランスにおいては世界随一の国でしょう。地理的にこれまでの世界の中心に近からず遠からずという中途半端さもトップカントリーになりきれていない要因かもしれません。逆に言うとグローバル化がどんどん進展している今日においては、台頭する可能性はどんどん高まっているということです。折しも本日のニュースでは「ブラジルで大型油田発見」とのことでした。ワールドカップ、オリンピックも将来に控え、これから間違いなく世界の軸の一つとなってくることでしょう。

  2010.05.13

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  あなたもいままでの10倍速く本が読める（新版）／ポール・R・シーリィ・著

  あなたもいままでの10倍速く本が読める（新版）／ポール・R・シーリィ・著2008年6月時点で47版も出ているベストセラーで、2009年11月には新版が出ました。私は古本屋で旧版を購入しました。700円の投資で「10倍速く」読めるようになるわけはないと思いながら、しかもせっかちな正確なので、本で解説されているとおりに実践せず、良いと思われる部分だけかいつまんで実行しているものですから、通して読んだからといっても、とてもフォトリーディングがレベルには至っていません。それでも本の文字を一字一句追うのではなく、ページ全体を俯瞰しながら、読むべきポイントにフォーカスするという感覚をもてて、読みやすい本ならパラパラとめくっていくだけで、大体ないようを把握できるようになりました。これからもう少しこのスキルを高めたいと思いますが、どこまでできるかワクワクする気持ちがあります。

  2010.05.06

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  風の盆幻想／内田康夫・作

  風の盆幻想／内田康夫・作舞台は晩夏の越中八尾。私は「おわら節」なるものはその言葉しか知りませんでした。有名ではあったのでしょうけど、全国各地に盆踊りはあるのに、富山のはずれにそんなに人が集まるのかと．．．しかし、この本で表現されているもの悲しさが、胡弓の音色に代弁されていることで、情景を思い浮かべることができました。そして、山あいの小さな町に多くの人が集まる祭りというのは、古くから受け継がれてきた地元の人々の思い入れの強さというのがあることを感じました。その思い入れを上手くモチーフに利用した作品だと思います。しかし、描写の中でどうしても実感が湧かなかったことがありました。それは「おわら」の踊り手、特に女性の踊り手は若い人の肢体でないと美しさが出ないという話です。このことはストーリーを成立させるファクターの一つでもあるのですが、作品を読んだ段階では、都合の良い条件設定に思えたのです。ところが読み終わってからYouTubeで風の盆の様子を見て納得できました。哀愁漂うあの調子と音色は若い女性のしなやかな肢体が似合います。改めて着想の妙を感じました。それにしてもYouTubeは便利ですね。

  2010.05.04

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  フリーフォール／J.E.スティグリッツ・著

  フリーフォール／J.E.スティグリッツ・著グローバル経済はどこまで落ちるのか？というサブタイトルがついています。ここ２～３ヶ月の動向として、世界経済の回復基調が現実的なものになってきた感じがする中、いまさらこのような本を読んでどうなのかという気持ちを持ちながら読みました。そういう意味で期待したのは、アメリカ発の今回の世界不況のメカニズムが体系的に解説されているのではないか？ということ。結果、よい意味、悪い意味両方で期待はずれでした。悪い意味という点では、著者のフリートーク的な言い回しや比喩が多く、また、同じ話が何度も繰り返されるなど筋道だっていなくて読みにくいです。教科書的にこの本から学ぼうと思っても、あまり深みがなく面白くないと思います。よい意味という点では、今回の不況の根源である金融セクターの暴走の問題について、再認識させられたこと。金融商品の「リスク」というものは正しく評価されて初めて経済のバランスが取れるものだと思います。それを投資銀行を始めとした金融セクターの表裏の活動によって、時に法制度をねじ曲げ、時に政治を抱き込んで自分たちの都合のよいようにコントロールしてきた。これにより本来、中のあんこが腐っているかもしれない饅頭を見た目が大丈夫だからとどんどん販売してきたのがアメリカの金融の問題でした。簡単に言えば、こういう状況が「自由主義」の名の下にまかり通ってきたことが経済を混乱させた大きな要因ということです。そして、その無謀な状況に適切な規制をかけなかったブッシュ、オバマ両政権の批判も入っています。今後の経済再生においては、この金融に対する規制と解放のバランスを見直すことを問いかけていますが、それについては過去の批判の域を出ず、明確な方向性が示されている訳ではないように思います。よい意味という話に戻ると、今回復基調とも感じられる世界経済ですが、すべてが良いわけではなく、大量消費に突入した中国経済に引っ張られる部分がかなりあると思います。そこでまたバブル経済にならないのか？という懸念がわいてきます。あれだけ下がったのだから、早く回復してほしいという心理は誰にでもあるもの。行動経済学的に考えると、わかっていても止められないのがバブルだと思います。これをちょっと退いて冷静に見なくちゃいけないと思わされました。

  2010.04.27

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  もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら／岩崎夏海・著

  もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら／岩崎夏海・著今、大人気の本じゃないでしょうか？表紙の挿絵に惹かれて買う人ってどのぐらいいるのだろう。（私もその一人だったりして）先日は書店で高校野球のマネージャーとおぼしき女の子（ただ年齢的にそれぐらいというだけですが）が熱心に立ち読みしていました。さて、この本はタイトルで解るとおりモチーフが明確です。ドラッカーの「マネジメント」に出てくるフレーズが実にタイミング良く繰り出されて、小気味良い内容で読みやすいです。物語としては型どおりな感じですが、モチーフが面白いからそれは問題外です。物語と言うよりは妄想として捉えると面白いです。私は何人もの同士がそれぞれの強みを発揮して、弱みを補完し合い、問題解決や目標の実現をしていく物語が好きで、「十五少年漂流記」とか「ぼくらの７日間戦争」みたいなのが非常に好きです。そんなことも思い出させてくれ、組織は人によって成り立ち、人は最大の資産であるというドラッカー理論の普遍性を知らしめてくれる本ですね。それにしてもこの挿絵は狙いすぎだと思いますが．．．

  2010.04.05

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  原価計算が病院を変える／監査法人トーマツヘルスケアグループ・著

  原価計算が病院を変える／監査法人トーマツヘルスケアグループ・著病院経営は概括してみれば岐路にさしかかっていると思います。経営としての効率化を求められる部分と社会医療としての公益性を求められる部分とをどうバランスをとるかということです。受け入れ拒否の問題がよく報じられていますが、効率化を考えた場合、キャパに対して適正な稼働率での運営というのが選択肢になるのは当然です。本の趣旨としては病院経営が成り立つこと、生き残れる病院であることという目標に対して、原価計算を導入することによる効率経営を説くものだと思います。しかし、あくまでも「経営が成り立つ」ための効率性であって、公益性とのバランスをとるためのラインを見据えるためにも原価計算が必要なのだということを感じます。医療制度の方向性、原価計算の意義、考え方なども良く解説されていて、わかりやすいと思います。原価計算の方法論だけでなく、その活用の一途としてＢＳＣ（バランススコアカード）の活用による改善目標の設定にも触れられています。数字が出てきただけではダメで、「病院を変える」というタイトルにある通り、どう改善して行くのか？ということが意識されていると思います。この辺の視点の取り方はストーリーがあり、とても感心しました。読み物として読む本では本来ないと思いますが、読んで良かったな～と感じる本です。

  2010.04.02

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  マラソンは毎日走っても完走できない／小出義雄・著

  マラソンは毎日走っても完走できない／小出義雄・著この方の独特の語り口は正直、あまり好きではありません。なんて言うか、ちょっとおちょくっているようにも聞こえます。しかし、そんな好き嫌い関係なく、「毎日走っても完走できない」というタイトルは興味を覚えました。別に毎日走れているわけではありませんが、年のせいか練習してもタイムが伸びない。距離に対してもなんか壁を感じます。原因としてやはりトレーニングがワンパターンなのかな？とこの本をパラッとめくって感じたことでした。だから、読みたくないけど読んでみました。さすがに理論派それも科学的ではなく、体験に基づいた理論派の方なのだと思います。現役時代のことを思い出すと非常に納得できる部分が多かったです。その結果解ったこととして、心肺そして足への刺激の入れ方がポイントだということ。インターバルトレーニングはスピード練習のためであって、マラソン練習においてはいいやと思っていましたが、そうではなく、負荷を適度にかけることでマラソンに対応できる身体が作れるんだということのようです。早速、昨日は1000ｍを３本ほど入れてみました。内容的には初心者を意識した解説ですが、Ｑちゃんや鈴木博美さんなんかが行ったトレーニングを初心者向けにブレイクダウンした感じで、これならできそうかなって感じにさせる本です。

