よろず屋の猫

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  『XXX HOLiC』　12巻　CLAMP作　感想

  表紙は侑子さん。見開きの中表紙で、桜の木の下、小羽ちゃんを抱っこするワタヌキ。着物が色違いのお揃いで、小羽ちゃんが可愛いですー。桜の中でお花見で、相変わらずつまみ作り担当のワタヌキ。しかし皆が集まってくれたのは、実はその日が４月１日、ワタヌキの誕生日だから。その最中、夢の中に入ってしまうワタヌキ。遙が語る「対価なくやりとり出来るのは“想い”だけ。」と言う言葉。そしてサクラ姫が現れる。目が覚めるワタヌキ、侑子はサクラ姫の魂は身体を離れて夢の中に居ると言う。長く続けば死ぬ、と。「サクラに何かあったら心配している人たちは?。」と問うワタヌキ。そう思えるのはワタヌキが選んで変化したから。「自分を変えると言う事は、未来を変えるということ。」前に占いで侑子に「蝶は変化の前兆」と言われた。夢みる蝶は侑子なのか。これはワタヌキの夢?、それとも侑子の夢?。「夢は繋がっているから。」同じことと侑子。夢の中で再びサクラ姫と会うワタヌキ。「あなたが会ったのはどちらの小狼君?。」片方の小狼はフェイに刺された夢を視た、それを現実にしたくなくて夢に居るサクラ姫。ワタヌキの苗字“四月一日”、それはサクラと小狼の誕生日、そしてワタヌキの誕生日でもある。TV放映でより霊感の強い小羽ちゃんは、他の霊感者には見えないモノが見えてしまう。世間の人はそれを認めない、そしてバッシングに合っている。その小羽ちゃんのところに、お弁当をもって訪ねるワタヌキと百目鬼。留守電に入る「死ね。」「死ね。」・・・と言うメッセージ。しかし小羽ちゃんは「大丈夫。」と言う。「オレが大丈夫じゃない、小羽ちゃんの事が好きだから。」とワタヌキ。小羽の能力を生活の糧にしている母親は怒りまくって帰宅、ワタヌキに熱湯を浴びせる。「わたしの好きな人に痛い事をしたのは許せない。」と母親に言う小羽。夢の中でまたサクラ姫と会うワタヌキ。ワタヌキと小狼、心が似ていると言うサクラ姫。夢の中でワタヌキは両親の名を思い出せないことに気付く。頻繁に眠ってしまうようになっているワタヌキ。ひまわりちゃんとランチ時の会話から、自分が作ったものを食べた記憶がないことに気付く。いつが夢で、いつが現実。百目鬼とひまわり以外、お店の客と死んだ人、そして妖し以外の記憶がないのは夢だからか。「オレは人間じゃないんですか?。」侑子は「いいえ、人間よ。」、小狼とおなじように。何故小狼はワタヌキがいなくならないように対価を支払ったのか。「貴方とあの子は同じだから。」自分がいなくなったら悲しむ人がいる、その人たちのことを考えると悲しい、自分も悲しい。ワタヌキがそう思えたことで未来は変わった。夢には二つある、起きてみる夢と、覚めてみる夢。どちらの夢も強く願えば現実になる。侑子に夢はあるかと問うワタヌキ。あるのなら叶えるために一生懸命がんばりますから、と言う。侑子はその言葉に驚いて、そしてワタヌキを抱きしめる。こんなに長くあらすじを書くつもりはなかったんですけど、書いているうちにいつの間にか・・・。物語りも佳境に入ってきて、『ツバサ・クロニクル』とのリンクも深くなってきました。私は『ツバサ』は読んでないんですよね、『カードキャプター』のサクラと小狼が好きなので、二人の成長した話は読みたいと思ってるけど、パラレルは興味なかったので。でもひょっとしてパラレルってだけではないのかと思わせる。うーん、『ツバサ』を読んでないと分からない面も多いので、やっぱり読むべきかなぁ。あちらでは大変なことになっていると言う話は子供からは聞いているんですが。(子供はお友達から借りて読んでいる)ワタヌキが良い子で・・・。読んでて涙が出そうになってくる。特に小羽ちゃんのエピソードのワタヌキが心優しくて良いです。小羽ちゃんもワタヌキに触れていることで変化が起きている。小羽ちゃんの話は容易に憎しみの対象を作ってしまう人のあり方と言うものを考えさせられてしまう。ワタヌキが自分の両親、そして作ったものを食べた記憶がないことに気付く辺りにゾッとしました。いままで出てきた霊の話より、私にはこちらの方が怖かった。ワタヌキを心配する百目鬼が良いし、前はどこか不安定だったひまわりちゃんが落ち着いているのも良い。そして夢の中に現れる遙さんが良い。遙さんの泰然とした姿見てると、そして百目鬼とひまわりちゃんが居れば、ワタヌキに悪いようなラストにはならないと期待できます。次のワタヌキの誕生日会はハッピーに行ってて欲しいと思うわ。謎をしかけてる巻なので、これが一つの筋道にたどり着くのは次巻以降でしょう。『ツバサ』と共に、どうラストに持っていくのか楽しみです。ツバサってもう２０巻も出てるのか。大人買いでもちょっと辛いなぁ、悩みどころ。【予約】 ツバサ（21）

  2007年10月20日

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  『CLAYMORE・クレイモア』　13巻　八木教広 作　感想

  表紙はクレイモアを抱えるクレアです。リフルからクレイモア達を助けるクレア、ミリア、デネブ、ヘレン。クレアはリフルから自分達が隠れ潜んでいた七年間の間に変化した状況を聞く。無事逃げ帰ったクレアたち。現No.3のオードリーから、ガラテアが組織から離反したことを聞く。一方、現No.47のクラリスはNo.3のミアータと、ガラテア粛清の任に就く。他、番外編でテレサの話とミリアの話。月刊誌連載ってこともあるだろうけど、これ位話が進むと読んでても面白い。最近の週刊少年ジャンプって無駄に話が長すぎるマンガがあると思うよ。12巻では大きな事言ってたレイチェルなので、組織が現在のクレイモアには新たな力になるようなものを開発していたかと期待してたんですけど、でっかいのは気持ちだけでした。リフルがやられるとは思ってなかったけど・・・。リフルじゃなくてもがっかりだわ。だいたい普通の覚醒者並の妖気に疑問を持たない時点で、戦士としてどうかと。プリシラ前にして、どちらが強いかを感じてさっさと引いたリフルとは格が違う。リフルが欲しいのは妖気感知の能力、でも取りあえずオードリーとレイは覚醒者にすることに。「少しずつ命削ってあげるから好きな時に覚醒なさい。」「正直言うとどうしても欲しいって訳じゃないから、死ぬ間際で手を抜いたりしないわよ。その辺は自己判断でお願いね。」良いなぁ、悪キャラとしての貫禄充分。助けに入ったクレアたち。クレイモアを抱えて、リフルの前に立ったクレア、ミリア、デネブ、ヘレン。覚醒者狩りで会った４人が、あの頃からはとても離れたところにきているのに、変わらずチームでいる。感慨深いものがあります。相変わらず自由行動のクレア。(笑)リフルに聞くイースレイの真の目的と現在の状況。プリシラは深淵の者の誰よりも強い。原作を愛する方々には叱られそうですが、私はイースレイ(とリガルド)はアニメの方が魅力的だと思う。でもそのイースレイが惚れた女・プリシラの為に、こんな大騒ぎ起こしてたって言うのは、「お、良いじゃないですか。」と思ったわ。覇権が欲しいなんてありきたりじゃないところが面白い。リフルは妖気感知に優れた能力を持つ手駒が欲しい。「面白いものを拾った。」と。ラファエラですかね・・・。そうだとしたら気の毒過ぎて涙が出そう・・・。話は変わってクラリスとミアータ、ガラテア粛清の仕事に就いている。クラリス、弱すぎ。ミアータは第六感で戦う能力を持つ。戦いっぷりが凄まじいです。素手で妖魔を殺してます。この強さと、彼女の精神的な不安定さ(“不安定”なんてレベルじゃないと思うけど)を見ると、次の深淵の者はミアータじゃないかって気がしてならないわ。とある街の前で佇むクラリスとミアータ。「ここにいる。とても強い戦士。」とミアータ。ガラテアさんが好きなので、死んで欲しくないです。番外編はテレサがNo.2のローズマリーから黒の書をもらう話。『CLAYMORE』屈指の魅力的なクレイモアですからね。過去話でも読めると嬉しいです。もう一つはミリアが覚醒者と戦うが、それが友・ヒルダだったと言う話。オフィーリアってこの時から既におかしかったのか。私はオフィーリア、好きなんですけどね、覚醒者になって死んでいくシーンとか好きだし。ヒルダの話から、現在に繋がっていく良い短編だと思いました。ジャンプSQで本格的に連載再開ですね。明日発売のジャンプに読みきりが載りますが、これも番外編だし。月刊誌なので単行本発売のペースは遅いけど、中身が濃いから読むときの満足感が大きい。本編の話を早く進めて欲しいですー。

  2007年10月05日

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  『銀魂』　空知英秋 作　20巻　感想

  表紙は神楽パパ・星海坊主。こうやってればカッコ良いんだけどねぇ、宇宙最強なんだし。銀魂も20巻か。10週打ち切りに怯えたマンガだと思うと、感慨深いものがある。週刊少年ジャンプで感想を書いてる回ばかりなので、簡単に。真選組動乱編・完結編先ず、前から読み直しましたよ。やっぱり一気に読むのって面白いワー。どいつもこいつもいかした野郎ばっかりでねぇ。私がこの話を好きなのは、「伊東君、君も今日から僕らの仲間だ。」で終わらせずに、あれだけの事やった伊東にきっちりけじめをつけさせたことですね。だから近藤も土方も伊東もカッコ良いんですよ。動乱編の後日談私も屋形船で高杉とご一緒して、三味線聞かせて頂きたいものです。山崎よりも愛犬の死に嘆き悲しむ松平のとっつぁんの方が主役・・・とか思っちゃうのは、アニメの岩本御大の声で脳内変換してるから。土方がカッコ良いけど、これからもオタが顔出すことがあるんだろうか...orz...。編集の大西さんに捧げる“ギンタマン”てこ入れ。空知先生の書いた、この話を書くことになった裏話を読むと、一挙に面白さがUPした。編集さんって、なかなか凄い人種だな。星海坊主が星を救う話これ週刊ジャンプで読んだ時は、最初、何を書きたいんだろうかと思いましたよ。SF的には壮大な話なんだけど、高速ですっ飛ばしてるし、説明が多いし・・・。えぇ、最後には盛大に突っ込ませていただきましたとも!!。普通やるか、二週も使って、こんなオチ。神楽ちゃんの傘の話これ凄く好きです。今週のジャンプの感想に銀さんがたまにねじを買ってあげるシーンがありましたが、私、「女の子に何か買ってあげるの始めてじゃないか。」とか書いちゃいましたが、神楽ちゃんに傘を買ってあげてたじゃんねー、１００円だけど。神楽ちゃんがひたすら可愛くて。『銀魂』はセリフが多いけど、この神楽ちゃんのシーンはセリフを全く入れずに絵だけで表現してるんですよね。それがすごく良いです。山崎が攘夷志士に潜入捜査の話どうして山崎って、主役を他のキャラにかっさわれちゃうんだろう。イヤ、そう思ってるのは私だけか?。アニメでこのヅラが早く見たくてたまりません。万事屋の夏休みの話この話がもう単行本に載っちゃうのか。水着の女の子見て鼻血出してる銀さんと新八見たときには、この話があんな話になるとは夢にも思いませんでしたが・・・。自分は独りと思ったときにしでかす行動が何度見ても可笑しい。一番はやっぱり新八とマダオかな。今アニメでやってる“柳生編”の九ちゃんも出てきますが、九ちゃんは“柳生編”後が圧倒的に良いですよ。だって可愛いんだもん。あれ、銀魂の感想なのに、落ち着いた雰囲気になっちゃってる?。(←これでも)21巻は12月発売。私はカレンダーは圧倒的に原作の方が良いと思ってるけど、『銀魂』はアニメも良いなぁと思う稀有な例だと思いまーす。　http://shougetu16.exblog.jp/tb/6579477

