ちずらぼのちずらぶ

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  地理院地図で土地分類基本調査（土地履歴調査）が見られると聞いて

  国土地理院が地理院地図のコンテンツの一つとして「土地分類基本調査（土地履歴調査）- 国土政策局」を公開している。調査を行っている国土交通省国土政策局による土地分類基本調査（土地履歴調査）の定義は以下の通り。土地履歴調査とは、集中豪雨の激化や地震災害の多発等により、土地の安全性に対する意識が高まっていること等を踏まえ、国土調査法に基づく基本調査の一環として、土地本来の自然地形や改変履歴等の情報を整備するとともに、各機関が保有する災害履歴情報等を幅広く集約し、提供するものです。これらの情報を活用することにより、災害等にも配慮した適正な土地取引や土地利用が図られることが期待されます。地理院地図で公開されているのは「地形分類図」「土地利用分類図（明治期・昭和期）」「災害履歴図（水害）」「災害履歴図（地震災害）」「災害履歴図（地盤沈下）」。データごとに地区の偏りがあるが、いずれも防災のための基礎情報となるもの。これまでも国土数値情報として国土交通省のサイトからダウンロードは可能だったが、地図として見るためには基礎的なGISのスキルが必要だったが、地理院地図での閲覧であればそれほどハードルは高くないので多くの人に利用してもらえるチャンスは増える。ただし図を読み解くにはそれなりの知識も必要で、そうした解説があればなおいい。このたりは外部サイトや書籍などが今後でてくればいいと思う。地理院地図で見る「土地分類基本調査（土地履歴調査）- 国土政策局」

  2016.03.25

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  Wikipediaにある8049個の戦争の項目をプロットしたバトルマップ

  バトルマップという地図がある。これは戦争に関連するWikipediaのエントリー8049個をプロットしたもので、それぞれの点が戦いを示しており、色によって年代が区分されている。英語版のWikipediaがソースになっているようで、欧州あたりはかなり密度が濃いが、日本周辺を見てみると、ヨーロッパなどに比べると数はずっと少なくなる。世界史はそれほど詳しくないのでとりあえず日本の点を見てみる。京都には2つの点があるが、鳥羽伏見の戦いと本能寺の変で、応仁の乱はどうやら入っていない。姉川の戦いや賤ヶ岳の戦いは琵琶湖の中にプロットされているように位置精度は結構甘い。房総半島にポツンも新しい年代を示す赤い点がプロットされているが、これは「Battle of Sagami Bay」（相模湾海戦い）となっており、あまり聞き慣れないが、恐らく1945年7月の野島崎沖で起きた海戦を示していると思われる。この戦いはアメリカ海軍の駆逐艦部隊が、日本の護送船団を襲撃して輸送船1隻を沈めたもので、第二次世界大戦で最後の水上戦闘とされている。このようにWikipediaに依存しているゆえ取捨選択の基準が偏っているのは仕方がないところか。相模湾といいながら房総半島の真ん中にプロットされる位置精度もどうかとは思うが…ただ、データが視覚化されたことで、人類がいかに戦いを繰り返してきたかがよく分かる図にはなっている。

  2016.03.05

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  富士通、GEのユーティリティー分野向け資産管理ソフト「Smallworld」を国内販売