  2010.03.26

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  海の都の物語（2）／塩野七生・著

  海の都の物語（2）／塩野七生・著ヴェネツィアの話の２巻目は政治と経済の話です。１巻目はヴェネツィア共和国の成り立ちから発展が時系列的に語られたので、それこそ物語的でワクワクするものがありました。しかし、２巻目は経済の仕組み、政治の仕組みがテーマ毎に史実として語られているだけ（失礼ですが）なので、ちょっと退屈しました。しかも、私がこのシリーズを読んだ最大の目的、それは「ヴェニスの商人」が如何なるものであったかを知ることなのですが、何となく物足りない感じがしました。それはある意味ヴェネツィアの経済がかなり「合理的」であったからでしょう。債券、有限責任会社、簿記、銀行、通貨など今でも経済の重要な構成要素になっている事項がヴェネツィアで発展したものが多いようです。著者が苦手なのか、史実がはっきりしていないのか？貿易に活用されたであろう債券、信託、会計、会社形態など、そしてそれが商人の儲けにどのように寄与したのかということをもっと知りたかったなと思いました。しかし、1500年も前、まだ経済学もないころだと思いますが、企業経営の原型はできあがったいたのですね。そういう部分ではかなり感銘を受けました。

  2010.03.23

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  スーパーマーケットほど素敵な商売はない／安土敏・著

  スーパーマーケットほど素敵な商売はない／安土敏・著著者は業界では有名人ですね。サミットを一流スーパーに育てた方で、伊丹十三監督の映画「スーパーの女」の原作者ということでも著名な方です。サブタイトルが「１００年たってもお客様から支持される企業の原則」とあるとおり、スーパー経営の原理原則を説いている内容です。”スーパー経営の原則”ではなく、”企業の原則”としたところは、スーパーのみならず、企業経営全般の普遍性をもった原則を意識したのかどうか？一般の企業経営においても役立つ考え方が色々と披露されていました。価格競争を避け、価値競争をすべきということは誰でも言いそうですが、その「価値」とは何なのか？循環するようですが、スーパーにとって価値とは「価格」という話です。品質であったり、品揃えであったり、接客サービスであったりという差別化要素は、特にスーパーの場合、価格で判断される。それらを含めて価値＝価格で表されているから、まず入り口の段階で「高い」と判断されたらダメだということのようです。この辺は解ったような解らないようなというのが正直なところです。また、人事においては一度面接した程度、あるいはたまに声をかける程度では、その人間の本性は見えない。唯一評価が可能なのは一緒に直属の上司との話もありました。トップの役割は各評価者（直属の上司）の個人差による評価の甘辛を調整するということのようです。これはなるほどと共感できる部分でした。このように店舗開発、マーケティング、購買活動、商品戦略、商品開発、人事などあらゆる角度でスーパーを論じています。最後に述べられているのが、人生に必要なものとして、「正しい知識」と「深い思索」ということです。向かうべき方向を正しく見据えるために正しい知識が必要。そしてその方向への道筋を正しく歩むためには深い思索＝哲学が必要とのことです。考えてみれば私自身は哲学がないように思います。（正しい知識も怪しいですが）深い思索＝哲学という考え方には初めて触れました。せめて深い思索というものを意識して、哲学に迫っていきたいと思いました。

  2010.03.22

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  新時代の相続税対策の徹底検証／奥村眞吾・著

  新時代の相続税対策の徹底検証／奥村眞吾・著この本とは何の関係もない話ですが、おいしいご飯（お米）が食べられるというのはありがたいことです。ラーメン屋さんを営業されているお客様と確定申告の機会に話をしたのですが、お米は地元の米を親戚から買っているとのこと。安い上に美味しい！しかし、この米作りがどこまで維持されるのか？米作りは儲からないしきつい。後継者がほとんどいないのが現状です。農業は大規模化、企業化の流れにあり、将来は米作りも企業が引き継ぐ可能性は高いと思います。その時に真に美味しい米作りができるのかどうか？後継者という点で、地方では不動産オーナーの後継者というのも安泰ではないです。15年、20年のスパンで成り立たせていかなければならない不動産経営はちょっとのリスクの違いが将来大きな違いを生む可能性をはらんでいます。地方ではそのリスクが高すぎる。これまでは良かったですが、これからは．．．？バブル期に相続対策として借金をしてバンバンマンションを建てた方は今どうなっているのか？そういう疑問を投げかけているのがこの本ですが、私の関わっている範囲ではやはり見なおすべき時期に来ているという方が多いです。早めに相続対策をされた方は、もう効果がなくなっている方もいるように思います。そして、地方の土地活用は厳しくなり、相続税がかかるし、土地なんかいらないという後継者（後継放棄者）が増えるのでは？一つの方向性として不動産活用についても企業化、証券化をもっとしやすくしていくべきではないかと思います。株式化しておけば引き継ぎ手がない不動産も活用さえしていれば買い手は現れるでしょう。これは需要と供給の関係で価格の問題だけですから。また、信託の活用は一つの方向性だと思います。いずれにしても、不動産の移転にかかる登録免許税、不動産取得税の負担が大きすぎるのが現状。政策的にもそのような点に配慮があってもいいのではないでしょうか？

  2010.03.12

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  海の都の物語（1）／塩野七生・著

  海の都の物語（1）／塩野七生・著この作品が文庫本になって、昨年６巻構成で発売されています。１巻毎に感想を書くのもどうかと思いましたが、１巻毎が比較的薄い文庫本なのに、中身はとても濃いと感じたので、まず１巻からの感想です。ヴェネチアは会計の仕事に携わるものにとっては、本来聖地であると思っています。そんなことが普段クローズアップされることはないのですが、近代商業の原点の一つであるのは紛れもないこと。したがって、中世の世界史の中でヴェネチアについての興味の度合いは格別なものを持っていました。しかし、そもそも歴史はあまり触れてこなかった人間。ヴェネチアは単なる海辺の都市と思っていたのですが、大間違いでした。侵略からの自己防衛のため、都市ごと海で隔絶された干潟に移転してしまうという発想は日本人にはあり得ないと思いました。そして、人口１０万人程度の都市ながら、ローマ帝国とビザンチン帝国の狭間で、うまくバランスを維持しながら、チャンスと見れば積極的に勢力を拡大して、地中海に海の高速道路を築き上げます。ヴェネチアの外交はすべて商業を維持発展させるための戦略に満ちており、私の中で、「やはりビジネスの聖地言えるのではないか？」という気持ちを強めるのでした。第１巻はヴェネチアの成り立ちから地中海に交易ルートを築き上げる様子、十字軍へ参加する経緯とその戦略などが語られ、ヴェネチアの基本理念、方針を感じることができます。まずは、ヴェネチアがＳＷＯＴ分析をしたくなってしまうぐらい、ビジネスライクな都市国家だったということに感嘆しました。

  2010.02.24

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  現場主義の人材育成法／関満博・著

  現場主義の人材育成法／関満博・著図書館で本を物色していると、一緒に連れていた４歳の娘が、いきなり「これ借りる」と言い出した。その本がこれです。要はたまたま目の前にあっただけなのだが、本人は絵本のつもりでいます。著者の関満博先生は地域産業論の先生で、雑誌や新聞に連載などもされていたと思います。大学の先生ですが、”～論”というのがしっくり来ないほど”現場主義”なんだと思います。この本の内容は、関先生の活動の紹介のようなもので、地域産業の担い手となる若手経営者や牽引役となるコーディネーターがいかに育ったかが述べられています。本のタイトルから受けるイメージとはかなり異なりました。現場主義と言っても、その現場は先に言ったように現場を盛り上げる人たちの活動で、いってみれば地域産業がいかにあるべきかと、実際に地域産業を作ってきた人たちの話です。本書の最後の頃にも述べられていますが、”人材育成法”ではないと思います。しかし、私が今まで知らなかった領域を知ることが出来たのは確かです。岩手県の北上市、花巻市、宮古市などの企業誘致や地元産業振興策の事例。どの自治体でも地元の産業振興を図りたい気持ちはあると思いますが、どこも変わり映えしないから、打ち上げ花火で終わっているケースがほとんどだと思います。工業団地を造っても、ほとんど工場が建たずに原っぱになっているケースがいかの多いか。問題は当初の計画が甘い、まず事業ありきでやっていることが多いのと、誘致の現場の取り組みが徹底していないことだと思います。その点、北上市は夜討ち朝駆けで熱心に活動する職員と市長のトップセールスによる熱意で、ダントツの企業誘致実績を上げているとのこと。官民が一体となった地域産業政策の色々な現場が紹介されていて、このような動きも全国の中ではあるのか、と感心しました。その他、関先生のゼミには”もぐり”の人も含めて本来の学生だけでなく、色々な社会人の方が参加されているそうで、評判を聞きつけて参加してくるのですから、よほど魅力ある活動が展開されているのでしょう。そういう意味では数多くの現場を回っていらっしゃることで、豊富な話があるでしょうし、取り巻く方々が意欲的ですから、参加するだけで気分が高揚するものがあるのだと思います。私も交流会など参加するととても気分が高揚して、やる気が出ますし、人生の地図の範囲が広がる思いがします。しかし、それだけで終わっているのは、それが現場につながっていないからですかね。コンサルタントとは言え、サラリーマンの立場では行動が成果＝売上に直結していないとならない。気持ちとしては一つの企業の勝ち負けでなく、地域全体が元気になっていくような動きの中で、その役割の一旦を担ってみたいと思います。しかし、現場を歩いてじっくり地域産業を持ち上げていくというのは、一介のサラリーマンでは難しいと考えてしまいます。「そんなことない、実践している人がいる」というのがこの本の内容でもあるのですが、私の場合、今のサラリーマンを頑張ってみて、その次のステップとして考える世界かなと今は思っています。