  2007年10月04日

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  『キスよりも早く』 1巻　田中メカ 作　感想

  酔った勢いで買わないつもりでいた『キスよりも早く』を買ってしまいました。寒い中、フラフラ歩いて熱出してる私は大バカですわ。両親を亡くして路頭に迷っていた文乃は、心配してくれる担任の一馬に「同情するなら結婚してくれ。」と言う売り言葉で、本当に結婚することに。文乃の弟の鉄平ともども一馬と同居。文乃は一馬に惹かれ始めて・・・。田中メカさんは『お迎えです。』がすごく好きなんですよね。↑をブックオフで買ってしまったもので、メカさんには著作権料入らないのが申し訳ないって思ったくらい好きなマンガなのですよ。なのでその後のマンガを書店で買っているのですが・・・。えっと、甘ーくて、少女マンガで許容範囲の可愛いＨィ話がお好きな方なら、楽しく読めるかと。設定が今までの作品とかぶってるところが多いなぁ。弟の鉄平ちゃんがメチャクチャ可愛いです!!。毎回のコスプレが楽しい、えぇ、主人公の文乃よりも・・・。コスプレもメカさんの売りの一つですよね。田中メカさんの絵は好きなので、男キャラも、女の子キャラも素敵。私、田中メカさんは短編が好きなのです。短編の名手だと思う。『お迎えです。』も短編連作なのが良かったのかも。なので、同時収録の『月とひまわり』が良かったです。実は購入したのも、こっちが読みたかったからで。続きが読んでみたいけど、『七時間ラプディー』みたいになっちゃうのも何だしなぁ。あれも一作目はすごく面白かったんだけど・・・。ヒロイン同士が同じ高校の同学年と言う設定らしいので、『月とひまわり』の美月と朝日が『キスよりも早く』に出てくることを期待。文庫が出た『お迎えです。』は本当に面白いです。ブックオフででも見かけましたら、是非読んでみて下さい。私は初期のふんわかであいまいな雰囲気の方が好きだなぁ、メカさんは。　

  2007年09月30日

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  『桜蘭高校ホスト部』　 葉鳥ビスコ作　11巻　感想

  今回は前巻からの続きで体育祭の話。たぬきの恩返しの話。ハルヒを巡って常陸院ブラザースの仲にひびが、の話。全体として話が動いてきたなと言う感じでした。主人公のハルヒは余り目だってない。先ず体育祭。“体育”祭だと言うのにひたすら頭脳で勝負の白組大将・鏡夜。対して楽しさを追求の赤組大将代理・環。桜蘭高校はセレブのお坊ちゃま、お嬢様が通う学校だからして、パン食し競争に老舗パン屋さんのクロワッサンが出てきたり、応援合戦の赤組だけゴージャスだったりしてますが、それ以外は普通の競技。真っ正直の一直線・環には、さすがのクール・鏡夜も動かされるよねって言うラストでした。次はモリ先輩がおにぎりをあげたたぬきが恩返ししてくれる話。↑これはいつものホスト部っぽい話ですが、このエピソードの中で、ハルヒが常陸院ブラザースに、環のことを話す。光はそれが気に入らない、その気持ちが自分でもよく分からない。それで馨が「それは光がハルヒの事を好きだからだよ。」と言ってしまう。ところで馨もハルヒを好きなので、二人の間がギクシャクしてくると言う、逆ハーレムマンガに相応しい展開に。次巻の予告見るとますます二人の仲は動きそうです。私は常陸院ブラザースにはいつも仲良く悪巧みしてて欲しいので、ハルヒくらいのことで(ごめんよ、ハルヒ、主人公なのに)ちょっと寂しい。どうせ二人とも失恋だし・・・とか言ってみる。でもいい加減話が動いて欲しいなぁと思ってたので、先ず常陸院の方からでも話が進みそうで面白くなりそう。もう一つ話が動いてまして、二年生はフランスに研修旅行なんですが、母親がフランス在住、祖母に母と会うことを禁じられている環は行かないことに。それで体育祭で絆が深まった鏡夜が何か行動を取りそうなことを匂わせてます。これも先の展開が楽しみ。環が自分の気持ちに気付かないと、ハルヒも変わりようがない流れかなって気がするので、環には早く自覚して欲しい気持ちでいっぱいです。あくまで動き出したって感じなのと、桜蘭独特のバカバカしい面白さが薄かったせいもあって、個人的には11巻は余り・・・。そんな中、変わらぬモリ先輩とハニー先輩に癒されました。一番面白かったのは番外編の、ハニー先輩の弟君・チカちゃんが実は小動物(特にひよこ)好きと言う話でした。おまけの“本日のイチャ絵”の環が可愛い。子環はかざぐるまのやしちになりたかったそうですよ。桜蘭高校のゲームが出たので、羽鳥先生がプレイしてみたおまけ話が。絵が超美しく、とにかくセリフが楽しいとのことです。

  2007年09月09日

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  『有閑倶楽部』祝.ドラマ化・・・ってことで一条ゆかり先生語り

  一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』がドラマ化されることになりました。セレブなんて言葉をみんなが使いまくってない時代に、超お金持ち高校生達が巻き起こすコメディーを描いたマンガです。公式HPはこちら。↑まだトップページのみだけどね。主要登場人物は以下の通り。剣菱悠理（けんびしゆうり)日本有数の剣菱財閥のお嬢様、黙ってれば美形だが、実は大食いのおバカ。運動神経バツグンなのでアクションと、霊感ありでセンサー担当。白鹿野梨子（はくしかのりこ）日本画の大家を父に、茶道家元を母にもつ、和風美少女。眉目秀麗、頭も良し。しかし運動音痴。男嫌い。黄桜可憐（きざくらかれん）宝石商の母を持つ、ナイスバディな美女。人生の目標は「玉の輿」。男への色仕掛けで情報収集担当。菊正宗清四郎（きくまさむねせいしろう）大病院の院長の息子。倶楽部の頭脳。毎回トップを取る頭の良さだが、拳法の達人でもあり悠理より強い。松竹梅魅録（しょうちくばいみろく）警視総監を父に、元華族のお嬢様を母に持つ。ヤクザ、警察双方に顔が利く。メカ担当。美童・グランマニエ（びどう）スウェーデン大使の息子、母は日本人とスウェーデン貴族のハーフ。長い金髪のナルシスト、世界中に恋人がいるプレイボーイ。女への色仕掛けで情報収集担当。他の登場人物の名もお酒にちなんでます、一条先生の趣味が出まくり。お金持ちのお嬢様、お坊ちゃまを描くマンガはその前にもありましたが、『有閑倶楽部』はきちんと小物を描くことによって、お金持ちの雰囲気をちゃんと出してたところが、全然違ってました。とくに食べ物のシーンは、作者の趣味もあってか、描写が丁寧です。制作費はケチらず、セレブな雰囲気をバンバン出して欲しいです。キャストは魅録だけ発表されているようで、赤西君。聞いた時は「えー!?。」でしたが・・・。赤西君って整った顔しているから、美童が似合うと思うけどなぁ。美童の自己陶酔ナルシストっぷりを演じて欲しいと思ったりする。他のキャラにも美少女、イケメンを揃えてくるんでしょうね。悠理を誰がやるのか興味がある。アイドルタレントにあのキャラが演じられたら、褒め称えますよ、えぇ。これは六人揃って面白い話なので、魅録を主役にする話にはして欲しくないなぁ。まぁ、ドラマですから、たぶん別物だろうとは思ってますが。ここからは一条ゆかり先生について。集英社(と白泉社)系の少女マンガ読みだった私にとっては、一条ゆかり先生は別格なのです。お洒落なマンガでした。キャラの女の子がフリルヒラヒラの洋服着てるのが可愛いと言う時代に、パリのモードを取り入れていた方です。愛憎劇とコメディーと両方描かれるマンガ家さんです。愛憎劇の方は『砂の城』が有名ですが、実は私は余り好きではない。『デザイナー』、『恋のめまい愛の傷 』が好きです。『デザイナー』が描いた服がほんとうに素敵で、子供だった私は、本気で将来はデザイナーになりたいと思ったものでした。一条ゆかり先生の描く愛憎劇は、感情表現がオーバーなところがあって、余り好きではなかったのです。最近の作の方が抑制が効いてて好きです。好きだったのはコメディー。『ジェミニ』とか『星降る夜に聞かせてよ』とか大好きでした。『りぼん』での最後の方の仕事となった『女ともだち』も好き。今でも一番好きなのは、貴族の双子と殺し屋とスリの四人組の『こいきな奴ら』です。タイトル通り、“こいき”で、当時の少女マンガには余りないストーリーで、ワクワクしながら読んだものです。現在も『コーラス』で『プライド』をお描きになっている一条先生。レディースコミックが創刊されてブームになり、ベテランマンガ家さんがそちらに流れた時も、『りぼん』で“現役”だったマンガ家さんです。自分の描きたい物にふさわしい雑誌が出来てから、そこに移りました。既に四十年近くのキャリアをお持ちですが、過去の人とならずに描き続けてます。これからも頑張って欲しいです。↑なんて、わたし如きが言うのもおこがましいですが・・・。↓長期に渡って描かれてるマンガなので、絵のタッチが変わってきてるのも面白い。【重版予約】 有閑倶楽部全10巻セット下は『有閑倶楽部あらかると』。高いから買わずにいたけど、ドラマ化で熱再燃で、買ってしまいそうだ。

  2007年09月02日

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  『花よりも花の如く』 5巻　成田美名子 作　感想

  今月はチェックしているマンガの新巻が多くて・・・ネッ友のカマンベールさんの記事で知って、慌てて買いに行きました。成田先生が描く能のマンガです。今巻は主人公・憲人の従兄弟、10才の海人君が舞台の怖さを知り始め、能をやめると言い出す話。海外公演で韓国に行く話。そして憲人の弟で養子に出された西門と、自分とで、師匠である祖父がどちらを養子に出そうか迷っていたと言う話を聞いて、憲人の心に氷塊が出来ると言う話。(これは次巻に続く)特筆すべきはやっぱり能の絵の美しさです。衣装、装備品まで本当に丁寧に描かれていて、これをプロと言うのだよと思います。話に派手さはないですが、能の世界で生きることが憲人の日常と感じられて、そこが良いのです。憲人は能を愛し、能のために一生懸命ですが、とくに凄い人というわけではありません。そこに笑いも挟まれていて、本当に“日常”なのですね、ただ生きている世界が“能”なだけで。今回の大部分は韓国への公演の話なので、それを。1999年の話として描いてます。日韓の関係はまだ良好とは言えず、日本文化の開放もやっと最近・・・と言う頃の話です。反日感情もまだまだ強い中に公演に行くので、トラブルも起こります。能の公演をやったからって、それで一挙にクリアと言う描き方はしていません。自分達はベストを尽くすと一同頑張ります。この公演を企画した女性は理由を、(韓国の人が)「日本」と聞いてイメージするのはネガティブなことばかり、お能を見てもらえたらそこに「きれい」が加わるかなと思った、と言います。長い間の感情は変わらない。けれども少しずつ変わっていくことは可能なのだと思わせる話でした。ところで成田美名子先生のマンガをずっと前から読んでいる方には、登場人物にだった方も多いのでは。そりゃそりゃ素敵なイケメンがいっぱい出てくるマンガでしたから。『花より花の如く』にも西門と言う超イケメンがいるのですが、何せ脇役になってて、前作『NATURAL』の歪んだ性格(←誉め言葉)が鳴りを潜めてまして。(成田先生は所謂スピンオフって感じの、一つのマンガの登場人物を、別のマンガの主人公にして描くと言う作品が幾つかあります。『NATURAL』はバスケ部の高校生が主人公、けれど弓道も好きで、その理想の形として西門がいる、当時は浪人中→大学生。憲人は西門の“従兄弟”としてわずかに登場するだけです。ちなみに憲人の家は弓道場で、能の師匠は母方の祖母です。)どうも寂しいなと思ってたら、出てきました。狂言方の宮元芳年、すっとぼけてて良いです。若手が会を立ち上げて打ち合わせをするんですが、そのシーン。年二回公演を計画してますが、心配なのは客の入り。「大丈夫だろ。良い男がいるから。」と言うジョークに、「オレか?。」「オレの事か?。」と他のメンバー。ところが真のイケメン・芳年は黙ってる。「良い男なんて言われたことないんで。」「“悪い男”ならありますけど。」と真顔。(←ここが重要)会の話はこれからも出てくるでしょうから、楽しみが出来たというものです。そこに居合わせた西門。実の弟でありながら、子供の居ない叔父の養子になって、今は大学に通っているので、一緒に住んでます。ちなみに西門は弓道の大学生チャンピオンで、神主さんでもあります(叔父の家が神社)。憲人は西門が養子に行くと聞いて、これで能が続けられると思ってしまった子供時代があるのです。祖父がどちらを選ぶか迷っていたと聞いてしまい、憲人の心には氷塊が出来る。うわー、ここで“続く”ですか。このマンガ、新巻出るペースが遅いんですよね。早く続きが読みたいです。西門に『NATURAL』の頃の魅力を出してくれると良いなぁ。