  富士通は2016年1月6日、電気・ガス・水道・通信などのユーティリティー分野向けの資産管理パッケージソフトで、米GE（ゼネラル・エレクトリック）が開発した「Smallworld」の取り扱いを開始すると発表、同日付けで国内販売を開始した。富士通の自社サービスで活用するほか、システム構築や保守・運用と合わせてSIサービスとして提供する。設備の資産管理機能を提供する。地図情報だけを提供する一般的なGIS（地理情報システム）とは異なり、業種ごとに異なる管理機能を備える。例えば、電力事業における送配電設備や、ガス事業における導管設備、通信事業における通信設備などを管理する機能を提供する。あらかじめ各種の設備をオブジェクトとしてモデル化してあり、相互の接続関係なども認識している。地図データの読み込みの時間を短縮できるように、Google Mapsやその他の地図データを活用した継ぎ目のないマップデータベースを採用した。これにより、設備資産の数が膨大なシステムにおいても、処理速度が低下することなく利用できるとしている。Smallworldが登場した背景には、ユーティリティー事業者が保有するネットワーク型設備が複雑であり、これらの設備を日常的に管理・保全する負担が大きい、という状況がある。設備の設置状況を可視化したり、設置場所での作業効率を高めたりするために、資産管理システムが必要になる。（ITproより）------------------------------GEの「Smallworld」はネットワーク資産管理（NAM）ソリューションとして、大規模ネットワーク型インフラ事業向けのオブジェクト指向設備管理システムとして知られる。さまざまなインフラ管理システムと連携するGISと考えれば分かりやすいだろうか。主なユーザーは電力やガス、水道などのユーティリティー関係の他、通信、CATV、鉄道など1300以上の企業に導入されており、日本の大手通信会社もユーザーとなっている。インフラが大規模化・複雑化する中でオブジェクトモデルの強みを発揮してシェアを伸ばしている。とりわけ近年は、電力会社やガス会社も通信ネットワークとの連携が求められるようになっていることから、ニーズが拡大しているという背景もある。近年国内ではインフラの老朽化による更新需要が高まっており、GEにとっては魅力的な市場であることは間違いない。ただし、販売については通常のGISと異なり、各事業の管理システムとの連携が必要になるため、SIサービスとして導入するのが現実的な選択。その意味ではさまざまな大規模インフラのシステムのSIを手掛ける富士通の関与は分かりやすい図式といえる。

  2016.01.08

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  ミツバチが教えてくれる、米国の「凶作」危険度マップ

  ミツバチ不足で将来凶作に陥る恐れがある米国の「危険領域」マップが公開された。アーモンドやリンゴ、ベリー類、タマネギ、ブロッコリーなど、何十種類もの作物がミツバチに授粉を頼っている。アーモンドやリンゴ、ベリー類、タマネギ、ブロッコリーなど、何十種類もの作物が、ミツバチに授粉を頼っている。過去10年間のミツバチの減少を理由に、農業経営者は、農作物の成長を維持するために、自家飼育ミツバチに頼るようになってきた。だが、ヴァーモント大学の環境プランナーであるインソ・コウらは、『米科学アカデミー紀要』に発表した新たな論文（PDF）で、次のように指摘している。野生のミツバチも極めて重要で、ミツバチによる授粉の20パーセント以上を占めているというのだ。野生のミツバチは、生息地として広大な草地も必要とするが、そうした生息地も消えつつある。牧草地を、ミツバチによる授粉を必要としない農作物（トウモロコシや大豆など）向けの農業生態系に変える農業経営者が増えているからだ。この問題はどれほど切迫しているのだろうか？ コウ氏らのチームはそれを調べようと、野生ミツバチの個体数の現状と、今後の予想推移をモデル化した。チームは、公開されている衛星データを利用して、米国の土地を、農地や牧草地などの用地に分類した。続いて、ハチ生態学の専門家14人に対して、米国に現在生息する野生ミツバチ約4,000種の生息地として適している地域を尋ねた。そしてこのデータを、ミツバチとその生息地に関する現地調査の情報と組み合わせることで、本記事冒頭に掲載した危険地域マップを作成した。分析の結果、研究チームは、この数年間に米国の23パーセントの地域で野生ミツバチの個体数が減少していることを発見した。これは、米国の将来の食糧安全保障に影響する規模だ。さらにコー氏らは、ミツバチによる授粉に依存している農地の39パーセントが、野生ミツバチの個体数が減少している地域にあることを示している。コウ氏は、自家飼育ミツバチによって、ある程度はその穴埋めができるが、「農作物の授粉体制に、野生ミツバチをもっとうまく組み込む必要がある」とメールで述べている。ミツバチが激減していることを考えるとなおさら、野生ミツバチを失うわけにはいかない。彼らは、「無償で実に効率よく授粉してくれて、適切な生息地を与えるだけでいい」からだ。（WIRED.jpより）------------------------------これは興味深い記事。アメリカの農業生産と受粉を通じた野生ミツバチとの関係が分かりやすく示されている。特に牧草地の重要性について触れられている点。休耕地の意義や、混合農業の有効性、もっといえばかつての三圃式農業の評価など、農業の営みについて色々と考えさせられる。日本でも農業とミツバチの関係は同じ。ハウスもののイチゴやメロンなどが事例として紹介されるケースが多いし、梅、サクランボ、カボチャなどもミツバチの受粉に頼っている。ただ、野生のミツバチの分布との関係はあまり知られていないのではないだろうか。農業にさまざまなテクノロジーが関与する時代ならばこそ、自然や環境という、農業の基盤になる条件にも今一度目を向けなければならないことを痛感する。