  2010.02.21

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  ヒトラーの贋札／アドルフ・ブルガー・著

  ヒトラーの贋札／アドルフ・ブルガー・著同名の映画の原案本となった書です。この本を手に取ったのは、なぜか図書館の金融関係の棚におかれていたから．．．通貨をめぐる何らかの社会的な見識が得られるかと思ったのでした。内容は予想を覆すというか、想像を絶するものでした。前半は、スロヴァキア系ユダヤ人である著者が連行され、あの悪名高いアウシュヴィッツ強制収容所に入れた体験から、強制収容所で行われたおぞましい出来事が語られています。歴史に疎い私は、アウシュヴィッツとはナチスドイツの侵略活動において、何か悪行が行われた場所というイメージはありましたが、その実態に触れたのは初めてでした。ここには何百万人もの囚人（というよりただユダヤ人というだけで）が送り込まれて、不衛生で貧栄養な環境での重労働が強制されました。それだけでなく、働けなくなると（あるいは指揮者の鼻先一つで）ガス室に送られ処刑されたのです。本当におぞましい。しかも、（アウシュヴィッツは有名ですが）ここだけでなく、ドイツ国内あるいは周辺にこのような強制収容所が何カ所も設けられ、それぞれで残虐な行為が行われていたということを知り、衝撃を受けました。その光景は随所に写真でも紹介されていて（良くこんなに残っていたなぁ）、読んでいて胃が痛くなる思いでした。いや、ホントに胃を壊して、今酒を控えています。そんな中で（基本的には生きて出られない）著者は様々な知恵を尽くして（もちろん努力も）生き延び、元印刷工だったということが幸い（？）して、贋札製造班に抜擢されます。後半はその贋札作りについて、著者だけでなく、多方面の記録をオーバーラップさせて語られています。贋札作りは敵国（イギリス・アメリカ）の通貨を大量に出回らせることで、相手を混乱に陥れようという作戦。当時既に紙幣の製造には偽造防止の工夫が色々と施されていたようで、全く同じ材質の紙、インク、印刷方法、すかしの技術など、完全に真似るのは国家が組織的に行っても困難なことだったようです。製造していたのは、贋札というよりは「本物と同じもの」だったのです。後半のくだりは製造に関わっているうちは生きられるという状態で、多少ユーモレスクに語られている場面もあります。しかし、国家機密に触れているわけですから、生きて出られる望みはほとんどゼロ。やはり日々恐怖の中にいたのだと思います。ドイツの降伏によって「解放」されたところでは心の中で拍手喝采でした。著者とは直接関係ないですが、厳重な監視と高圧電流による有刺鉄線に囲まれたアウシュヴィッツ強制収容所から２人の囚人が脱出し、世界にその非道な現状を伝え、アメリカなどがドイツ降伏に向け、戦闘をを強めるきっかけとなりました。飢えと捕らえられる恐怖の中、何百キロも自力で移動して国外への脱出に成功したという努力というか執念にも感動しました。ところで、この本、「ヒトラーの．．．」という割にはヒトラーそのものはほとんど出てきません。この本の中でヒトラーが唯一クローズアップされるのが、1945年5月1日、「彼は戦死ではなく、臆病にも自殺したのだ。」と記述されているところ。著者の皮肉を感じました。

  2010.02.16

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  使える！経済学の考え方／小島寛之

  使える！経済学の考え方／小島寛之サブタイトルに「みんなをより幸せにするための論理」とあります。「幸せ」、「平和」、「平等」というある意味経済学の根本テーマについて、それを定義する経済学者の論理を要点を絞って解説しています。「使える！」というほど平易ではなく、理系に片足をつっこんでいた私としては、文中の数式をもっと理解すべきなのでしょうけど、面倒なのですっ飛ばして読んでいましたので、どうも結論的なことは理解していないかもしれません。ちゃんと経済学（それも厚生経済学あたりかな）を勉強している人が読むべきなのかも知れません。私にとっても面白かったのは、まず一つは限界効用についての概念を再認識できたこと。効用はともかく、限界利益の”限界”って、日本語の”限界”とちょっと違う気がして、ビジネス用語として限界利益という言葉を使うのもためらっていました。ただ、利益の界面を表しているのは確かにそうで、イメージ的にははっきりしました。もう一つは平等に関する議論のところで、ジニ係数についての考え方と計算方法に触れられたこと。これまで単純に格差を表す指数として、数式関係なしに理解してきましたが、ローレンツ曲線を用いて表せるということで、概念を理解できましたし、言葉しか知らないローレンツ曲線というものもちょっとわかった気がします。ショケ期待値というものにも興味を持ちました。期待値というのが現実的には人間の主観とか色々な要素で確率通りにならない部分が工夫されているようです。連想したのは、一般論的な期待値、すなわち確率を元にリスク計算された金融商品が破綻していること。確率的には天文学的な稀少さであるはずの現象（大暴落）が、まれにではなく起きていることです。この本では行動経済学との関連性は論じられていませんが、厚生経済学的なアプローチと行動経済学的なアプローチの接点が見える気がしました。さらに、「人的資本理論」として紹介されている教育投資の内部収益率について。教育に投資した資金に対して、その子供の後の所得の上昇で、リターンが何％になっているか？ということ。人間を金で評価するようで下世話かも知れませんが、リターンは必ずしも所得でなくとも良い。重要なのは投資する以上、その成果が測られるべきなのだろうと思います。以前母校で講座を１コマ担当させて頂いたときに、車を買ってもらった学生に対して、「親は資本として投資したわけだから、ちゃんとリターンを返せ」という話をしたのを思い出しました。この時はテーマが違いましたが、人的資本理論に照らして話をするというのも面白いなと思いました。この本の内容はあまり理解していないのですが、聞いたことあるけど意味のわからない用語、それから新しく知った用語など色々触れることができてそれなりに面白かったです。

  2010.02.15

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  繁栄し続ける会社のルール／小宮一慶・著

  繁栄し続ける会社のルール／小宮一慶・著帯に「小宮経営学の集大成」とあります。”お客様を第一に考える会社”ということを常に論点の中心に置きながら、あるべき企業、そして経営者の姿を多角的に、そして俯瞰的に描いていると思います。さすが、多くの企業を見られているだけあって、共感するフレーズが多いです。特に、「顧客満足」ではなく、その上の「お客様に感動を与える」ことを目指そうということ。これはなるほどと思いました。私自身も提案のプレゼンがうまく行って、お客様に感動して頂いたときなど、冥利というか、さらに次への意欲を覚えるものです。また、会社のベクトルと社員が自発的に向かう方向性を合わせることが大事ということを「意識の統一度合い」という様に表現されています。現代は豊かで多様な社会になり、意識を統一させることが難しくなったということについて、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を引いて、「働く目的は、あくまでも神ならぬお客様のため」と表現しているところなんかは好きですね。とにかく、従業員の意識統一度合いが高い会社は宗教じみていることも多く、ウチのトップはどちらかというと敬遠するのですが、論理的に言っても、企業体として繁栄するには、宗教につながる倫理的な統一性が必要なんですよね。しかし、非常に有り難い言葉の連続という感じですが、総じてどこかで聞いたような話でもあり、全体を読んだ感想としては、感動が薄いと思いました。それとお客様第一主義にちょっと偏重しすぎているような．．．良い言葉ばかりですが、どうもこれを「実践する」段階のイメージがわかないという感じがしました。

  2010.02.11

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  医療制度改革と地域ケア／太田貞司ほか・著

  医療制度改革と地域ケア／太田貞司ほか・著医療制度改革については勉強中です（まだまだ初歩）。大枠では急性期から、亜急性期、慢性期そして在宅ケアという医療・介護の流れに対して、できるだけ疾患を早く治療し、回復リハビリをしっかり行って、より医療・介護の手間、コストがかからない状態に戻す、ひいては医療費、介護費を抑制するというのが、医療・介護制度政策のねらいだと思います。そうした制度改革の流れの中で、急性期病院と回復期病院等が地域連携により、地域ケアを実現した例として、島根県松江市圏域における例が紹介されています。思ったのは、老人医療は基本的に加齢により回復力が後退する中で行っていかなければならないもので、ちょっとした対処の遅れ、回復療養、リハビリのタイムラグ等が、その後の回復に大きな影響を与えてしまうということ。本の中でも紹介されていますが、病棟の移転、在宅への復帰などの際、医療・介護の枠を超えて関係者が集まりカンファレンスを行うことで、患者がスムーズに次のステップに移行できるようにするというのは、非常に大切だと思います。このような地域ケアは過疎化問題を抱える地域にとっては不可欠でしょう。昨今、医療機関の経営難も叫ばれていますが、一方で非常に収益を上げている病院もあると思います。それはそれで必要なことです。願わくは、その収益が患者本位の姿勢に立脚したものであること。完全に奉仕の気持ちだけで地域ケアを実現してというのは無理があります。急性期の対処技術だけでなく、回復への対処を含めて、きちんとした連携により、適切な医療を提供して、これが点数として反映されるということ。これが患者本意だと思います。ひいては収益につながるという正当な評価がされる仕組みがより充実した施策がとられることを望みますね。

