鋼の錬金術師 第4話 「錬金術師の苦悩」 感想
とても悲しいけど、色々考えさせられるエピソードでとても好きなので、先週までの感じで描かれたらイヤだなぁと思ってたのですが、今週は良かったです!!。あらすじは公式HPから。ロイより「綴命の錬金術師」ショウ・タッカーを紹介されたエドとアル。タッカーは2年前、人語を解する合成獣(キメラ)の錬成に成功した生体錬成の権威であった。タッカー宅で資料を探す間、その娘・ニーナと親しくなるエド達。一方、年に一度行われる国家錬金術師の「査定」日を前に、タッカーは焦りを募らせていた。国家錬金術師を殺しまわっている“傷の男”スカーと、“鉄血の錬金術師”グラン准将の戦いから入りました。原作では既に殺されたことになって、話に入ってるんですが、アニメで見せてくれてとっても嬉しい。“鉄血の錬金術師”の戦い方はオリジナルで、スタッフの腕の見せ所って感じです。そして東方司令部メンバーの、大佐が仕事を溜めたんで愚痴を言いながらの仕事風景。ヨキの話はメンバーの話でサクッと済ませる。後々まで登場するキャラだと言うのに、この扱い。でも私はこれで良いと思うんですよね。広く浅くでエピソードを描くより、絞って深く描いて欲しいと思ってるので。エドとアルは、マスタング大佐の紹介で、“綴命の錬金術師”ショウ・タッカーに会い行く。タッカーはキメラ研究の第一人者で、二年前には人間の言葉を喋るキメラの生成に成功している。そのキメラは「死にたい」と一言言っただけで、その後、食事を取らず死んでしまったと言う。「人の手の内を見たいなら、先ず自分が明かすべきだ。」とタッカー。何事につけても等価交換ってヤツですね。それでエドとアルは、自分達が犯した人体練成について話す。さっそく資料を読み始めたエドたち、その集中力。タッカーは、「いるんですね、天才ってやつは。」このセリフ上手いんですよねぇ。これ一つで、タッカーの心理状態を表してるんですよ。で、この後、エドとアルが資料を読みつつ、ニーナとアレキサンダーと遊ぶ様子、その声を聞きながら研究に焦りを見せるタッカーが描かれる。ここが今回は良かったと思うんですよね。先ずニーナの可愛らしさがとっても良く出ている。そして査定の日を控えて、焦るタッカーの様子を描いた点がアニメは良かったと思う。昨年の結果は余り良くなかった。今年も良い結果が出せなければ、国家錬金術師の資格を失い、研究は立ち行かなくなる。貧しかった頃の、妻との言い争うの思い出。「もう後がないんだ。」タッカーが後に仕出かすことの、理由が視聴者にも分る。エドとアルがタッカー家に行くと、人語を話すキメラの生成に成功したと、見せられる。「エドワード」の名を教えると、それをなぞって言うキメラ。しかし「お兄ちゃん」・・・。国家錬金術師の資格を得たキメラの生成は二年前。妻が出ていったのも二年前。「ニーナとアレキサンダー、どこ行った?」タッカーは、娘と飼い犬でキメラを作っていた。怒るエド。しかしタッカーは、エドたちの人体練成も同じだと言う。殴られた父親を心配するニーナが悲しい。そして「自分達はタッカーとは違うんだ」と必死に否定するエドも悲しいです。自分達の技術では治してあげられないと、ニーナに謝るアルも悲しい。子供の無邪気さだからでしょうか、「遊ぼう、遊ぼう」と言うニーナも悲しい。人の命に係わることに錬金術を使ったと言う点においては、禁忌であるわけで、エドとアルも、タッカーも等しく罪だと思うんですよね。問題は人の心の領域かな。心を持つ人間として、それは許されるか、どうかって事だと私は思いました。そして錬金術師が、どこまで神の領域に踏み込んで良いのかってこともあると思う。国家錬金術師は命あれば、手を汚すことも辞さなければならない。人の命をどうこうする点で、タッカーと、他の錬金術師の立場に違いはない。それを承知で選んだ国家錬金術師の資格。しかしエドはまだ大人ではない。軍の施設の玄関前階段に、雨に打たれながら座り込むエドとアル。「君自身が手を汚すこともあるかもしれん。その度にそうやって立ち止まるのか?。」と問うマスタング大佐。軍の狗と呼ばれようが 悪魔と罵られようが、俺はアルと二人、元の身体に戻ってやる。けれど・・・。「俺達は悪魔でも、ましてや神でもない!!。人間なんだ。人間なんだよ!!。たった一人の女の子さえ助けてやれない、ちっぽけな人間だ!!。」錬金術は、その使い方によって善にも悪にもなる。そして作者が言うところのLev.100の天才錬金術師エドでも、出来ないことがある。限界を見せ付けられたわけです。その無力感。けれど大佐の言うとおり、エドとアルは、立って歩いて行かなければならないのですよね。タッカー宅。自分がした事を間違ってるとは全然思ってないのね、タッカー。それでも「お父さん」と呼びかけるニーナが悲しい。そこに現れたスカー。「神よ、今、二つの魂があなたの元に帰りました。」前半は良かったです。後半、もう少しエドとアルの心情に厚みが欲しかった気もするけど、今回は満足。