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あべ社労士のポジティブノート

[労働・社会保険制度] カテゴリの記事

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社会保険の未適事業所まわり

またまたブログ更新が滞ってしまった。このところ集中してやらなくてはいけない仕事が続いているので、ブログを書いている時間が持てないという感じなのだ。それはそれでありがたいことなのだが、“自分らしさ”をあらわす上では、ブログもきちんと更新していかないととは思っている。それにしても、いまはホント時間がもっと欲しいというそんな心持ちなのだ。明日は、社会保険の未適用事業所（未適事業所）まわりを行う予定。未適事業所まわりは、一昨年まで“行政協力”ということで社会保険事務所から依頼されて毎年社労士会で受けて、社労士が分担してまわっていたのだが、昨年から競争入札制度に変わり、社労士会も入札で落札しないと未適事業所まわりができないことになったのである。だから、県によっては社労士会が未適事業所まわりを行わずに、一般の業者が未適事業所をまわるというところも出ているのである。幸い（といっていいのか）長野県は、社労士会が昨年に引き続き今年も落札したので、社労士が未適事業所をまわることになったのである。ところで未適事業所まわりって何を目的とするかというと、本来法律によって社会保険の適用事業所にならなくてはいけない会社にもかかわらず、適用になっていない事業所に対して社会保険の適用を“指導”するということにある。例えば、株式会社などの法人の場合には、たとえ社長ひとりで会社を運営していたとしても社会保険に加入しなくてはいけないのである。毎年まわっていて思うのは、未適事業所になっているところは確信犯が多い。つまり、社会保険に入らなくてはならないとわかっていて、入らないケースが多いということである。それでも、粘り強くこうした未適事業所に対して説明をしていく活動は極めて重要なことだと思っている。そこでいろんな意見も伺えるし（もちろん社会保険庁批判がもっとも多いが）、何よりも社労士が一定の接点を持つことができること自体が意味があると思っている。しかし、未適事業所のリストは住所と事業所名のみなので、この場所を捜すのが一苦労である。ついさっきまで地図を広げて、明日はどうやってまわろうかと検討していたのだが、１件の事業所の場所を特定するだけでも相当の時間を費やしている。そして地図で特定できても、明日実際に行ってみないと果たしてあるかどうかわからない。明日は１５件まわる予定なのだが、一応は見当をつけることができたので、何とか事故なくまわりたいものである。そして、少しでも説明を聴いてもらって、前向きに社会保険の適用を検討して欲しいものである。

2008年02月27日

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管理監督者の概念とマクドナルドの判決

今週は、昨日は長野市へ、一昨日は金沢へと出張が続いたので、本来やるべき業務が片付いていない状況。今日も朝からお客さんのところをまわって、午前中はそれで過ぎてしまった。午後は溜まっている起案業務を少しずつ片付けていたのだが、この時間になってもまだモタモタと片付けているという感じだ。　（金沢へ行った証拠写真？ー兼六園からみた金沢城）ところで、一昨日金沢への出張中にラジオを聞いていたら、マクドナルドの店長に対して過去の残業代の支払いを命じる判決が出されたというニュースが流れていた。社労士業務を行っている者にとっては、非常に注目すべき問題であるが、具体的には何が問われたのかを簡単に説明してみる。まずＮＩＫＫＥＩＮＥＴの記事を引用する。「店長は非管理職」マクドナルドに残業代支払い命令、東京地裁　　　日本マクドナルドが店長を管理職として扱い、残業代を支払わないのは違法だとして、　　埼玉県内の店長、高野広志さん（46）が未払い残業代など計約1350万円の支払いを　　求めた訴訟の判決で、東京地裁（斎藤巌裁判官）は28日、「店長の職務内容から管理　　職とはいえない」と述べ、同社に約755万円の支払いを命じた。労働時間や残業代など　　の規制適用外となる労働基準法の管理監督者の認定を厳格にとらえた。　　　マクドナルドには約1680人の店長がいるほか、他の外食チェーン店でも店長を管理職　　としている企業は多い。店長を非管理職として扱うよう見直す企業もあり、判決は各社　　の対応に影響を与えそうだ。　　　訴訟では、店長の高野さんが管理職として経営者と一体的な立場にあり、出退勤の　　自由や賃金などで一般労働者に比べて優遇されているか否かが争点になった。労働基準法では、41条２項で「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」について、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法上の規定については適用しないと定めている。つまり、時間外労働、休日労働に対する制限がないので、いくら働いても割増賃金の支払い義務もないのである（深夜労働に対する割増賃金は除く）。ここで重要なのは、いわゆる「管理監督者」の概念規定である。通達では、原則論として企業が任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として認められるわけではないとし、具体的には、経営方針の決定に参画したり労務管理上の指揮権限を有する等、経営と一体的な立場にあり、出退勤について厳格な規制を設けず勤務時間について自由裁量を有する立場にあること、役職手当などの支給等において優遇されその地位に相応しい待遇を受けていることなどが要件とされる（過去の判例・通達による基準）。上記記事でも書かれているとおり「経営者と一体的な立場にあり、出退勤の自由や賃金などで一般労働者に比べて優遇されているか否か」が重要な争点となり、裁判所はその職務内容からして管理監督者とはいえないとして、残業代の支払いを認めたのである（実際の残業代として認めたのは２年分の５０３万円で、残りは付加金として残業代の半額を加算）。この判決が多くの企業に及ぼす影響は、非常に大きいと思われる。同様の事例で裁判にまで持ち込まれているケースはもちろんのこと、多くの企業で「管理監督者」に対する見直しの動きも出てくるのではないだろうか。現に、紳士服で有名な「コナカ」では、店長にも残業代を支払う方向で進められているようであるし、ほかにもそのような動きが出始めているようである。しかしこうして裁判で争われても、管理監督者という概念の曖昧さは払拭されていないような気がする。というのも、今回の事例では、人事権を含め余りにも監督権限が少ないばかりか、その地位に相応しい給与が保障されていたとはとても思えないのである（会社側の説明はそうではないが）。昨年の労働時間法制見直し議論の中で、日本版ホワイトカラーエグゼンプションを採用しようとする動きがあったが、現状は、それ以前の問題として管理監督者の概念についての明確化とその必要性を求めているのではないかと思う。この概念が曖昧だから、各企業でも管理職の待遇面をどのようにしたらよいかが、常に悩みのタネになっているのである。一方で、健康という側面からも、管理監督者の概念をみていく必要がある。上記事例では、残業だけで１３０時間以上の月もあったというから、その点では例え管理監督者として認められたとしても、その働き方は相応しくない状況があったと言えるのではないか。私も、顧問先をはじめ営業先の会社等からも相談を受ける関係上、今回の判決から考えさせられることはたくさんあるし、さらに悩みが多くなったという感じである。いずれにせよ、注目すべき判決であったことは確かである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2008年01月30日

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延滞金の徴収漏れについて

少し古い話で恐縮だが、昨年末社会保険庁は、社会保険料を滞納する事業所に対して本来徴収すべき延滞金の徴収を、オンライン処理を操作することで日数や額を減少若しくは減額させるなどの、いわゆる徴収漏れを行っていた事実を公表した。最初の発端は、昨年８月に愛知社会保険事務局での行為が明るみに出されたことだが、その後全国の社会保険事務局に対して調査を行ったところ、なんと２８都道府県で７億６千万円余り（うち３億２千万円余りは時効により徴収権が消滅）の延滞金徴収漏れがあったということである。社会保険庁は、この調査結果を踏まえて、１　不適正処理にかかわった職員への事情聴取と必要な措置、２　延滞金徴収漏れの事業主への再度の支払催促、３　財産差押えに係る適正なオンライン入力処理の徹底をはかる、など滞納整理事務の徹底をはかるとのことである。ところで、この「延滞金」とはいったいどのようなものなのか？健康保険法および厚生年金保険法には、保険料を滞納した場合の措置として、１　納期限を指定した督促をおこなう（督促状を発することにより行う）、２　納期限を過ぎても滞納保険料の納入がない場合には、年１４．６％の割合で納期限の翌日から、徴収金完納若しくは財産差押えの日の前日までの日数によって計算した延滞金を徴収する、３　それでもなお保険料を納付しない場合には、国税滞納処分の例により、財産差押え、公売などによる強制徴収を執行する、と規定されている。従って延滞金とは、滞納している保険料を督促してもなお納めない場合に発する、行政処分なのである。ところで、延滞金を納めないことで被害を被るのは誰なのか？実は、直接的な被害は誰も被らない。国にとっては、延滞金がいくら国庫に入るのかなど、そもそも予定していないお金なのである。従って、延滞金の徴収漏れが７億円あったとしても、それを取りっぱくれたくらいでだれも困るわけではない。延滞金を徴収しなかったからといって、将来もらえる年金が減ったり、病院にかかる費用負担が増えたりということはないのである。なぜならば、保険料を免除したり減額したりという処置は何もしていないから、当然公的年金や公的医療への影響などあるわけがない。本来行政の目的は、延滞金などの行政処分を下すところにあるわけではないのであって、保険料を適正に納めさせるところにあるはずである。従って、滞納していた保険料を全額納め、将来に向かって保険料を支払ってもらえるようにするところに、行政としての役割があるのだと思う。延滞金とは、その予防措置としての役目しかない。マスコミでも、消えた年金問題などと同じように騒ぎだてしたが、ためにするようなものであって、とてもいただけたものではない。社会保険庁の、今後の措置について何も具体的になっているわけではないが、保険料を取りっぱくれているならまだしも、そのときと同じような処分を下すようなことはどうなのかと思う。もっとも、社会保険庁の解体が決まり、新組織になることで保険料の徴収体制が強化されることになるようだから、その布石としての意味も、今回の延滞金問題公表のウラにはあるということかも知れない。そういえば、この４月から、国民年金保険料を支払わない場合には、国民健康保険（国保）の保険証発行をしないことになるそうだ。ここまでくると、社会保障制度っていったい何なのかと考えてしまうのは、自分だけだろうか。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2008年01月17日

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パワハラの労災認定

今週は、顧問先回り。先週末に情報誌を作成したので、それを届けながら、社長や担当者と話しをし、伺う機会にもなる。ところで先日、男性社員が自殺したのは上司による暴言が原因だとして労災を認めた判決がだされた（Ｈ19.10.15東京地判　静岡労働基準監督署労災不支給処分取消訴訟）。また同日に、盛岡の男性社員の自殺に対しても、上司による叱責などが原因となり強度の心理的負荷を受けて死をもたらしたとする労働保険審査会の決定がなされた。こちらは裁判所の前段階で、労災が認められたかたちである。これらは、いわゆるパワハラ（パワー・ハラスメント）と呼ばれる、上司によるいじめや過度の指導、叱責・暴言などにより、退職に追い込まれたり、うつなどの精神疾患にかかったり、最悪の場合には上記のように自殺に追い込むほどの精神的負荷を与えたりするものである。実は、このパワハラに対する制限規定は、法律上どこにもない。今年の４月に改定された男女雇用機会均等法では、セクハラ（セクシュアル・ハラスメント）に対しての企業の措置について、従来は「配慮義務」でよかったのが「措置義務」を課せられることになり、どの事業主も就業規則等での防止規定を設けたり、相談窓口を設置したりすることが求められることになったのだが、しかしパワハラに対する規定はないのだ。そうはいっても、今回の判決等によって労災認定がパワハラに対して認められたことにより、セクハラと同様、事業主に対して「措置義務」が求められることになる。今日も訪問先で、同じようなことを話してきたが、良くも悪くも会社の労務担当者にとっても関心事であることには違いない。最近の傾向として、うつなどの精神疾患になる社員が多くなっていて、その原因としてあげられる第一のものが、長時間労働・過密労働と言われている。やれどもやれども終わらない仕事に対して、精神的に追い込まれ、それに輪をかけて上司による人格否定に近いパワハラにより、いっそう追い込まれるという事態が生まれ、健康を害すという構図である。その点では、今回の労災認定によりパワハラが認められたことで、社員を精神的に追い込む事態が減ればいいが、事態はそんなに甘くないかも知れない。いま労働時間法制について国会で審議（？）されているが、上記パワハラの労災認定とともにこの改正が慢性的な長時間労働をなくす方向に行き、少しでも精神疾患にかかる社員が減るようにしていくことが喫緊の重要問題と思う。キーワードは「健康確保」であり、これがなければ人間らしい生活も営めないし、企業にとってもより良い人材・労働力を確保していけないことにも繋がるのだ。さらに言えば、日本経済の発展にとっても大きな影響があるといっても過言ではないと思う。その点では先を見据えた労務管理が、どの企業にとってもより求められているのかも知れない。自分自身も肝に銘じて、先を見据えたアドバイス、コンサルティングをしていくことが重要なのだなあと自覚した次第である。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年10月30日

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相撲部屋の親方が“解雇”？

このところ、また忙しくなってきている。ありがたいことなのだが、能力的に追いついていかないのが難点だ。先ほどやっとニュースを作成し終わり、明日から営業先回りを行う予定。日程的には押せ押せできているが、今月はなんとか新規の営業でも何件かまわりたいと思っている。ところで先日ブログで、「大相撲力士の死亡に労災は適用されるのか？」ということで書いたが、その後死亡力士の親方が日本相撲協会から解雇されるという展開になった。ところでこの解雇は、便宜上この用語を使っているのか。それとも本当に「解雇処分」にしたということなのか？もし本当に親方を解雇にしたのならば、労働基準法上は即日解雇なので解雇予告手当として３０日分の給与が支払われるか、若しくは労働基準監督署の認定により解雇予告手当の支払いを受けずに“即日解雇”というかたちになる。ということは、親方は日本相撲協会の社員であって、相撲部屋を任された「部長」のようなものなのかも知れない。そうすると、力士たちは日本相撲協会“株式会社”の「各部」で働く社員ということになるか。前回のブログで指摘したとおり、力士は労災の適用対象となり、亡くなった力士も労災の適用があるということかも知れない。ところで、親方が解雇されたことで、同部屋の幕内力士が“引退”し、晴れて親方になったらしい。部下を何十人と持つ“部長”に一気に“昇格”したかたちで、大関・横綱になるより遥かにスピード出世したと思うのは自分だけだろうか。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年10月10日

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厚生労働大臣にもの申す！

厚生労働大臣の最近の発言に対し、ちょっとひと言。大臣は、先月末、年金の着服・横領問題に触れて「市町村は社保庁よりもっと悪い」との発言をし、その発言に絡んで、いくつかの自治体首長から抗議があったことに対し「小人の戯れ言に付き合っている暇はない」などと述べた。自治体の首長を「小人」と言い、その抗議を「戯れ言」と切って捨て、意見を聴く心の余裕はないと言うことらしい。市町村長が「小人」ならば、国民はなんなのだろう。異論を「戯れ言」というならば、どんな言葉を尊重するのか。イエスマンしか認めないということか。そう考えると、なんと了見の狭い大臣であることか。エリートを鼻に掛けたようなイヤ～な感じだ。どうも大臣というのは、君子ように思っているのではないか。自分が発言すること、行うことがすべて正しいことであって、異論に耳を傾けるという姿勢が全く見あたらない。上から見下すような言い方、市町村や社会保険事務所などの国民と身近に接する現場を知ろうともしない発言、相手の発言を尊重するでなく切って捨てるような言い方というのは、大臣としてふさわしいといえるか。それから、パフォーマンスがやたらと鼻に付く。年金横領をした自治体職員に対する告発問題がそうだ。もう何年も前の横領事件に対し、懲戒処分を行い、全額返済させ、氏名も公表して社会的制裁を受けているとして告発しない方針をとっている自治体に対し、告発しないのはおかしいと言って、社保庁長官名で告発をすると言っている。先ほどの「市町村はもっと悪い」発言に連動して、ここでも市町村を攻撃する。しかし、ここで忘れてはならないのは、年金問題の本質はどこにあるかということだ。例え、自治体職員を刑事告発しても、いま抱えている年金問題の解決には何の役にも立たないばかりか、その解決の方向性を見失ってしまうことになる。こう見てくると、厚生労働大臣は本来の仕事をほとんどしていないとしか思えない。まあ、この方の仕事はもともと“評論家”であり、現場のことなど全く無視して机上の空論をずっと言ってきたひとだから、仕方ないと言えば仕方ないのかも知れない。しかし、そんなひとが大臣になっているならば、これほど国民にとって不幸なことはないと思うのは私だけだろうか。少しでもそのとおりと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年10月05日

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最低賃金の都道府県ごとのランク分けは必要か!?