  2010.02.03

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  なぜこの会社はモチベーションが高いのか／坂本光司・著

  なぜこの会社はモチベーションが高いのか／坂本光司・著著者は法政大学大学院政策創造研究科教授でいらっしゃいます。中堅・中小企業の社員のモチベーションを高める方法を研究されているようです。本書は、（１）その研究の一環として、全国3000社の中堅・中小企業に「社員のモチベーションの実態と課題」ついてアンケートを行った結果の分析を解説する章、（２）全国に名だたる「高モチベーション企業」の事例を取り上げ、その要諦を紹介する章、（３）総括として社員のモチベーションを高めるために必要な要素を定義していく章とに分かれます。分析の結果から言えば、社員のモチベーションの高さと企業の業績には相当な因果関係があるということ。当たり前と言えば当たり前ですが、とかく企業業績が厳しくなっている昨今では、以下に人件費を削るか？ということに頭が行きがちで、社員のモチベーションをいかに高めていくかということに頭が言っていない経営者、リーダーも多いのでは？最近では「どうやって社員を辞めさせたら良いか？」なんていう相談も多く、やるせない。それというのも、社員のモチベーションが高く、ひいては効率性の高い仕事をしていれば自ずと企業業績が良くなるのは解るという経営者は多いが、モチベーションというものが抽象的で、測りにくいこと。そして、モチベーションを高めていくと言うことが、人間のマインドに関わることで、考え方・その温度も多様で、相当なエネルギーを要するということもあるでしょう。その意味で、この本ではアンケートの分析、事例の分析から社員のモチベーションを高めるための経営者、上司のあるべき姿を多角的な要素に分けて抽出してリストアップすることをもって結論としています。いわば、高モチベーション企業であることの条件を定義しているようなもの。事例として１５社の高モチベーション企業が紹介されていますが、実はそのうち１社の経営者にはお会いしたことがあります。噂にも聞くすばらしい企業なのですが、一個人として経営者にお会いした印象としては、かならずしも「常に熱い人間」、「人格者」、「カリスマ」といったような方ではなく、普通のおっさんです。それ故に、高モチベーション企業を作るというのは、非常に高いマネジメント能力のある経営者、リーダーだけができるということではなく、ポイントを抑えれば、ある程度達成できることなんですね。

  2010.01.31

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  ザ・クリスタルボール／エリヤフ・ゴールドラット・著

  ザ・クリスタルボール／エリヤフ・ゴールドラット・著ホームテキスタイルの量販店チェーンを舞台とします。主人公がマネージャーを務める店舗の地下倉庫で漏水事故があり、在庫を配送センターに戻さざるを得ないというハプニングがきっかけで、驚くべき投資収益率を上げる仕組みを発見するというストーリーです。もっとも勉強になるのは在庫回転率が投資収益率の向上に大きく影響すると言うこと。在庫を減らすと売るものが減って、売り上げが減ってしまうという固定観念を企業全体で取り払っていくことが、この物語の中で大きなハードルになっています。在庫量を発注リードタイムを考慮して最適な日数分持つこと、発注リードタイムを短くして在庫量を減らすことを理解すれば、在庫がなくて売るモノがないという恐怖を払拭することはそう難しいことではないんじゃないか？と思いながら読んでいましたが、販売する人たちの気持ちというのは、やはり”在庫命”なんでしょうか？つい先日もある卸売業さんで、「取引先で売れないから在庫を多く持ってなんとか販売を増やそうという動きが見られる」と聞きました。その卸の社長さんもおっしゃっていましたが、全くナンセンスな考え方だと思います。まあ、良いモノを安くではなく、安く売れるものを大量に販売するような量販店もありますが、良いモノをできるだけ多くそろえて、しっかり売るということが大原則なんだろうと思います。

  2010.01.30

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  ダメ上司論／山田咲道・著

  ダメ上司論／山田咲道・著エース会計事務所、山田咲道先生の本で、バカ社長論の続編的な著書らしいですが、すみません。バカ社長論は読んでません。まあ、読んでいて身につまされるというか、「そうだよなぁ～」と思うことが多々。結構、きれい事ではなく、現実的についついそういう態度をとってしまっているよなぁと思うようなことが、部下をダメにすること、やる気をなくさせることだったりして、反省しきりです。上司としてはいかに部下に良い仕事をしてもらうか、です。小さいこともちりも積もれは山となるだし、せっかくやってくれた仕事を早くチェックしてレスポンスを返してあげなければ、仕事をやった達成感もそうだし、やりっ放しで良いのか？という雰囲気も生まれてしまうでしょう。すごく反省したのはそんなところでもあり、ついつい自分の仕事で忙しいので、部下に仕事をやってもらっても「後で見ておく」になってしまう。結局、後で間違いを発見したりしても、「時すでに遅し」だったり、本人もどういう観点でその仕事をしたのか覚えていなかったり、お互い勉強にならないのです。本の中にもありますが、「自省する」ということがホント大事だと思います。ところで、思いがけず知ることができました。　会社で働くなら知恵を出せ。　知恵のない者は汗を出せ。　汗も出ない者は静かに去っていけ。この言葉、ある関与先に訪問した際に掲げてあった言葉で、とても共感した言葉でしたが、これは土光敏光さんの言葉だったのですね。この言葉を引用した項では、上司たる者、常に仕事の段取りを考えておき、朝一番に仕事の指示を出して、その日１日部下が効率よく仕事ができるようにせよ！ということを説いています。これもまさにその通りで、実践しなければいけないと思います。こんな風に、具体的に一つ一つ反省しながら、やるべきことに気づきます。

  2010.01.25

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  スティーブ・ジョブズ神の策略／竹内一正・著

  スティーブ・ジョブズ神の策略／竹内一正・著アップル・コンピュータを立ち上げたスティーブ・ジョブズはカリスマというイメージはありました。それも、自己中でありながら人を惹きつける不思議な力を持った謀略家であることがわかりました。対立するライバルとして、この本でも何度も引き合いに出されているビル・ゲイツ。どちらもシリコンバレーを代表する人物ですが、人としてあまり良い人物には描かれていないのがおもしろい。私が大学時代、９８部屋とマック部屋があって、どちらも使うことができました。ただし、Windowはまだ出ておらず、マックとのインターフェースの違いは歴然。ＰＣという一つのカテゴリーでは分類できないほどの違いがありました。遅かれ早かれということはあっても、ＧＵＩをベースとしたインターフェースは言ってみればパソコンの進むべき道を作ったといえると思います。この本はスティーブ・ジョブズという人物がアップル、ネクスト、ピクサーで繰り広げた策略を解説し、君主論的にまとめているますが、コンピュータがめざましい発展を遂げた時代にあって、その覇権争いの激しさも感じることができます。ジョブズはうまく人を褒めて乗せて、乗らないときには周りから外堀を埋めるようにして懐柔してしまうのですが、こだわる部分は妥協しないが故に同じ相手を罵倒したり、酌みしないとなったらあの手この手で追い出してしまうというような人物のようです。どうも読んでいてジョブズが悪役に見えてしまうのですが、優秀な人物をうまく使い、自分のこだわりは徹底してこだわって商品開発を行った結果が、マックやｉｐｏｄという形で多くの人に喜びをもたらしていることも事実で、ベンチャー経営者の一つの象徴ということなのでしょう。スティーブ・ジョブズとその周辺の人物、コンピューター業界の発展をめぐることで、色々な教訓が見えてくるのだなと思いました。ちょうどパソコンの出始めから現在まで発展過程で色々なパソコンに触れてきた私としては、業界の発展の裏でこんなことがあったのか！と改めて知ることができて、とてもおもしろかったです。

  2010.01.13

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  プラチナタウン／楡 周平・著

  プラチナタウン／楡 周平・著一流商社の部長がひょんなことから財政破綻寸前の東北のある田舎町の町長となり、再生を目指す物語。終始、高齢社会と過疎化への問題を投げかける内容。舞台は道路やダム、利用頻度のきわめて少ない公共施設などで多額の借金をこしらえた町。おかげで町長のなり手もなければ、町議員もほとんど辞めてしまうような町です。デフォルメされていますが、日本中にごまんとありそうな町です。（私の出身地もそうではないかな？）このような町の町長になって（強引にさせられて）超財政難、高齢・過疎化を逆手にとってビジネスモデルを完成させるストーリーは小気味よいです。楡氏の作品の特徴ですが、ビジネスモデルの発想の起点から完結まで、細部にわたってかかれているので、それだけでボリュームたっぷり。現実的にはもっと大きな混乱もあるでしょうけど、それに字数を割いている場合ではないとばかりにトントンとストーリーが展開していきます。その点では成功物語のドキュメンタリーを見ているようで、フィクションとしてのドキドキ感に欠ける気もします。が、東北ではないが田舎育ちであり、仕事上でも関心の高い高齢社会がモチーフと言うことで、私には妙にハマるものありました。