  2016.01.06

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  ナビタイムが「移動ビッグデータ公開サイト」、普段の渋滞状況や信号通過時間が分かる

  株式会社ナビタイムジャパンは、各地の渋滞状況や信号通過時間が分かる「全国版 移動ビッグデータ公開サイト」を提供開始した。ナビタイムジャパンは、「交通コンサルティング事業」として、スマートフォン向けカーナビサービスのプローブ交通情報や経路検索条件データなどの交通ビッグデータを用いた交通・観光分析サービスを提供している。今回公開した「全国版 移動ビッグデータ公開サイト」は、これらの分析結果を地図上で公開するサービスで、コンテンツの第1弾として、全国の渋滞状況を地図上で見られる「携帯カーナビプローブデータ」の統計データを公開する。「携帯カーナビプローブデータ」は、道路ごとの平均速度を集計した「平均旅行速度」と、全国の信号を対象に右左折方向別の通過時間を集計した「信号交差点通過時間」の2つで、集計対象期間は2015年4～9月の平日7～19時。背景地図には「地理院地図」を使っている。「平均旅行速度」は、平日日中の平均速度を集計して色別に表現したデータ。平均速度が時速0～10kmは赤、10～20kmはオレンジ、20～30kmは黄、30～50kmは緑、50～70kmは青、70km以上は紫と、6種類に色分けされている。また、線幅がサンプル数を表しており、太い線ほど多くのサンプル数から集計されたものとなっている。地図を拡大すると、1本1本の線に「28km/h　1404台」など、平均時速とサンプル数の詳しいデータが記載されている。　「信号交差点通過時間」は、信号の右左折方向別に通過時間（時速30km相当の所要時間を除く）を集計したデータ。通過時間によって色分けされており、信号通過時間が30秒以内の場合は青、30～60秒の場合は緑、60～90の場合はオレンジ、90秒以上は赤となっている。また、線は三角のマークで進行方向が分かるようになっており、地図を拡大するとS（直進）、L（左折）、R（右折）など進行方向と通過時間、サンプル数なども記載されている。進行方向別の混み具合が分かるため、「この交差点は直進と右折はスムーズに進めるが、左折だけ混んでいる」といった具合に実際の状況を把握しやすい。　ナビタイムジャパンはこれらのデータを公開する狙いとして、「個人が地域の渋滞状況をより正確に知ることで、普段から回避などの行動を取れるようになる」「自治体や道路管理者、交通管理者、バス事業者などの交通インフラ関係者が、渋滞解消のための正確な現状把握ができるようになる」「個人と交通インフラ関係者がより正確な渋滞情報をもとに行動できるよう支援することで、地域の渋滞緩和に貢献する」の3点を挙げている。例えば信号交差点通過時間によって混雑している交差点や方向を把握することにより、信号改良や車線改良の計画に利用できる。同社は今後、道路交通だけでなく、公共交通や訪日外国人、国内観光の分析結果についてもコンテンツとして追加していく予定だ。（INTERNET Watchより）------------------------------「全国版 移動ビッグデータ公開サイト」はこちら。携帯カーナビプローブデータはヤフーカーナビでもサービスに反映しているが、こういう形で一般に公開するのはナビタイムが初めてだろう。「平均旅行速度」「信号交差点通過時間」に分けてそれぞれを公開しているので、さまざまな分析もできる。「個人が地域の渋滞状況をより正確に知ることで、普段から回避などの行動を取れるようになる」「自治体や道路管理者、交通管理者、バス事業者などの交通インフラ関係者が、渋滞解消のための正確な現状把握ができるようになる」「個人と交通インフラ関係者がより正確な渋滞情報をもとに行動できるよう支援することで、地域の渋滞緩和に貢献する」という3つの目的にあるように、利用者はもちろん、道路管理者にもデータを示すことでインフラの改善に役立てようという意図もあり、社会貢献のひとつとしても評価できる。同社のビッグデータ公開はこれにとどまらず、公共交通や訪日外国人、国内観光の分析結果等も今後追加される予定。利用者がサービスへのフィードバックという形でなく、直接ビッグデータを見ることができる点で非常に画期的であり、さまざまな用途へ応用できるだけに、広く利用されるツールになっていく可能性もある。