今日は社労士ネタで・・・お盆前の話しであるが、最低賃金の引き上げについて中央最低賃金審議会から答申がされた。最低賃金引き上げ目安、全国平均14円で正式決定　　　　最低賃金の引き上げ目安を定める中央最低賃金審議会（厚労相の諮問機関）が　　　10日開かれ、全国平均で時給14円とする目安を正式決定した。2ケタ台の引き上げ　　　は時給換算で目安を示す現行制度となった2002年度以降、初めて。今後、地方の　　　審議会でこの目安などを参考に議論を進め、10月中の最低賃金改定を目指すこと　　　になる。　　　　目安は地域の経済事情などで4つに分ける。Ａランク（東京都や大阪府など大都　　　市）は時給19円の引き上げ、Ｂ（静岡県など）は14円、Ｃ（北海道など）は9―10円、　　　Ｄ（沖縄県など）は6―7円とした。　　　　今回の答申には政府に対し、中小企業の生産性向上を支援することを要望する文　　　言を盛り込んだ。 (８月10日　NIKKEINETより)Ａ～Ｄのランク分けは、各地の経済事情に基づき振り分けたとのことであるが、このランク分けは果たして必要なことだろうかと思う。毎回ランク分けを行うことで、ますます地域格差が広がってしまうのではないか。例えば、ランクＡで全国で一番高い東京都は現行で時給719円となっている一方、ランクＤで一番低い沖縄県などは時給610円で、その差は109円となっている。これを１日８時間でみた場合872円の差となり、１ヶ月160時間で換算するとナント17440円もの差がついてしまうのである。で、今回の答申どおりに引き上げがされた場合には、上記の格差がさらに広がることになるのである。それぞれの地域の経済事情を考慮とはいえ、同じ日本国内で県ごとにこれほどの差が出るとなると、最低賃金の考え方を変えた方がいいのではないかと思う。つまり、現状においても地域格差は広がる一方なのに、それを解消するための政策的努力が必要だと思うのだ。それは、各都道府県で行うことではなく、専ら国の責任で行うべきことではないだろうか。最低賃金が低く抑えられている地方は、雇用情勢も依然厳しいところがあるようであり、地域経済も活性化するための余力がないとも言われている。経済を活性化するためには、人材の流入こそ大事なことである。その人材を呼び戻す、あるいは獲得するためには、大都市との格差をいかに解消していくかにあるのではないかと思う。そのひとつが最低賃金の大都市圏との格差解消であり、格差解消を政策的に行えるほどの国の地方支援のあり方が問われているのではないかと思う。先の国会で提出された最低賃金法の改正案の審議が、次期国会で行われるのであろうが、その中でも地域格差の解消という点からも、真摯な議論を期待したいところである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年08月22日

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社保庁職員の給与引き下げで解決するの？

先日のブログでも書いたとおり、このところ社労士会の新たな取り組み（年金相談）の準備や、仕事上での新たな依頼とともに社会保険の算定基礎手続きなどなど重なって、相変わらずの忙しさである。そのおかげで、今週末に埼玉へ行く予定にしてたのに変更を余儀なくされてしまった。そのことを家族に告げたら、「忙しいことはいいことなのだから、気にしないで仕事に励んで」と言われてしまった。その反応にちょっと寂しい気もしたが、いまは目の前の求められる仕事に打ち込むことがなにより重要なのだ今日は七夕だが、彦星と織姫ほど長く会っていないわけではないのだから・・・ネ話しは変わるが、年金問題について次のような記事をみつけた。　　社保庁給与水準、引き下げ法案を・自民石原氏　　　　　自民党の石原伸晃幹事長代理は7日午前の読売テレビ番組で、公的年金保険料の　　　　　納付記録漏れ問題に関連し「社会保険庁職員の給与水準を俸給表で一ランク下げる　　　　　だけで200億円程度の財源が捻出（ねんしゅつ）できる」と述べ、政府に関連法案　　　　　の提出を求める意向を明らかにした。社保庁への厳しい姿勢を示すことで、参院選　　　　　を前に有権者の批判をかわす狙いがあるとみられる。(NIKKEI NETより）ついこの間、夏の賞与を首相、厚生労働大臣、社会保険庁長官のみならず、社会保険庁職員に至るまで一部返納ということがされたようだが、今度は給料を社会保険庁職員に限って引き下げるようにするとは・・・・。どうも政治家の方々は、自らの責任をうやむやにして、なるべくその責任を社会保険庁職員にすべて向けたいらしい。まず考えなくてはならないのは、いま起きている年金記録の不備等がいったいどこから生じていることなのかということではないか。それは、単なる職員の怠慢によるところなのか、その場合の使用者責任とは誰にあるのか、年金制度自体からくる問題はないのか、例えば基礎年金番号に統合したときや国民年金と厚生年金を一つの制度としてまとめたときの対応は正しかったのか、あるいはそうした制度にしたことがよかったのかなどなど。その検証を行ってこそ、その後の対策が出されてくるのであって、まず社保庁職員が悪いという結論から出発したのでは、本当に悪いところが何もわからないまま幕引きしてしまうのではないだろうか。そして、賞与の返納のときもそうであったが、今回の給与引き下げによる財源は、いったいどこにいくのだろうか。それが、年金の積立金や年金問題解決のための費用にまわされる補償などどこにもなく、いわば「宙に浮いた年金」ならぬ「宙に浮いた返納金、給与カット分」になる可能性だってあるのだ。正直言って、年金問題でいろいろ言うと、ますますフラストレーションがたまっていたたまれなくなるので、これ以上は言いたくないのだが、年金というかたちでの国民の財産を軽微に扱ってきたことに多くの国民は怒っているのである。そして、それらをきちんと解決してもらうためには、表面にみえることで済ませるのではなく、もっと深いところからじっくりと解決の方向を探り出してほしいと思っているはずである（と、個人的には思う）。そういう点では、今回の問題でも政治家の年金問題解決に挑む度量が求められるし、であればこそ「安易な」発想で解決を急いで欲しくはないのである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　

2007年07月07日

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年金不信はおさまるのか？

本日未明に、年金時効停止特別措置法および社会保険庁改革関連法が与党の賛成多数で参議院本会議で可決・成立した。この法律と公務員制度改革関連法を通すために国会を延長したのだから、当然に成り行きといえば成り行きだが、しかし果たして審議は尽くされたのだろうか？とりわけ、年金加入記録問題で世間が大騒ぎになったこととの関連で、不明年金の全容が日に日に出てくる中で（問題点が全部出てきたかどうかは別問題として）、そちらの審議は大いにされたとは思うが、肝心の社会保険庁“解体”については審議が尽くされたとは思えない。社保庁改革関連法の成立で、３年後には社会保険庁はなくなり、「日本年金機構」という非公務員型（民営）の組織に変わる。３月１５日のブログ「社会保険庁はホントに解体していいの？」や、５月２３日のブログ「社保庁解体という結論ありきのマスコミ報道について」で、私の社会保険庁“解体”に対する意見は述べているので、そちらを参照いただきたいが、果たして今回の法案成立で“年金不信”は払拭できるのだろうか？最近思うのだが、今回の年金記録不備問題の最大の要因は、年金制度の問題にあるのではないか、社会保険庁の組織のあり方や職員の対応の問題も、結局はこの国の制度の中から生まれて来ているのではないかと思うようになってきた。そもそも不明年金の問題とは、別々の制度としてあった国民年金と厚生年金を統合したところから生じている問題である。しかし、これを統合しなくては、将来の年金受給に対する不安を解消できなくなると判断していたのであろうし、とりわけ掛け率の割りには受給額がいいとされる国民年金制度は、制度としては行き詰まっていたのではないかと思うのである。しかし、こうした年金制度のあり方にメスを入れるような議論は、今までの審議の中で果たしてどれほど行われてきたのであろうか。論者によっては、年金制度の最大の問題点は“申請主義”にあるとする人もいる。つまり、“お上”に対して“申請”しない限り、年金権は生じないというわけだ。だから、年金記録についても“証明”がないと受給できないということになるのであり、年金受給時点で申告してもらうことで、不明記録も統合されるというわけである。最近は、年金受給時に「裁定請求書」を受給対象者に送ってくるが、これも結局は“申請”しないと受給できないということのあらわれである。そういえば、税金の確定申告もこれに似ている。徴収すべき税金がある場合には必ず課してくるが、逆に還付すべき税金がある場合には、本人が“申請”しない限り、国税局から還付されることはない。この国の制度は、国民が納めた税金や社会保険料に対して、決して“お上”から率先して還付または給付することはないのである。とりわけ公的年金については、将来若しくは万が一のときのために安心して暮らせるように最も信頼のおける国に“預けて”いるものであり、申請しなくても必要なときに給付されるのが当たり前だと思う。もっとも、この国の年金制度は「世代間扶養」と言って、今の保険料負担者が年金受給者を支えるという仕組みになっているため、少子高齢化が進行すればするほど、将来受給することができるのかという不安は払拭できないのである。ここにこそ最大の問題があるのであり、いま求められているのは、こうした制度そのものの持っている欠点をどう解消し、どんな年金制度が必要なのかを真剣に考えていくことではないのだろうか？社会保険庁が解体され民営化されることで、公的年金制度の根幹が揺らぎ、ひいては制度の解体にまで行くのではないのだろうか。制度が解体されて一番犠牲になるのは社会的弱者であり、また新たな「格差社会」が到来しないとも限らないのだ。もう法律は成立してしまったので、今さら「社保庁解体反対」といっても遠吠えにしかならないが、これだけ年金問題が国民の間で関心をもたれたことで、今後の年金制度の行く末がどうなるのかも、多くの国民に注視することになるだろう。そういえば蛇足だが、国会の会期は来月５日まであるのに、なぜこれほどまでに急いで重要法案を今週中に成立させたかといえば、今日から参議院選挙の準備に入るためだとのこと（会期を５日まで延長した意味もなくなってしまった）。審議を尽くす時間は、まだ充分にあったのにもかかわらず、国会を軽視しているとしか思えない。こんな政治家たちに、この国の年金制度を任せておいていいのか（年金問題に限らないとは思うが）と、ちょっとむなしい気持ちになってしまった。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　

2007年06月30日

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コムスンの問題と介護保険制度

ほぼ１週間ぶりの更新。この間更新できなかったのは、ひとつは研修や会議などがいくつも重なったことや東京・埼玉に行っていたことが主な理由である。特にどこか具合が悪いとか、ネガティブになってたとか、そう言うことではないのでご心配なく（誰も心配してないか・・・）しかし、相変わらず年金記録問題は、連日のようにマスコミを賑わせていると思ったら、先週末にはさらに、介護事業のコムスンの事業停止問題と、厚生労働省に絡む問題が次々と出てきているという感じだ。コムスンの問題は、正規社員がいると偽って介護サービス事業者としての指定申請を行ったという点では、社会的批判を免れないと思うが、同時にこの問題は、介護保険制度の問題点を浮き彫りにしたとも言えるのではないか。介護保険事業は、老人ホームなどへの入所による施設介護と訪問介護にわけられるが、昨年の介護保険法の改正により、介護施設での食費、居住費が全額自己負担となったことで、退所する人たちが多くなったといわれ、さらに訪問介護でも介護認定区分が今まで認められていたのが「要支援」にされて充分な保険の恩恵をいけられない人たちも急増していると言うことだ。事業としても、これらの影響を受けていると言われ、突然の事業閉鎖や少人数で事業を行わざるを得ず、訪問介護もひとりあたり１日２０件まわらなければならないというところもあったりするらしい。民間で行う場合には、どうしてもコスト面での負担をなるべく少なくするために、社員の給与を低く抑えたり、介護患者を残して突然施設を閉めてしまうなど、結局営利目的を達成するためには不正請求を行わざるをえないような事態があるということではないか。コムスンの問題に限らず、重要なのはこうした状況をどうやったら生まないのかを制度的にもかたちつくっていくことが求められているように思う。まだ介護保険制度がはじまって１０年も経っていないということや、これから本格的な高齢化社会を迎える中では、今回のコムスンの問題を通じて、介護保険制度がどうあるべきかもう一度考え直す時期に来ているのではないかと思う。重要なのは、介護保険制度は営利目的だけでは割り切れない、人間味が必要とされる事業なのではと思うし、その視点からの制度のあり方を考えていくべきではないか。人間味と書いたが、それは“命”を大切にするいうことではないかとも思う。これなくしては、介護事業など行えるはずがない。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年06月13日

