食べることは生きること
大震災このかた迷いが吹っ切れました。何のことか。それは近頃蔓延する安いものしか売れない風潮にどう対するかと言う点です。従来どおりまっとうな納得行くものを、適正価格で作り続ける。1または、原材料を見直して買いやすい価格にする。2ずっと1でやってきて、2を視野に入れては迷い、結局は踏み越えられずに1にとどまる。そうやって18年変らないやり方で今日まで来たのでした。「今お客様が求めるのは、私たちが良しと考えているものとは、ずれてきているのではないか?」そういう声はいつも頭の中にありました。今回の震災のあと、多くのお客様から「これまでのやり方」を支持していただいたと感じています。それは材料のことだけではなく、目に見えるところで仕入製造販売をするということも含まれます。流通がままならなくなった時、遠くから安いものを運んでくることはできません。届かなくなった材料があれば有るものを替わりにして作らなければなりません。出来合いの半製品でなく、原材料を選びそこから作るというやり方は今回のようなとき小回りが利くし、応用も利きます。何よりケーキと言うものは食べ物の中でもとりわけ「楽しみ」をもたらすものと思います。おなかがいっぱいになると言うよりも心を満足させる、というのでしょうか。疲れた時は甘いものが欲しくなる。頭が疲れた時は甘いものが良いとも言います。宮沢賢治の言う「すきとおったほんとうのたべもの」を作っていけたら最高です。というわけで1を堅持しようと思います。