  2015.12.10

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  G空間EXPO2015最終日

  3日間開催のG空間EXPO2015も最終日。土曜日ということもあって、会場の日本科学未来館は一般の来場者で盛況だった。一般客の人がこれだけEXPOの方にも足を踏み入れてくれたのは初めてじゃないかな？午前中はGESTISSのシンポジウム「宇宙技術・地理空間情報を利用した社会イノベーション」へ。GESTISSはリモセンとG空間を組み合わせて社会の役に立つイノベーティブな取組を担う人材を育てるための組織で、国際連携のキーパーソンを育てる事を目的とした、宇宙インフラ利活用人材育成のための大学連携国際教育（G-SPASE）プログラムを実施している。5大学がそれぞれの学校の枠を越えて連携したカリキュラムづくりやe-Learningを行う他、マンスリーチュートリアル、協働プロジェクト、サマースクールなどが行う形で運営されており、この日はプロジェクトにかかわっている東京大学柴崎亮介教授や青山学院大学の古橋大地教授、慶應義塾大学の神武直彦准教授、事業構想大学院大学の小塩篤史准教授らが登壇したほか、学生からの成果発表に対して会場から率直な意見が出るなど活発な議論がされていた。昼には1FのメインステージでGeoアクティビティフェスタの結果発表があった。最優秀賞は首都大学東京倉田研究室の「だれでもガイド！」。倉田准教授は連覇を果たしたことになる。ユーザー自らがバーチャル観光案内をできるアイディアはもとより、優れたインターフェイスで本当に「誰でも」参加できる環境を作り出したことが素晴らしいと感じた。優秀賞はNPO法人ふるさと福井サポートセンター北山大志郎氏の「空き家管理調査システムふるさぽマップ」と、株式会社トリトメ西部一英氏の「位置情報＋時間＝思い出 ゲーム感覚の地域文化アーカイブプラットフォーム」。「空き家管理調査システムふるさぽマップ」の方は現地調査を効率化する実用性の高さ、「位置情報＋時間＝思い出 ゲーム感覚の地域文化アーカイブプラットフォーム」はゲーム感覚で楽しめるアイディアはもちろんだが、「思い出」「物語」といった人の深い部分を組み入れた点が印象的。その他、奨励賞はチームじじばばウォッチ代表菊地映輝氏の「じじばばウォッチ」、CanSatMapping製作委員会代表平澤遼氏の「CanSat Mappingで拓く宇宙工学の未来」、GIS大縮尺空間データ官民共有化推進協議会の「官民連携の情報共有プラットホームによる職員参集システム」、来場者賞は株式会社デバイスワークス代表加賀屋太郎氏の「スマートグラスを用いた現地調査・入力システム」が受賞した。 Geoエデュケーションプログラムは「学校における未来のG空間教育」というテーマで、今年は模擬授業形式で、さまざまなテーマの授業が地理空間情報を活用する形で進めら、それを体験する形が採られた。「沖縄戦デジタルアーカイブ」を使って戦争当時の様子と現在の沖縄をG空間データで繋げる授業や、地形のプロジェクションマッピングが登場するなど、濃厚な内容で充実したプログラムだった。G空間EXPO2015全体の印象としては、内容そのものの充実ぶりは素晴らしいものがあり、これは関わった人たちの努力をきちんと評価しなければならない。一方で官や学と比較して民間企業の関わり方が限定的であったことは否めない。これは来場者にも見られた傾向で、土曜開催の最終日が一般客の来場で盛況だったのとは対照的に、平日（特に天気の悪かった初日）の出足はいま一つで、特に関連企業社員等の来場が少なく感じられた。かつて、測量・設計システム展や地理空間情報フォーラムとして開催していた当時は地方の測量会社などから大勢の（若手）技術者が来場していたが、現在ではそうした層の来場は少ない。未来館は非常にいい会場だが、商業色を前面に出せない点で民間企業にとっては微妙といわざるを得ないだろう。地理空間情報技術を社会にアピールする点では現在の形も一定の成功を収めているが、業界のビジネスを活性化するには明らかに別のアプローチが必要で、このあたりは来年以降にどう変わっていくのか気になるところだ。