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年金問題の解決には社会保険労務士を

やはり今日も雨になった冗談のつもりだったのに、昨日のブログで書いたとおりになるとは思わなかったきのう今日と、いくつか顧問先をまわる中で、例の年金記録のことについて、社長さんをはじめ担当者の方や社員の方からの問い合わせが、結構ある。やはり自分の将来受給できるだろう年金については、みんな関心があるようだ。問い合わせの主なものは、どうやって自分の年金記録を調べたらいいのかというもの。これには、「自分の年金手帳を持って、社会保険事務所の窓口に行き、年金記録を教えてほしいと言えば調べてくれる」と答えている（これ以外の方法はないよね～）。いま国会では、社会保険庁改革法案とともに、「年金時効停止特別措置法」なる法案を与党が急きょ提出してきて、与野党の攻防が続いているが、どうもこのあとの参議院選挙がらみになっているのが見え見えで（というか、そのようにマスコミが構造をつくってしまっているというのが事実だと思うが）、そのことを前提に国会の状況をみるとちょっとシラケてしまう。選挙対策や政争の道具として、年金問題の解決をはかるのだけはやめてもらいたいと思う。重要なのは、いかに国民ひとりひとりが納得できる年金制度にするかであり、そのための議論を充分尽くして、与野党協力して一つの法律にしてほしいと思うのである。マスコミも、政争の道具として年金問題を扱うのをやめてもらいたいと思う。ところで、いま国民が年金問題に関心があるときこそ、社会保険労務士の出番だと思う。年金記録の調べ方もわからないほど、多くの国民は日本の年金制度がどうなっているか、自分の年金がどうなっているか、わかっていない。例えば、年金保険料は何年まで遡って未納分を支払えるのかとか、最低何年間保険料を納めていればいいのかとか、あるいは何歳になったら年金がもらえるのかとか、意外と知らないのである。社会保険労務士を使えば、こうしたことはいつでもお応えするし、年金記録を調べるにあたっても、委任状をもらえば代わって調べることだってするのだ。日常的には労務関係の仕事が多くても、年金問題だって詳しいのだ（中にはそうじゃない社労士もいるけれども）。ぜひ、身近な年金問題の専門家として活用してもらいたいものだ少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年05月31日

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年金納付記録の漏れ、どうやって責任とるつもり？

今日も暑いもう日中だけ考えれば、夏そのものだ。こんな暑い中を、クルマのエアコンも入れず、窓を開けっ放して営業まわりをしているのであるが、先日のブログで窓を開けてクルマを走らせることの爽快感について触れたにもかかわらず、実はこのところ炎天下の日々が続いているせいか、道路は埃っぽく排気ガスも蔓延してて、いなかといえども正直あまりいい環境でクルマを走らせてはいないのだ。ところで、社会保険庁解体について昨日のブログで意見を述べたが、きょうのマスコミ報道をみると、年金納付記録の中の本人確認ができないものが、なんと５０００万件もあったらしい。こんなにあったということは、国民ふたりにひとりは記録がちゃんとしていないということになり、とても他人事では済ませられない問題になっているといってもいい。つい、自分の年金記録は大丈夫かと勘ぐりたくなるが、それはそれとして、こんなに大量の記録の紛失・漏れはなぜ起こったのだろうか。社会保険庁職員のせいにするのはいとも簡単であるが、だからって５０００万件という数をその“怠慢”な職員のせいにばかりはできないのではないか。つまり、社会保険庁が組織ぐるみで行わなければ、このような事態は起きないだろうし、誰かの指示がなければここまでの件数は発生しないのだろうとも思う。昨年問題になった年金の不正免除問題が、一部で行われていたことではなく全国的に行われてたことをとっても、そのことを証明しているように思える。昨日たくさん持論を述べたので、これ以上詳しくはやめるが、少なくともこの問題について、組織の責任者は原因究明をするのは当然として、その進退出処を明確にすべきではないかと思う。これは、民間企業であれば当然のことであるし、そのことが企業の信頼回復に繋がると考えるからこそ心機一転して役員を新たにし、骨身を削るような努力の中で企業再生をはかっていくのだと思う。ただし、不正をただすことを民間企業並みに行うことと、年金業務を民間並みにすることとは別の話である。従って、「不祥事＝社会保険庁いらない」というのは議論の飛躍であって、今回のような問題の解決にもならないと思うのである。ああ、また社会保険庁のことについて述べてしまった明日以降は、少し仕事の話しをしていこうっと少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年05月24日

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社保庁解体という結論ありきのマスコミ報道について

いよいよ国会では、社会保険庁改革法案の審議が進んでおり、来月（？）の会期末までの成立の見通しがたってきたようだ。すでに国会がこうした状況では、いくら私ひとりがわめいたとしても何も変わらないのは目に見えているのだが、３月１５日のブログでも書いたとおり、いま議論すべきは、将来にわたって年金制度をどうすべきなのか、またどうあるべきなのかということであり、今回の法案によってその方向性が導き出されるとはとても思えない、というのが私の今も変わらぬ意見である。このところ、テレビの報道番組やワイドショーで毎日のように年金記録の紛失や漏れについて報じているのをみるにつけ、政府や行政にはきちんと責任を持って対応してもらいたいと思うし、当然そうすべきであることは誰もが思うことだと思う。しかし、これらを取り上げるマスコミの論調は、「だから社会保険庁は解体しないといけない」と論理が飛躍するのがなんとも解せない。けさの有名司会者が行っている番組でも取り上げられていたが、年金記録の紛失等への対応について、「本人からの申し出がない限り調べない」という社会保険庁の対応に対し、「だから、そんな対応をする職員がいるような社会保険庁なんていらないんだ」とその司会者とコメンテーターも含めて同音口調で言っていたことには驚いた。しかし、そうした対応を社会保険事務所の個々の職員が独自の判断で行っているわけではなく、当然のことながら組織の長が判断してそれに基づいて対応していることはわかっているはずである。つまり、ある政治判断の下にそうした対応をしているのであって、そのことをもって社会保険庁解体という結論にはならないのは、小学生でもわかることだと思うである。まず「社会保険庁解体」という結論ありきで、こうした報道をするものだから、観ていておかしいし、同時にそれを鵜呑みにする人もたくさんいるのであるから、マスコミというのは恐ろしいものだと思う。ところで、社会保険庁が解体することで、国会でも取り上げられ、マスコミでも報じられて問題となっている年金記録の紛失・漏れの解決は、はたしてできるのだろうか。結局組織がなくなることで、その責任の所在があいまいになりはしないだろうか。解体によって引き継ぐ「年金機構」というのは、国とは異なる組織であって、いわば「民営化」されるに近い。このような組織が、果たして年金記録問題の解決に心血を注いで取り組んでくれるだろうか。民営化されるということは、利潤を追求するということであり、いわば利益にかなわなければその部分は平気でカットする方向に行くのは当然のことのように思う。だとすれば、「年金機構」において年金記録問題の解決などはかれるはずもなく、じゃあ国が解決をはかるのかと言えば、すでに社会保険庁が解体されたあとでは、その責任も曖昧にされて結局は何も解決されないのではないかと思うのである。いくらマスコミが国民の年金記録の紛失・漏れという国民の年金を受ける権利について、その重要性を鑑みて報じたとしても、その結論が「社会保険庁の解体」にしか向かないようでは、おもしろおかしく社会保険庁解体のキャンペーンをしたのみであって、とても冷静に年金問題を取り上げているとは思えないのだ。重要なのは、こうした報道を通じて国民の年金を受ける権利について、どうあるべきなのか国民に投げかけることであって、社会保険庁解体という結論の中で議論をすべきではないということである。まあ、こんなことを考えているのは私ひとりだけかも知れないが、それでも重要な問題だと思うので、社会保険労務士という専門家としてもずっとこの問題を投げかけていきたいと思うのである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年05月23日

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児童手当が上がる一方で・・・

昨日は、少しまだ肌寒いと出だしで書いたが、これは強い風の吹くせいかもしれない。伊那谷は南北に長いので、北風、南風が吹くとどこにも障害になるものがないためなのか、とにかく強い風が吹く。夜などは、風の音で眠れないほど、凄まじい風が吹くことがある。さて、話は変わるが、昨日は雇用保険法の内容について、ちょっと力みすぎの感がある長文を書いてしまったので、今日はサラッと・・・とは言っても、はやり自分の仕事に関連することで、ちょっと書きたいことがある。この４月から新たに制度が変わったものが、労働、社会保険制度関係でもいくつかある。その中のひとつに「児童手当」制度があるが、小さな子どもを養育している家庭に支給されるものである。我が家でも、もう１０数年も前のことだが、受給していた時期があった。そんな個人的なことはともかくとして、この４月から児童手当の支給月額が、３歳未満の子どもを養育している場合には、一律１万円支給されるようになった。３月までは、第３子以降について１万円が支給され、第１子、２子までは５０００円だけだった。いわば、少子化対策の一環として、児童手当の引き上げが行われたということである。しかし、この財源はどこから調達するのかというと、国、自治体とともに事業主から調達するのである。企業は、健康保険料、厚生年金保険料とあわせて「児童手当拠出金」を負担している。今までは、社会保険料の計算で使う標準報酬月額の1000分の0.9の掛け金だったのが、この４月から（正確には５月納付分から）1000分の1.3に引き上げられることになる。この率が高いか低いかはともかくとして、児童手当が上がることのみに注目がいって、肝心の財源確保がこうしたところからされていることを、多くの方が知らないのではないかと思う。この説明責任は、果たして充分されているのかどうかが大切な気がするのだ。月々で考えればわずかの額かも知れないが、そのわずかの額を法律によって「強制的に」拠出させるのだから、丁寧な対応が求められるのだと思う。そういえば話は変わるが、昨日の新聞に労働保険料の申告・納付について、雇用保険料率の変更等とともに納期限が遅れることについての広告が掲載されていたが、そこにはひと言の謝罪がないのに驚いてしまった同時に、関連する実務を行っているものとして、ちょっと悲しくなってしまった少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　

2007年04月24日

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深～い雇用保険法の問題点

もうすっかり春らしい陽気になってきているのだが、信州・伊那谷は朝晩がまだ肌寒く、未だにコタツを使用しているし、たまにストーブも点けたりしている。こっちに戻ってくる前は、防寒についてそれほど気にしてなかったのだが、やはり２年も都会生活から離れると変わってしまうのかネ～ところで、先週末自主的に集まっている社労士の勉強会があり、改正雇用保険法について担当社労士からの報告がされた。今回の法改正は、保険料率を見直しただけではなく、その他にもいろいろと見直しの部分がある。ひとつに、今まで雇用保険被保険者には週所定労働時間が２０～３０時間の短時間被保険者とそれ以上の一般被保険者に区分されていたのが、これが廃止され一本化された。そして退職した場合に失業手当を受給するための要件（受給資格要件という）が、今までは半年勤めていれば受給できていたのが、自己都合で退職する場合最低１年ないと受給できなくなった（正確には、賃金支払基礎日数が１１日以上の月が２年間に１２月以上あること、となる）。ふたつめに、季節に影響を受けるような働き方をしている出稼ぎ労働者や酒造の杜氏、海の家の労働者などを、短期雇用特例被保険者と呼ぶが、この方たちには離職した場合に「特例一時金」として最大５０日分が支給されている。これが、最大３０日（当分は４０日）にまで減らされることになる。三つめに、現在は３年以上の雇用保険被保険者期間（支給要件期間という）があることにより、働きながら資格の勉強をしたりするための費用に対して一定の率のもとに給付（教育訓練給付という）がされる制度があるが、当分の間、今まで支給を受けたことのない者に限り１年の支給要件期間で受給できることになる。そして四つめに、育児休業を取得する雇用保険被保険者には、育児休業給付というのが支給されるが、育児休業中の給付は今までどおり休業前給与の３０％だが、休業後職場復帰して六ヶ月経過したあとに支給される給付が、１０％から２０％に引き上げられた。なお、これらはこの１０月１日からの実施となるので、それまでは現行のままである。この他には、６０歳以上の高年齢者が継続若しくは再雇用されて、６０歳時より一定程度賃金が低下した場合に支給される「高年齢雇用継続給付」に対する国庫負担を今年度から廃止し、将来的には高年齢雇用継続給付は廃止されることになったり、就職支援や援助等を行うための雇用福祉事業を廃止したり等、「雇用保険行政のスリム化」の中で打ち出されてきている。こう見てくると、実はとても重要な法律で、簡単には決めてほしくないような内容も盛り込まれているのだ。例えば、雇用保険料率が引き下げられることとの引き替えではないだろうが、失業手当受給のための被保険者要件が厳しくなったり、特例一時金が引き下げられたりされるし、少子化対策の一環と思うが育児休業給付全体では給付額の引き上げはされても、休業中の給付は従前のままであり、少子化に臨む抜本的な対策になるとは思えないのである。その点ではやはり、もっと前の段階で国会審議のテーブルに就かせて、行うべきだったと改めて感じた次第である。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年04月23日