  2007年08月25日

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  『君と僕。』　4巻　堀田きいち作　感想

  堀田きいち先生の“脱力系青春グラフィティ”『君と僕。』の最新刊です。左があきらで、右がこーちゃん。こーちゃんは悠太達の高校の先生です。1巻の左が悠太、右が祐希。2巻の左が千鶴、右が要。3巻が春と、帯に隠れちゃってるけど茉咲。　　 私のお気に入りは淡々と冷たい冗談を言う悠太君。もうこのゆるさがたまりません!!。要:秀才、お金持ちのおぼっちゃま悠太:双子の兄、四人の中では大人祐希:双子の弟、ゲームとアニメオタク、イケメンでモテモテ春(しゅん):女の子にも間違えられる優しい男の子この四人は幼稚園からの付き合い。話が進むに連れ、茉咲:四人の一つ後輩の女の子、春が好き、4巻では余り出番なし千鶴:転校生、茉咲が好きが加わってのお話です。表紙は連載開始当初の主人公、四人の幼稚園時代に職場体験に訪れたあきらと晃一です。おまけに初期のような二人の4コママンガも入ってます。4巻は、“タッチ”と言うほぼ鬼ごっこの話、食堂のお姉さんに祐希が興味を持つ話、5人で幼稚園に職場体験に行く話、千鶴が外人さんに自分の子供と間違えられちゃう話、食堂のお姉さんがやめることに、祐希は?と言う話、です。このマンガには熱い叫びも、涙もありません。それと真反対に生きてる登場人物たちが、でも青春しているマンガです。「若い者が熱く生きないでどうする」と言う方には絶対お薦めできません。(笑これが笑えるんですよ。セリフは淡々と“ポンッ”て感じで出されてるんですが。幼稚園の先生体験から一つ。五人は幼稚園に職場体験に行くわけですが、子供はパワフル。で、双子はイケメン設定なので女の子に囲まれます。「あたし、およめさんになってあげる～。」「いや、いきなりお嫁さんはちょっと・・・ちゃんと段階ふみたいんで・・・。」(悠太)「なんでお兄ちゃん達顔が一緒なのー?。」「なんでもお揃いなんだよ。なかよしだから。」(祐希)↑これがまたゆるゆるで出るセリフなんですね。でも話は「良いなぁ。」って思えるラストになっている。今回は祐希が食堂のお姉さんに興味を持つ。でもお姉さんはやめちゃう。たぶん恋なんだろうなぁ、でも本人は自覚はないんだろうなぁ、と言う淡さが良い。“未満”と言う感じがするんです。３巻では悠太がそんな感じでした。この双子はとても仲が良いので、そんな兄弟の様子を唯一気が付いている。悠太の時は、祐希が甘えて、それが慰めみたいになっている。今回の祐希には、悠太は、祐希がいつも通りに机に突っ伏してグータラ寝てる姿に微笑む。二人の関係、キャラの違いが良く出てるラストだと思いました。隔月刊の雑誌に連載してるんですよね。次の単行本は来年春、待ち遠しいわ。

  2007年08月22日

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  『夏目友人帳』4巻　緑川ゆき作　感想

  独特のタッチで描かれるあやかし譚です。幼い頃に両親を亡くした夏目貴志は、妖怪が見える。それを信じてもらえず疎まれて親戚をたらい回しにされ、友達も居なかった。現在は(確か高校生だったはず)人の良い養父母の元、しかし妖怪が見えることは隠して過ごしている。夏目の祖母・レイコも妖怪が見える妖力のある人だった。彼女は自分の境遇への怒りから、妖怪を子分にし名前で縛った、それを記したのが“友人帳”。夏目はこの友人帳を手にして以来、妖怪達から狙われるはめに。にゃんこ先生(中身は斑と言う妖怪)と共に過ごすあやかし譚です。４巻は、かつては二体あった森の守り神の像から出てきたあやかし(実は祓い神)が、最近解き放たれた悪霊を退治したいと願う。しかしその悪霊は・・・と言う話。夏目が、俳優にして妖怪祓いをする名取と一緒に温泉旅行に行く話。夏目がフリーマーケットでもらった絵画にまつわる、人に恋したあやかしの話、他３話。怖いあやかしの話と言うよりも、むしろあやかしの哀しさを描いた話が多いです。人間よりもずっとピュアであったりします。それが絵の雰囲気ととても合ってます。丁寧に描き込んだところと、ちょっと雑な絵の差が残念ですが・・・。夏目は優しい子で、あやかしに対しても何とかしてあげたいと思ってしまう。あやかしにも、人に対してるように接してしまうんですね。時々、それで危険にも会ってもしまう。子供の頃にあやかしが見えると言って、疎まれて、寂しい思いをしてきたので、今はそのことを言えないでいる。言ってはいけないと思っている。周囲にバリアを張っている状態なのですが、それが少しずつほぐれていく話でもあります。私は守り神の話が一番好きです。出てくるのは、人間の勝手に翻弄されて傷つく神です。現代では、人間が怖れる存在の神よりも、むしろしっくりくると思ってしまいました。淡々と綴られるあやかし譚で、続きが読みたくなるマンガです。　　

  2007年08月16日

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  『君に届け』　椎名軽穂 作　　1～4巻　 感想

  子供が好きで買ったマンガ、別冊マーガレットに連載中です。4巻までまとめて感想を。　　　少女マンガの王道はカッコ良い男の子に恋する女の子の気持ちを描くストーリーと思ってる私。これもそんな一作ですね。主人公・爽子はその暗い雰囲気から“貞子”と呼ばれ、皆に怖がられている高校生。そんな彼女にも普通に接してくれるのが風早君。風早君が取る行動が、やがて他の皆との間にあった壁のようなものを壊していく。１巻では爽子が、風早を“爽やか好青年”と憧れている対象から、個人として意識する話。それと矢野と吉田と言う友達ができる。２巻は、その矢野と吉田と、“友達”であることを確認する話。３巻はくるみと言う、風早を好きな女の子が絡んでくる。４巻は、くるみの話の解決編?って感じかな、そして爽子が風早を“恋愛対象”としてはっきり意識する。爽子と言うのはクラスどころか学校中から怖がられているんですが、皆と仲良くなりたいなと言う気持ちから、クラスの雑用なんかを率先して引き受けるような子なんですね。あ、シリアスマンガではないので、暗さはないです。誉め言葉をいっぱい書きたいので、先に気になるところから書いちゃいます。霊感があるって言うのはともかく、“三秒以上目があったら呪われる”なんてふざけた迷信を信じ込んで皆で避けるなんて、はっきり言ってイジメですよ。爽子と言うキャラを描くために強調されたものだと言う事は分かりますけど、こんなギャグ、私は笑えません。これをイジメと自覚してないその他大勢キャラが私には気持ち悪くて。しかも“爽子の本当の姿を知らないから”“本当は気の良いクラスメート”と描かれちゃうと困っちゃうわ。爽子の心情を細やかに表現していながら、こう言うところに“気持ち”への配慮が足らないと思う。では、誉め言葉をいっぱい。爽子が味のあるキャラなんですよ。一、二本、他の人とずれてるところがあって、それが他の登場人物とのやりとりで出て来て、これがすっごく面白い。基本的には良い子すぎる位の良い子なんですね。風早は、良いヤツ過ぎ。(笑カッコ良い“王子様”ですね。でも実は入学前に爽子と会っていて、彼女がしている事をちゃんと見ている。爽子の事が好きなんです。ところが爽子が↑で書いた様な子なので、なかなか思うように進まない。おまけに最近では矢野や、友達の龍にまで気持ちがバレちゃってるんですけど、ここで見せる様子が可笑しくて。だんだん魅力が出てきました。私は龍の方が断然好みですが。(笑２巻は泣けます。矢野と吉田に悪い噂が立って、更にそれは爽子が流していると噂される。ずっと皆から避けられていた爽子は、自分が近くにいると矢野や吉田、そして風早に迷惑がかかる、と自分から距離を置く。気持ちを上手く伝えられない事も手伝って、どんどん間が離れて行ってしまう。そして爽子は女子トイレで矢野と吉田の悪口を言ってるグループに会い、その誤解を解こうとする。突き飛ばされて足蹴にされて(こんな事する女の子ってのが私には驚きですが)も、口下手な爽子が頑張る。そこに割って入る矢野と吉田。矢野と吉田はステレオタイプ(矢野は色気系、吉田はヤンキー系)ですが、ここでの二人も良いです。友達って良いなぁって、もう本当に泣けますとも!!。さて４巻。矢野と吉田の噂の張本人・くるみちゃんとの話ですね。くるみちゃんが素敵にイヤな女の子で。風早の事が中学時代から好きなんですけど、風早は自分を好きにならないと分かっている、だから風早に彼女が出来ないようにとあれやこれやと仕組んできた。風早が爽子を好きだと言う事に気が付いているから、今度は爽子がターゲットになってるわけです。ところが爽子のリアクションが普通と違うので、ちっとも思うように行かない。このくるみに揺さぶりをかけられて、爽子が、風早に対する気持ちは特別、それは“恋愛感情”なんだと確認していく過程を丁寧に描いてます。２巻で友達に対する気持ちを描いてますが、それもとても丁寧。こう言うのが少女マンガの良さだと思う。爽子と風早、どうして二人ともお互いの気持ちに気が付かない?、ってところも少女マンガ。(笑そんな素振りは少しもないのに、龍が爽子を好きなのかと不安になってしまう風早が可愛い。龍は思わず「ぷっ。」と吹き出してしまうのですが、笑ってやるなよ、鈍感な女の子が好きで苦労しているのは龍もいっしょだろう。(笑爽子はくるみちゃんとこの先、仲良くなるのかな。くるみちゃんの“浅はか腹黒”はままで居て欲しいと思ったりする。秋には5巻が出るようです。

