白い風船の話。
あるところに、一つの白い風船がありました。その風船はある女の子に所持されていました。女の子は風船が好きでした。風船は女の子が好きでした。しかし、風船は時が経つに連れて女の子が好きではなくなっていったのです。それは、女の子がこんな事を言ったからでした。私の傍から離れないで、と。風船が少し風に揺れると、女の子は怒りました。それに風船は耐えられませんでした。それでも風船は、自分の居場所はこの女の子の傍しかないと思っていました。だから彼女に嫌われる事はないようにと、そんな風に気を配っていました。しかしある日、強い風に風船は大きく揺れました。それに対して女の子は怒ります。そしてようやく、女の子は風船を結ぶ紐を握ったその手を離しました。風船はようやく、自由になれたのです。そうして、真っ白な風船は、真っ青な空へと逃げていくのです。真っ赤な太陽に向けての旅路は、始まったばかりです。