  2015.11.28

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  G空間EXPO2015二日目

  日本科学未来館で行われている地理空間情報関連では最大のイベントであるG空間EXPO2015二日目。午前は昨年も充実していたGeoエデュケーションプログラム「自治体におけるGIS×統計・地域分析」へ。Geoエデュケーションプログラムは堅そうなネーミングだが、チームごとにオープンに意見を出し合いながら進めるワークショップ形式。浦安市を例にGISでオープンデータを取り込みつつ、グループごとに話し合って地域の課題を抽出していた。どのグループもすごい熱量。毎年のことだがここを見ると日本のGISも捨てたもんじゃないと感じるのだ。昨年までは国交省国土政策局が主体となってGIS学会のサポートで進めていたが、今年はGIS学会企画委員会が中心となって運営されていた。体制の変更には様々な事情があるようだが、充実した企画なのでいい形で継続・発展して欲しいところだ。1Fの吹き抜けスペースでのGeoアクティビティフェスタはこの日は審査員を前に公開プレゼンが行われていた。昨年はブースを離れた7階の会場で開催されたが、今年はブースのある吹き抜けの一角を使っていたことで、通りがかりの人も見られるように工夫されていた。昨年はずらりと並ぶ審査員に重々しい空気があったが、今年は環境としては開放的。昨年奨励賞を受賞したスカイマップのブースを訪れると、サーモマップをオーバーレイした都市の3D模型が目を引いた。やはり模型は「モノ」であることが魅力。モニタで見る3Dモデルよりもスッと頭に入ってくる感じ。アウトプットとしてかなり効果的であるように思えた。午後は日本地図学会シンポジウム「観光立国に向けて地図はどう貢献できるのか」で司会進行を務めさせていただいた。集客を心配していたが、70人近い来場者があったのはありがたい限り。最初に自分の方から趣旨説明をさせて頂き、その後は片桐由希子先生（首都大学東京）の「観光対象としての生活文化と見える化と見えない化」、奥秋圭さん（西荻案内所）の「すむまちを『観光』する～西荻の場合」と地域からの発信の話題が2つ、その後は土橋文武さん（インクリメントP株式会社）「観光のための地図サービス」、金城陽平さん（株式会社ゼンリンデータコム）「観光に向けた地図サービスの取り組みについて」と地図サービス側からの話が続く。登壇者の発表が終わるとコメンテーターに篠崎透さん（地図調製技術協会）を迎えて全員で討論。フロアからもいくつかの意見が出され、観光客の動向が変わりつつある中で地図がどう対応していくのか、興味深い話が聞かれた。時間配分など司会の不手際もあり申し訳なかったが、登壇者の皆さまにはいい事例を紹介して頂けたのが何より。その後は場所を変えて新橋で何人かで飲んだ。周囲の助けもあり、充実した一日になった。

  2015.11.27

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  社会インフラの将来予測をビッグデータで--SAP、日立、ESRIの3社