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やっと、「雇用保険法」成立！

前々からこのブログでも、その動向について触れていたが、雇用保険法の改正法案が昨日やっと衆議院本会議で可決され成立した。これによって、この４月１日に遡って雇用保険料率が改定され、従業員から天引きされる雇用保険料率は0.8%から0.6%へと引き下がる（事業主は1.15%から0.9%に引き下げ－建設業等を除く）。今月の給与支給分から変更になるので、注意が必要である。給与計算を依頼されているところで、今月５日と10日に給与支給のところがあったが、まだ法律成立前だったので、旧の料率で計算してあるので、次月で調整しなくては・・・。法律の制定が遅れるということは、実務にも大きな影響を与えている。この間も営業でまわっていて、そのことについての問い合わせも多くいただいた。本来は３月中に法律が制定されるのを見込んでいた監督官庁も、法律が成立しないと何もできないわけで、そうした点での法律の不備が指摘されてもおかしくない。法律の制定がずれ込んだことで、予算上にも大きな影響を与えているらしい。　改正雇用保険法「成立」と先走り、ミスの代償、億円規模か　　　　改正雇用保険法の成立が厚生労働省のミスで当初予定より3週間ずれ込んだこと　　　に伴い、施行日変更の周知などに億円規模の費用がかかる見通しとなった。企業　　　と従業員が負担する雇用保険料で賄う労働保険特別会計からすでに4000万円の広　　　告費を支出しており、国会混乱のツケを企業や働く人が払わされる格好だ。　　　　保険料率の引き下げを盛った改正雇用保険法は19日に成立した。当初は3月29日　　　に成立予定だったが、厚労省職員の不手際で「成立した」との資料を前日に配布し　　　たことに野党が「国会軽視」と反発。成立がずれ込んだため4月1日としていた施行　　　日を「公布の日」と修正し、衆院に差し戻して成立にこぎ着けた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（NIKKEINETより）「国会混乱のツケを企業や働く人が払わされる格好だ」という表現による真偽が、いまひとつわからないが、成立か遅れたことで料率が変更になることはないのだろうから、この場合は変更周知のために税金が新たに投入されるというのが正しい表現だろう。いずれにしても、法律の成立が遅れたことによる責任は重大なものがある。すでに大臣などが、責任を執るかたちで給与の一部を国庫に返納するなどの措置を発表しているが、重要なのは、当たり前のことだが二度と同じようなミスをしないことだ。毎年のように料率の変更で法律の改正を行うのだから、国会開始と同時に法案提出するとか、前年のうちに国会で決めてしまうとか、とにかく施行の直前まで法律が成立しないというかたちは、ほかの法律制定であっても異常だと思うし、そうならないための手だてを考える必要があると思う。雇用保険法の成立によって、遅れていた労働保険料の年度更新のしおり・申告書の送付も、来週から順次行われるようである。そして当初は５月２１日までとされていた保険料の納付期限も、６月中旬まで延期されるようだ。６月中旬過ぎあたりから、今度は社会保険の基礎算定の届出用紙が、各事業所に送られるため、矢継ぎ早の感じになる。こういう場合、従業員を多く抱えている事業所などは、結構大変かもしれない。もっとも、自分の顧問先などはどこも小規模なので、この程度では業務に支障はないという点では幸いである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年04月20日

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雇用保険法成立遅れで、厚労省幹部処分

先日３月29日のブログで、雇用保険料率等の引き下げなどが決められる雇用保険法改正案の国会成立がずれ込むことを書いたが、結局法律の成立は４月11日以降にずれ込むことになったようだ。その原因が、法律成立前に「本日、可決成立した」という文書を、厚労省担当者が議員会館で配布したことで、「国会軽視だ」と野党が反発し、予定されていた委員会審議が出来なかったということらしい。この法律は４月１日には施行される予定だったため、法律が成立しなかった影響で労働保険料の申告書が各企業に届けられない事態が生じていたり、とある出版社の関連雑誌では４月から成立を見込んで書いた記事の訂正文をメルマガや挟み込みでお知らせして対応したりと、ちょっとずれただけでかなり影響が出始めている。かくいう自分も、給与計算でこの１０日支払のところがあったのだが、いろいろ悩んだあげく、今回については従業員から控除する雇用保険料について変更前の料率で計算することにし、次回給与計算の時に遡及処理することになりそうだ。今日の報道によると、ミスによる法案成立のずれ込んだことに対して、大臣以下の処分を行うようだ。　厚労相、給与返納は２カ月分・雇用保険法案成立遅れで　　　厚生労働省は5日、雇用保険法改正案の成立を前提とした説明資料を　　　同省担当者が誤って配布した問題で、柳沢伯夫厚労相をはじめとする　　　幹部の処分を決めた。監督責任を問う形で、柳沢厚労相は給与2カ月分を、　　　武見敬三副大臣は1カ月分を国庫に返納。辻哲夫事務次官や上村隆史審議　　　官ら6人の幹部は6月に支給される賞与の中から手当の1割を減額すると　　　同時に、1カ月分の給料の1割を返納する。　　　（以下略）　（４／５NIKKEINETより抜粋）今回法案成立はずれ込むものの、雇用保険料率の適用などは４月１日に遡って行われることになるらしい。厚労省幹部の処分は当然としても、やはり国民に対する影響が大きいわけだから、成立を前提とした官庁主導の政界工作を行うのではなく、国会という場で堂々と議論をして審議をしてもらいたいものである。それにしても、これらの厚労省幹部に対する処分は、重いのか軽いのか。少なくとも柳沢厚生労働大臣は、「産む機械」発言以来国民の信頼を裏切ってきているわけだから、もう少し重くてもいいと勝手に思っているのだが、それはあくまでも感情的なことであるので、この処分が妥当なのだろう。それにしても、こうした不手際は、厚生労働省という官庁のまとまりのなさを露呈しているように思えてならない。大臣以下の厚労省幹部の責任は重い。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年04月06日

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いつになる？雇用保険料率の改訂

このところすっかり春らしい気候が続いている。伊那谷では、桜はまだまだだが、梅の花がいま一番いい時期になっている。もうあと２日で４月だものね～今週は、顧問先に情報誌を届けてまわっているのだが、それと同時に労働保険の年度更新も近いので、事務組合への委託をしているところは、賃金等報告書の作成などの準備の方もお願いしてまわっている。ところで、この４月から雇用保険法が改正され雇用保険料率が変更されることになっているのだが、雇用保険法改正案はいまだに国会で審議中である。　雇用保険法案審議を延期　　　参院厚生労働委員会は29日午前、延期され、失業手当向けの雇用保険料引き下げ　　　などを盛り込んだ改正雇用保険法の成立は当初予定の同日から４月２日以降にずれ　　　込む見通しとなった。　　　当初は29日の同委員会で採決し、参院本会議で成立する予定だった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（NIKKEINETより抜粋）上記記事をみると、今月中の成立はむずかしいということであるから、４月１日からの改正案の施行はムリと言うことになる。そうすると、雇用保険料率はいつから改訂されるのか。４月１日から遡って適用ということが可能なのだろうか。対決法案でもないと思うので、来月早々には法案が成立するのだろうが、肝心な施行がいつになるかが気になるところである。というのも、今回の改正案では雇用保険料率が下がることになるので、会社にとっても労働者にとってもとても喜ばしいことだと思うからである。そういえば、「上がる」ことを予定した法律案はなぜか早く成立し、「下がる」ことを予定した法律案は成立が遅くなると感じるのは私だけだろうか？少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　　

2007年03月29日

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予想どおりダメだった(>_<)

予想どおりだった。何がって言うと、先日発表された特定社労士試験の結果についてである。残念ながら不合格だった特定社労士試験が終わった直後に書いたブログ（11月28日付）で、「立ち直れないくらい悲惨な結果」としたが、なぜかというと実は答案用紙の回答欄への回答記入を１つずつずらして書いてしまい、そのことに気付いたのが試験時間終了10分前だったのだ。つまり、第１問目途中からの３つの問いは、回答を記入する場所がずれているため、少なくとも３０点はその時点でマイナスと考えなくてはならない。１回目の特定社労士試験の合格ラインが６０点だったのでそれを目安に考えたら、１０点しか間違うためのハンディがないことになる。今回の合格ラインは少し下がり５５点であったが、それでも残念ながら及ばなかった。しかし、回答欄を間違えるという初歩的な過ちを犯したこと自体が問題であって、それも実力のうちであり、体のいい言い訳でしかないのだ。重要なのは、この失敗を今後に生かすことだ。実は、意外とサバサバしていて、それほど落ち込んではいないというのが正直なところだ。というか、落ち込んでいられるほどの時間的余裕もないと言った方が正確かも知れない。ありがたいことに、このところ仕事の依頼も増え始めている。いつまでも試験のことで尾を引いていられないし、かえってそのことで仕事に影響がでてはいけない。また、合格する人生もあれば、再度挑戦する人生もあったって全然いいと思うし、合格するのが他の人より少し遅れるだけと考えれば、それでいいではないかとも思う。さらに言えば、２回受験するということは、それだけ特別研修で学んだことを深められるということでもある。確かに特定社労士試験の直前は、問題集をこなすのが精一杯で深めるという余裕さえもなかった。そう考えれば、今度はより深められるし特定社労士になって仕事を依頼されたときに、余裕で対応することだってできるのではないか。今回合格しなかったことが、結果的にはいいことに繋がることだってあるかも知れないのだ。せっかく「ポジティブノート」としているのだから、不合格という結果を前向きに受け止めていかないと自分らしくないしね～強がりを言っているように聞こえるかも知れないが、どうか皆さん見守ってくださいネ

2007年03月26日

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社会保険庁はホントに解体していいの？

昨年末から話題になっていた、「ホワイトカラーエグゼンプション」制度の導入に関する労働時間法制の大幅な変更は、結局今国会での審議は見送られるかたちとなったが、変わって一定時間以上の残業に対する割増賃金の割増率のアップなどを盛り込んだ、労働基準法改正案が提出された。さらにもう一つ、上記「ホワイトカラー・・・」とともに労働政策審議会で審議されてきた「労働契約法」についても、閣議決定を経て国会に提出された。これらはとても重要な問題なので、ブログにおいてあらためて自分の考えも紹介していきたいと思うのだが、今日は、これら労働法制とともに閣議決定され国会に提出された社会保険庁改革関連法案について、簡単ではあるが考えていることを述べていきたい。この法案は、現在の社会保険庁を廃止・解体し、年金部門では非公務員型の「日本年金機構」を設置することなどを柱としたものとなっている。そもそもなぜ社会保険庁を解体しなくてはならなくなったのだろうか。当初は、国民の年金原資を不正に流用したり、「グリーンピア」などの施設を無計画につくるなどの無駄遣いをしたことに対する批判に対し、社会保険庁の「改革」が必要というところから始まった議論である。そのために、民間保険会社の役員経験者を長官に抜擢し、保険料納付率アップなどの諸施策を進めてきたのだが、昨年「不正免除」問題が発覚したことによって、社会保険庁「解体」が叫ばれ始め、今回法案化されて国会へ提出されたというわけである。しかし、ちょっと極端な言い方をするが、「不正免除」や無駄遣いが行われたことのみをもって、ホントに「解体」しちゃっていいの？と思うのである。さらに「職員の不祥事が多い」だとか「横柄で怠慢体質がある」だとかいう指摘があるが、だからといって「解体」という結論にはならない。そんなことで解体できるのなら、官庁の中ではもっとも不祥事が多い「警察組織」なんか、真っ先に解体しなくてはならないだろう。不祥事や体質の改善は、すぐにできることではないし、ウミを出すのには相当の時間と労力がいるものである。これを本気でやるのであれば、むしろ「解体」ではなく、「第三者機関」による監視をはじめとした、国民の注視が必要となる。話しは戻るが、社会保険庁を解体するということは、年金の原資の確保や徴収、運用に至るまで、国が責任を持たなくなるということを意味する。本来制度とは、法によって定められるものであるが、制度がうまくまわるためには法を執行する国が責任を持たなくてはならない。社会保険庁という組織は、そうした守るべき年金制度の頂点にたってたはずであるが、それが解体されて、国とは関係のない「年金機構」に移行するとなると、いったいどこで国として責任を持つのだろうか。結局行き着く先は、現在の年金制度を解体することに繋がらないだろうか。国が責任を持たないということは、民間が変わって運用や徴収を行うということである。民間が行うということは、リスクを考えて行うということであり、当然のことながら利潤追求ということがなくてはやる意味がない。はたして、今までの社会保険庁のやり方（＝年金制度）が、利潤追求の点からいって意味があるのかを問うてくることになり、意味がないとわかれば年金制度そのものを変えてしまえということになるのではないか。その結果、長年保険料を納めていた人たちには、民間の保険商品と同様に扱われ、恣意的な理由付けによって年金が払われないという事態だって起きないとは限らない（今だって、医療保険や生命保険を受けるにあたっての審査は厳しい）。また、年金保険料を支払わない人や企業に対しては、あらゆる手段を使って催促をしてくるだろうし、サラ金の取り立てに近いことだって行われるに違いない。そもそも重要なのは、将来にわたって年金制度をどうすべきなのか、またどうあるべきなのかということであって、今回の社会保険庁「解体」法案がその答えを導き出してくれてるとはとても思えないのである。マスコミで年金問題について報じられる議論の出発点が、「社会保険庁の不祥事や腐敗体質」であり、そこから導き出された結論として「こんな社会保険庁に年金を任せられない」、「社会保険庁なんかいらない」となって、年金制度はどうあるべきかについて真剣に議論されてきていないのである。私は別に社会保険庁のお先棒を担ぐわけではないし、そのことで得するわけでも損するわけでもない。社会保険労務士という、少なくとも年金制度について専門的知識を有して仕事をしている者のひとりとして、将来の年金制度のありようを考えた場合、とても危惧するのである。決して現状の制度がすべて正しいとは思わないが、社会保険庁の解体の行き着く先には、「年金制度の崩壊」しか見えてこない。もう一度冷静になって問い直してもらいたい。「社会保険庁はホントに解体していいの？」と。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。　

2007年03月15日

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石綿（アスベスト）健康被害救済法に基づく一般拠出金について

