ロックに涙
懐かしい歌声がすっかり忘れていたメロディーをなぞる。この曲を繰り返し聞いたのは道路の音がうるさいマンション1階の一室。その部屋ではいつも彼女の歌が流れてて今でも不意に口ずさめる。再結成の特集を番組で観て絶頂期の当時彼女もまた悩んでいた事を今になって知った。なに不自由なく見えるスターに半ば嫉妬のような羨みを抱き、比べた現実を怨み暮らしあがいていた若き頃、同じ時代を変わらぬ悩みを抱えていたのか再結成ライブ会場のお客さんがバラードではない、ハイテンポなロックな曲に泣いていた。彼女もまた私と同じその年代でその頃を過ごしたのであろうこの曲が呼び出したのはどこかの一室背負った荷物の重さに不満をつのらせ堪えた拳よりもっともっと今の方が重くてもずっと優しく笑える。それもきっと彼女も同じなのかも知れない。時間を重ねるということはきっとそういうことで音楽の力は忘れていた気持ちを思い出すことのできる魔法と頑張りの力をくれるおまじない。