  SAPジャパン、日立製作所、ESRIジャパンは11月9日、3社の製品を連携させ、社会インフラに関する将来予測を可能にするビッグデータ利用システム基盤を開発し、実用化に向けた検証を実施したと発表した。このシステム基盤では、社会インフラに関する膨大な現在と過去のデータを基に、特定区域の混雑状況など、さまざまな将来予測を迅速に実施し、地図画面上で瞬時に可視化する。今後3社は実用化に向けた取り組みを推進し、広域都市交通や物流の効率化、水道・電気・ガスといったインフラ設備の安定稼働など、安全、安心、快適な社会インフラの実現に貢献していく方針だ。社会インフラ分野では、IoTの普及に伴い、センサやカメラなどから収集した多様で膨大なデータ活用によって新たな価値が生み出されつつある。交通渋滞の抑制や広域な物流業務の効率化、インフラ設備の安定稼働など、ビッグデータの利用により安全、安心、快適な社会を実現する新たなサービスの創出が期待されている。今回のプロジェクトは、SAPジャパンの共同研究施設である「SAP Co-Innovation Lab Tokyo」で実施された。SAPのインメモリデータベース「SAP HANA」と、日立のデータベースエンジン「Hitachi Advanced Data Binder」（HADB）、ESRIジャパンのGISソフトウェア「ArcGIS」を連携させた。HANAを用いてHADBに蓄積された膨大なデータを高速に処理するため、両製品の連携を実現するソフトウェアである「連携アダプタ」を新たに開発。HANAのSDA（Smart Data Access）機能と組み合わせることで、3製品がスムーズに相互連携するシステム基盤を構築している。これにより、将来を予測するとともに、結果を地図画面上で瞬時に表示するシステム基盤を開発、検証した。今回、HANAに格納した現在の状況に関するデータとHADBに蓄積した履歴データを活用した将来予測を行い、現在の状況と将来予測の結果をArcGISの地図画面上で瞬時に表示できることを検証した。技術検証においては、東京大学空間情報科学研究センターとの共同研究プロジェクト「人流データを利用したタクシー配車効率化に関する研究」として、同センターが個人を特定できないように加工して提供している約130万人分の人流データを使用、タクシーの最適配車を想定したシミュレーションを実施した。具体的には、まず、東京首都圏のある特定日時における人流データを現在の状況と仮定し、そのデータをもとにHANAで「現在の混雑箇所」を把握。現在の混雑箇所から数十分後に移動する可能性が高い複数地点を、HADBに格納した膨大な履歴データの中から統計的に導き出すことで将来を予測し、これらの結果をArcGISの地図画面上に高速に表示できることを確認した。本システム基盤の活用例は以下の通り。＜人流予測による快適な都市交通インフラの実現＞大都市圏における複雑な都市交通インフラの効率化に活用できる。例えば、現在の混雑箇所の特定と、過去の移動パターンを組み合わせて分析することで、将来の混雑箇所や移動先候補を予測することが可能になり、タクシーなどの効率的な運用を実現できる。＜最適な集荷・配送ルートの予測による広域物流業務の効率化＞物流事業者による広域物流業務の効率化に活用。配送物の集積や配送の状況に関するデータを分析することで、荷物の配送状況をリアルタイムに把握できるほか、過去の配送パターンを踏まえ、季節や時間ごとの特徴に応じた最適な集荷・配送ルートを利用できる。＜インフラ設備の故障予兆把握と保守点検ルートの最適化＞稼働停止が許されない電力や水道といったインフラ設備の安定稼働と、保守作業の効率化に活用可能。具体的には、複数の地域に点在する設備機器に設置したセンサなどから取得したデータを分析し、故障の予兆がある部品をリアルタイムに把握するとともに、過去の故障履歴から故障パターンや適切な部品の交換タイミングを予測することで、保守点検作業の手順や作業員の移動ルートを最適化できる。（ZDNetJapanより）------------------------------データベースとエンジン、そしてGISの連携による仕組み。現在の状態をベースに、蓄積されたデータベースからシミュレーションを経て、瞬時に将来予測を地図画面に表示することで視覚化するというもの。記事にもあるようにさまざまな分野に応用が可能で、多くの業務を改善・効率化できることはもちろん、予測に基づいた新たなビジネスの創出にも期待できそう。データベース→解析→可視化という流れはGISの得意とするところで、ESRIのArcGISは中でも特に優れたツールだが、こうしたビッグデータ処理のプロセスごとの役割分担では可視化に特化しているのが興味深い。それだけ地理空間情報を扱う上で可視化（アウトプット）は欠かせないパートということなのだろうが。

  2015.11.10

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• 集落データ 地図上に　能登島 空き家、高齢化状況

  七尾市の能登島で、地理情報システム（ＧＩＳ）を地域づくりに活用する取り組みが進んでいる。島内の集落ごとに、高齢化率や空き家の状況などさまざまな情報を集めてデータ化し、地図に落とし込むことで地域の現状をわかりやすく可視化。タブレット端末で閲覧できる「地域のカルテ」を作成して住民間の情報共有を図り、課題解決などにつなげていく。農林水産省の農村集落活性化支援事業の補助を受け、能登島地域づくり協議会や地域おこし協力隊の小山基さんが主体となって推進。二〇一七年度までに島内の全二十集落で情報収集を終わらせ、一八年度からのシステム本格運用を目指す。すでに四つの集落で情報を集めており、一部は閲覧できる。ＧＩＳは、地図をコンピューターで管理するソフトウエアのこと。多彩なデータと地図を関連づけることで多面的な見方を可能にし、住民が課題解決策や活性化策を考えるときに、必要な情報を客観的に入手できるようになる。能登島では今後、・人口や高齢化率などの基本情報・耕作者や栽培作物がわかる農地情報・支え合いマップや配食利用者などの介護福祉情報・避難場所や土砂災害警戒区域を示す防災情報・空き家や観光名所などの地域資源情報を集落ごとに収集し、写真撮影も進める。タブレット端末で空き家の写真をタッチすれば、所有者や貸し出しの条件がわかるようなイメージで、データを管理する同協議会のほか、町会長や民生委員、農業委員らを使用者に想定する。五日には能登島生涯学習センターで住民向けの進ちょく状況報告会が開かれ、システムの概要が説明された。同協議会の担当者は「システムを使うのは住民。活用のアイデアを考え、情報収集に協力してほしい」と呼び掛けている。（中日新聞より）------------------------------過疎や高齢化、空家問題はもちろん、産業やモビリティなど地域におけるさまざまな課題は、現実を正しく捉えて共有するところがあらゆる対策のスタートになる。GISによる可視化は地域の現状を定量的かつ分かりやすく示す有効な手段の一つ。集落ごとの状況が具体的に可視化されることで、場所に応じた適切な対策が可能になる。今回のケースでは主体が協議会であり、住民が主役となってシステムを使い、アイティアを出し合うことでより地域目線の対策を提案できる可能性がある。地域の特性を生かすには地域の特性を共有することが重要。灯台もと暗しではないが、集落の現状をGISにより客観的に俯瞰することで、これまでに気づかなかった面が見えるようになれば、身近な改善策で暮らしを変えていくこともできるかもしれない。システムの機能面はともかくとして、住民を中心においたいい運用がされて欲しい。