久々に社労士ネタで。今日は、社労士でつくる労働保険事務組合の研修があり、そこに参加してきた。この研修は、今年度の労働保険の年度更新事務についての説明のために開かれたもの。年に１回の事務であるし、毎年のように保険料率が変わったり新しい法律に基づいて拠出方法が変わったりするため、この時期の研修は欠かせない。今回は特に、通常の労災保険料、雇用保険料とは別に、石綿健康被害救済のための「一般拠出金」なるものの申告・納付があるとのことで、どのようなかたちで徴収されるのかが重要なポイントとして説明された。申告・納付の仕方など、会社の人事担当者や社会保険労務士でないとあまり必要ないことなので、その説明は省くが、問題は石綿健康被害救済の名目で、何故事業主から「一般拠出金」というかたちで負担させるかということだ。そもそも石綿（アスベスト）とは何か？これは天然にあるもので、ケイ素と酸素からなるケイ酸塩の鉱石の中で、繊維状の形態を有する鉱物である。耐熱性、不燃性、絶縁性、耐摩耗性等に優れており、セメントや建材等の材料に混入され建築物に使用されたり、断熱・防火設備に使用されるなど、広範囲で使用されてきた。化学的には安定しており、故に分解されずに付着しやすく、形状も直径３マイクロメートル以下という極めて細かい繊維状であるため、いったん肺にはいると排出されずに付着し滞留するのである。「静かなる時限爆弾」とも言われ、長い潜伏期間（数十年）の中で突然に中皮腫や石綿肺（じん肺）、肺ガンの症状が出ることになる。今後40年間で、国内において10万人が中皮腫で死亡するといわれている。ちょっと石綿の説明が長くなってしまったが、1986年にＩＬＯで石綿条約及び勧告が採択されていて、ここでは基本的に石綿の使用禁止と除去等を唱っていたのであるが、日本では一昨年の某建材メーカーによる石綿被害実態の発表後社会問題化して以降、やっと批准の手続きをとったという、極めてお粗末な状況なのである。そして、基本的には労働災害として労災保険法による救済が行われるが、労災補償を受けずに死亡した労働者の遺族や、石綿を使用していた事業所等の近隣住民等に対する救済措置として「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいて行われることになったのである。昨年４月から具体的な救済措置がとられているが、その財政的裏付けをとるために「基金」を創設し、その資金を国と地方自治体と事業者がそれぞれ２：１：１の割合で拠出することになったわけである。今回の「一般拠出金」はそうした趣旨で納付することになるのである。しかし、そもそも石綿使用を容認してきた責任は政府にある。先ほどのＩＬＯ条約が採択されてからも１５年経って、しかも社会問題化してやっと批准しているし、石綿の危険性は７０年代から指摘されていたにもかかわらず、何ら対策を講じず放置してきたのである。事業者の責任といっても、すべての事業者に責任があるわけではない。政府は、なぜすべての事業主から「一般拠出金」を徴収するのかについて次のように述べている（厚生労働省資料より）。「・・・およそ事業活動を営むすべての者が、石綿を使用した建築物を事務所とし、石綿を含有するパッキンを使用した発電所で発電した電気を使用し、石綿を含有するセメント水道管を通じて届いた水を利用すること等を通じて、石綿の使用による経済的利得を受けてきた」しかし、こじつけもいいところであって、このような言い方が許されるのであればいくらでも対象が広がる。しかも、これらは自らすすんで石綿を使用したわけではなく、選択肢がない中で使用してきたのであって、そこに拠出金の支払い根拠を求めるのは、とてもまともな論理ではない。結局、国（政府）は自らの責任を曖昧にしたまま、こうした拠出金を事業者に義務付けることで、批判の矛先を別なところに向けようとしているとしか思えないのである。ただし、実際に納付する「一般拠出金」の額は、賃金額10万円あたり５円の拠出額であり、ブーブー文句を言うような額ではないかも知れない。だから大切なのは、こうした拠出金が石綿健康被害救済のためにキチンと使われることと、今後なるべく被害者を出させないことの手だてを早急にとることではないかと思うのである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。

2007年03月07日

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「ワーキングプア」の解消に向けて

今日は時事ネタで。先週から通常国会が開会したと思ったら、柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言で野党の審議拒否が続き国会審議は空転しているようだ。そもそも厚生労働行政と少子化対策を担当し、行動や発言に配慮しなければならない立場のものが言うべきことではないと思うが、仮にそうでなくても人間を機械に例えるなんて、感覚がずれているような気がする。まあこのこといついては、言いたいことがヤマほどあるが、そのことはまた別の機会においといて、今日はそんな厚生労働大臣が担当すべき法案のひとつである「最低賃金法」の改正案について触れてみたい。今回の改正では、都道府県ごとに定める地域別最低賃金を、今までの「労働者の生計費」「類似労働者の賃金」「通常の事業の支払能力」を考慮して決めることに加え、「生活保護に係る施策との整合性」も配慮すべきとされることになる。そして、最低賃金額を下回った場合の罰金額について、現行の２万円以下から５０万円以下に大幅に引き上げられることになる。これは、賃金未払いによる罰金額の３０万円以下よりも高く、それだけ悪質な行為と言うことである。ここで重要なのは、「生活保護に係る施策との整合性」も最低賃金決定にあたって配慮すべきと言うところである。最近はやりの言葉に「ワーキングプア」というのがあるが、これは「働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない」世帯のことを指して言われている。いまこうしたワーキングプアが急激に拡大しつつあるらしいが、こうした現状を打開するために、今回の法改正があるといってよい。このブログでも何度か書いているが、格差社会の拡がりがこうしたところにもあらわれているということだと思う。だから、「生活保護に係る施策との整合性」ということを逆手にとって、生活保護水準を切り下げるようなことがあってはならないし、そうすべきではない。そのことは、ますます格差を拡げることに繋がる。今回の最低賃金法改正が、少しでも格差是正に結びつくとともに、日本経済の底上げに繋がるようになってほしいものである。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。

2007年02月02日

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再びホワイトカラーエグゼンプション制度について

今日はクリスマスイブ。しかも休日なのに、朝からシコシコと仕事にドップリ浸かっている状態ひとりで「メリークリスマス」「マリガヤンパスコー」と叫んでもむなしい限りだところで、先だってこのブログでも書いた「ホワイトカラーエグゼンプション」の問題（12月19日）、結局導入の方向で報告書がまとめられそうだ。12月中に最終報告が出されるようである。この制度導入には、労働側委員が反対しているし、労働組合は連合などが反対姿勢を崩していないし、経済界でも経済同友会が当面は必要なしとして反対、過労死で亡くなられた方々の遺族でつくる「家族の会」も“過労死促進法だ”として反対しているにもかかわらず、それでも導入するという報告書をつくるというから、どうも厚生労働省は一方の側にたっているとしか思えない。私は、この制度が決して悪いと言っているわけではない。仕事によっては“成果”で判断すべきものもあるし、それの方が合理的であり、しかも労働者の側も意欲的に“成果”のために働くという意識をつくれる。とりわけ経営的立場に近く、誰からも指示されることなく自由に時間を配分して業務ができるのであれば、ひとつの労働形態としてはありうると思う。しかし現状では、長時間・過重労働が蔓延し不払い残業も改善されない中で、もしこの制度が導入されたとしたら、それらは合法的に行われることになり、過労死の根本的な解決は望めないばかりか、ますます社会問題化してくることになるのではないか。しかも過労死認定を求めて裁判を起こしても、誰にも指示されないで行っている仕事であり、労働時間管理を本人に委ねていることになるため使用者責任が生じず、認定もとれなくなる可能性がある。そうするとこの制度は、“過労死促進法”ならぬ“過労死野放し法”と言ってもいいかも知れない。本来解決すべきことは、「過労死を生まない企業社会をつくる」ことのはずなのに、それをますます助長するような制度になりかねないのではないかと思うのである。まずは、長時間・過重労働を少なくし、不払い残業を減らすことで、働きやすい労働環境をつくることであり、そのことが労働意欲をかき立て、さらに新たな経済効果を生むのではないかと思うのである。くどいようだが、とても重要な問題だと思うので、また書いてしまった皆さんはどう思われますか？少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。

2006年12月24日

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ホワイトカラーエグゼンプション制度の問題点

けさは寒かった～（ぶるぶる）。気温をみたら、マイナス５℃でも本格的な冬はまだまだこれからだ。最近はノロウイルスなどというのも流行っているようだから、体調を崩さないように気を付けなければ・・・。いま厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で、労働契約法制並びに労働時間法制の見直しに関する議論が行われている。６月に厚生労働省のたたき台を、分科会に提出したのだが労使双方から反発があり、その後しばらく審議は中断していた。秋頃に分科会での審議が再開され、その後の議論を踏まえて先日８日に報告書案が提出された。中でも労使の隔たりが大きいとされるのが、労働時間法制の見直しで出されている「自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設」いわゆるホワイトカラーエグゼンプション制度の導入についてである。どういう制度かというと、簡単に言えば労働時間によって働き方を規制するのではなく、成果によって働き方を規制する制度ということ。報告書案では次のように制度の要件について示している。　・対象労働者の要件として、次のいずれにも該当するものであることとすること。　　１　労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事する者であること　　２　業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者であること　　３　業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し　　　　　使用者が具体的な指示をしないこととする者であること　　４　年収が相当程度高い者であること　・制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置し、　　下記（略）に掲げる事項を決議し、行政官庁に届け出ることとすること。この中の「４　年収が相当程度高いこと」については、結局前回のたたき台と同様、どの程度にするのかについて具体的に示し得なかったようだ。報道などによると、経団連などは年収４００万以上の労働者への導入を主張しており、試算では全労働者の約４割がこれに該当すると言われている。また最近の報道では、８００～９００万円を下限とする方向で調整に入っていると言われているが、この場合だと全労働者の５％程度にしかならないようで、そもそもの制度導入の意味合いがなくなってしまう。労働組合は当然のように反対の態度を示しているが、最近では経済界でも「経済同友会」が反対（というか当面は見送り）の意見を表明しているし、「全国過労死を考える家族の会」も厚労省に導入すべきでないという申し入れを行っている。また、労働行政の最前線にいる労働基準監督官の約６割が制度導入に反対を表明している。連合（日本労働組合総連合）の最近実施したインターネットを使ったアンケートでも、20～40代の約７割が制度そのものを全く知らないと答えており（「知っている」は１割足らず）、制度について浸透していない状況なのである。以前にも意見を述べたが（６月２８日）、そもそもいまおかれている労働者の状況や中小企業の実態を踏まえた上で、このような制度の導入をしようと決めたのか。いわゆる「過労死」は相変わらず減る傾向にないし、最近は精神疾患で休職する労働者も増えていると言われている。このような状況で、「自由度の高い働き方」と銘打って、時間規制もない働かせ方を広めていいものなのだろうかと思ってしまう。また、導入推進に動いているのが経団連のみという現実をみるとき、何故に導入を急ぐのかも不思議でならない。もう少し議論を深めて、問題点の掘り下げとあるべき方向性について示していく必要があると思う。それこそ、やらせなしのタウンミーティングで、全国民の意見を聞くこともひとつの方法だろう。もっとも、より重要なのは「健康」「安全」という視点で、労働の在り方について考えることではないだろうか。今はそのことが揺らぎつつある時代だし、制度上の欠陥もそこにあるような気がする。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします。

2006年12月19日

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増えている個別労働紛争の相談件数

世間は昨日から３連休なのだろうが、残念ながら３日間とも仕事で事務所に隠りっきりの状況である。こういうときに限って、いい天気が続くもので、これも自称「雨男」が動かない恩恵だと思ってください（笑）この１０月から特定社労士になるための「特別研修」を受講していると、何度もブログで紹介してきているが、１０月中は毎週末に長野市まで出かけて特別研修を受けていたのだが、今月は再来週末からまた再開される。しかも今度は東京で２週にわたり行われ、最後の日はいよいよ試験を受けることになる。１回目の試験が６月に行われているのだが、このときの合格率が約７５％、４人に３人は受かる試験であり、社労士試験に比べればそれほど大したことではないだろう。しかし、合格者は同じように特別研修を受けたものの中から出るのであり、普通の国家試験とはわけが違う。その点では、決して侮ってはいけない試験であることは間違いない。東京での特別研修が始まる前に、いままでの講義とグループ研修のポイントをきちんと押さえておかなくては・・・。ところで最近、個別労働紛争に関する相談件数が多くなっているらしい。長野県労働局の発表では、今年上半期（４－９月）の民事上の相談件数は１２０１件（民事上以外の相談を含めると６９６１件）で過去最多、４年前には３８５件だったのが３倍強になったという計算である。特定社会保険労務士になると、こうした個別労働紛争のあっせん手続を行う場合の代理人をすることができる。さらに、裁判外紛争処理解決手続機関（民間ＡＤＲ）を設置し、一定の制約のもと、あっせん手続を行うことができるようになる。これだけ個別労働紛争が多くなっている中で、特定社会保険労務士の役割は非常に大きいものになると思われるが、そのためには解決に見合った能力を保持していないとダメなのだ。だからこうして「特別研修」を受けているのである。労働局の相談件数が増えている一方で、民間の相談機関も含めて果たして増えているのだろうか？伝え聞いたところによると、各地の社会保険労務士会で設置している「労働相談所」への相談件数は、ほとんどないか余り増えていないのが現状のようだ。おそらく各社会保険労務士会では、労働相談所を民間ＡＤＲとしてあっせん業務ができるようにするのだと思うが、現状でほとんど相談件数がない中で大丈夫なのかと疑ってしまう。せっかく特定社会保険労務士という制度を「勝ちとった」と自負しているのならば、それにふさわしい「構え」をみせて、創造していく必要があると思う。相談が増えているということは、それだけ困っている人が多くなっているということ。その困っている人たちを救うために何が必要なのかという、社会貢献的な視点で考えていくことは求められている。私利私欲ではいい仕事はできない。少しでもためになったと思った方はポチッとお願いします

2006年11月04日

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特定社労士になるために

社会保険労務士の仕事は、「社会保険労務士法」という法律によって規定されている。その目的では、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与」し「事業の健全な発達と労働者の福祉の向上に資すること」としている（法１条）。そしてさらに、「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない」（法１条の２）とされている。具体的には、労働社会保険諸法令に関する申請書や届出書、帳簿書類などの作成や提出代行、関係行政機関に対する事務代理、労務管理その他の相談・指導を行うこととなっている。なぜこんなことを前置きみたいに書いたかというと、昨年この社会保険労務士法が改正され、個別労働紛争などの解決のための代理業務ができる「特定社会保険労務士」制度ができて、社会保険労務士の業務の幅が広がることになったのだ。しかし、特定社会保険労務士（以下、特定社労士）には、社労士であれば誰でもなれるわけではない。特定社労士になるための試験に合格しなくてはならないのだ。そして、この試験を受けるためには能力担保が必要とのことで、そのための「特別研修」を受けなければならないこととなっている。しかも、特別研修にはどんな事情があっても休んだらダメで、ましてや遅刻も許されないのだ。実は、この特別研修の２回目（１回目はすでに４～６月に実施済み）が今月から行われる。来年４月から特定社会保険労務士制度がスタートすることもあって、今年のみ２回、特別研修と試験が行われるのだ（来年からは年１回実施）。私事であるが、この２回目の特別研修を受けることになった。いよいよ今週末から研修に参加することになる。このブログでも、特別研修の状況について触れていけたらと考えている。それにしても全部で６３時間、２ヶ月にわたる研修は、正直言って結構きつい。しかし、常に向上心を持ってポジティブな心持ちで、そしてこの能力を身につけることが、自分のみならず多くの人々のためになることを思いつつ、この研修と試験を乗り切っていきたいと思う。ブログランキングに参加しはじめました。よろしければポチッとお願いします。