  2007年08月16日

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  『鋼の錬金術師』　17巻　感想

  ネタバレしてます。ブルーの文字があらすじですので、未読で、展開を知りたくない方は、流して下さい。北の地・ブリックスの軍事基地。最下層に侵入者、現れたのはスロウス(怠惰)。しかしスロウスはエドやアルのことは知らないよう、彼の感心はただ穴を掘ること。人質を取られている状態のエドには、ホムンクルスの情報をアームストロング少将に話せない。「察してくれ。」の言葉を搾り出すエド。アームストロングは、戦車の攻撃も効かないスロウスに寒冷地仕様の混合燃料をかけ外に出すことで、凍らせてその動きを止める。怪我をしたキンブリーの元にレイブン中将が来る。錬金術が使える医師と、賢者の石の力でキンブリーは全快に。穴を調べるブリックスの軍。アームストロングはエドとアルを、他人の目も耳も気にしないですむ穴に連れて行き、事情を話せと迫る。全てを話すエド。エドは地図から、掘られている穴が円を描いている見る。国内で死者多数の流血の事件があった場所を結ぶと、練成陣が出来上がる。国を使って賢者の石を作ろうとしている、国はその為に作り上げられたもの?。残っている地はブリックス周辺のみ。レイブン中将がブリックスを訪れ、エドに言われ、アームストロングはカマをかけて情報を得ようとする。レイブンから出た“完全な不死の軍団”と言う言葉。メイは錬丹術は、地球そのものの“気”を、流れを理解して使うものと説明。一方、錬金術はマルコーによれば地殻運動のエネルギーを使っている。だがメイは、感じるのは“たくさんの人のうごめき”と言う。ホーエンハイムは多くの名に「すまない。」と詫び、身体から何か(石ですかね?)を取り出す、それが地面で動いている。ホーエンハイムは不老不死の自分を“それも良いものだ”と受け入れて生きてきた。しかしトリシャと結婚し、エドとアルという子を持ち、老いない自分を“化物”と認識する。家族と撮った写真のホーエンハイムの目には涙。“一緒に老いて死にたい”、この思いからホーエンハイムは家を出た。ホーエンハイムもまた“お父様”の目的を知っている。穴を進むブリックスの先遣隊、突然化物に襲われて全滅する。“異常”の知らせがアームストロングの元にもたらされる。戻って来たのは隊員の腕一本のみ。「スロウスを戻し、穴をふさげ。」とレイブン、「強者に、力に従え。」従うアームストロング。スカーとヨキは、メイとマルローに合流。レイブンは既に老いている、焦りはその為。アームストロングはレイブンを斬り、穴に落とす。穴はそのまま塞ぐ、エドが既に抜け穴を用意していた。ブラッドレイに頭を押さえつけられた状態のマスタング、しかし情報収集は続けている。彼の元にアームストロングから伝言が。キンブリーがウィンリーを連れてエドとアルの元に来る。キンブリーから報告を受けたブラッドレイが刺した更なる“釘”。あらすじを書きましたが、『ハガレン』は物語の面白さはもちろんですが、あらすじには出てこない部分に『ハガレン』らしい面白さがあると思いますので、是非読んで頂きたいです。今回はなんと言っても、アームストロング少将でしょう。エドが、ウィンリーやマスタングの部下を人質に取られてる状態で動きが取れないので、今巻は主人公は誰?って位に素敵でした。シビアではあるのですが、自分なりの“義”を持っていて、それが一本スーッと通っているのですよね。レイブンの、戻って来た部下と同じ場所・腕を剣で刺し、老いて国よりも自分の欲望に必死な様子を「老害!!。」と斬って捨てる。剣についたレイブンの血を、自分の手袋でぬぐって捨てる。そのシーンのアームストロングには惚れ惚れしました。エドが情報を出せない理由も「人質。」と気付いていましたしね。で、レイブンにカマかけてるシーンが可笑しいのですよ。レイブンはスケベおやじなんですが、手を握られて“ぶった斬ってしまいたい!!!”と怒る顔も凄まじくて笑えますが、それでも色仕掛けで情報を引き出そうとする美しい顔も素敵。そうそう、ブリックスでは20年前に一度侵入されて以来、そのような事態はなかったのですが、その20年前。謎の女に食料や装備を一ヶ月間奪われ続け、ピタリと止まった。これを“師匠”だと思うエドとアル。さすがです!!。イズミさん、お元気でしょうか、私はこの人も大好きなんですが。スロウス・怠惰が出てきました。知性とか感情が乏しいのは、穴を掘るためだけに存在するからでしょうか。気が遠くなるような単純作業で、それも建国から続けられてる?との事ですので、あれこれ考えたり思ったりするのは返って邪魔と言う事でしょうか。残るはプライド・傲慢になりましたね。スロウスが穴掘っているのはプライドに言われてらしいですし、前に街中の戦いでエンヴィーに「引け。」と命令してエンヴィーが従ったシーンもありましたので、ホムンクルスの中では立場が上と言う気がします。先遣隊を全滅させた化物がプライドなのかな?とも思いました。何と言うか、エド達、マスタング達に近い場所にいる存在って気がしてならないのですよ。イヤーな予感がするんですが・・・。軍上層部は既に“お父様”の手中。飴玉は“不老不死”ですか。不老不死は専制君主が見る夢、とどこかで読んだなぁ。萩尾望都さんの名作『ポーの一族』で、老いない死なない主人公達の哀しみを感じた私としては、不老不死のどこがそんなに良いのかさっぱり分かりませんが。皆で仲良く不老不死って言うのならともかく・・・。親しい者達が皆死んでいく中で、自分だけが残っても。それをホーエンハイムで描いてます。自分の血を分けたエドとアルは成長している、なのに自分だけは変わらない。“化物”だと思う。“トリシャと子供達と一緒に老いて死にたい”と思う。レイブン達、軍上層部の鼻先にぶら下げられている不老不死。自分達は老いて来ていて、死も見え始めているでしょう。だから強烈に憧れる、渇望する。しかし現実に体現しているホーエンハイムの哀しみ。口車に乗せられている軍上層部の愚かさが出てました。まさにアームストロングが言う“老害”ですね。ブリックスにやって来たウィンリィ。お前らには人質がいるんだぞ、と見せ付けられた訳ですね。でもウィンリーもそうそう“可哀想な捕らわれのお姫様”でいるキャラとは思えないし、エドとアルの様子から事情を察することが出来れば、魅力的に動いてくれるのではないかと期待してます。今回も読み応えがあって面白かったです。『ハガレン』の良いところは重たいテーマを扱いつつ、重たくしすぎないで、スコーンと抜ける軽さも見せることだと思います。笑っちゃうシーンも健在でした。おまけマンガでもアームストロングが活躍。ラストがボインで胡桃を割る四コマも。ラストは作り直さないんでしょうか。賢者の石は壊されましたが、別の石で作れないものなのかなぁ。新聞の勧誘に上手いことのせられて200年契約をしてしまう“お父様”。“お父様”を世間知らずの引きこもりにしてしまう作者が好き。カバーを取った表紙はアームストロング五兄弟。長女と四女が美形、次女と三女はアームストロング少佐にそっくり。こんな子供達のいる家庭はさぞや楽しかろう。裏表紙は『錬金戦隊・ハガレンジャー』のポスター。同時上映の『増田(マスタング)はつらいよ』が泣ける。私はロイのファン、って言うかロイ・アイ派なので、ここのところの彼には悲しいわ。何とか盛り返して活躍して欲しいところ。

  2007年08月12日

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• いつでるの?、『ゴーストハント』10巻・・・今月発売のマンガあれこれ

  アニメでも放映されていた『ゴーストハント』の10巻。最初の予定は５月だったんですけど、延期になって８月に。ところが『なかよし』のコミックは６日発売らしいんですが、まだ出てない。また延期?。小野不由美さんの原作に忠実なマンガ化で、絵も丁寧だし、魅力的だし、何よりシリーズの謎が全て解決される話なので楽しみに待ってるのにー。HP見ても情報が載ってないし・・・。本日『鋼の錬金術師』と『魔人探偵・脳噛ネウロ』の新刊を購入。『ネウロ』は発売日に行ったコンビニ４店になくって、その後行った本屋にもなくって、今日やっと２店回って買えましたよ。もうすぐアニメ化だし、結構人気があるんですよ、書店さん。もうちょっと入荷する数を増やしてね。『鋼の錬金術師』は明日、感想を書きます。作者の荒川弘さんのもう一つの作品『獣神演武』が１０月からアニメ化だそうです。公式HPはこちら。・・・ってまだ単行本一冊しか出てないよね。(これも本日発売)。どうするんだろう?。うーん、これ以上買うマンガのシリーズを増やしたくないし、アニメ見てから購入を決めようかな。『君と僕。』と言うマンガがあって、私は大好きなのですが、同じスクェア・エニックスの『ハガレン』が今日発売なので、てっきり一緒に出るのかと思っていたら、こちらは通常通り２２日発売らしい。旅行前、楽天ブックスの予約本のコーナーをチェックしてたのに、なかなかリストに載らないくて、旅行から帰ってきたら既に“売り切れ”に。ガックリ。本屋さんに発売日に行かないと、これもキツイかも。アニメ化になったマンガは、コンビニに大量に入荷するから、買うのは楽で良いなぁ。マンガ一冊買うために車に乗って本屋さんへ・・・と言うのはなかなかその気になれなくて困っちゃいます。

  2007年08月11日

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  もぉぉぉ!!、『カラブリ』ってば最高!!

  昨日やっと『カラブリ』を買って読みました。もう最高!!主人公の一護達がソールソサエティーに乗り込んでの“ルキア奪還編”には、それはそれはたくさんの死神さん達が出てきたのですよ。本編読んでても、どの死神もきっちりキャラ立ちして驚いたものですが、『カラブリ』ではギャグで各キャラが自由自在に動いてます。本当に面白い!!私としては、本編では絶対に出て来ない、やちると始めとする女性死神協会に、自宅を良いように使われる白哉がお気に入り。現在、休載中だと言う、シロちゃんの“華麗なる結晶”の椅子を是非欲しいと思いましたわ、今日も暑いですし。カバーの裏は、『月刊・瀞霊廷通信・特別編集増刊号』の表紙になっているというサービスっぷり!!。ジャンプ・コミックのパロディーですよ。オフィシャルブックな『護廷十三隊・総覧』もね、笑える説明がいっぱい。これ一冊、まるまる楽しんで作ってるのが、読んでるこちら側にもガンガン伝わってきます。暑さを笑いで吹っ飛ばす一冊でした。