  2015.11.08

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  IoTデータを時系列で地図上に表示、日立ソリューションズがGISソフトを強化

  日立ソリューションズは2015年10月16日、スマートフォンや各種センサーから収集したビッグデータを時系列でリアルタイムに地図上に表示できるシステムを販売すると発表した。GIS（地理情報システム）ソフト「GeoMation」のオプションとして「GeoMation Option for Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム」（図）の名称で10月23日から販売する。価格は個別見積もり。同オプションは、GeoMationと高速データベースソフト「Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム」（HADBプラットフォーム）を連携させ、この上で独自アルゴリズムによる高速検索を可能にするもの。HADBプラットフォームに蓄積した数百億件規模のビッグデータや分析結果から、「時間」と「空間」を組み合わせたインデックスで対象範囲のデータを高速に検索し、地図上に表示できるようになるという。これまでのGISシステムの課題は、大量の空間データの中から対象となるデータを検索するのに時間がかかってしまうことだった。今回開発したオプションを使うと、検索時間を大幅に短縮できるという。高速検索のための独自のアルゴリズムは、格子状に分布する時空間データ（グリッドデータ）に時空間インデックスを付与し、時間的・空間的近傍性を考慮してデータベースに蓄積することで、対象となる範囲の時空間データを高速に検索する技術としている。（ITproより）------------------------------センサーの多様化によるIoTの一般化は、各種検索や解析をビッグデータありきに変えつつある。近年パワーのあるワークステーションが見直されているのもその一環だが、ハードばかりでなくソフト側でものアルゴリズムやインデックスの工夫で対応するアプローチがある。日立ソリューションズでは時間と空間を組み合わせたインデックスを付与することで検索を強化しており、従来から大幅な時短が可能だという。今後はビッグデータ×ビッグデータのようなオーバーレイ処理も増えてくるはずで、それに対応すべくGISはハードもエンジンも強化されていくことになるだろう。記事の機能は「オプション」扱いだが、今後の市場での優位性を考えればむしろ標準装備が妥当ではないかとも思う。

  2015.10.17

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  400年前のマンハッタンの姿　バーチャル地図が再現

  マンハッタン区が開拓前の、400年前の街並みを再現するバーチャル地図がこのほど発表され注目を集めている。今やコンクリートジャングルと呼ばれ、高層ビルが建ち並ぶ大都市となったマンハッタン区だが、探検家のヘンリー・ハドソンが発見した当時は、森や丘が一面を覆う自然あふれる島だった。「マンハッタン」という名前が、インディアン部族レナペ語の「丘の多い島」を意味する「マンハッテ」から由来している通り、400年前の同区は島全体が森だった。1609年のマンハッタン区の姿を再現するプロジェクト「ウィリキア・プロジェクト」によると、このほど発表されたバーチャル地図は、地図上のスポットをクリックするとその場所が開拓前はどのような地形でどのような動植物が生息していたかを表示する。地図によると、現在エンパイア・ステートビルが建つミッドタウン辺りには小川が流れ、緑が広がっている。同じようにウォール街と呼ばれるダウンタウンも、丘や谷間がある自然公園のような風景だ。これらの自然の中にはシロアシネズミやビーバー、ムササビなど、多様な生態系が生息していたという。（Bi-DAILYSUNより）------------------------------サイトはこちら。これはなかなか面白いプロジェクト。地図にアクセスすると都市部の真ん中に緑のマンハッタン島が現れる。地図中に設定されたブロックを指定するとメニューが表示される。選択すると詳細が表示される。画面は1609年の対象ブロックのイメージ。タブを切り替えることで現代の地図との比較などさまざまな情報を見ることができる。寄付によるプロジェクトのサポートも受け付けている。東京でもこういうサイトを再現すれば面白い。このマンハッタンと同じ時期なら初期の江戸を再現する形なる。ロマンのある話じゃないか。

