もはや手が届かなくなった管球式アンプ
本日、何気なくKTエレクトロニクスのHPを覗いてみて驚いた。管球式アンプ群の価格が10月から一斉に値上げされているではないか。それも半端な値上げではなく、ほぼ倍額に近いのだ。びっくりして早速大西正隆氏に確認の電話を入れてみた。ご本人曰く、昨今の部品の異常な値上がりでやむなく改訂したとのこと。特にトランス類だけでもプッシュプル系で10万円以上になってしまったようだ。今、日本製で手に入る新品トランスはタムラのみですが、製作元のタムラも売名行為で製作しているとのことで、造れば造るほど赤字が膨らむとか?。ということは、いつ販売をやめてもおかしくない状態のようだ。上のアンプは正式名称はHK-25で、10年以上前に限定発売されたものだが、大西宅に飾ってあったものを格安で譲っていただいた。大西氏ご本人が製作したオリジナル品で、パラレルプッシュプル用に今は無きタンゴの特注トランスが使われている。出力管のオリジナルはKT-88だが、バイアス調整機能がついているので私がKT-150に換装しているが、「今このアンプを作ったらいくら位になりますか?」と質問すると、「2台で80~90万円くらいでしょう」とのことだが、もう製作は困難でしょうとのことだった。これはHK-34で300Bプッシュプルのモノラルアンプ2台だが、当時キットが2台で38万円位だったと記憶しているが、これが何と65万円になってしまった。これはHK-33で300Bシングルロフチンホワイト式のステレオアンプ。これが39万円まで跳ね上がった。ラインコントロールアンプはHK-2010を使っているが、完成品で29万円ほどだったが既に販売は中止されている。原因は使用しているノグチトランスのファインメットコア出力トランスが会社倒産で入手困難になったためだ。以上のラインナップが我が家の管球式アンプ群だが、新価格で入手するには軽く200万円を超えることになる。システム全体でも400万円チョイほどだったが、これも500万円超のステレオシステムになったことになるが、「そんな音は鳴っていないな~」とつくづく感じる。こうなってはもはや○ビマニアには高嶺の花になってしまった感がある管球式アンプ。仕方ないから手持ちのアンプを大事に使うことと、大西氏にはせいぜい長生きしていただいて我が家のアンプのメンテナンスをお願いしていくしかないと考えさせられたでき事だった。