  2007年08月05日

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• 『おおきく振りかぶって』1～8巻・感想

  ネ落ち中に一気大人買いしちゃいました。もうメチャクチャ面白いんですよ、何度も読み返してます。野球を知らなくても楽しめます、「ゲッツーって何?。」って聞くくらい野球オンチの子供が面白がってますから。でも試合のシーンでの投球の組み合わせの駆け引きが面白さでもあるので、これ知ってれば尚楽しめるってことで、自分の為にも覚書。カーブ:投手の利き腕と反対方向に大きく曲がる。ストレートとの組合せで緩急をつける。シュート:比較的速い球速で投手の利き腕方向に曲がる。シンカー:投手の利き腕方向に落ちながら曲がる。スライダー:投げる腕の反対方向に曲がる。大なり小なり垂直方向に変化する滑りながら落ちる球。チェンジアップ:打者の手元で沈む変化球。回転数が少ないのでどんどん失速落下。フォーク:直球よりも回転数が少なく、放物線を描いて打者の手元で真下に落ちる。カーブと違って途中まで直球と同じ軌道、故に打者は判断が難しい。いつものようにWikipediaさんを参照させて頂きました。詳しく知りたい方はこちらで。三橋は祖父が経営する群馬の三星学園の中学時代、監督のヒイキ、及び三橋自身の投げることへの執着からチームメートに総スカンをくって、逃げるように実家のある埼玉の県立西浦高校に入学する。その野球部は創立一年目、部員は一年生だけ、監督は女性のモモカン。そこで出会ったのが捕手の阿部、彼はシニアリーグ時代、一つ上の速球の投手・榛名とバッテリーを組んでいたが、当時榛名は精神的に荒れた時期で、相容れずに投手に不信感を持っている。三橋はストライクゾーンを九分割で投げられるコントロールの持ち主で、球種も多い。この三橋で自分の思い通りの野球が出来ると阿部は思うわけです。そりゃ楽しいだろうと野球をやったことのない私でも思うわ。自分の才覚で打者を思う存分翻弄出来るんだから。物語の最初はそんな二人が三星学園との練習試合を通して、バッテリーとして信頼を確立して行く展開。その後は夏の大会の一回戦、昨年の優勝校・桐青と戦って、三橋が、野球と言う9人で戦うスポーツに於いて投手としての自分を確認して行く話です。三橋と阿部がメインの話なんで、対打者と言うシーンが多いんですが、これが配球による駆け引きを細かく描いてあってメチャクチャ面白い。三橋の“まっすぐ”は所謂ストレートでない癖球なんですが、これが有効と阿部は考えてる。でも遅い球なんで、打者は慣れちゃうと打てるようになる。如何に打者にこのまっすぐを慣れさせずにアウトを取るかを、阿部はあれこれ考えるんですね。一方、三橋は自信が全くない自分に「良い投手」と言ってくれた阿部に絶大な信頼を置いていて、一生懸命投げる。西浦の“打”の方なんですが、名門シニアで4番だった田島が家に近いと言う理由でいるんです。阿部やモモカンが度々「うちに居てくれてありがとう。」と言う、とっても野球センスがある子で、おまけにポジティブ思考で、チームにとって良い存在。野球に対しては真摯で、しかも楽しんじゃってるのが田島の良いところ。この田島は身体が小さいのでホームランは打てない打者なんですね。つまり田島の前に誰か塁に出てなきゃいけない、もしくは田島をホームに帰さなきゃいけないわけです。この設定が良いじゃないですか。出来たてほやほやの一年だけのチームで、一人の力じゃ点を取れないってところが、高校野球の物語として絶妙。私はこの田島が大好きなんですよ。←萌えは全くないけど三橋とのやりとりは楽しませてもらってます。この漫画はメンタルトレーニングも取り入れてるんです。作者はスポーツ心理学を専攻していたそうで、作中に分かりやすく説明がされてます。最初のリラックスした状態になる為のメントレ。部員達が円になって手をつなぎ合う。リラックスしていると手が暖かくなる。温度を隣の人に分けてあげる、もらう人は遠慮なくもらう。僕らはチームになったんだ。↑ね、良いでしょ。これを更に進めて条件付けでリラックスできるようにして行きます。これが生かされるシーンが桐青戦にある。三塁走者は三橋、打者は栄口、西浦はスクイズで一点欲しい。桐青の捕手はがっちりしたタイプ、ホームベースでブロックされて三橋がどこか傷めでもしたら、西浦にとっては試合は終わったも同然、栄口は何としてもボールをバットに当てなければならない。リラックスの条件付けは“三塁走者”。栄口はそこで思い出す。朝のグラウンド、モヤと緑のにおい、まだ低い気温、鳥の声。隣りのヤツの手の温度。たった二コマですが、私の大好きなシーンです。余談ですが、無事三橋がホームに駆け込んだ姿に、“接触がなかった”と心底安堵する阿部が可愛いったらありゃしない。試合も終盤、ストライクにも入る桐青の投手・準太のシンカーに苦しんだ田島。準太のシンカーを何度も何度も見て、最後に逆転打を打つ田島がカッコ良い。九回裏の守り。逆転のランナーも出ている。10人のチームの西浦、一人は初心者で、延長戦にもつれ込んでも余力がない。三橋は崩れそうになりながらも、マウンドを譲りたくない、投げたいと言う思いで立ち上がる。そんな自分を“エースとしてふさわしくない”と三橋は思う。その三橋に“守ってやるぞ”との声をかけるメンバー。マウンドは一人、隠れる場所もない。でも三橋の視線の先には阿部が居て、三橋の背には守ってる7人がいる。相手チームどころか味方すらが敵だった中学時代とは違う、これこそが野球なんだと三橋に伝えるシーンで、感動的でした。えぇ、泣けましたとも。如何に野球のシーンが面白くたってそれだけじゃねー。・・・って事でキャラのお話。このマンガ、先ず作者が野球が大好き!!って言うのがヒシヒシ伝わってくるんですよ。なので、登場人物たちも“野球大好き!!”って気持ちが溢れ出てて、そこが気持ち良い。正直言うと、リアル高校一年生ってこんな良い子ばっかりかぁ、と言う思いもありますが。読んでいる内にこの作者、女性?って思ったのです。何たっておばさん達の描写がメチャクチャ上手い、こんなにおばさんがちゃんと描ける男性マンガ家、私はちょっと思い当たらないです。でも何よりもね、男の子のキャラにそれを感じたんです。もの凄く強引な事を言っちゃいますが、少女マンガは男の子キャラに、少年マンガは女の子キャラに、ドリーム入っちゃうんだな。『おお振り』では、男の子達にそれを感じたのです。そして少女マンガ育ちの私としては、それがたまらなかったりする。人気があるのはたぶん阿部なんだろうなぁ。ま、ツンデレ君だけど純粋なタイプですね。この阿部が、物語が進むともうこいつ本当に可愛いぞってなっちゃうから不思議。桐青戦で、知恵熱でハイテンションの三橋に「ありがとう。」と言われて、思わず感動して涙浮かべちゃってますから。これにはやられます。良い味出してるのが田島。天然能天気な天才タイプ。この田島と、別の天然タイプの三橋とのやりとりが楽しい。『おお振り』は野球のシーンだけでなく、学校生活もちゃんと描いているところが良いのですよ。試験勉強とか球技大会とかね。そして練習中も含めて、そんな時の登場人物たちの会話が良いんだなぁ。野球は人数多いので、全員をキャラ立ちさせるのはなかなか難しいと思うのですが、作者はそう言う会話のシーンに、(今のところの)主要キャラ以外の子達を頻繁に出していて、ここが好感が持てます。たぶん次々とキャラ達にきっちりした性格をつけて行くんだと思いますが、8巻で良いのが泉。私はこの子も好きなんだなぁ。三橋、田島、応援団長の浜ちゃんと同じクラスと言う、とんでもない状況に置かれてる泉ですが、よく相手している。で、ちゃんと他人の事、見ているんですよ。桐青戦の次の日、熱出して学校休んだ三橋のところに、阿部、花井、田島と行くんだけど、前日の試合でマウンドを降りなかった三橋が謝るんです。それは謝るようなことではないんだけど、三橋には今一良く分かってないんだろうなぁ。で、三橋が参加できなかった反省会の総評・・・三橋が頑張って偉かったみたいなことを皆書いてるんだけど・・・を読んでブルブル震えてるのを泉は見ている。だから声をかけてあげる。「昨日の試合だったら、こんなのフツーだぞ。だれも特別良い人なわけでもねーっての。」って。そこで三橋は三星の投手・幼なじみの叶の、別れの時の言葉を思い出す。“お前が(中学で)やっているのは(野球とは)違うんだ”。その叶に三橋はメールを送る。“みんなで”勝ったよ、って。はい、ここでも泣けました。女性監督のモモカンが良い。巨乳ですが、性格は男前、西浦のメンバーを育てるに当たって、“楽しくなくっちゃね”って思ってるところが大好き。このモモカンの性格が、物語を楽しくさせている。マネージャーの篠岡が可愛い。この子も野球が大好きで、黒子の存在のマネージャーを一生懸命やってる。ところで篠岡の本命は阿部と思ってるんですが、どんなもんでしょ?。応援団長の浜ちゃん、背が高くて、恵まれた体格なんですよね。チームに入ってくるのかどうか。“バカ”な過去ってなんでしょうね。最後にお気に入りキャラのお話。阿部は可愛いけど、どうもキャッチャーは陰険って言う偏った考えを持っているもんで、今一。やっぱり野球漫画の王道はピッチャーよね。主役の三橋はカッコ良いってタイプじゃないけど、その分(と言っちゃ何ですが)ライバルの投手達がカッコ良いぞぉ。まず三星の叶。これからアニメでたっぷり見られるかと思うと楽しみで仕方がない、桐青のタレ目の準太。そして阿部の投手不信の原因となった榛名。三橋、ゴメン。私はやっぱり速球をバシバシ投げて、キャッチャーミットにパシーンって良い音を立てさせるピッチャーが好きだ。荒れた時代を通り抜けて、良いヤツになった榛名が私は好きだ。榛名の現在があるのは、酷かった時代を付き合った阿部のお陰らしいので、そこを踏まえた現在の新しい関係の話を読みたいなぁ。今の榛名を阿部は知らないし、自分のせいで阿部が性格曲がっちゃったことも榛名は分かってないみたいだし、このままじゃ、ねぇ?。でもきっと、やっぱりツンケンし合うんだろうなぁ、この二人って。榛名と三橋の投げあいって言うのも見てみたい。単行本は一回戦が終わったところ。桐青には相手が油断していることもあって、勝利をした西浦。でもさすがに昨年の優勝校を破った相手に、次の対戦校は甘くないでしょう。これにどう戦っていくのかが楽しみ。それと如何なフィクションで、ドリームと言えども、このチームで甲子園まで行っちゃったら、私はちょっと・・・。高校スポーツなんだから、“負け”もきちんと描いて欲しい。どこでどんな風に負けるのか、それによって得る物もあるはずで、そこをどう描写してくれるのか、この先が楽しみです。

  2007年07月06日

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  『xxxHolic』　11巻　CLAMP作　感想

  大きな流れの方の話が終盤に向かっているなぁと思わせた新刊でした。重要と思われるキャラが次々と登場します。カラー見開き表紙はお姫様・ひまわりちゃんにかしずくワタヌキと百目鬼です。ひまわりちゃんは可愛いし、ワタヌキと百目鬼はカッコ良い!!。百目鬼はカッコ良くても驚かないけど、ワタヌキにはビックリよ。先ず、座敷童と雨童女が登場。ワタヌキのお見舞いの座敷童、その付き添いの雨童女。座敷童の声が変わっている、恋をして大人になったせいらしい。雨童女に「貴方は存在自体、ありえないでしょう。」と言われてしまうワタヌキ。わたぬきは、侑子さんにもらった卵から孵った鳥をひまわりちゃんにあげる。「蒲公英(たんぽぽ)」と名付けるワタヌキ。サクラが対価に送ってきた卵は二つに分かれた、一つは魔力を秘め、一つにはない。一つであるべきものが二つになる、小狼君たちのように。。飛王・リードのせい。「夢は終わらせなければ。」と侑子さん。たんぽぽに名をつけたことにやきもちを妬く管狐、それでワタヌキは「無月」と名付ける。侑子さんはもう一つの卵を百目鬼に渡す。「持っていて、これから起こることの為に。」「迷わないで、その瞬間が来ても。」そして客が来た。長い髪を片方だけ結んでする女の子、家で変なことが起こる、恐いと言う。侑子さんは鈴を彼女に渡す、しかし収まらず、エスカレートして行くだけ。彼女を心配するワタヌキの元に遙が現れる。夢を介して彼女の元にワタヌキを連れて行く遙。そして彼女の部屋に別の女性が現れ、鈴の音に、彼女と同じように怯える姿を見る。彼女の方がこの世にいてはいけないものだった。続いては狐の子が登場、お礼のお礼におでんを届けてくれた。そのまたお礼でミトンを編んでプレゼントするワタヌキ。マルとモロは眠っている、二人はこの「店」の「場」を支えるもの、眠っていなければ支えられない状態になっている、それすらも破られる。世界自体が揺れている、もう一つの世界で小狼君たちが選択したことによって。次に登場は小羽ちゃん。ワタヌキはみんなに手袋をプレゼントしているのだが、偶然に会った小羽ちゃんにも渡す。ワタヌキと百目鬼が混ざっていると言う小羽ちゃん。小羽ちゃんのママが迎えに来る、小羽ちゃんを怖れ、決して名前を呼ばない。なのに霊能力による稼ぎを当てにし、その力を失うことを怖れている。ママを見て、自分から小羽ちゃんに会いに行くとワタヌキ。百目鬼は変わった、しかしそれも必要なこと。百目鬼が視なければならない最後の瞬間を、最後にしない為に。下校途中、ひまわりちゃんと百目鬼と一緒だったのに、ワタヌキはふいに二人から隔絶されてしまう。気が付くと侑子さんの店で寝ていて、侑子さんに当分店に泊まるように言われる。最後の瞬間が近付いている。全体が終盤に向かっている流れの中で、一つポツンと入った“彼女”のエピソードがすごく気にかかる。これをここに入れたことで、すっごくイヤな予想をしてしまうんですけど。侑子さんが今回も色々お着替えしててお綺麗。そして遙さん再び!!もう百目鬼に大人の風格付けさせたらこうなりますかって感じで、大好き!!。泰然としているところが良いんだなぁ。大好きな可愛いキャラ達がいっぱい出て来て嬉しかったです。とくに小狐の可愛いさったら!!私もこの子がいる屋台のおでん屋さんに行って、一杯やりたいですよ。美味しいって評判ですし。で、お酒を宝物庫にしまっている侑子さん。お酒は宝だから。その通り!!白モコナに会いたいと言う黒モコナが切なくて、可愛らしい。白モコナも黒モコナもそれぞれの場所でがんばっている。ひまわりちゃんが落ち着いた雰囲気になりました。ワタヌキの力って大きい。相手の事を思う力って本当に凄いと思う。『ツバサ・クロニクル』と連動で進んでいるこのマンガ。私はツバサの方はちゃんと読んでないのですが、『xxxHolic』がこの感じだと、大詰めを迎えているのでしょうか。

