限り
あの人の分まで生きる。
そんな言葉を聞き流していた
何処か遠くのことだと。
彼女の急逝と
あまりに簡素なセレモニーに
涙も出なかった。
顔も拝見できずに
いつまでも実感がなくて。
帰り道、
嵐電に乗ってから
帰宅の連絡を娘に入れて
普段と変わりない会話をしたら
涙が溢れた。
変わらぬ日常は
こうしてあるのに、
もう彼女はいないなんて
もう会えないなんて。
棺に入れて貰おうと手紙を持参した
けれども渡せなくて持ち帰った。
桜のシールを貼ったその手紙を
生ゴミと一緒に捨てた
それが現実。
明日、彼女は物理的にも存在を無くす
命なんて
なんてちっぽけなんだろう。
なんで死んだんだよ
改めて繋がりを遺して。
死んだらおしまい。