  2010.01.11

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  全脳思考／神田昌典・著

  全脳思考／神田昌典・著なかなか引き込まれる書でしたが、500ページもあるので読むのに結構時間がかかりました。帯に「カリスマ経営コンサルタントの10年間を凝縮した」とあるように、神田さんの経験と知識が豊富に織り込まれている感じでした。中心になっていることは、イメージを具現化することだと思います。演繹的な、あるいは論理的な思考だけでは生まれない、潜在的な思考をイメージとして絞り出し、これを論理的な思考とつなげていく．．．これが右脳と左脳をフル回転して生まれる全脳思考ということでしょうか？思い出したのは、遺伝的アルゴリズムです。遺伝的アルゴリズムでは、短期的には進化を繰り返しても手近な頂である局所解にしか行けない。ランダムに突然変異が起こることで、最大の頂である最適解にたどり着くことができるのです。全脳思考でも、一見問題とは関係のない頭に浮かんだイメージをベースに考えることにより、問題に対する既成概念が一旦リセットされ、ニュートラルな状態から最適解に近づいていくことが説かれていると思います。ところで、「社内改革」などといった場合、必ずといって良いほど抵抗勢力があって、意欲をそがれてしまう。そんなメカニズムも明らかにされ、それを前提とした脳内改革をグループで進めていくことが論じられています。この本の全部を実践しなくても、活用できる部分がかなりあると感じました。

  2010.01.02

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  世界経済危機～日本の罪と罰～／野口悠紀雄

  世界経済危機日本の罪と罰

  2009.05.11

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  禁断の市場／ベノワ・マンデルブロ

  サブプライムショック以降、色々経済書を読んでいますが、金融危機の前に書かれた本でも、今回の金融危機がある意味必然的であったということがわかる本が多いです。禁断の市場これはフラクタル理論の先駆者であるマンデルブロ氏が、現在主流の金融理論がいかに危険かを説いています。私が大学生の頃（17～18年前）、ブラック＆ショールズのモデルやマーコヴィッツのポートフォリオ理論がいかにすばらしいかを教えられたのを覚えています。（なぜすばらしいかはイマイチ覚えていませんが．．．）同時にこれからはカオスやフラクタルの方が面白そうだというので、勉強してみようという話が出ていました。実際にカオスはちょっとかじってみましたが、フラクタルはあの模様みたいな図を眺めた程度です。現在、どうなっているかというと、この本でもフラクタルが金融市場のみならず、自然界の色々な減少を擬似的に説明できるのはわかりましたが、それ以上は語られていないところを見ると、経済減少を予測説明できる程度にはなっていないのかと思います。しかし、それよりも市場や個々の金融商品が正規分布に基づく振る舞いをすることを前提にした金融モデルで市場のある程度の部分が成り立っていることは、非常に不安定な状態であると言うことが、この本を読んで実感します。市場が変動する可能性のある幅は、実際よりはるかに大きく、危険であるということが、話の中心です。果たして、経済は凪の日も嵐の日もある大海に浮かぶ船なのか、誕生間もない流動性の高い大地なのか？大地であるなら、経済学が発展すればだんだん冷えて固まって、安定性が増すでしょう。しかし、大海であるなら、いつまで経っても大変動が訪れる不安定なものであるのかなと思いました。

  2009.05.04

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  現代中国の産業／丸川知雄・著

  今回の経済危機。まだ、中国は世界経済を牽引する器ではなかった。中国政府系のウェルスファンドから欧米の金融機関に出資するなどの話はありましたが、中国の市場もアメリカの景気後退でかなり引っ張られています。中国と言えば違法混入や模倣が問題。とくに模倣についてはそれが一つの産業になっているから、もういたちごっこですらないと思います。この本を読んでなるほどと思ったのは、今の中国社会は社会主義国として成り立ってきたわけで、良いものは社会が共有と言うことが末端まで浸透。したがって、マネは犯罪でなく、良いものは社会の共有財産というわけです。思えば、中国人はアジア人の実直さと欧米人の合理性を兼ね備えいると思います。その合理化の最たるものが、この本で多くの実例ででの資源再配分でもあるわけです。ただし、そんなマネ論の本ではありません。中国がここ１０年、急激なスピードで発展を遂げてきた背景。それは既に一般的になっている技術を利用できる「後発性の優位」があります。ただし、それだけでは今だ発展途上にある国が多いことを説明できないと言います。これをアウトグローして発展をするには、その技術を徹底的に利用することと、自国の環境に適合させて、新しい製品のあり方をつくりあげることで達成されるのです。テレビにしても自動車にしても携帯電話にしても、中国の製品はそれぞれのパーツを色々なメーカーが製造して、最終的にそれらのパーツを組み合わせて製品にしたところが製品メーカーになるという感じ。メーカーのブランドを重視する日本とは正反対です。かろうじてパソコンが近いものがある。したがって、中国の上記製品は開発のスピードが速く、市場に出回る製品は日本とは比べものにならない数になります。しかし、多種な製品があっても、基本的にはパーツを組み合わせているだけなので、同質化してしまう問題もあります。そのような中国産業の方向性が世界を牽引する役割を担えるか？という示唆も入ってくるわけですが、最近の経済状況を考えれば、どういう形でもいいから、世界経済の牽引役になって欲しいと思うわけです。現代中国の産業

  2008.09.28

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  ネットで調べる経済指標

  基準地価が発表され、再び下落という記事が目立ちましたが、感覚的には１年ぐらい遅れている気がします。地方では先の「持ち直し傾向」も地価下落のちょっとした踊り場程度で終わりました。これだけ経済がガタガタ行ってしまうと、公的機関から発表される経済指標も役に立たないかも知れませんが、ネット環境が普及したことの利点として、色々な指標やデータがネットで簡単に手に入って便利ということもあります。そんな色々な経済指標を公表日時や見るべきポイントと共にまとめられている本がありました。手元に置いておくと便利なだと思います。ネットで調べる経済指標

  2008.09.18

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  借りたカネは返すな！／著・加治将一、八木宏之

  自分と同年代の経営者が周りに増えてきました。厳しい中にもどうやって新しいビジネスの展開をしていくか？ってことを常に考えていて．．．それについて客観的な立場から色々話を差し上げるのですが、年齢が近いとやはり共感を得やすい。まあ、専門家としてはすべての年代の方に同様に理解を得られないといけないのですが．．．これからの経営者とは逆に、衰退期にある企業はもう資金が足りないから借入をして．．．何て事も言っていられません。借りても返せないですから。それでも何とか立て直すために、出血を止めるためには借りた金を返さないしかありません。借りたカネは返すな！ちょっと前の本ですが、改めて読んでみました。決して悪意で返さないのではありません。生きるためには出血を止めなければならないのです。．．．そんな気分。

  2008.09.11

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  能力・成果主義人事制度／竹内裕・著

  中堅・中小企業の能力・成果主義人事制度中小企業の利益率が薄くなってしまって、危機的であるということを前から言っていますが、これを脱する方法は基本的には「付加価値のアップ」だろうと思います。そんな中で人事制度を根本から見直す誘因が高まっていると言えると思います。この本の冒頭に記されていますが、人事制度はパラダイムの変遷が起こってきており、年功序列から能力主義、能力主義から能力・成果主義、能力・成果主義から成果主義への変化しているとのこと。オリンピック前後の経済成長期入口あたりまでは年功主義、オイルショックあたりまでが能力主義、その後バブル崩壊までが能力・成果主義、その後は成果主義が台頭していると．．．成果主義＝職務給制度によるパフォーマンス重視の人事制度は、一見企業業績との連動性が高く、有用に思われますが、逆に職務を追うあまり、市場ニーズの変化に迅速に対応できないなどの弊害があります。特に、中小企業では職務の分化や成果の尺度がはっきりしないため、成果主義を中核にしていくことは無理があります。そこで、この本では現在でも中堅・中小企業で主流の能力・成果主義人事制度をより現在の経営環境に適合させる形で見直す方法を提案しています。その中で職務給制度を中小企業の実態に合わせて取り込むため、役割・職能資格制度という提案がされています。真剣に人事制度を見直すべき局面にきている企業は多いと思われ、有用に思います。

  2008.09.06

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  企業変革力

  企業変革力／ジョン・P．コッター・著、梅津祐良・訳組織を変革して更なる企業発展を遂げるため．．．いや、現状の凝り固まった組織のままで衰退してしまうことを避けるために、何としても企業変革が必要．．．という企業は実は多いと思います。最終的に「組織は人」企業変革を進めるリーダーシップをもった人材をどう発掘し、育てるか？スタッフの意識をどうやって変革に持っていくか？人間は（動物は）本能的に困難を避ける傾向があると思います。困難を避けるために、無意識的に平穏無事な（と思われる）場所に逃げていく（＝リスクを避ける）のが、実は自然な行動かも知れません。しかし、進化論の過程で生き残るのは突然変異によって優位な、競争に生き残る力をもった種となります。この突然変異に当てはまるのが正しいかどうかわかりませんが、これにあたるのが「企業変革」を進めるリーダーシップだと思うのです。面白いことに人間の成長と投資とを同じに考えることができます。人間の成長が複利だとして、前年と比べて６％成長する人と、１％成長の人では、５７％も成長度合いが違います。この裏返しとしてハイリターンを求めれば、リスクもある（失敗もある）でしょう。しかし、成長力がなければ環境変化には対応できず、絶滅種となるのです。ある意味、組織変革力＝人間成長力×成長を促すマネジメント　という様に思えました。

