あれこれ。
その道の第一人者の言葉には再発見されるような深い探究を呼び覚まされるような事が多い。宣伝を依頼されてもいないのに、私がフルハルターさんの宣伝をよく書くのはそういう理由からであります。万年筆のペン先の太さで、EF(XFとも)、F, M, B, BBなどという呼称がありまして、通常、極細字、細字、中字、太字などという訳が書いてあるんですが、一般的に、海外の場合は事情が異なり、やや太めだそうで、M字が「太字」にあたるそうです。こういったことは、実際にペン先について熟知していないと言えないことで、よっぽど観察眼がある人ならともかく、普通は、M(Mediumの略だと思われまする)=中字という大学入試の暗記物ふうに覚えていたりして、実際に自分が書いてある字がどうか?とかあまり観察しなかったりするような気もします。カタログはいっぱい見ているが現物はみていないみたいなことってよくあります。フルハルターという万年筆屋さんはかなり特殊なお店である。・ふさわしいお客を選ぶ(客も店を選んでいるでしょうが)・ペン先だけで勝負するというかなりニッチを目指している・「買う人」「売る人」という区別が希薄etc.特徴をあげればいろいろあるんでしょうが、マーケティングとして、成功していると思うのは、多分、万年筆を常時使う人は世の中に数百万人もいないと思いますが、何万人だかわかりませんが、万年筆を飾りに使う人は多分お客さんにならなくて(そういう人は、銀座とか丸の内で高級そうなのを買うと思います)ちゃんとどういうお客さんがお店にふさわしいかが明確で、ある意味、客にこびないというのも特徴で気持ちいい。ネットなど海外から輸入したつまり、他のお店で買ってきた万年筆を店頭で売買しているらしいということも、普通のお店ではない特殊な空間である。「サロン」という言葉で表現していたが、ほんとうにそういうイメージである。よく差別化が・・・・ということで迷われている経営者の方がいらっしゃいますが(だいたい、そこら辺がコーチングというか、コンサルの肝だと思いますが・・・)、「自分はこれをする」ということが明確だと、だんだん、お客さんも自由に振る舞えるようになり、「こういうことできますか?」というリクエストを出せるようになる。そこで、たまたまお客さんから無理な依頼がきたりする。技術を売りにしているところは、その無理難題に応えることができて、まさに、そこからいろいろな伝説がつくられ、評判が評判を呼んで、特定の顧客をターゲットにしているが、非常にロイヤリティー(積極的な支持)が高い顧客が定着するということになります。本質がわかっている人と話をしていると、そのことを通じてコーチングのヒントになることがあります。フルハルターさんに、プレゼント用の万年筆を何にしようか相談していたときに、贈られる相手がその色を気に入るかどうかわからないな・・・と悩んでいたら、相手の好みが明確にわからなければ、結局、自分が一番好きな物をプレゼントするのが一番いいという結論が出せた。贈り物は、相手が気に入るように渡すのが普通だが、相手は「気に入らない」ということができる。渡したときに「気に入らない」というそぶりを見せる人ってあまりいないと思います(よほど育ちが良すぎるのでもない限り・・・)が、でも、ある意味、意外な物ほど相手に喜ばれる可能性があるものの、嫌われる危険だってないとも言えないです。(一番つらいのは無反応だったりしますが・・・)そんなことをフルハルターの森山さんと話していて探究しました。コミュニケーションもそんなもんで、相手を喜ばそうとか、自分をよく言って欲しいとかいうような方向でだいたい話をしていると思うのですが、自分が相手を喜ばそうという意図で言ったことが相手に誤解されたり、あるいは、嫌われたりすることってあるし、だからといって、最初から嫌われまいとするとうまくいかなくなるというバランスの中で、いろいろ考えているわけですが、相手に伝える言葉も「贈り物」だとすると、相手にどうとられようとも相手を非難しないですむかもしれません。贈り物だとすると、相手に喜ばれる意図で贈るので、喜ばれたらうれしいけど、喜ばれなかったからと言って相手を悪く言う必要もないでしょう。あるコーチが前に言ってました。「相手がどう聴くかは相手がどう聴くかの、相手の聴き耳の問題である。こちらがどう言おうともうまく伝えようとも、相手がどう聴くかによって、相手の解釈は決まる」と。そう思うと、こちらがどれだけ伝えようと努力したか?ということは、あまり問題ではなくなるかも知れないというポイントです。なので、「こういった」「ああいいった」という表層的な言葉の次元が問題になると言うよりも、「相手と同じ空間をいっしょにする」ということが問題です。それ故、講座では、普段は、本にできないことを体験してもらうようにしています。nao