  2007年05月18日

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  『銀魂』 第18巻　感想

  我が家の近くのコンビは発売当日の朝6時には『銀魂』コミックが売り切れなのですよ、えぇ、店員さんにも確認したんですけどね。それを2回経験したので、18巻は楽天さんに予約したんですけど、届いたのが本日夕方!!。もぅ、遅すぎ!!。昨日から何度も何度もポスト確認しちゃったよ。(楽天さんは一冊の時はメール便)表紙はヘドロ、いいヤツなんだ、分かってるんだ、でも恐い。おまけに本編には一度も出て来ない。ホント、空知先生って天邪鬼。ファンが“山崎、山崎”と言うので絶対表紙には出さないつもりなんでしょう。『人生もゲームもバグだらけ』前巻からの続きのOWee争奪編。沖田君・・・、土方にその名前はあんまりだ。おまけにHPは3、即死を運命付けられた旅立ち。私はRPGゲームが大好きなので、これは笑わせてもらいました。だけど実は土方が“死”、銀さんが“毒”状態になった時から、神楽 vs 沖田を期待してたんだなぁ、これが。残念!!。『２度あることは３度ある』今度は神楽ちゃんが気が付いたら真っ黒な世界。そこで洞爺湖の仙人さんが“全解”とか“風戦丸”とかの必殺技を伝授しようと言う話。派手な技がないとバンダイさんがゲーム開発時に大変らしい。ま、なんと言いましょうか、忘年会 or 新年会のジャンプのパーティーであっちこっちに頭を下げまくる空知先生が想像出来る・・・。先生、そこまでして、私達読者を笑わせてくれてありがとう。『ヒーローだって悩んでる』バレンタイン当日、銀さんはオールバックにしてスーツ着用、新八は髪をツンツンにしてロッカー(笑)になって、もう大変。スペースウーマンだって好きな怪獣さんにチョコレートを渡したい。怪獣・チェリー君とは上手く行かなかったけど、今日もスペースウーマンさんは地球を救ったのだ。・・・って書くとまじめな話っぽい?。『人の短所を見るより長所を見つけられる人になれ』江戸一番の殺し屋・亀が狙うのは松平。それを阻むのは亀を見る銀さんのまなざし。・・・って銀さん、女性のお着替えを覗き見で、更に鼻血ですか・・・。...orz...orz...orz...『電車に乗るときは両手を吊り革に』『男達よマダオであれ』『愛は勝つ』WJ連載時からいつハツさんのお顔を見られるのかと沸かせていた話。仕事が決まって(極めてヤバそうな仕事だけど)、ハツに電話しているマダオが可愛いぞ。あ、ところで私はもうすっかり“マダオ”という名でインプットされてて、“長谷川”が思い出せない時がありますわ。そのハツが不倫?。しかもマダオは駅で痴漢と間違えられる。いや、これ、意志とは関係なく、ここまでやっちゃったら“痴漢”呼ばわりもやむなしかと。で、検事の破牙はハツの不倫相手と思われる男。そこで銀さん、弁護士としてマダオを助ける。メガネをクィの銀さんが良いぞ!!。しかし奉行、検事、弁護人、みんな鼻血出してて裁判になってないぃぃぃ。ハツさんはお嬢様みたいです。で、気風の良い女です。こんな良い女房がいるんだから、負けないダンディな男をいつも胸に刻みつけてガンバレ!!、マダオ。『やせたいなら動け』『やせたいなら食べるな』そりゃ、あれだけ食べれば太るよね、神楽ちゃん。そりゃ、あれだけハーゲンダッツ好きなら太るよね、お妙さん。と言う事で断食道場でダイエット。さっちゃん、九ちゃん、お登勢さん、キャサリンもみーんなダイエット。さっちゃんの場合は太っているのではなく「銀さんの子供・・・」で、蹴りを入れるお妙さん。やっぱり銀妙か?とか思ってしまう。教祖(?)の尼さんに容赦ないお妙さん、さっちゃん、神楽ちゃんが好きだ。で、一枚のポテチをめぐってキャサリン&お登勢 vs 神楽,さっちゃん,お妙さん&九ちゃんが最高!!。このバカバカしいシチュエーションでキャラ達が大真面目バトルが『銀魂』の真骨頂。男達は出番なし。みんなげっそり痩せちゃって・・・。次巻は八月かぁ。今WJで連載中のエピソードが入ってくるんじゃ仕方がないか。次の表紙が誰だか、もう予想も付きません・・・。どうよ、ヘドロのこの迫力。　　

  2007年05月04日

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  先週読んだマンガの感想・その2・・・『桜蘭高校ホスト部』10巻、『お兄ちゃんと一緒』7巻、『夏目友人帳』3巻

  『桜蘭高校ホスト部』10巻先ずハニー先輩に恋してしまった黒魔術部の伽名月さんのお話。恋は、“魂を抜かれてしまった”“魂を奪われた”とは確かに言えてるかも。恋のおまじないの数々が出てきますので、片思いの方、試してみては。嬉しそうにケーキを食べるハニー先輩と伽名月さんが可愛いです。二本目はガングロギャルのメイちゃん登場。なんとブリブリオカマの美鈴っちの娘。ハルヒが一緒に過ごすことに。ハルヒって今まで女友達がいなかったんだよね。如何にホスト部のキャラ達がはるひの魅力を語ろうとも、私はやっぱり男でも女でも、同性の友達がいないって言うのは魅力を感じないので、メイちゃん登場は嬉しい。メイと美鈴っちの関係は最悪でしたが、それも何とか仲直り。双子のパパ･ママも登場。このママって言うのがまた、この親にして、この子ありって感じ。メイちゃん、なかなか物事が見えてる?。光が「ハルヒは(環を)相手にしてないけどネー。」と言うと、「あの子の方もまんざらじゃなさそーだと思うけど。」と問題発言。「無自覚っぽいけどね。」光、ショーック!!。馨もハルヒが好きって言うのがちょっと・・・。何もそこまで逆ハーレムにしなくてもと思うんだけど。最後のお話。鏡夜(白組大将) vs アメフト部部長・久勢(赤組大将)で桜蘭大運動会を開催することに。鏡夜ったら挑発に乗っちゃって、負けず嫌いなんだから。般若降臨して超やる気になってます。久勢なんてどうでも良くなっちゃって、鏡夜 vs 環(赤組副将)の展開で、次巻へ。ビスコ先生によれば、この先はもうそんなに長くないと思うとの事。恋愛模様がやっと出てきたわけですが、どうなるのか楽しみです。『お兄ちゃんと一緒』7巻父母が死んだことにより、長い間離れて暮らしていたお兄ちゃん達と暮らすことになった桜(現在高2)。しかし四人のお兄ちゃん達とは実は血がつながっていない。個性的なお兄ちゃん達と生活していくうちに本当の“家族”になっていくが、一方、桜は一番上の兄･正を好きになる。と言うストーリーなんですけども、この正お兄ちゃんと言うのが、すっごい別嬪の女装マニアなんですね。で、正も桜を好きなわけですが、自分は兄、しかも家族をまとめる長男と言う意識があるから、必死に必死に自分の気持ちを誤魔化している。んなもの、血が繋がっているわけじゃないんだから、何の問題もないじゃないか、と言うのはヤボでございます。このウダウダ加減が少女マンガの王道なんですから。今巻は「桜が好きなのは正。」と言う言葉を正が聞いちゃうわ、桜から正にキスしちゃうわ、そのシーンを三男・剛が見ちゃうわ、正が眠さの余り夢だと思って桜を抱きしめちゃうわ、もう大変。でももうそろそろ良い歳して(正は28才位だったっけ)、女装で自分を誤魔化してないで、ビシッとカッコ良いところを見せて欲しいぞ!!、正。このマンガの作者の時計野はり先生は、実は短編がすごく良いのですよ。『お兄ちゃんと一緒』も良いけど、新作短編が読みたい気分。『夏目友人帳』3巻独特の雰囲気の絵をお描きになる緑川ゆき先生のマンガです。祖母の遺品“友人帳”によって支配された妖怪達に名前を返す少年・夏目。妖怪達とのふれあいを描くあやかし奇談。人と友達になった主様。かつては妖が見えていたのにある日急に見えなくなってしまった男と、彼と親しかった妖の切ない愛。妖が見える自分に悩む夏目が呪術師の会合に出かける話。そして辰未と言う妖の卵を孵し、雛を育てる話。夏目は小さい頃に両親を失い、親戚をたらい回しにされた過去を持つ。また「妖が見える」と言う言葉を信じてもらえず、仲間はずれにされ、ずっと一人ぼっちだった。それが心優しい今の両親に引き取られ、良い友人達に囲まれ、しかし妖が見えることは言ってはいけないと思っている。友人帳を作った祖母のレイコは、妖を憎み、それ故名前を奪い支配した。夏目はレイコとは全く違ったスタンスで妖と係ろうとしている。どの話も淡々と語られ、時に優しく、時に切ない気持ちにさせられます。私の好きなマンガの一つです。

  2007年04月09日

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  先週読んだマンガの感想 ・その１・・・『NARUTO』 37巻、 『BLEACH』 27巻

  『NARUTO』３７巻シカマルの煙草、やめて欲しい。未成年者がどうのと言うのじゃないのですよ、こんなクサイまねをシカマルにさせないで欲しい。完全に化物退治マンガになってしまいましたね。シカマル、良くがんばりました。久々にカッコ良いカカシか?、と期待させたものの、すっかりヘタレに。カカシはもうヘタレキャラとしてしか生きる道がないのでしょうか。私はアスマが死んだことには未だ思うところがあります。しかしせっかくアスマと言うキャラを死なせたんだから、ここはイノ・シカ・チョウで頑張って欲しかったなぁ。何故どうしてもナルトを活躍させたがるかなぁ。ナルトはこの後、サスケの時に頑張れば良いと思う。『BLEACH』２７巻虚圏編になってから今一面白くないのは敵キャラにどうも魅力がないから、と思っているのですがウルキオラは好きです。今巻のウルキオラには笑いました。すっごい“俺様セリフ”。「俺と来い、女。」「喋るな。」「言葉は“はい”だ。」「命令だ。」これを例の如く無表情でおっしゃる。藍染様にはへコヘコしてる人のセリフとは思えません。言う事聞かなければ仲間を殺すと脅され、ついていく決心をする織姫。眠ってる一護だけにこっそり別れをつげる。自分の好きな男が「ありがとう、君が時間を稼いでる間に、俺たちはじっくり特訓するよ。」なんてタイプだとでも思っていたかね?。この考えの足りなさのせいで、原作では辛い目にあっているわけですが。ソールソサエティーでは自分から虚圏に行った裏切り者とされ、死神は引き上げる。かくして一護は雨竜とチャドと三人で虚圏に向かう。えーと、RPGゲームでパーティー組むときも、守備・回復系のキャラは絶対必要で、織姫はそれに特化すれば良いと思うのですよ。そのスキルを持っているキャラが弱いのは仕方がないから、がっちり守るキャラをつけてあげると。何も織姫が戦闘スキルをあげる必要はない。喜助が織姫に対した言葉もどうかなと思ってたけど、今回の織姫の行動も･･･。既に藍染を倒すという立派な目的があるのだから、虚圏行くのに“奪還”と言う新たな目的は特に必要ない訳です。久保先生、この“奪還”にするために、ストーリーにちょっと無理がありすぎると思うのですが。喜助は相変わらずのお調子者で、そこが魅力的。小さい隊長さん・シロちゃんもカッコ良い。しかし敵に逃げられちゃったのか･･･。決着つかずの戦いにはそろそろ飽きが・・・。平子もファンキーで魅力的。強いじゃないですか。ルピもグリムジョーもキャイノキィノとうるさい。藍染様はよく我慢できるなぁ。ちょっとのコマだけど、登場の竜弦様がクール。一護パパ･一心とのエピソードを見たいなぁ。そして滅却師の力を取り戻した雨竜。ここのところ出番なしで寂しかったよ、思う存分、頑張ってくれ。↑あぁぁぁ・・・。このNARUTOとBLEACHの感想の差。岸本先生、がんばって欲しいです。