  2008.04.28

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  考える技術／大前研一・著

  考える技術／大前研一・著超～有名な方ですが、今まで著書を読んだことはありませんでした。経済評論家の本というのはおしなべて過去の分析が主で、退屈というイメージがありました。大前さんが経済評論家と思うことからして間違いなのかも知れません。原子力工学の科学者出身でして、マッキンゼーのコンサルティング技法の一部分を作った方という異色の存在。そういうバックボーンと色々なものの考え方、とらえ方を読むにつけ、だいぶ考えが変わりました。とにかく、すごく優秀な頭脳があって、それだけでない数多くの修練を積んで先を読む「考える力」が備わるのだなあという感想です。普通の頭脳でどこまで鋭い考えができるかわかりませんが、修練を積むことはできますし、どんなことをやっていけば良いのか？ということはこの本で教えてもらいました。

  2008.03.03

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  企業承継の考え方と実務

  以前にもこの本、ご紹介しましたかね？企業承継の考え方と実務事業承継（企業承継）の要諦は、経営権（実質的な意味での）の継承、財産（自社株）の継承、社内外への信用力の継承と大きくくくれば３つのテーマがあると思います。つまり、経営全般において多面的に事業承継の準備をしていかなければなりません。そんな多岐にわたる観点についてエッセンスが詰め込まれた本で、良いな～と思っていました。著されているのは企業再建・承継コンサルタント協同組合の先生方ですが、これまではおつきあいがありませんでした。本日、偶然にもここの方が業務案内にいらしていただいて、「あ～そうだったんですか」という話になりました。そういえば、どこかで聞いたような名前だったと思い出した次第です。偶然でしたが、何かの縁。良いおつきあいが出来ればいいなぁ～と思いました。

  2008.02.22

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  豊潤なる企業～内部統制の真実～／鳥飼重和・著

  豊潤なる企業～内部統制の真実～／鳥飼重和・著内部統制の重要性については、報道されている多くの企業不祥事の痕を見ればわかること。悪いことと知りながら見過ごしてしまって、重大な禍根を残すことになる例があとを絶ちません。一方で赤福や白い恋人のように「のど元を過ぎれば．．．」でかえって人気が爆発することもありますが、企業としては一度張られたレッテルはなかなかはがれないのではないかなと思います。ものは売れても一流企業とは見てくれないでしょう。「ついつい．．．」という風潮、風土は日本人に根本的にあるものなのか？「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉が象徴しているように思います。この本で引き合いに出されていることは、「車の両輪」ということ。つまり、企業存続・発展のため必要不可欠なのは、売上の増大と法令の遵守の両方。どちらかが行き過ぎていてはバランスが取れずまっすぐ進まないとう考え方で、往々にして経営者はこれを唱えるでしょう。しかし、現場での判断の局面ではこの考え方は難しい。典型的なのは談合。法令を守っては仕事が取れず．．．鶏が先か卵が先かの話になってしまう。この本では断じて「法令遵守を優先すべき」としています。それは当たり前という話でも弁護士が書いているからと言うことでもなく、「自助の精神」なのです。冒頭では明治期の国造りに寄与した多くの偉人に影響を与えたとされる「西国立志編」を通して、故き良き時代（といっては失礼かも知れませんが）の精神を範とすべきという話が展開されています。そこには多くの困難を乗り越えて、成果を上げるためには自らを助ける真っ当な考え方＝自助の精神があるのです。企業においてはこの「自ら」というのは経営者のこと。内部統制は経営システムの一貫として企業の組織の中で作るべきものと考えられがちですが、本来は経営者が自助経営のために整備すべきものなのです。内部統制の解説書を読んでも、基本的考え方の根底にあることが理解しがたい。それは法令遵守が当たり前ということがあるからで、当たり前のことについて、その意味を理解しろと言うのは逆に難しいです。ですが、この本は内部統制の根底にある（あるべき）精神について良く語りかけられていると思います。

  2008.02.12

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  思考の整理学／外山滋比古・著

  思考の整理学／外山滋比古・著専門は英文学者ですが、評論家（？）としても名高い外山滋比古氏が、学習法、仕事法について実体験をベースにまとめられた書。帯には「１９８６年発売以来の超ロングセラー」とあります。確かにその内容には時代のひたむきさを感じます。変に読者を引きつけようとするけばけばしさがない文体です。さまざまなモチーフも楽しい。学校教育に対する批判を随所で展開していますが、それを冒頭では自分の力では飛べない「グライダー」に例えたりしている。印象に残ったのは「朝飯前」について。一般には簡単なことという意味に捉えられますが、そもそもは朝起きて食事をするまでの時間が、頭もすっきりして物事が簡単に進む、つまり朝飯前は何でもうまく行くということをいっているのではないかとの事です。これに気がついてから氏は朝食を遅くブランチにして、それまでの午前中に仕事を片づけるようにしたとか。エッセイでありますが、鋭い視点からのハウツウ本でもあり、そんな巧妙な感じが楽しい本です。

  2008.02.06

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  すごい「勉強法」

  最近、勉強本流行りですよね。書店に行くとかならずワンコーナーあります。そんなに多くに目を通したわけではありませんが、概ね（１）通勤時間などスキマや他の行動が制約する時間にいかに勉強するか？（２）あれもこれもでなく、一冊の参考書をいかに読みこなすか？（３）いかに記憶や思考の活性化を行うか？（４）どんなツールを使うと有効か？などなど。著者の成功体験に基づくノウハウを伝えるものが多いと思います。すごい「勉強法」／高島徹治・著上の項目はそのままこの本の主題に当てはまります。だからといって平凡な本というわけではありません。数々の国家試験に合格している方だけあって、効果的に試験勉強のこつを伝えている感じがします。

  2008.01.30

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  世界を席巻するイスラム金融

  寒いですね。最低気温はこの冬一番かも？朝まで！！っていう仕事が２件重なって、夕べから脳みそに血液が集中していた（？）ので、余計寒く感じます。経済も冷えてきた感じですが、このご時世熱いのは言わずと知れたイスラム経済。もはや世界経済の動きの中心を占めるまでになってきた感があります。その最先鋒・ドバイが注目され始めてだいぶ立ちましたので、さぞかしすごい都市が出来上がっただろうと思います。最近ドバイに行った方の話だと、この地方では珍しくかなりまとまった雨が降ったらしいです。滅多に雨が降らない地方なので防水等にはあまり配慮されていないのでしょう。最新の建物が雨漏りしていたそうです。地震もないので耐震もそれほどでないらしく．．．すごい勢いで発展しているけど、意外に張りぼて経済なのかなと思ってしまいます。イスラム圏には独特のイスラム経済があります。イスラム教世界はシャリーアと呼ばれるイスラム法によって規律されていますが、酔欲を嫌い、喜捨を推奨する法概念があり、酒・タバコ・ポルノといったものが禁忌されているほか、利子が禁止されています。したがって、シャリーアを厳格に運用すると我々が考える銀行は成り立たず、金融面の発達にはハードルがあったようです。そこでシャリーアを満たす形での金融取引のテクニックとして生み出されてきたのが、イスラム金融と呼ばれるもので、売買取引やリース取引の形でマージンを受け取る方法（それぞれムラーハバ、イジャーラと呼ばれる）や信託や出資など形をとり利益を受け取る方法（同じく、ムダーラバ、ムシャーラカ）の４形態に大別されます。これらを基礎として、色々な派生商品が登場しているようですが、それらの商品がシャリーアを満たしているかどうかについては、国や金融機関ごとにシャリーア委員会なるものがあり、いわゆるコンプラチェックを行っているそうです。したがって、国や金融機関によって線引きが違ってくるようで、我々から見ると複雑さが増す要因になっています。そもそもイスラム金融が発達してきたのは最近のことで、現在でも世界経済に占めるシェアは１％程度、一国内で多い国でも２５％前後らしいので、それほど多くないという印象です。しかし、その伸び率が年２０％を超えるとあって、その影響が計り知れなくなっているようです。言ってみれば利子を禁ずるイスラム圏でも、一般的な金融取引があって、でも遵法でない後ろめたさ（？）で発達が遅れていた部分だったのでしょうか？オイルマネーの膨張で無視できなくなり、イスラム金融が必要とされるようになったのでしょう。それにしても、ここでも日本は波乗りに遅れているようで、エネルギーの多くを中東に頼っている割には、そんなの関係ねぇって状態らしいですね。まあ、それはいいから「理不尽なアジアハンドボール連盟には負けるな！」ってね。世界を席巻するイスラム金融／糠谷英輝・著

