『デイジー』/ひさびさ
『僕の彼女を紹介します』の公開から一年半以上、チョン・ジヒョンの主演作『デイジー』がやっとこさ公開されるということで、昨日さっそく見てきた。チョン・ジヒョンが出ていれば、個人的な採点は非常に甘くなると思っていたけれど、むしろ拭っても拭いきれない期待感をどこかで持ってしまうらしく、私の場合は今回も大いに不満を感じてしまった。オランダで骨董屋の仕事を手伝いながら、野原に咲くデイジー(ヒナギク)を写生したり、広場で肖像画を描く日々を送るチョン・ジヒョン。まだまだ恋に恋してしまう夢見がちなこの画学生を軸に、オランダで麻薬捜査をするこざっぱりしたインターポールと、内気で童顔の暗殺者が不思議な三角関係を繰り広げる映画、と私は見た。中盤、三者三様の気持ちの極まりを描いたワンシーンが結構素晴らしく、ああ、この場面があればもう満足かな、と一人思い決めたものの、その後の展開は疑問符の連続点灯になってしまった。あまり難癖をつけまくるのは未見の人には不愉快かも知れないけれど、あまりにも説明不足であり、強引に話に決着をつけようとするような雑な展開では、脚本そのものに疑いを持ってしまうのも仕方のないことなんじゃないかな、と思う。荒唐無稽さと人物設定の不思議さが、単に粗雑な描き方にしか見えなくなってしまったのは残念なことじゃ。『ほえる犬は噛まない』でペ・ドゥナと共演していたイ・ソンジェはお気に入りの俳優の一人だが、彼の存在意義が意味不明になる後半の展開といい、あるいは自分の頭が固いだけなのかと、筋を辿り直し、あちらからこちらからためつすがめつ眺めてみたけれど、観客を何だと思ってるんだ! と言いたいような気分は消えなかった。多分、監督や脚本家の頭の中には、こうなってこうなってこうなる、という展開と、基本的な人物の性格設定とか苦悩のテーマなんかだけが決まっていて、それをほいほい転がして撮っただけなんじゃないか、という気がする。映画を撮るのは難しいことだろうということを察する。とにかく、チョン・ジヒョンの次に再び期待だ!!と、実にひさびさに日記を更新しました。