森山未來ねえ……
さわやかな新緑の5月とも間もなくお別れ。いまにも梅雨がやってきそうな曇り空の週末です。昨夜は19時半スタート、終了は23時過ぎ、という「映画」を観て帰ってからお好み焼きで晩ご飯、という疲労困憊パターンでした。「映画」と、カギカッコをつけたのは、あれは映画じゃなく、舞台中継だろうね、と思うから。何年か前からやってるゲキシネシリーズ、劇団☆新感線の「五右衛門ロック」です。タダ券もらったので見に行ったのですが、普通で観ると前売り2000円、当日2500円。そりゃー無理だろ……と思ってしまう「特別料金設定」です。演劇好きで、生の公演を見逃したとか、遠隔地で行かれなかったとか、そういう人にとっては安い!のかもしれないけどねえ。5月中旬からやっててもう終了間近なんでしょうが、300人以上はいるシネコンの大きめのハコに、多分20人までしかいなかったと思います。っていうか、金曜の夜だというのに、梅田の駅前一等地にあるシネコン全体が閑散としています。若いサラリーマンのカップルとか、サカった学生さんとか、映画でデートってもうしないんですかね……(古い??)景気のせい? まさか、まだインフルの関係?なんていうか、映画ってもう終わってるのかあ????頭の中をこんな寂しい疑問符がぐるぐる回り、次第に空腹が募ってくる状況で、閑古鳥と戯れながら鑑賞するっていうのは、どうしても辛口な見方になってしまうんでしょうけど。やっぱり、ああいうのは生の舞台で観るもんだろうよ、としか思えませんでした。舞台公演っていうのは(私自身は、そういうもんを比較的苦手としますが)、演じる側と観客とが同じ時空を共有して、その一体感で盛り上がるもんでしょう。いくら何台もデジタルカメラを持ち込んで、編集に凝って、大音響のPAシステムを駆使しても、寒々しい閑散とした映画館の椅子で、あの新感線のテンションについていけって無理だよ~。スクリーンの中が、わあ~きゃあ~って盛り上がるほど、こちらはしら~っとしてしまい、さらに芝居と同様、途中で15分の休憩が入ったりするもんで、かえって疲れてしまいました……。公演の中身自体は、昨年夏に東京と大阪で大ヒットしたものだそうですんで、くどくど紹介するのは避けます。・北大路欣也が、気が付けばなかなかデカい存在感を持つようになってきたんだな、ということ(例えば、仲代達矢や高倉健なんかに比べると、いかにも安っぽいテレビの人、という印象だったのですが、あの舞台では明らかに「別格」という感じが濃厚に立ち上っていた)・それに比べて江口洋介は残念だった(まだ良い「中年の深み」を獲得するには至ってないね。あの年代は立ち位置が難しいよねえ……)・森山未來ってダンサーだったんだ!この3点が印象に残りました。特にこの森山という子。去年、NHKのドラマで(観たかったのは「フルスイング」という別のドラマだったのだけど、それが知らないうちに終わってて、たまたまやっていた「刑事の現場」とかいうやつ)、初めて見かけて、「なに、これ?」と、なんか妙な違和感を覚えた存在でした。顔がこぎれいなわけでもなく、どっちかと言えば、一度見たら忘れられない変な顔。演技がどうのという感じでもなく、孵化したばかりの色の薄いカマキリの子みたいな、どちらかと言えばうっすら不快感を惹起される、イマドキの若い子、という感じがしました。何を考えているのかわからなくて、離れた三白眼で上目遣いでこっちの様子をうかがってるような。なんでこんなのがNHKで、寺尾聡の相手役なんかしてるんだろう?だれ、これ??翌日、職場で話題にしたら、「ああ、森山未來でしょ。最近、若手の注目らしい」って教えられ、「ふーーーーん」と不審な気持ちだけが残って今に至っていました。で、五右衛門ロックでは、彼は偉大な父を恨む純粋な王子、というオイシイ役回りではありましたが、初めて「ああ、この子は光ってる」と思うことができました。あのもやしみたいな細い体が、見事なダンスでしなる時、生き生きと魅力を放っていました。調べてみたら、もともとダンサーだったのね。なるほど……。愚かしい芸人風とか、いろんな「どうでもいい人」たちを次々探してきては消費する芸能界たらいうトコロ。なんでこんなの見せられなきゃいかんのだ!と腹が立つから、「なぜこいつがここにいるのか」がわからない有象無象の群れの存在が、いよいよテレビを見なくなる原因になっています。しかし、この森山未來に関しては、彼が出てきた理由が腑に落ちて、ちょっと安心。でも、彼は「ドラマ」とかには向かないんじゃないのかねえ。演技派なの?あれ?去年のその「刑事」の続編を、今度は武田鉄矢(うげ)を相手にやるそうですが。ダンスがないと、単なる細いトカゲにしか見えないけどな……。(ファンの人がいたら、ごめんなさい)さ、掃除だ!パン焼きだ!