2006年10月04日

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減らないサービス残業の実態

毎年のことであるが、相変わらずサービス残業が減らない。昨日、「監督指導による賃金不払残業の是正結果（平成17年4月～18年3月」について厚生労働省より発表された。それによると、是正指導を受け不払い残業代の支払額が合計100万円以上の企業数は1524社と過去最多を記録したとのこと。対象労働者は167,958人、支払われた残業代の合計は約233億円となっている。また業種別では、支払総額は製造業の67億円が最も多く、企業の数では商業が465社と一番多いとのこと。これは100万円以上の不払い残業代を支払ったところのデータなので、100万円未満の不払い残業代を支払ったところは、もっと存在すると思われる。しかも、是正指導を受けたところ、つまり明るみに出た企業であることを考えれば、実際にはもっと多くの不払い残業＝サービス残業が行われているということではないか。重要なのは、残業しても残業代が支払われないということではなく、200億を超えるほどの残業代を支払うほどのサービス残業があるという現実である。現在、厚生労働省の労働政策審議会において、労働時間制度の見直しについて議論がされているところであるが、「過労死防止や少子化対策の観点から、長時間労働の抑制策を講ずること」（厚生労働省「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」たたき台より）がその基本的視点のひとつとして唱われている。つまり、今まで以上に労働者の健康の確保という視点を明確にしているのだ。さらに最近では、使用者の「安全配慮義務」ということも強調されはじめている。これは、使用者には労務の提供による賃金の支払いにとどまらず、労務を提供してもらっている限りにおいて、労働者の生命及び身体の危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているということである。今週７日までは「全国労働衛生週間」。この時期に、サービス残業の実態と労働者の健康確保について考えてみませんか？ブログランキングに参加しはじめました。よろしければポチッとお願いします。

2006年10月03日

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使い勝手の悪い助成金

今日は午前中お客さんのところへ出かけたくらいで、午後は内勤（多少出たり入ったりしたが・・・）。今週はとにかくお客さんまわりが多かったため、集中する時間が充分に確保できなかった。今日の午後なんとか確保したものの、何だろうこの暑さは！！風がほとんど通らないため、汗がジトッとにじんでくるようなそんな暑さだった。いつまでこの暑さは続くのだろう・・・来週もいくつかお客さんとの約束があるが、基本的には営業まわり。そのためのニュースを、今日なんとか完成させることができた。今回はこのニュースの配布とともに、助成金の紹介をしていこうと思っている。助成金とは、雇用保険のいわゆる「雇用三事業」と呼ばれる、会社に元気になってもらうための支援事業なのだが、最近は正直あまりこれはとお薦めできる助成金がない。私はまだ社労士になって間もないのだが、バブル経済崩壊直後くらいから、会社を元気にさせる助成金は結構あったと伺っている。その当時は、助成金のみで一稼ぎした社労士もいるらしい。当時は社労士業界では、「助成金バブル」と言われていたらしい（ウソかホントか知らないが・・・）それに比べれば、今はなんと使える助成金が少ないことか。前にも話したと思うが、本来もっと元気にさせなければならない中小企業にとって、あまりにも使い勝手がよくないのだ。例えば、最近少子化対策として出てきた「子育て支援助成金」というのがあるが、これは就業規則等で育児休業について規定していることが前提となるが、実際にそれを取得させ、職場復帰後６ヶ月以上継続して雇用されていること等があれば、一人目で１００万円、二人目で６０万円受給できるとなっている。しかし、多少大きな会社であれば別であるが、中小企業ではなかなかここまでの制度を作り運用するのは至難の業である（この助成金は１００人以下の会社が対象）。だからこその助成金なのであろうが、あまりにもハードルが高すぎるのだ。しかも社員が妊娠して出産し、育児休業を取得して復帰後６ヶ月経過後にはじめて受給できるわけだから、なんと息が長い助成金かと思う。すぐ受給できるということでは、会社に紹介しづらいのだ。他にもいくつか助成金はあるが、どれもハードルが高いし、そのわりには受給できる金額が少ないというのこともあったりするので、会社もあまり使っていないのが実情だと思う。最近、雇用保険三事業の見直しも議論になっているようなので、ますます紹介できるものがなくなってしまう。とりあえずは、いま使えそうな助成金をいくつか拾い出して、営業でちょっと使ってみようかと思っている。本来は、助成金を受給するがために何かをするということではないと思うのだが、最近は制度の導入に絡む助成金が多いので、そうした制度導入に協力しつつ、助成金も受給できるように紹介していけたらいいとは思っている。さあ、来週から頑張るぞ～

2006年09月08日

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退職後の自殺でも労災認定？！

今日は、例の元ライブドア社長の判決公判の初日ということで、マスコミもそのことばかりを報じていたが、その影に隠れて画期的な判決が出された。以下、ＭＳＮニュースから引用すると・・・。労災：退職後の自殺を認定、保育士遺族が勝訴　東京地裁　　激務でうつ状態になって保育士を退職し、１カ月後に自殺した岡村牧子さん（当時２１歳）の　父昭さん（７０）＝神戸市＝が、国相手に労災認定を求めた訴訟で、東京地裁（難波孝一裁判　長）は４日、過労自殺と認め、原告勝訴の判決を言い渡した。厚生労働省によると、在職中に　発症した精神障害の退職後の労災認定は数例あるが、退職後の自殺の認定は「聞いたことが　ない」という。　判決によると、牧子さんは短大卒業後の９３年１月、兵庫県加古川市の無認可保育園に就職。　２歳児１８人を担当し、連日１０～１１時間勤務した。翌月に新年度から新人５人を指導する責　任者を命じられ、自宅残業や休日出勤が増えた。３月末に精神障害と診断されて入院し退職。　自宅療養中の４月末、自室で自殺した。　国側は「４月には求職活動をするなど障害は治っていた」と主張。判決は「うつ状態は気分の　良い状態と落ち込む状態を繰り返す。求職活動などは治った証拠とは言えない」と退けた。　　（以下、略）今までの過労死若しくは過労自殺の認定は、在職中のものにほぼ限定されていたのだが、それが在職中の長時間・過密労働が原因で精神疾患になり、退職後でもその状態が維持されれば過労自殺として認定されるというものである。重要なのは、この判決によって企業内でのメンタルヘルスの重要性が意識され、それを促す効果があらわれる判決になるかどうかである。最近の統計によると、いわゆる精神障害で労災認定を受けた人は１２７人（2005年度）で、そのうち自殺者は４２人となっており、さらにそのうちの約６割が20～30代の若者が占めているといわれている。そうみると、過労自殺に象徴される「心の健康」とは、一企業内部の問題に止まらず社会全体の問題として捉え直さなければならない問題と言えるかも知れない。紹介した判決は、何よりもそのことを提起しているように見える。それにしても、退職後まで企業の責任が及ぶなんて、その社会的責任は重い。ブログランキングに参加しはじめました。少しはタメになったと感じましたら、ポチッとお願いします。

2006年09月04日

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とんでもない医療制度改革

顧問先にお届けしている情報誌を、今日やっと完成させた。他の仕事をやりながらなので、実は完成まで１週間近くかかってしまった。別の仕事をしながら、ひとつの記事を完成させたという感じ。そうか、最近の集中力のなさは、この仕事のやり方だからなのだと、改めて反省。別の見方をすれば、他の仕事があるおかげで、集中力のなさをカバーできているのかも知れない。ちょっと矛盾しているが・・・話しは戻るが、その情報誌に書いた記事についてひと言。法改正情報も記事にしているのだが、今号ではこの１０月から実施される「医療制度改革」について紹介。ところが、この制度の概要を調べていくうちに、これは大変な法律を通してしまったのだと改めて感じる。この制度改革についてひと言で言うならば、「高齢者いじめの最悪法」と言ってもいいかも知れない。何点か列挙すると、　・窓口での患者負担は、７０歳以上で一定所得以上の場合３割負担（今までは原則１割で例外２割の負担額）　・７５歳以降の方全員に、新たに月額6200円程度の保険料負担の創設（2008年4月から）　・７０歳以上の入院費負担額の増加（月３万円の増加）　・高額療養費支給の限度額の引き上げ　・埋葬料が、現行で最低１０万円から、一律５万円支給になどなどとなっていて、「７０歳以上の高齢者は病院に行くな」と言っているに等しい。負担が少なくなったのは、出産育児一時金が５万円引き上げられ３５万円になったくらいで、しかもこの出産育児一時金についても、年内には直接医療機関に支払う仕組みになることから、実際にはさほど影響がない。他にも就学前児童の窓口負担が２割になるが、この実施は2008年4月からだ（現状は３歳までが２割負担）。これほどまでに国民に負担を強いる制度で果たしていいのだろうか。１０月から徐々に実施されるが、実施されてから不満がたくさん出てくるような気がする。しかしその時には、法律施行責任者である小泉首相は、首相の座にはもういないのだ。政治の世界は、実によくできている。ブログランキングに参加しはじめました。少しはタメになったと感じましたら、ポチッとお願いします。

2006年08月30日

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「格差社会」に突入?!

今日は、午前中お約束していた顧問先との打ち合わせ。午後からは、お約束どおり残りの顧問先訪問。毎月１回発行している情報紙をお持ちするのが目的で、その機会に喫緊で労務管理上悩まれていることなどを極力相談にのるようにしている。そんな中で何社かは、例の集中豪雨後はじめて尋ねたところもあり、話題もそこに集中。こちらが「いかがでしたか？」と尋ねる前に、「社労士さんのところは大変だったでしょ」と逆に心配されてしまった。何気にこうして、お互い心配しあえるような関係になっている顧問先があることは、とてもうれしいことだ。自然とこうした会話が成立するような、そんな関係が続くような振る舞いを心がけなくては・・・。今日は久しぶりに新聞ネタを。１週間ほど前に次のような記事があった。「日本、貧困層の割合が最も高い国の１つ」ＯＥＣＤ報告　　経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は20日、日本の経済政策に対する提言をまとめた　　対日経済審査報告を発表した。「日本は貧困層の割合が最も高い国の一つになった」　　と経済格差の拡大に懸念を表明、企業が非正社員より正社員を増やしやすくする　　政策を打ち出すべきだと見解を示した。　　　　　　（略）　　経済格差の問題では、所得の不平等度を示す指標「ジニ係数」がＯＥＣＤ加盟30　　カ国の平均を上回る水準まで上昇し、相対的貧困率は米国に次ぐ２番目の高さに　　なったと指摘。格差拡大の要因として高齢化やパートなどの非正社員の増加を挙　　げ、「正社員と非正社員という労働市場の二極化傾向が固定化する恐れがある」　　と警告した。（NIKKEIﾈｯﾄより引用）ＯＥＣＤの報告は、上記の問題にとどまらず金融政策や財政再建、生産性向上や教育制度、女性の労働参加、世界経済への統合など多岐にわたる報告であるが、その中のひとつとして指摘されていることである。政府の発表している「経済財政白書」でも、同様に経済格差が生じていることを認めており、その要因としても、非正規社員の拡大つまり「雇用の多様化」にあると指摘している。長期不況のもとでリストラがどんどん推し進められ、規制緩和の流れの中で、法制度としても「雇用の多様化・流動化」といわれる非正規雇用労働者の拡大が認められてきたという背景は否定できない。結果として、パートや派遣などの非正規雇用者は労働者全体の約３割を占めるまでになってしまっているのだ。そのことで、いわゆる「勝ち組」と「負け組」とに分けられる社会、つまり「格差社会」に突入してしまっているのである。上記の雇用形態もそうだが、進展する少子高齢化の問題や、懸念される年金制度の将来の問題など、日本という国で国民が幸せに生きるための基盤が揺らぎつつある、いや、すでに揺らいでしまっているのかも知れない。最近「下流社会」（三浦展著）という本が売れているらしいが、深刻に受け止める問題であることは間違いない。自分にとってなにができるかはわからないが、少なくとも「格差社会」という現実を、社会保険労務士という立場で直視していくことだけはしていこうと思う。このことは、自分の仕事にとっても大いにつうじることだ。

2006年07月28日

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労働時間制度に対する考え方

今日も昨日に引き続き暑い１日今日は外へ出ることなく、顧問先へ毎月届けている情報誌の作成に没頭明日には届けようと思いつつ、まだできていないのがツライところだ。今日は何時までかかることやら・・・その情報誌に掲載する関係で、最近厚労省の諮問機関である労働政策審議会の労働条件分科会というところが発表した「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案）」を読んでみた。いくつかポイントがあるのだが、そのうちの労働時間法制のとりわけ時間外労働の削減について触れている部分は、新聞等でも取り上げられていたので、少し紹介してみたい。ここでは、　１　労働者の健康確保のために、一定時間数（例えば１ヶ月について40時間程度）　　を超えて時間外労働させた場合、時間数に応じて算出される日数（例えば１ヶ月　　40～75時間の場合に１日、75時間超の場合に２日）の休日を、１ヶ月以内に付与　　することを義務付ける。ただし中小企業については、労使協定により弾力的に運　　用することができるよう検討する。　２　時間外労働の抑制策として、一定時間数（例えば１ヶ月について30時間程度）　　を超えて時間外労働をさせた場合の割増賃金の割増率を引き上げる（例えば５割）　　こととする。この場合、労使協定により金銭の支払に代えて一定数の休日（有休）　　付与を選択できるようにすることを引き続き検討する。　３　法令に基づかない時間外労働に対する罰則の強化などを唱っている。他にも、年次有給休暇の計画的付与の義務付けや時間単位の休暇取得などを設けたり、時間で管理するのではなく「自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者」という、いわゆるホワイトカラーイグゼンプション（ちょっとむずかしいです）の創設なども記されている。上記時間外労働の削減についての基本が、「労働者の健康確保」ということに力点をおいていることに注目する一方で、「自律的な働き方」（ホワイトカラーイグゼンプション）の創設はその考え方とは逆方向に働いているように思う。つまり、アメとムチの関係のような気がする。結果、今日の報道によると、労働政策審議会分科会で労使ともから反対意見が表明され、次回以降の分科会開催日程が決められなかったらしい。（案）をもとに中間取りまとめを７月中に行う予定だったが、それもこの様子ではむずかしいようだ。以前もブログで触れたと思うが、どうも現場の実態ーとりわけ中小企業やそこで働く労働者の実態ーが反映されて議論されているとは思えない。中小企業の場合には、現行の制度を守ることさえもできていない状況ではないのか。だからこそ、個別労働紛争は年々増え続け、そのリスク回避に追われる企業も多くなっているのだと思う。漠然とで申し訳ないのだが、労働時間制度の基本は「働きやすい環境」を担保するための制度にしていくことではないか。「規制緩和」の流れの中で労働時間法制も変えられてきたという現実がある中（その善し悪しは別として）、今回の方向が従来の継続なのか転換なのかが問われるべきような気がする。いずれにしても労働政策審議会分科会での議論は始まったばかり、今後の議論に注目したい。