  2007年04月09日

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  『鋼の錬金術師』　16巻　感想

  読みごたえのあるマンガなので、ちょっと感想はマジ。おまけに長いです。RPGゲームで言えば、中盤に一度ボス戦があって、その後イベント(イシュバール戦の話)、そして新しい町へ・・・と言うところでしょうか。16巻はイシュバール戦関連を少し、そして情報を集めて新たな地、ドラクマとの北の国境最前線ブリックスへ。イシュバール戦話リサの語りが終わって、リサとロイの意志の話になりました。リサの「沢山の人の人生を、その人の許可なく終わらせた。その私達が勝手に死にたい時に死ねる訳が無い。」の言葉が重い。けれどもっと重いのはノックスの「もしも神様ってのがいるならよ、見のがしてくれよ。こんな俺でもよぉ・・・、家族とコーヒー飲むくらいの幸せは願っていいよな・・・?。」の方だと思った。ノックスもリサの言葉と同じことは思っているのですよ、それでもセリフの様なことを望むのが人間だと思うのです。これが悲しいです。イシュバール戦は人のささやかな願いですら、神に願うものにしてしまう壮絶な物であったことを象徴しているシーンだと思います。私はかねがね荒川先生って天才じゃないかと思ってるのですが、何が凄いって最初からエドをレベル100で始めた事です。強さの成長ばかりにあくせくして物語が矛盾だらけになるマンガも多いのですが、ハガレンはエド側も敵側も一定レベルの強さで通しているので、破綻が無いです。“強さの成長”にページを割かない分、魅力的なエピソードの数々、そしてエドの人間的な成長が描けてる。今回もリサの話を聞いて、自分は余りに知らないことがあると気付いて、リサの言う事をまるまる受け入れるわけじゃないけれど、エドなりに考えるわけです。１巻の頃から考えると本当に成長していると思いますもの。さて、もう一つ(イヤ、他にもいっぱいありますけども)上手いなぁと思うのが、イシュバール話から新しい地への展開。１５巻は戦争と言うものを考える(←ここが大事)機会になると言う点で本当に良い巻だと思うんです。戦争を扱うマンガで良作と言われてるものは確かにあるんですけども、まじめすぎるんですよね。エンターテイメントとしてちゃーんと面白く読ませるマンガで、だけど戦争を扱うって言う事に、私は意義があると思うなぁ。なんですけどやっぱり如何せん重い。これをずっと続けられると読む方も辛いです。荒川先生は一転、ギャグをいっぱい取り入れて、面白く読ませてくれます。このバランス感覚、さすがです。と言う事で北の国境・プリッグズへこれは何と言っても、アームストロング少佐の姉上、“プリッグズの北壁”の異名を持つアームストロング少将の登場に尽きるかと。また魅力的なキャラが出てきたものです。心優しい少佐と血が繋がっているとは、見かけも性格も、とても思えません。このアームストロング家の子供は女性には美形が出る血筋なんでしょうか。妹さんもすごく可愛らしい人でしたよね。お姉さまの名前はオリヴィエ。きついタイプの美人さんなんですが、性格もきつい。さすがは酷寒の国境を護る将軍、超シビアな合理主義者。アルの言う綺麗ごとなど、「やかましい。」の一言で切って捨てますよ。プリッグスの基地、要塞のようでド迫力。『ロードオブリング』の黒門を彷彿。これ位の絵で、プリッグスの厳寒の自然も見せてくれると良かったんだけどなぁ、と思っちゃうのは贅沢でしょうか。個人的に気に入った場所を二つばかり。部下を左遷されて手足をもがれた状態のロイ・マスタング大佐。チェス盤を開いて、「兵も騎士も城も僧正も、女王も取られた。」あ、この女王って言うのはリサだと思って良いんですよねー。「が、チェックメイトにはまだ早い。」へこんでませんよ、ロイは。ブラッドレイが軍内の敵のトップと分かった今、「君、ちょっと焦りすぎ。」のアドバイスを心に置いて、頑張って欲しいです。もう一つはキンブリー。“死”の戦いに取り憑かれた男として、徹底しての悪役っぷり。変に“良い人”してないところが良いわ、そんなもの欠片もありませんもの。やっぱり悪役が魅力的じゃないと、物語はつまらないです。１７巻は８月発売。いよいよスロウス(怠惰)登場。もう一本抱えていらっしゃる連載『獣神演武』も８月に出るとの事です。楽しみ楽しみ。ちょっとした余興・・・「萌えってのはさー、もっとこう・・・。」の続き。寒い冬を身を固くして耐え忍んでいた種、春の予感にいつの間にか芽を出し、その後はひたむきに伸びていくように・・・心の中で気がつかぬうちにともったもの、見るたびに声を聞くたびに大きくなって行った。そして気がついてしまったらもう止まることができずに、ひたむきに向かってしまう。そんな気持ち。・・・ってとこ?。くれぐれも軽々しく使うなよ、と言うことでしょうか。ごめんなさい、荒川先生、私、使っていたかもですー。

  2007年03月23日

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  『フルーツバスケット』 23巻 (最終巻) 感想

  一時は少女マンガの傑作!!とすら思い、新刊の発売を心待ちにしてた『フルーツバスケット』ですが、他の方のサイトで貼っていた“ブックランキング”でチラッと目に入らなかったら、23巻の発売に全然気が付かなかったでしょう。興味がなくなると言うのは恐いものです・・・。その23巻、一言で言えば、面白かった!!です。フルバを面白いと思って読んだのは久しぶりです。と言うことで感想です。あ、その前に、誰でも良いから、一瞬の間だけ“大人”を捨てて紫呉を一発殴れ!!。呪いが解けた十二支たちを本家に集めた慊人は、紫呉のプレゼントの着物(女物)を着て皆の前に現れる。謝罪の言葉は言えなかった、けれど当主として草摩に残り、皆の本当の自由を守ろうと思う。自分に対する本当の気持ちが分かった紫呉と共に。由希は遠く離れた大学へ進学。夾は将来の為に、離れた土地で働き、その土地の道場に通うことを決め、透も夾について行くと言う。別れの時がせまり、思い出をかみしめる皆。そして透と夾は一緒に手をつないで、歳を重ねていく。相変わらずの透マンセーが鼻につくとか、罪滅ぼしはして当然、その前にきちんと謝罪はしときなさいよ、大人なんだから、慊人とか、絵の劣化がひどすぎてせっかくの女性の着物姿が綺麗に見えないよ、慊人(あ、でも「当主なんだから。」と言うシーンは背筋をピンと伸ばして座ってて良し!!)とか・・・、不満がないわけじゃないですが、フルバもこれでおしまいと思うと、まっ良いかって思っちゃいます。感無量と言うか、何と言おうか・・・。いろんな問題が一応一段落ついた後の巻なので、コメディー仕立てで初期の頃を思い出させます。その中に高屋先生お得意の心情表現が入ってきて、これ位のバランスが好きだなぁ、私は。十二支たちも皆登場、それぞれの性格にあったギャグで笑わせてくれます。中でも花ちゃんと綾女は魅力全開!!特に綾女は、出発する透に贈り物を荷造りするシーンが良いです。私も親なので、綾女のセリフにはグッと来ました。この巻でやっと今日子の「許さないから。」の本当の意味が明かされますが、うーん、ちょっと無理があるかも。こじ付けの感もあり。どうしても夾を誤解させるセリフが必要だったんでしょうけど、ここで「許さないから。」の言葉は普通は出て来ないと思う。それでも今日子が死んだ後、勝也との思い出の海のシーンに移って、今日子も中学生に戻っていて、勝也が手を差し伸べる。“がんばったね”の言葉が書かれた海の絵には、胸があつくなりました。透と夾が明日旅立つと言う日、由希と夾は「バカ猫。」「バカねずみ。」と言い合い、しかしかつての険悪な雰囲気はありません。由希は夾に、透と二人っきりで話したいと言う。由希は透に、自分の思いを話し、何度も「ありがとう。」と言い、そして始めて「透。」とその名を呼ぶ。母として求めていたものから解き放たれた証。『フルーツバスケット』は透と夾の、そして由希の物語だったのだなぁと改めて思いました。不覚にも涙が出そうになっちゃいましたよ。さて、その後のお話として、子供が出てくるのはよくありますが、何と孫登場です。透と夾は、おばあさんとおじいさんになっても、手をつないで一緒に歩いているのです。高屋先生は感情表現がメチャクチャ上手い方だと思います。アップで静止した表情や、時には下を向かせたり、背を見せたりしてあえて表情を隠したり、相手を求めて伸ばす指や、風に吹かれて揺れる髪、木の葉や、陽の光、花。セリフだけに頼らないこの心情表現が、『フルーツバスケット』と言うマンガを魅力的にしていたと思います。少女マンガと言うのは、結局のところ、この心情表現があってこそだと思います。最近、セリフ頼みのマンガが多いですが、こう言うところは失って欲しくないなぁ。もう一つ、マンガが絵でこれだけ出来るんだから、アニメももちっとがんばれ!!、と言いたい。(↑まるで特定の作品に言ってるかのよう・・・。分かる人にはわかっちゃうでしょう。)フルーツバスケット　ファンブック『宴』書き下ろしマンガが入っているそうです。

  2007年03月20日

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  『秘密』　清水玲子著　感想

  本日、楽天ブックさんに注文していた本とマンガが届きました。本を開くと紙のにおいがちゃんとする。このにおいは、これから本を読む幸せの象徴のようなものです、私にとって。ところで、我が家の休日の朝は遅い。珍しく子供が先に起きていましたが、何とソファーでゲームをしていましたよ、しかもパジャマのままで!!。(昨日の記事に書きましたが、子供は定期試験がすごそこに来ている。)こんな子供に、私が何の遠慮をする必要がありましょう。と言う訳で『秘密』の感想です。ネタバレには配慮して書いていますが、内容に踏み込んだ箇所もあります。未読の方はお気を付け下さい。見開きのカラー表紙が、おぉぉぉ!!、うつくしいー!!。さすがは清水玲子さんです。捜査側のリーダー・薪と部下・青木のバックに散りばめられた青いバラ。ちなみに青いバラは“あり得ないこと”の象徴でもあります。“ブルーローズ”と言う単語がそのまま、それを意味することもあるとか。近未来。脳にMRIスキャナーで電気刺激を一定に与えることで、脳が記憶している「目で見た映像」を5年前にまで遡って再現できるようになっていた。その手法は、プライバシーの問題もあり、重大・凶悪な事件に限って使われることになり、警察組織の中の「第九」が担当している。公園で撲殺された上、左手・左足を砕かれ、頭部は切断、皮を剥がれている死体が発見される。被害者・土屋の記憶の映像を見ると、チャッピーと言う着ぐるみがバットを振り下ろしている。土屋はしばらく前から“五年前”にこだわるメールを何通も受け取っていたことから、「第九」のリーダー・薪は、五年前に何か秘密があり、犯人はそれを暴いて欲しくて起こした事件と推理。一方、土屋のかつての塾の仲間の一人・西澤が恐怖にかられ、他の仲間達に集合をかける。その場所で仲間たちが見つけたのは、冷蔵庫の中の西澤の死体。壊された車、ドリンクに混入されていた薬物。追い詰められていく仲間達。五年前の秘密とは一体何?。薪たち捜査側と、土屋の仲間・片岡たちが交互に描かれていき、途中から更に犯人の描写も加わって、これが最後に一つに結ばれていきます。片岡たちには、自分達が被害にあう原因となる過去があり、それゆえに、閉じ込められた状態で、精神的に追い詰められていきます。薪たちは土屋の脳のスキャンに基づいて捜査を重ね、やがて五年前の悲惨な事件に行き当たり、今回の事件がこれを模していることを突き止めます。更に片岡たちの“五年前の秘密”を暴きます。しかし物語りはこの時点でまだ半分にも到っていません。犯人の目的は片岡たちの過去を知らしめる為、復讐の為。けれど真の目的、心から望んでいることは別にもあった、彼にはどうしてもこの犯罪を犯して守らなければならない“秘密”があったのです。私はミステリーを好んで読みますが、被害者や加害者、その周辺の人たち、あるいは捜査陣たちを丁寧に描写した小説が好きです。このマンガもそうです。追い詰められて壊れていく片岡たち、“秘密”を抱えて生きてきた加害者、そして薪。「第九」が扱うのは主にサイコ殺人、しかも特に悲惨なもの。被害者、加害者の脳の記憶を見ることによって、彼らの世界に堕ちて行く危険性をはらみます。自らが経験した過去により、薪は、一歩踏み誤れば、そこに落ちていく危うさがあります。その彼をいつも後ろで守っていたいと思う部下の青木。それらの人々をきちんと描いたマンガだと思います。特に加害者の哀れさに、心が痛みました。その心を開く青木も良いです。扱っている事件が事件なので、グロいシーンもありますが、普通マンガではそれを際立てようとする時、ベタやトーンでリアルな感じを出したりしますが、清水さんはそれをしていません。そこに、清水さんがこのマンガで描きたいものが何であるのか、を私は見ました。薪は超絶美形、怒るとポーカーフェイスもしくは氷の微笑で、イヤミでいじめると言うキャラで、その薪と部下達のやりとりが面白く、重く、陰鬱な物語の中でホッとさせます。久しぶりに出た新刊、堪能しました。こちらは既巻。一巻は一番最初に薪とは別の、脳の記憶をめぐる物語が入っています。序章と言う感じでしょうか。