  2008.01.28

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  相続の裏側／松田茂樹・著

  相続の裏側／松田茂樹・著裏側と言っても別に怪しい世界ではありません。相続、特に遺産分割におけるトラブルやもめ事は資産があるなしにかかわらず起こるものです。そんな、ある意味「良くあること」を描いた本。それにしても、相続専門のコンサルをされている著者。ホントに親身になって依頼人のことを考えて、解決に向けて行動してらっしゃるようで、頭が下がります。公認会計士の立場で、分割問題にここまでタッチされるのはすごいなぁ～と。万が一、ウチの親が亡くなったら、妹達はどんな主張をするだろうか？カミさんはどういうだろうか？なんてことを想像しながら読んでしまいました。

  2008.01.10

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  経営センスを磨くための財務

  学生の時に数学が苦手で．．．どうも演繹的なことがダメなんですよね。先生が黒板で数式を展開し始めると、眠くなって．．．．．．と言うわけでこうなります、という頃に目が覚めるというのが良くありました。ですから、ＣＡＰＭとか、ＭＭ理論とか、言葉は知っていますが、何のことやら？という感じでした。ざっくり分かるファイナンス～経営センスを磨くための財務～・石野雄一そんな苦手だったものも、確かにざっくりと分かることができるものでした。特にＣＡＰＭで株主資本コストを求めるときのベータがブルームバーグのＨＰに載ってますよ、って言われただけで、すごく安堵を感じました。それと、理論だけでなく（手法だけでなく）経営判断のために、どういうことを知るべきか？この観点が大きいと思います。投資判断は利回りではなく（だけでなく）、リターンの大きさが大事なのです。

  2007.12.07

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  外資の稼ぎ方

  日本の経済は外資にだいぶやられた、と思っている方は多いと思います。サブプライム問題が顕著になった夏以降、シリアスなお金の動きになって、サーと波が引くように株価も下がっていって．．．良くも悪くも外資の影響が大きいことが、改めて浮き彫りになった感じがします。外資の稼ぎ方 ～その儲けの仕組み、全部暴く！～／永野良祐・著この本、冒頭のように一般的なイメージ（と思いますが）として、「やられている」ってことをある意味、払拭することになるとおもいます。プロローグによれば、外資の稼ぎ方は、逆張り、思い切り、ニッチ、交渉力、ルールを活用、世界標準とのことです。副題の割にあるほど過激なことではなく、合理的な投資のスタイル、方法論、さらには投資ポリシーといったことを見ていくと、「やられている」というのは文化の違い、鎖国までさかのぼるのではないか？という感じがしてしまいます。投資対象あるいは手法としての不動産、ファンド、Ｍ＆Ａに大別して、多くの事例が紹介されています。確かにずるいと感じてしまう例が多いですが、中にはそれ程でもなかったのね、ということもあるのです。ここんところ、外資が引いてしまったため、これをヘッジ先国内金融機関の商品も動けなくなっている例もあるようで、連鎖の広がりを感じます。やはり”したたか”という印象はこの本を読んでも感じることですが、バブルとう歴史を繰り返す人間の摂理は文化以前に共通するものだと思いました。

  2007.12.05

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  不動産は値下がりする！・江副浩正・著

  どっちが先かという問題かも知れませんが、不動産価格の先高感がある方が、景気が良い気がします。都心部の不動産高騰が地方都市（の一部）にも波及したかなという感覚がここ２年くらいありましたが、夏以降、あっという間にしぼんでいます。懸念はされていましたが、マンションの大量供給、大量売れ残りがだいぶ影響し始めた感じ。それに加えて昨年秋以降の金利上昇。夏以降の金融不安など。そりゃもっともだよ、とも言えます。そんな意味で、この本を読むまでもなく実感しているのですが、この本はタイトルで謳っていることだけでなく、昨今の不動産を巡る動きを体系的に整理しながら読むことができます。不動産は値下がりする！・江副浩正・著特に今後不動産の供給が衰えないということについて、埋め立て地の拡大や都心部の再開発に伴う容積アップなどうなずけることはもとより、独立行政法人となった国立大学の敷地等が合理化のために大量供給されるなどという見方は新鮮でした。不動産価格が下落するのは、住宅を求める消費者にとっては良いことですが、やはり産業的には厳しい。安価で良質な住環境が提供されつつ、国外からの投資資金をどんどん呼び込めるような、安定した収益を上げられる仕組みがないものか？

  2007.11.29

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  行動経済学～経済は「感情」で動いている

  行動経済学／友野典男・著あまりスキーの経験はないですが、調子こいて難易度の高い斜面につっこんでしまって、行くに行けず、戻るに戻れず．．．そんな感じの日本の株式市場？昨日の投資の科学にも紹介されたプロスペクト理論というのがあります。人間の持つ認知特性あるいは行動特性によって、価値判断というものは一定の方向付けがされるものであるという理論。（解釈が正しいか怪しいですが）プロスペクトというのは見込みとか予測という意味らしい。例えば、ある取引をして、確実に３万円もらえるのと、８０％の確率で４万円もらえるが、２０％はゼロの場合があるのとどちらがよいか？実験をすると、前者の方が好まれる。ところが、逆に確実に３万円取られるのと、８０％の確率で４万円取られ、２０％確率で何も取られないのとではどちらがよいか？とした場合、これは後者の方が好まれる。確実に損するよりは、１／５でも損しないに賭けたいのは同感です。期待値を取ると、結果は逆なのですが、損失回避性など人の判断特性は期待効用論とは異なるのです。そんなこんな、人間の判断に対する行動学者による様々な実験が記させており、ほとんど全てになるほどと思ってしまいます。行動経済学は、代表的な経済理論＝合理的な経済人にモデル化される理論とは異にする、一般人が経済的な判断をする事象を研究したもののようです。発展過程ですが、読んでみると、ブラックボックスと思っていた人間の判断がここまで解明されつつあるのかと驚きます。概括して言えば、人間の判断の多くはヒューリスティクスに基づく。ヒューリスティクスというのは、画一的に物事が決まるアルゴリズムや方程式ではなく、感情や経験、イメージ、推測などがもとになって決まる事象です。経済的な行動でも（基本的には予測不可能な経済だからこそ）ヒューリスティクスに基づいているのだと解釈しました。そして、これは生物学的淘汰によって進化した人間特有の判断能力と有史以来構築され、生き残るために身に付いた文化的特性によって、司られているのです。ここまで言うと何か神がかり的ですが、どうもその領域に触れてきている感のする本でした。

  2007.11.19

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  投資の科学

  投資の科学／マイケル・J．モーブッシン・著リスクがあると言うことと予測不可能なことは違うらしいです。リスクはその確率がわかっており、よって回避手段も取りやすい。しかし、予測不可能なことは完全には回避し得ない。株式市場に関する動きは正規分布で説明されることが多い。このことからして、読みや予測の世界ではなく、多数の投資を繰り返すことで、一定のパフォーマンスに収束する（統計的には．．．）。だから、長期投資がもっとも健全な投資方針だと思います。そうかと思ったのは、正規分布ではないということ。正規分布といった瞬間にそれは確率の世界であり、リスクの世界。しかし、実際の動きはそれでは説明できない、不確実性の世界です。例に挙げられている、ブラックマンデー。１日にＳ＆Ｐ５００が２０％も下落するという減少は、正規分布に当てはめたとすると、宇宙の始まりから計算しても、起きる確率はほとんどないそうです。なのに、その減少は起こった。そこには市場メカニズムの持つ多様性や人間行動のモデルでは説明できない非合理性などがあります。これら市場において株価を決定づける様々な要因を、それぞれの観点でテクニカルに解説しています。その点で、投資を巡る科学をあらゆる面から学ぶことができる書です。ただし、これらの科学をインテグレートして、株式市場を予測しようとしても無理ですよ。それこそ、原子の数だけ方程式を解けるコンピュータでもなければ．．．

  2007.11.18

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  情報整理術 クマガイ式／熊谷正寿・著

  情報整理術 クマガイ式／熊谷正寿・著情報整理は重要ですよね。ついついたまってしまう書類の山。一時は片づけないことが一番！と思ったことがありました。整理すると頭からスコーンと抜けてしまって、結局やるべきことをやらないで終わってしまうことが多かったからです。したがって、「山」＝時系列整理．．．でした。でも、「ここにあるはず．．．」と思った書類にたどり着かないことも多く、最近はその時間ロスが致命的になってきました。よって、情報は整理されているのが一番です。この本、熊谷氏の情報整理術が余すところなく紹介されています。ここの話でも「整理を制すれば時間を制す」が成り立ちます。中身として、７つの原則に基づく整理方法が紹介されていますが、目的別・時系列・TODOのフォルダを使い分ける理論に納得。（実際やるには相当徹底しないと無理。信じるしかない。）中でも時系列の考え方がユニークです。時系列が単なる時間順ではなく、「予約」的な考え方であること。例えば、「時系列」フォルダには月～日まで曜日のフォルダがあって、毎週火曜日にやる作業などは「火」のフォルダに入れる．．．といったことで、自ずとそこに行動が向かう仕掛けになっているのです。これなら頭からスコーンと抜けてしまっても大丈夫。その他にも大技、小技が満載の本です。

