伝統とは?
きのう、何気に道端に咲いているたんぽぽをつんだら、がくがそっくり返っていない(外来種のセイヨウタンポポでなく)在来種のカントウタンポポだったので、あわてました。しまった!と思っても、もとにもどるわけでなし、とってしまったことを後悔しながら、花弁の数も控えめな、色も完璧に美しいその貴重な、日本にもともとあった花をつくづくと観察させてもらいました。撮影shinobu(フィドラー) カントウタンポポを見たのは、始めてです。主張の強い西洋のものに追いやられたその可憐な花の姿を見るうち、消えて行くかもしれない日本の文化、着物や、家屋、そして、日本の伝統音楽に思いあわせました。でも、17,18世紀から受け継がれるアイルランドの音楽が、今日まで生きながらえ、若い世代に楽しまれ、世界で楽しまれているのはどうしてでしょう?日本語で伝統というと、昔からのやりかたを忠実に受け継ぐ、という観念が占めますが、アイルランドの伝統はそこはかなりフレキシブルです。その時代、時代で、人々の要求に合わせ、流行りがあればそれを取り入れ、生きながらえてきました。そして、もちろん個人主義の国ですから、個というものの役割がとても大きく、弾きかたや、アレンジの仕方などを総合して、それはスタイルと呼ばれ重要視されます。日本の伝統文化では、自己というものは、先人からの技と精神を受け継ぐときに邪魔するもの、精進を妨げるものとされるのに比べると大きな違いです。アイルランドの伝統音楽では、現在に生きる個人は、伝統にかかわっていくだけでなく、伝統を創造する一員でもあるのです。アイルランドの伝統音楽は、伝統の手法を素材として、自己表現することなのです。(伝統が伝統でなくならない枠の範囲で!)私は、どうしたって日本人だし、日本のことが大好きなので、日本の伝統の音楽をフィドルでも弾きます。もちろん、自己流のアレンジをいっぱい入れて!!そのときは、どうか、そんなの日本的じゃないとか、亜流だとか、やかましく言わないでくださいね。