2006年06月28日

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年金保険料の不正免除問題について

最近、年金保険料の不正免除問題というのが発覚し、マスコミを賑わしている。開会中の国会でも、社会保険庁改革との絡みで取り上げられているようだ。年金の不正免除問題とは、収入が基準を下回っているため国民年金保険料の納付が免除されたり猶予されたりする人について、本来であれば本人からの申請で免除にするところ、本人からの申請の手続きがないまま、免除や猶予の手続きを取っていたということである。つまり法律上は、本人からの申請がない限り例え免除対象者になっても免除にはできないのである。これを免除若しくは納付猶予と「みなし」て免除手続をしてしまったのいうのである。しかもこれが、保険料納付率をアップさせるためだったというのには、唖然とさせられる。いったい何のための、誰のための年金制度なのかについて考えた上で、このようなことをしているのだろうかと思ってしまう。これではますます国民の年金不信は募るばかりだ。で、ここで私が指摘したいのはいくつかあるが、ちょっと長くなるので簡単に指摘しておく。ひとつは、これほど多くの県で発覚（現在15都府県ほどで発覚）しているにも関わらず、それを組織ぐるみと認めず、その最高責任者たる社会保険庁長官から一言の謝罪もないこと。しかも、民間から登用された人物ということのみで重宝されているのか（長官の出身は「損保ジャパン」）、厚生労働大臣も長官の責任問題には否定的で、マスコミも長官の責任について一切触れないか逆に弁護していること。不祥事が起こった場合、それが社会に及ぼす影響が大きければ、民間の会社であれば、社長ほか幹部がマスコミの前に出てきて、頭を下げてまず謝罪する。これが社会的常識なのではないかと思うのだが、そのかけらもない。もう一つは、保険料未納対策のあり方である。これは公的年金制度のあり方という根本問題とも関連する。保険料の納付率向上という「率」をあまりに強調するばかりに、その率から除外される免除者を多くすることに走ってしまった向きがあるのではないか。しかしそのことで、年金問題が抱える問題の本質が解決されるわけではない。重要なのは未納者が、なぜ未納者なのかという根本問題に対する対策が講じられていないことだ。未納者が３割以上いるということは、現行制度そのものが維持できなくなっている、崩壊しつつあるということを、示しているのではないかと思うのである。正直この問題については、進展があるまでしばらく語らないでいようと思っていた。しかし先日、お客さんから「こんな社会保険庁だったら、うちはもう年金を払いたくない」と言われたことで、この国の年金制度が、かなりの危機的状況になりつつあると思ったからなのである。これは、このお客さんに限ったことではなく、かなりのところで年金不信が広がっている。この根は深い。こういう国民が不安がっているときに、責任者は謝りもせず、社会保険庁職員の体質問題だけでことを収めようとしていることに、これでいいのかと疑問を感じたのである。重要なのは、不正行為を正すことだけではなくて、そこから何が問題なのかを導き出すことである。それが導き出せない限り、また同じ問題を繰り返すことになると感じているのは私だけだろうか。

2006年05月26日

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就業規則作成した責任

今朝は、滝のような雨音で目が覚めた。その雨も、昼近くにはやんで、雨上がりのカラッとしたいい天気になった。このところ仕事で飯田まで何度か足を運んでいるが、今朝も飯田まで土砂降りの中出かけたにもかかわらず、その帰り道では久々にみた南アルプスの山々が、眩しいくらい生えわたっていてとてもきれいだった。まだ山々の雪景色は変わらないが、その裾野では少しずつ緑が増えてきて季節の移り変わりが感じとれるようになってきている。さあ、エンジン全開で頑張らねば・・・。このところ就業規則の作成について何カ所かから依頼され作成してきたが、就業規則は会社と従業員の方が理解することで生きた文書になるものだと思っている。だから就業規則作成にあたっては、必ず従業員への説明と労働基準監督署への届出までを１セットとして提案している。そうしないと就業規則そのものが生きた文書にならないどころか、会社と従業員の溝を深めることになると思っているからだ。そしてそこまでやることで、作成したものとしての責任が全うされると思っている。先日作成した会社でも説明会を開いていただいたが（実は、社労士になってはじめて数十名の前で話しをさせていただいたードキドキ）、従業員にとっては身近な問題ということもあり、４０分という短い時間だったのでポイント条文の説明しかできなかったが、各自が就業規則のページをめくる音に聞き耳をたてつつ拝見していて、実にまじめに聞いていただいていたようだ（自分の思いこみかも知れないが・・・）。話しが終わったあとも何人かから質問が出されたりしてたし、改めて別の時間を設けたときも数名が質問にみえたりしたことなどからも、説明を行うということは生きた就業規則にする上で欠かせないことだと思う。そしてそのことで、いかに事業発展に役立てられるようにするか、つまり従業員のモチベーションアップに繋げられるかが、会社にとってはとても重要なところなのだ。実は明日も別の会社で、就業規則の説明を行うことになっている。そこは数名のところで２０～３０分程度の説明をと言われているのだが、そこでも会社や従業員にとって生きた就業規則になるように、説明責任を全うしてきたいと思っている。そして事業の発展に少しでも繋がるようにできればと思う。また、そこまで目配せして仕事を行うことが、就業規則を作成した私の責任だと思っている。

2006年04月20日

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またも通勤災害で画期的判決

今日はちょっと社労士らしく（？）専門分野の話題で・・・先週の話しだが、新聞に「介護目的の寄り道を通勤災害に認定」と報じられた記事があった。介護の寄り道は「通勤」・大阪地裁、労災不支給取り消し　　義父の介護で寄り道して帰宅する途中の交通事故が「通勤災害」に　あたるかどうかが争われた訴訟の判決で、大阪地裁の山田陽三裁判長　は12日、「介護のための回り道は通勤経路に含まれる」との判断を示　し、原告の男性の訴えを認め、労災保険の不支給処分を取り消した。　原告側弁護士によると、介護目的の“寄り道”を通勤経路と認めた判　決は初めてという。　　労災保険法は「日常生活上必要な行為」であれば、合理的な通勤経　路を外れても労災保険を支給できると規定している。今回の訴訟は、　介護がこの要件に該当するかが争点だった。　　訴えていたのは大阪府富田林市の男性（58）。2001年2月、勤め先か　ら帰る途中で両足が不自由な義父（90）宅に寄って夕食の用意や入浴　介助などを済ませ、徒歩で自宅に向かう際にミニバイクと衝突、頭蓋　骨（ずがいこつ）骨折などのけがを負った。労働基準監督署に休業給　付を申請したが、「通勤途中の災害とは認められない」として不支給　とされた。（NIKKEI NETより引用）上記の記事のとおり通勤災害が認められる場合には、「日常生活上必要な行為」で「厚生労働省令で定めるもの」でなければならない。「厚生労働省令で定めるもの」とは、　１　日用品の購入その他これに準ずる行為　２　職業訓練や教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為　３　選挙権の行使その他それに準ずる行為　４　病院等での治療・診療その他これに準ずる行為と規定されていて、個別具体的なケースで細かく決められているわけではない。通勤災害の認定上の問題点など、ここではこれ以上詳しくは触れないが、今後は社会的にも高齢化が進む中で、「介護」のための看病・世話をするために病院に通ったり施設に通ったりなど「寄り道」をすることは、多くなりこそすれ少なくなることはないと思う。そうした社会問題との関連で、通勤災害の適用要件を拡げたことは結構画期的なことではないか。先日も紹介したが（３月２７日付ブログ）、単身赴任者の家族居住地から赴任先自宅間の通勤災害認定についても裁判で認められ法改正までいったことも含めて考えると、こうした現代人の働き方や生き方などとの関連で、法改正などによる機敏な対応が求められる時代に入ってきているのかなという気がしている。とりわけセキュリティ機能としての国や自治体など行政の役割は、後追いではなく先行的に対応していくことがますます求められていくのではないか。この判決の報道を聞いて、そんなことを感じてしまった

2006年04月19日

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通勤災害をめぐる裁判で感じたこと

土曜日は、前の日からの風邪を早く治したいとの一心で丸１日寝て過ごした。本来あまり薬というものを服用しないので、こういうときこそと思い服用したところ、これが効果てきめん(*^_^*)薬のおかげで、ぐっすり寝られたのも良かったようだ。きのう、今日と体調もほぼ万全の状態。このところの気候も、穏やかな日が続いていることも影響しているのかも知れない。ところで少し古い話題になるが、単身者の通勤災害をめぐって最近判決があったのをご存じだろうか。これは単身赴任者の男性が、自宅のある岐阜県土岐市から休日である日曜日に単身赴任先の同県高山市に移動中に沢へ転落し死亡した事件で、遺族は通勤災害にあたるとして遺族給付の支給を求めていたが、労働基準監督署は通勤災害にあたらないとして不支給にしたのに対し処分取り消しの訴訟を起こしたものである。すでに昨年４月２１日に岐阜地裁で不支給処分決定を取り消す判決を出していたのだが、この３月１５日に控訴審である名古屋高裁で一審判決を支持し、労基署側の控訴を棄却する判決が出されたのである。労基署は「就業日に就業場所へ向かう途中の事故でなければ、通勤災害ではない」としていたが、判決では「週末帰宅型通勤」として就業日の前日に移動するのを「社会通念上、就業との関連性が認められ通勤の要件を満たしている」として遺族の訴えを認めたのである。ちょっと長くなってしまったが、実はこの判決を後追いするかたちで、この４月から単身赴任者が家族の住む自宅から赴任先の自宅へ移動するあいだについても通勤災害の対象となる、「改正」労災保険法が施行されるのだ。結果として判決が法律を先取りしたかたちになったのだが、すでに昨年の国会で法改正されたのに、なぜ労基署（国）はこの裁判の控訴を取り下げずにいたのか。もっといえば、昨年の地裁判決段階ですでに法改正の動きはあったはずなのに、裁判をやめなかったのか。すでに（負けるという）結果は見えていたはずである。確かに法律が施行される前だからということはあるかも知れないが、国自ら制度の欠点と考えたからこそ法改正に踏み切ったのだろう。なのに一方で、裁判では従来の法律の枠内で主張を繰り返しているという、二枚舌というかダブルスタンダードの対応が不思議でならない。この間ずっと気になっていた問題なので、つい書いてしまった。自分自身も単身赴任みたいなところがあるので（といっても労災の適用はないが）、人ごととは思えないところがある。行政的ではなく、遺族のことも考え建設的・合理的にすすめてほしいものだ。といっても行政だから行政的になるのは仕方ないか・・・。

2006年03月27日

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労働保険年度更新の説明会

少し更新が滞ってしまった。先週末は労働保険の年度更新についての説明を含めての、事務組合の研修会があった。この４月から労災保険率が若干変更になるとのこと。まだ確定ではないらしいのだが、その方向のようだ。労災保険率っていうのは事業の種類によって異なり、業務災害が起きやすい危険作業などがある業種は、料率が高い。今回の変更では、全体としては低くなるのだが、業種によっては高くなるところもあるので注意が必要だ。また、料率が一番低い「その他事業」も細分化され、「通信、放送、新聞、出版業」、「卸売、小売、飲食店、宿泊業」、「金融、保険、不動産業」という分類があらたに出来るので、そのあたりも注意する必要がある。労働保険の年度更新は、社労士になって初めて行うので少し緊張するが、前職でやり方については経験しているのでそれほど迷わずにできると思う。しかし侮らないように、しっかり研修で伺ったことを実務に活かしてスキルを向上させようと思っている。ところで研修では、職安や労基署からも担当者が来てくださり、雇用保険のこと労災のことなどためになる講演をしていただいた。特に雇用保険については、「算定（賃金支払）基礎日数」の考え方や複数にわたる離職票の通算方法、再就職手当の内容、短時間就労者の要件など、少しマニアックな話しで社労士試験の復習をした気分ではあったが、職業柄とてもためになる話しで非常によかった。参加者の中には、講演内容全部ではないが「初めて聞いた」話しもあるという方もいたのには少々驚いた。ハローワークに行って恥をかかないためにも、こうしたことは繰り返し勉強をしていく必要があることを痛感する。たかが実務、されど実務である。年度更新や各種手続も、気を緩ませることなくきちんとこなしていきたい。そこでも社会保険労務士としての力量が問われているのだ・・・！

2006年03月13日

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年金不信

このところ暖かい日が続いている。今日などは暖房なしでもいいくらいの陽気だった。ところでひとりで仕事を始めるようになってから、よく映画を観るようになった。昔から映画は好きだったのだが、なかなか観に行く時間をつくれなくて、年に２～３本ロードショーを観ればいい方だったが、開業してからはその後１０ヶ月のあいだに２０本近く観ていて、今年に入ってからも６回映画館に足を運んでいる。独立開業しての最大の楽しみは、自分の裁量で時間をつくれるところ。決して暇だから観に行っているのではなくて、仕事とのメリハリをうまくつけて行けてると思っている。その映画の内容についてはそのうちに・・・。今月は社会保険事務所の依頼で、社会保険未適事業所の巡回説明というので何件かまわっている。こうした行政に対する協力も時間をつくってこなさなくてはならない。今日もそのうちの１件に伺って社会保険の説明をしてきた。そこの社長曰く「厚生年金の保険料を払ったって、将来（年金を）もらえる保証があるのか？高いというのもあるが、その不安が拭いきれない。」ここで社長が言ったのは、掛け金に見合った年金をもらえるのかという趣旨である。私は「不信感を募らせて払わなければ、その悪循環でますますもらえなくなる可能性が大きくなる。ここは何とか法律の乗っ取って考えてもらえないか」と言ったが、それも苦しい弁明に過ぎない。最近の新聞の記事をみると、国民年金の未納者には国民健康保険の有効期限を短くするだとか、労働保険と社会保険の納付時期を一緒にするだとか、年金未加入防止のため毎年３４歳の年金への加入状況を総点検するだとか、保険料徴収を何とかアップさせるための方法についてのものが多い。それだけ年金未納問題が抱える問題が大きいことの反映でもあるのだが、今のままでいけば将来年金をもらえる保証が何もないと言うことの裏返しなのだと思う。そういえば年金に関連した記事で、年金保険料未納の社会保険労務士の登録を取り消すなどというのもあった。つい先日には、保険料を滞納して差し押さえを受けた医師や社労士が１４人いるという報道もあった。差し押さえを受けた事情はともかく、これらは論外のことである。でもこの論外のことが生ずるほど、今の世の中は崩れてきているということか。こんなことでは、年金不信を解消するいい手だてなど浮かぶまでもない。

