極域・高いところの雲色々
先週今週と、2つのdisputationがあって、今日の公開ディフェンスのfaculty opponentは、オーストラリア・タスマニアにある南極研究所(大気物理部門)からいらっしゃいました。スウェーデンの博士論文(学位請求論文)・公開ディフェンスでは、opponent(日本語に相当する訳が思いつきません)が審査する博士論文の概要をプレゼンします。そのプレゼンの準備があるのに、このopponentは、昨日と今日の公開ディフェンス後に2つのセミナーを催しました。共同研究の提案がてらだったようなので前もって準備はしてきたのでしょうが、このオーストラリア人研究者、ものすごく精力的に仕事(研究)をしているのがセミナーから伺えました。で、テーマは、成層圏から中間圏上圏界のLIDAR(light detection and ranging、またはlaser-radar)観測による、極域成層圏雲(polar stratospheric clouds, PSCs)と極域成層圏サマー・エコー(polar stratospheric summer echo)の相関及び因果関係と、中間圏観測への応用。内容のことは書きません。そもそも、私の専門ではないし、内容を消化しきっていないので(^^;)。ただ、このあたり、興味はあるのです。中性大気と電離大気という大きな違いはありますが、中性大気がまだまだdominantな中間圏から、電離大気が多くなっていく熱圏(別名、電離圏)の境界で、私の大好きな酸素原子が酸素原子イオンになって、しかも外気圏に向けて流出していく過程を、どうしても知りたい・研究したいからです。写真は、2007年1月6日、息子を出産する直前に撮った、真珠母雲(しんじゅぼうん、mother-of-pearl clouds)です。これも、PSCの一つです。撮影場所はキルナの街中です。もう一つの写真は、ウィキペディアから借用した夜光雲(やこううん、noctilucent clouds)の写真です。これは、PSCよりももっと高いところ(中間圏)に出来る雲です。ウィキペディアより借用夜光雲の生成は、極域だけに限らないようですが、見えるのは、緯度的に限られていて、例えば、ストックホルム辺り。かつ、夏の完全に白夜でない頃に見られます。高いところに生成する雲なので、日の入り後の地平線下からの太陽光線で光ることから、この名がついたのです。物理もそうだけど、極圏に住む醍醐味は、こういう自然現象にじかに接することだなぁ~、とつくづく思います。