  2007.11.05

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  もう、国には頼らない

  もう、国には頼らない／渡辺美樹・著言わずと知れた、ワタミＣＥＯの渡辺さんが「公」といわれる分野に挑戦している、その考えと実践の実録。ここ最近をみても、色々な企業の不祥事あるいは社会の問題に対して、官がどこまで対応・関与すべきなのか？わからなくなることがあります。端的なもので言えば、「いじめ」は学校の責任なのか、個々人の問題なのか？食の安全は国がどこまで監視すべきなのか？渡辺氏の持論では、ここで”公＝官”という考え方だと、官主導の不経済な社会になってしまうというのです。つまり、経営的な感覚がないとエンドユーザー（＝サービスの享受者）主体のもとにサービスが行われないということです。とにかく、民間の競争原理に任せるということは私も前から思っていました。様々な規制が「性悪説」の上に成り立っていることで、本来発揮されるべき力が発揮されず、経済発展を削いでいる部分が、かなりあると思うのです。とくに、教育、医療、福祉、農業、環境といった分野は公共性や国力の点で自由経済的な活動に委ねるべきでないという考えが当たり前とも思えますが、これはむしろ官の政策に植え付けられた感覚かも知れません。この御旗の下に官主導の政策が展開された結果、これらの分野は産業のお荷物になりつつあります。これを民間の力、自由主義経済のもとでの自浄作用で改革していこうという渡辺氏の志が、この本に著されています。そして、学校、病院、老人ホーム、農場の経営を通して、官の障壁に立ち向かった苦労話とそれを乗り越えた実録が示されています。読み終わったあとで、帯に書かれている「”ありがとう”を大切にする」という言葉をもう一度思い直してみると、ジンとくるものがあります。

  2007.10.25

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  小さな会社のすごい社長

  小さな会社のすごい社長！／羽山直臣・著竹田陽一先生のランチェスター戦略の実践実録。すごい、努力と工夫と信念がある経営者ばかりですね。弱者が勝つ方法、それは１対１の一騎打ちに持ち込む戦い方とその一騎打ちに勝つ圧倒的な濃密度の戦術です。その実例にはちょっとどうかなと思ってしまうのもあります。濃密度戦略とはすなわち、戦力は時間の２乗に比例するという理論。顧客満足を得ようと不眠不休で仕事をした末に、過労で命を落としてしまった本部長の例が掲載されていますが、これはあまりにも酷いのでは．．．取りようによってはこの心意気が美化して聞こえます。やっぱり仕事が人生の最終目的であってはいけない。先週号の東洋経済によれば、「仕事をめぐる価値観と優先順位」の国際比較はこんなかんじ。インド人は１位・宗教、２位・家族、３位・会社中国人は１位・家族、２位・コミュニティー、３位・会社日本人は、１位・会社、２位・家族、３位・趣味あいかわらず日本はそうなんですねぇ。といいつつ、割いている時間の割合で考えるとまさに私も上の「日本人」の通り。本の話から脱線しました。まあ、ほどほどに考えれば、中小企業経営者を応援する実録集ですね。

  2007.10.23

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  最新住宅業界の動向とカラクリがよ～くわかる本

  このところ忙しく、本を読むペースが落ち．．．県立と市立の図書館からそれぞれ各週毎に３～４冊借りて読んでいたのですが、今週は読み切れず、１冊残して返すことになってしまいました。最新住宅業界の動向とカラクリがよ～くわかる本このシリーズは大変便利だと思います。あまり深くはないですが、ターゲットされている業界やテーマについて四方八方からの情報や関連知識を知ることができて、教科書的です。ただし、著者編者の一方的な見方で書かれている部分もなきにしもあらずです。とろで住宅業界について言えば、これほど大手から零細まで同じ土俵（家を建てるということで大きく括れば）でビジネスをしているのも珍しいなと思います。もちろん、それぞれに特徴があり、狙う客層は違ったりすると思いますが、一般には家を建てるスタートの段階で、大手ハウスメーカーから地場の工務店まで選択肢に挙げられるでしょう。そんな業界において、戦後焼け野原の状態からとにかく住環境を増やすことが優先され、中身よりもどんどん造るというスタイルが、完全に終わりを告げたのがここ数年かも知れません。これからは新しい住宅販売のスタイルだったり、住宅そのものの考え方も新しいものがドンドン出てくるような気がします。他の業界ほど寡占化が進むことは当面ないと思いますが、中途半端な規模では厳しく、中堅から大手にかけての再編なども起こってくるかも知れません。

  2007.10.21

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  その死に方は、迷惑です

  その死に方は、迷惑です／本田桂子・著内容に割には随分失礼なタイトルだと思います。結構まじめ、というか真摯に「遺言」について説明されています。つまり、遺言書の必要性と生前三点セットと呼ばれる「財産管理等の委任契約書」、「任意後見契約書」、「尊厳死の宣誓書」の活用についての啓蒙書です。これによると財産のある人が作るものと思われがちな「遺言書」ですが、実は生命保険と同じように誰にとっても大事なものだということです。確かに、財産のことになると普段は仲の良かった兄弟が、一変、骨肉の争いに．．．という話は良く聞きます。財産が十分にあれば逆に争いは少ないかも知れない。知っている範囲でも、親の住んでいる家屋敷が、それも結構な街中にあるのに、兄弟４人が今の生活に十分な財産があるので、誰も引き取り手がいないとかって言う人がいます。一方で、何も争う気がないのに、最初から弁護士さんを立ててくる兄弟がいて．．．何て言う悩みを聞くこともあります。例え争いがなくとも、相続後の分割手続きは結構大変で、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の判を押して、印鑑証明をつけて、とかってやらないとできない。遺言書があれば、特に公正証書遺言なら、それ一発で相続登記でも何でもできるので、残された家族に余計な負担をかけないでための、最低限の思いやりということでもあります。確かにこの本の問うていることはよく判ります。世の中として、もっとこの考え方が普及すればハッピーでしょう。一方で、簡単で費用もそれ程かからないと言っても、一番確実な公正証書遺言には数万円かかり、保証人も２人必要となります。必要性が強ければ問題ないでしょうけど、何も問題がない状態で遺言書をつくるというの気が引けますね。願わくば、将来インターネットで公正証書遺言が作れたら．．．と思います。電子認証もやっているのですから、技術的には可能でしょう。そうすれば、「家族を愛するなら遺言」という時代が来るでしょう。

  2007.10.20

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  ウェブ進化論／梅田望夫・著

  昨夜はカミさんと子供たちを実家においてきてたので、今朝はシングル！マックでゆっくりと朝食を取りながら本を読んで、ちょっとばっかし、仕事をしました。いいのかな？と思いながら優雅な体育の日。ウェブ進化論／梅田望夫・著さて、この本。ベストセラーにはあまり手を出さない私ですが、ある先生から「名著だから読んだ方がよい」と勧められて、読んでみました。なるほど、イメージと違って技術論ではありません。ある意味哲学ですかね。先日読んだ「グーグル～既存のビジネスを破壊する～」でもかなり引用されています。インターネット社会の成立過程と行く末を、ユニークかつ本質的な切り口で論じていらっしゃいます。ムーアの法則で進化してきたコンピュータ社会。これだけでも秒進日歩の感がありますが、インターネットとグーグルに代表されるWeb2.0企業の登場で、単にＩＴで片づけられないパラダイムが現れてしまったのです。単に．．．というのは、この本の切り口だと巨人マイクロソフトは「こちら側」の企業、ヤフージャパンや楽天も「あちら側」にはいますが、従来の囲い込みの論理で閉じた世界（孤島）を膨らませているだけ．．．とのこと。次の進化（もう始まっている）は「あちら側」において圧倒的多数の表現者（インターネット利用者）によって、自律的に秩序が形成される世界なのでしょう。それはグーグルが狙っている（？）神の視点でもあると思います。実は古典的な思想である「神の見えざる手」が実現される世界かも知れません。

  2007.10.08

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  「葬儀」ビジネスの始め方・儲け方

  「葬儀」ビジネスの始め方・儲け方／野田一樹・著高齢化社会が経済に色々な影響を及ぼしていますが、人口はとっくにピークを迎え、死亡数は2001年から増加の一途だそうです。2006年は死亡数が109万人、これが2021年には151万人、ピークは2038年で170万人と推計されています。３０年後自分もその中に入るかも知れない年齢になっていますが、このような時代を反映して、葬儀ビジネスへの参入者はかなり多く、既に競争が激化しているとのこと。しかし、まだまだ葬儀というと”お定まり”の感じがします。やはり亡くなった方のことより、生きてる方への気兼ねがあるからだと思います。大変不謹慎ですが、多くのお葬式はつまらない。私の希望としては、お坊さんがお経をあげるのは良いとして、それを翻訳（現代語訳？）してくれないかな？と思っています。スクリーンを置いて、字幕が出ても良いかも知れない。お坊さん一人の念だけでなく、会葬者全員の念がこもった方が故人もうれしいと思いますが．．．そんなアホな話ではなく、この本は葬儀ビジネスに関するまじめな（？）指南書です。それでも、へぇ～こんなことまで．．．という葬儀ビジネスが紹介されており、それも競争ゆえの差別化戦略との話。周辺知識のために読んでみたのですが、自分の親の、そして自分の万が一の時のために、もうちょっと勉強しておいた方が良いかな？なんてことも思ってしまいました。

  2007.10.06

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