「夢駆ける馬ドリーマー」(ネタバレ注意!)
『陽だまりのグラウンド』などで知られる名脚本家、ジョン・ケイディンズの初監督作品。 レース中に骨折した馬が見事に復活を果たし、ブリーダーズカップを勝ってしまうという実にシンプルなサクセス・ストーリー。最近はストーリーテーリング的にも凝った作品が多い中で、本作品のシンプルなシチュエーションは逆に新鮮に感じられました。 作品中で見事な復活を遂げるソーニャドールには、モデルとなった競争馬が実在します。名前をマライアズストームと言います。競馬通の方はピンと来るかもしれませんが、現役時代にG1を7勝した名種牡馬ジャイアンツコーズウェイのお母さんです。映画の中でソーニャドールのお婿さん選びをする場面があって、フサイチペガサスやグランドスラムに混じってジャイアンツコーズウェイも登場していたのは、製作スタッフの粋な計らいでしたね。 マライアズストームは、2歳時のレース中に骨折,一時は安楽死処分まで考慮された程の重傷でしたが、関係者の懸命の努力の甲斐あって見事に復活,重賞6勝を含む10勝の素晴らしい成績を残しています。但し、映画の様にブリーダーズカップを勝ったことはなく、それどころかG1には手が届いておりません。ダコタ・ファニング扮するケール・クレーンの様な少女の存在もおそらく架空の人物像だと思います。そういう意味において、この映画は「実話に基づいたフィクション」と言えるかもしれません。 個人的には、こういうシンプルなサクセス・ストーリーは肩の力を抜いて観ることが出来るので嫌いじゃありませんが、一般的な評価は好き嫌いがはっきり分かれると思います。御都合主義的なストーリー展開に目を瞑ることが出来る方は『◎』を打つだろうし、そうでない方は迷わず『NG』でしょう。 また、これも至って個人的なことですが、久し振りにエリザベス・シューの元気な姿を見れたのも良かったです。『ベスト・キッド』の彼女、すごくチャーミングでしたもん。