泣くのだろうか
とある理由から、
見舞いに通う帰りのバスで
思い立った。
帰ったら、
ベランダのプランターを全部片付けよう。
ドアを開け、
鞄をおいて、
そのまま、
ベランダに向かう。
なにも考えず
ただ淡々と作業をすすめ、
たった一時間で8年間を綴じた。
幸せなラベンダーも
力強いミントに
小さな野菜たち
いただきものが根付いたアイビーや
大好きなあさがおも
そのツルが這うネットも
無くなることは、
あまりにも性急で
短絡的な装いが
死に似ている。
何もかも一瞬。
デッキブラシでベランダを洗い
緑のない無機質な風景に
傷まない気持ちは
心の消耗の裏返しかな。
明日の朝、
明るみに見ると
泣くのだろうか。