2006年02月22日

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労働争議の低下から見えてくるもの

けさも寒かった。マイナス９℃以下。今日は朝から営業先への見積もり説明に伺う。詳しくはいえないが、契約について前向きに検討していただけるとのこと。よい結果を祈ろう。その後、顧問先へお預かりした資料の返却に伺い、ハローワーク、社会保険事務所へ所用でまわる。午後は、顧問先へ配布する情報誌の原稿作成に没頭。まだ最初の原稿でつまずいている状態で、いったいいつ出来るのやら・・・。先日「平成１６年労働争議統計調査結果」というのが発表されていた。その概況をみると、総争議件数は７３７件で７１万人余りが参加しているが、昨年比で１３５件、４４万人余り減っている。ここ５～６年は１０００件前後１００万人が争議に参加しているが、今年は極端に減っているということになる。これはその分景気もよくなり、争議までに発展していないということか。それも一因かも知れないが、労働組合の力が年々弱まりつつあるということも大きな要因になっていると思う。労働組合の組織率は70年代から長期低落傾向にあり、平成16年で19．2％1030万人と過去最低となった。一方で、個別労働紛争は年々増えており、平成16年の相談件数（都道府県労働局）だけで90万件に及ぶといわれている。これ以外にも、弁護士会や労働弁護団、各自治体、各県の社労士会などの相談件数も含めると相当の数になる。概していえば、ますます解決能力が低下する労働組合に頼れず、ＡＤＲなどの紛争解決機関に飛び込まざるを得ないということであり、決して労働紛争が減ってきているわけではないのである。そのためにも労働組合には頑張ってもらいたいし、決して労働争議が多くなることがいいとは思わないが、その存在価値を示してもらいたいと思う。今年から社会保険労務士も、個別労働紛争でのあっせん・代理を行えるようになる「特定社会保険労務士」制度がスタートする。本来の社会保険労務士の役目は、労働紛争が生じないように会社のリスク管理を整えることだと思うが、労働紛争に関与していくのも時代の要請なのだろうか。

2006年01月25日

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社会保険庁の組織変更

今日は、一昨夜から昨夜にかけて続いた雨もやんでさわやかな１日。気温も午後には10℃近くまで上がるなどして、気象庁によると３月中旬頃の気候だそうだ。しかしまだ１月も半ばを過ぎたばかりである。本格的な冬の到来はこれから。気候の緩みとともに、気を緩めないようにしないと・・・。先日の社労士会の例会は、社会保険事務所で行われたこともあり、「医療制度改革(案）」等について研修を行った。その中で、2008年10月から発足される年金運営新組織について報告があったが、その名称は「ねんきん事業機構」となるらしい。ひらがな表記の行政組織ははじめてとのことであるが、国民にとっては名称などどうでもよいことではないだろうか（今までだって名前によって親しみを感じたりなかったりということはないと思う）。問題はそこがどういう仕事をするかなのだ。年金新組織の「2008年ビジョン」なるものがあるが、それを読んでも、「結局、今までとどこが違うの？」と思ってしまう。ビジョンの「３つの基本理念」をみると、１　年金サービスについて　「年金の安心」をもっと身近に感じていただくとともに、国民の皆様の「人生設計の強力サポーター」となることを目指します。２　職員意識について　職員一人ひとりが「年金のプロ」としての責任と役割を自覚し、業務の改革に継続的・積極的に取り組みます。３　組織について　国民の皆様のご意見が事業運営に適切に反映されるよう、外部の目による厳しいチェックが十分に機能する組織を確立します。となっていて、漠然とした感がぬぐえない。年金新組織と政府管掌健康保険の公法人の設立という、組織の分離のみに今回の組織替えが終わり、結局は官僚の天下り先が多くなったという結果に終わらないように、信頼を得る新組織にしてほしいものだ。ところで2008年の組織替えを前にして、平成17年度の組織改正の一環としてこの１月から地方社会保険事務局事務所の名称が改められたらしい。これはすべての社会保険事務所が変わったわけではなく、例えば長野県の場合は「長野社会保険事務局伊那事務所」と呼ばれてたのが、「伊那社会保険事務所」となったいうことである今までも「伊那社会保険事務所」と思っていた方も多いと思うが、正式には「長野社会保険事務局伊那事務所」だったのだ。ただし、2008年には大規模な名称改正が必要となるため、看板や帳簿類等の作り直しはしないとのことである。だったら組織改正などする必要もないと思うのだが・・・。こういうことを聞いていると、２年後の新組織についても怪しく感じてしまうのは自分だけだろうか:-)

2006年01月15日

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労働力確保という視点

先日人口動態統計というのが発表され、2005年は1899年に統計を取り始めて以来初めて、日本の人口が自然減に転じる見通しであるらしい。現在の日本の人口は、約１億２８００万人であるが2050年には１億人まで減るという予測のようだ（国立社会保障・人口問題研究所の見通し）。しかも毎年の出生数は年々減り続けるとのことなので、高齢化に益々拍車がかかり、労働力人口の確保も難しくなっていくということになる。いま医療制度改革や年金改革などの制度改革で、年々高年齢者への負担が重くなるような方向で進められているが、財政が厳しく国の負担能力がなくなってきていることもあるが、ある程度の年齢までは働いてもらい労働力として高年齢者も確保したいという狙いもあるのではないか。６５歳までの雇用確保措置の義務化や、年金支給年齢の引き上げ、医療費の高年齢者の自己負担増などはその一環であろう。一方での少子化対策も、労働力を確保する上では欠かせない。そのための諸施策として、児童手当支給年齢の引き上げや、企業における育児休業制度の充実・促進などがあるのだと思う。このように労働力人口の確保という切り口でみていくと、政府の行ってきている諸施策がどのような意図でされているのかが見えてくる。これらの諸施策をどう評価すべきかは別にして、実際にはそのようにうまくいくものだろうか。現に人口の自然減は予測より１年早まっているわけだし、出生率の落ち込みも予測以上になっているのである。人口問題も、このような視点でみていくのも必要なのではないだろうか。

2005年12月25日

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労働時間管理しない労働者って・・・。

昨日に引き続き、今日も仕事ネタをひとつ・・・・きのうの信濃毎日新聞に、厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」（座長・諏訪康雄法政大学教授）の報告書の骨子について報じられていた。そこでは、労働時間を企業が管理しない労働者を設けるというものであるが、想定しているのは管理監督者手前の幹部候補生や企業中枢のプロジェクトチームのリーダーらとするとしている。そしてその対象者の要件として、１　使用者から仕事の方法や時間配分の指示を受けず、追加業務も拒否できる幅広い裁量がある２　通常の時間管理で残業代を想定した場合より高い収入を得ている３　導入する際は過半数組合や労使委員会で協議する４　本人の同意が必要となっている。現行の労働基準法には裁量労働制（専門業務型、企画業務型）というのがあるが、その枠をさらに緩和する内容とも言える。若しくは、同法４１条２号でいう労働時間等の適用除外になっている管理・監督者にも準ずる制度ともいえなくもない。１２月６日のブログでも触れたが、管理監督者という規定ほどあいまいなものはない。それに近い制度となると、確かに上記の要件をうたってはいるが、結局は企業が決めていくことであり時間管理しない労働者の基準をどこで線引きするのか甚だ疑問に感じる。さらに、業務内容に対する企業による管理は行われるのであり、時間管理がなくなることで労働者によっては際限なく労働を強いられる可能性だってあるのではないか。過労死というのは日本にしか存在しないらしい（国際社会では「カローシ」として通用するらしい）が、その過労死を生まないためには長時間・超過密労働をなくすしかないのだと思う。だから厚生労働省にしたって、サービス残業・不払い残業の根絶キャンペーンを展開してきているのではないのだろうか。なのにそれと逆行する方向が研究会報告とは言え、厚生労働省のなかで議論されているとはどういうことなのと感じてしまう。来年の１月には正式な報告書をまとめ、その後労働政策審議会で議論するらしいが、現状の過労死を生む労働時間制度を改善する方向で、ぜひ審議してほしいものだ。社労士も労働法制の専門家の端くれである。だからこそ、現場での経験も踏まえながら意見をしていくべきではないかと思うのは、自分だけだろうか。

2005年12月22日

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改正高年齢者雇用安定法の施行を前に

先日は体調が悪いことを書いたが、それに対して非常に丁寧なコメントをいただいてしまった。改めて心配してくださったことに感謝を述べたい。体調の方は、私がコメントで書いたのでそちらを読んでいただきたいが、なんとか持ち直した感じである。今朝はさっそく顧問先へも訪問してきた。しかし、また寒波がきているようなので体調管理には万全を期さないと・・・。といっても、今年ももうあとわずかではあるけれども・・・。このところ日常のことばかりを書いているので、たまには専門的な話をしなくてはと思い、以下で少し触れてみたい（なんか使命感でやっているようだとツライのだが・・・）。来年４月から改正高年齢者雇用安定法が施行される。ご存じの方もいると思うが、高年齢者の雇用確保措置導入を企業に義務づけるものである。具体的には、６５歳までへの雇用延長を段階的に図るものであり、制度としては定年延長、継続雇用の２通りの制度導入がある。段階的にとは、例えば来年の施行時では６２歳までの雇用延長を図るということであり、一気に６５歳まで引き上げるべきということではない。最終的には平成２５年までに６５歳までに引き上げればよいということになっている。この制度による雇用確保措置を、現時点でどの程度の企業が行っているのかについて先日厚生労働省から発表されていた（対象は３００人以上の企業１万社余り）。それによると、現時点（１１月１日）で定年延長、継続雇用制度を導入した企業は２３．６％と全体の４分の１でしかない。ただし法施行の来年４月までの導入予定は６３．１％なので、全体の８７％近くが導入の方向にあるということである。雇用確保措置の方法であるが、圧倒的に継続雇用制度の導入が９０％以上と多い。継続雇用制度とは、定年年齢は６０歳のままにして、６０歳時点で本人若しくは会社の選択により継続雇用をするというものである。この制度導入にあたっては、就業規則で希望者全員を継続雇用もしくは定年延長することで奨励金をもらえる制度もあるが、法施行後は奨励金ももらえなくなる可能性があるため、結構駆け込みで導入するところも多いようだ。私も奨励金の受給について、いくつかの企業から相談を受けている。いわゆる２００７年問題といわれる、団塊世代の退職の時期を迎えるにあたり、後継者の養成や労働市場の確保問題などどういう方向で解決させていくのか、国や自治体の諸施策はもちろんだが、各企業にとっても問われてくる問題であると思う。その諸施策の遂行に、社会保険労務士の果たす役割も結構大きいものがあるかもしれない。

2005年12月21日

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労働時間などの適用除外

労働基準法第４１条は「適用除外」について唱っている。正確には「労働時間、休憩及び休日の適用除外」であって、労働基準法そのものの適用除外ではない（法そのものの適用除外は同居の親族のみを使用する事業や家事使用人などに限られている）。つまり、労働時間や休憩、休日といった規定が、その業務実態等からいって適用するにはふさわしくない業種、業務を規定しているのである。具体的には、１　農業、水産業等自然的条件に影響され、時間規制をするにふさわしくない事業２　監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者３　監視又は断続的労働に従事し、行政官庁の許可を受けた者となっている。ただしこれらの業務、業種でも深夜業に関する規制と年次有給休暇については適用除外にはならない。上記のうち、「監督若しくは管理の地位にある者」についての解釈は極めてむずかしい（と私は思う）。行政通達では「一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者で、名称にとらわれず、実態に即して判断すべき」とし、さらに「企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるわけではない」としていて、監督管理の地位であるかとうかの判断が一律ではいかないのである。最近、某ファーストフードの店長が残業代の支払いを求めて裁判を提起した。その労働実態は、１日１５時間勤務の過酷なもので、ノルマを達成するためにアルバイトも雇えず、結果として腰痛や「軽い脳梗塞」の診断も受けるほどだったらしい。この裁判の争点は、「店長は監督管理者たり得るか」であるが、その労働実態からしてどう判断するのか注目されるところである。このむずかしい規定について、会社内のルールとしてどうやって明確にするか。あくまでも私見であるが、少なくとも中小企業では監督管理者は置かないのが良いと思う。つまり、監督管理の地位にある者＝取締役(役員）とし、処遇も労働者ではないとすればよいのではないか。取締役になるということは、経営の一端を担い、労働者を監督管理することが地位としても処遇としてもハッキリするわけだかから、残業代云々ということでトラブルのおこることはまずない。しかし、こうした私見は別にしても、いま法４１条をさらに拡大しようという動きとして「ホワイトカラーイグゼンプション」の導入が検討されていることにも注目する必要がある。つまり労働時間法制などの適用除外者が拡大されるということである。実務的にはますますむずかしくなると感じるのは私だけだろうか・・・?!

2005年12月06日

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有休取得率アップにこそ社労士の活用を！

最近発表されたデータによると、１年あたりの有給休暇の取得日数が年々減少してきているとのことである。２００３年では付与日数が平均で１８日、取得日数が半分以下の８．５日で取得率は４７．４％とのこと。１９９３年の５６．１％をピークに年々低下してきているらしい。こうした中厚生労働省は、取得単位が原則１日とされている年次有給休暇制度について、時間単位で取得できるようにする検討に入ったとのことである。取得単位を細かくして休暇を取得しやすくすることで取得率を上げることとあわせて、雇用形態の多様化などに対応するねらいもあるらしい。しかしそのことで有給休暇の取得率が上がるとはとても思えない。取得率を上げるためには、制度云々の問題よりも経営者・労働者の意識の問題が一番大きいのだ。とりわけ中小零細企業の経営者にとっては、言葉は悪いが、取得率などどうでもいいことなのである。とにかく目先の業務をこなすためには、労働者に休んでもらっては困るのである。そのことで業績が落ち、事業が立ちゆかなくなっては困るのである。しかし、労働者に休暇を与えることが逆に業績を向上させることに繋がると感じたらどうだろうか。その発想の転換が必要なのだ。そういうときにこそ、われわれ社会保険労務士の出番である。社会保険労務士法１条では、労働・社会保険諸法令の円滑な実施に寄与することと、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資するのが目的であると唱っている。つまり経営者に法律を守らせることで、企業の業績を上げさせることがわれわれ社労士の使命であると言っても過言ではないのだ。今回のような有給休暇の取得率を向上させることは決して容易なことではない。しかし、その政策推進のために社会保険労務士を活用しない手はないと思うがいかがであろうか。決してムダにはならないと思うが・・・。

2005年11月28日

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