  2007年03月03日

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  『蟲師』　8巻　感想

  正直、7巻で“他の全ての生命を滅ぼさんとした禁種の蟲”なんて話が出て来て、ギンコはそんな壮大な戦いの世界に行っちゃうの?、と一抹の不安を覚えてましたが、8巻では無事、普通の人々の世界をうろついてます。『蟲師』はそう言う世界を描いている方が好き。7巻の表紙は桜でしたが、8巻は雪です。これがまた美しいイラストです。ネタバレしてますので、未読の方はお気をつけ下さい。『潮わく谷』雪の山の中で倒れて男に助けてもらったギンコ。目が覚めるとにぎやかな家族、そして出された豊かな食事。外に出てみると、冬の最中とは思えない青々とした田畑があった。昼夜、ほとんど休み無く働く一家の主から漂う甘い匂い。疲れを感じないと言う男に、それは蟲のせいだと忠告するギンコ、しかし男は家族をもっと豊かにしてやりたいのだと言う。男は雪の降る夜に畑仕事に出かけて事故に会う。。目覚めた途端にまた働きに行くと言う男に、男の父親が昔の話をする決心をする。それは父と亡き母がこの地へ移住してきたばかりの頃の話。貧しく、乳もろくに出ない母は、ある日甘い臭いの白い池の水を飲み、赤子にも与えた。乳潮。産後間もない獣に寄生して、自らの栄養のために母親の体液を乳へと変える。宿主が成長すると、周囲の植物を成長させる匂いを出す。宿主には眠る間も与えず養分を取らせて、自らを強くする。宿主が力尽きればその身体を捨て、別の宿主を探す。ギンコは蟲下しの薬を男に渡し、判断は男にゆだねる。ギンコ最初、何としても男を止めようとしますが、最後にはそれは男が決めることであって、ギンコが判断すべきことではないとしました。それは貧しい地にあって、自分の家族に豊かな暮らしをさせたやりたいと言う男の切なる願いを感じとったから。男は蟲下しの薬を飲んだのでしょうか、数年後その谷には厳しい冬が訪れるようになりましたが、家族は相変わらずにぎやかです。家族を思う確固たる親の存在が、家族を今も豊かにしているのです。『冬の底』山に春が来ようとしている、啓蟄後の蟲は腹をすかせて危険。ギンコは完全に春が来るまで、寝てすごすことにする。しかし起きても周りは未だ雪深い冬。隣りの山の蟲が北へ帰っていく、しかしこの山の蟲たちは動かない。更に歩いても歩いても元に戻ってるギンコ。山が閉じている。そしてヌシの姿もない。秋に台風で被害にあった山を、ヌシは閉じて冬眠させているのか。しかし冬眠で弱った生物は死んでしまうこと、隣の山は春なのに、息を吹き返していないこの山は死を待つのみ、そしてギンコも巻き添えか。気配を感じ辿ってみると水が凍っていない沼があり、そこにヌシが。蟲に取り囲まれ、沼に落ちていくギンコ。そこには光酒が湧き出し、幾多の動物達が眠っていた。そこで身体を癒していたのだ。沼から上がってみると辺りは春を思わせた。颪笛がギンコの光酒に群がっていた。そして一斉に空へ登り、北へ渡っていく。山が開いた。とっても素敵なお話で8巻の中でも大好きなのですが・・・。ギンコって冬眠できるんですかぁぁぁ!。枯れ枝組んだ中に入って、煙で燻しているので、それの効果だとは思うだけど、びっくりしたわ。この山のヌシは亀。甲羅に雪が積もってて、その中から芽が出ています。あっさり山から抜けられて、ギンコは気付きます。自分を山に入れたのは光酒めあてか?、と。全てはヌシの掌の上。(いや甲羅か?)『隠り江』水路のある町に住む娘・ゆらは時折意識が戻らなくなる。ゆらはその間、スミと言うかつてその家で働いていた女中と話していたと言う。病弱だったゆらはスミによく懐いていた。カイロギ。人と人の間には見えない通路があって、これを“水脈(みお)”と言う。全ての水脈は繋がっていて、そこに五識を補う“妖質”が流れている。水脈は入り組んでいたり、妖質が少なかったりするところもある。それでも繋がっているので、望む相手にたまに会えることもある。これを自由に起こせる蟲。妖質豊かな者の意識に棲む。しかしカイロギを使いすぎるといつかは二度と意識が戻らなくなると、ギンコはゆらに、妖質を一時的に枯らす薬を渡す。スミも来ることがあるのは伝染しているから、ギンコはスミの所へ行く。ギンコからスミが薬を飲んだと聞き、更にスミからの手紙を読んでショックを受けたゆらはカイロギを使う。するとそこには泣いているスミがいる。水路を船を漕いでスミに会いに行くゆら。しかし発作を起こして倒れてしまう。カイロギに意識を奪われるゆら、助けて、お願いと願う。その願いが何人もの水脈に繋がってゆらは助け出された。戻れないかと思った、さすがにこりてゆらは薬を飲む。スミがゆらに書いた手紙は、ゆらに薬を飲んで欲しくて書いたもの。寂しくなると言うゆらに、ギンコは「会いにいきゃ、いいだろう。」水脈と水路を繋げて表現してます。この水路の絵が本当に良いのですよ、流れる水、そこを渡る風の音が聞こえてきそうです。“カイロギ”は部首変換でも出てこなかったの、“舟”偏に“少”と言う字です。毎回、蟲の名前には苦労します・・・。“蟲”が人に作用を及ぼすのは、単にその性質によるもので、そこに“意思”はない。ただ存在しているだけ。・・・であるならば、人への影響は悪いことばかりじゃなくて、良い事があったって良いはずと私は思っているのですよ。この話の最後で、スミのところに遊びに行くゆらが、カイロギを使って行くよって伝えるのです。「いいでしょ、たまーになんだから。」とゆら。蟲をこんな風に使うなんて、やるじゃない、って感じです。このラストの明るさが良いので、この話は好きです。『日照る雨』行く先々で雨を予言するテル、ギンコは彼女から雨の匂いを嗅ぎ取る。テルが来ると日照り続きだったところでも、二、三日すると必ず雨がふるので、テルは歓迎された。テルの思いは昔に戻る。幼なじみと逃げ水を追いかけた。村にやっと降った恵みの雨、しかしそれは降り止まなかった。長雨のせいの流行り病で死んだ幼なじみ。泣きたいのに涙が出ない幼いテル。テルがいくところ、どこでも雨が降る。まるでテルが連れてきたみたいに。だからテルは一箇所に留まれない。ヤスに所帯を持とうと言われても受けるわけにはいかない。しかし今回はなかなか雨が降らない。日照りが続き水が底をつく中、ヤスが倒れる。「もう、そんなのはイヤだ。」とテル。するとテルの涙の代わりに空から水の粒が落ちてくる。雨降らし。普段は空中を漂う水滴のような一群、空中の水分を集めて降ってきて、水分の蒸発と供にまた空へ登る。だが日照りが続くと地表近くにたまり、逃げ水のような姿になる。それに触れると憑く。テルに起きている現象は雨降らしのため。対処法はないと言うギンコに呆然とするテル。この雨のせいで何人もの人の命を奪ったと言うテルにギンコは、それは雨降らしのせいでも、テルのせいでもないと、不幸な巡り会わせだと言う。これも好きなお話。病に倒れたヤスが、日照り続きだった空から雨が降ってきたシーンに「きれいだなぁ。」と言います。村の者が雨にぬれながら喜んでいます。本当に綺麗なシーンです。村から去っていくテルに、雨の中ヤスが見送りに来て、「ありがとう、また絶対来いよな。」と言います。テルは泣きたい気持ちでしょうが、しかし頬を伝うのは雨粒です。けれど思うのです。いつか本当の涙が流せたら、土の上に根を下ろそう。それまでは雨を伴に流れていこう。『泥の草』山沿いの里に奇妙な病が流行っている、足にいぼが出来て、しびれて辛い。里の者はそれを“死が伝染った”と言う。この里では死者をあちこちの沼に置いて葬る、やがて骸はあとかたもなく消えてしまう。“山に帰る”のだと言う。骸草。動物の骸を骨まで分解して泥状にし、それを生体に踏まれることで子株を広げてる。これは塗り薬で簡単に取れるもの。しかし子供に連れられて見た男(伯父)の蟲は、芽を伸ばしたように成長し、薬も効かない。二人は子供の父親、男にとっての弟に、別れを告げに山に入り骸の元に行った。そこには既に成長している骸草が寄生している死体が。男のみ骸草が育っていることに疑問を感じるギンコ。実は男は弟を殺していた。男の娘を事故で死なせてしまったと告白する弟を許すことが出来なかった。ギンコは男に、骸草は生きた者から芽を出しても育つことはない、男が骸と同じ状態なのは、男の身体に死臭が染み付いているからではないか、と言う。だからしっかり洗い清めれば、薬も効くようになるだろう、と。必死で川の水で身体を洗う男。ギンコと男の話を聞いてしまった子供は、「父さんを殺したの。」と問う。お前だっていつかは俺を・・・と子供の手をつかむ男。子供に払いのけられ、男は足を滑らし川に落ちる。『蟲師』には蟲の影響で人が不幸になる暗い話が多いです。これもそうなんですが、しかし男を殺したのは蟲ではありません。自らの暗い部分が、男を殺してしまったのです。しかしそれも娘を失ったことによるのだと思うとき、男に哀れさも感じました。男の成れの果てを見てギンコが言うセリフ、「山へも帰れなかったのか。」が印象的でした。・・・とまじめに終わらせたいのですが・・・。骸草に寄生されている足のシーンがもう・・・。最初のイボがいっぱい出来てる足の絵から「あぁ、ヤダなぁ。」と思ってたんですが、芽を伸ばした草がビシーっと生えてる男の足の絵に到っては、途中で読むのを投げ出したくなりましたよ。触れば伝染るものですから、男の腕にも背中にもまばらながら生えてるんです。マジで痒くなってしまいました。こうやって感想を書いてても何だか・・・。美麗なイラスト集です(←商売上手すぎ)。そしてオダギリ・ジョー主演の映画の小説。大友克洋が監督、ビックリしました。

  2007年02月27日

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