  2015.10.07

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  肝炎マッピング　開設　Ｃ・Ｂ型ウイルス早期発見・治療　医療機関、手軽に検索　／佐賀

  佐賀大学医学部は、肝硬変やがんなど肝炎ウイルスが要因となる病気の早期発見・治療につなげようと、インターネット上の地図を使って無料ウイルス検査を実施している医療機関などを手軽に検索できるサイト「肝炎マッピング」を開設した。身近にあるスマートフォンやパソコンを活用することで検査促進を図る。佐賀県は、肝臓がんによる死亡率が１６年連続で全国ワーストを記録している。このため、特にがんや肝硬変を引き起こす「Ｃ型」「Ｂ型」の肝炎ウイルス感染の早期発見を呼び掛けている。世界肝炎デー（７月２８日）に合わせて完成させた「肝炎マッピング」は、スマートフォンやパソコン画面上で拡大・縮小できる地図を表示。自宅や職場近くの無料検査施設（約２５０カ所）▽詳細な検査・治療施設（約５０カ所）▽手術対応施設（８カ所）−−などの医療機関が一目でわかる。また、県内各地で治療についての相談ができる「肝炎コーディネーター」も紹介している。今後は、肝臓病の克服経験者や家族のアドバイスなども掲載する予定。肝疾患センターの江口有一郎教授は「肝炎ウイルスは知らないうちに感染して無症状のまま病気が進む。最近は新薬が開発され、治療がしやすくなった。まずは検査を受けてほしい」と多くの利用を呼び掛けている。インターネット検索は「肝炎マッピング」。（毎日新聞より）------------------------------サイトはこんなイメージ。地図上でウイルス検査を実施している医療機関などを検索できるというもの。無料検査施設や詳細な検査・治療施設、手術対応施設といった医療機関や、治療についての相談ができる「肝炎コーディネーター」の位置や、「今後は、肝臓病の克服経験者や家族のアドバイスなども掲載する予定」とあるので将来的には「肝炎ポータル」的な役目を果たすことになるのだろうか。ただ、「肝炎マッピング」という名称はいかがなものか。この名称だと肝炎患者の分布をマッピングしているようなイメージなのだが…それにしても佐賀県の肝臓がんによる死亡率16年連続で全国ワーストて何が原因なのだろう。肝臓というと思い当たるのはアルコールなのだが、アルコール消費量統計を見ても取り立てて佐賀が高いというわけでもなく、因果関係が良く分からない。逆説的に捉えれば検査が充実していて「出現率が高い」という解釈もできなくはないが。

  2015.09.22

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  ゼンリンデータコム、電通、レスキューナウの3社、自治体向けサービス「危機情報ナビ」を今秋に提供開始

  株式会社ゼンリンデータコム、株式会社電通、株式会社レスキューナウの3社は、地域住民向け緊急・災害情報を一元化しワンストップで提供する地方自治体向けサービス「危機情報ナビ」を今秋に提供開始すると発表した。同サービスは、地域ごとの緊急・災害発生情報、避難所などの情報をデジタル地図上に統合的にマッピングして提供するもので、情報発信においては地方自治体が抱える運営上の課題をワンストップで解決する。電通とゼンリンデータコムが開発した「全国避難所データベース」 や、レスキューナウの「危機管理情報配信サービス」、ゼンリンデータコムが提供するAEDの設置情報などを、市町村単位で集約して提供する。従来のテキストデータ形式による情報提供だけでなく、ゼンリンデータコムが保有するデジタル地図上にこれらの緊急・災害情報をマッピングすることにより、地域住民にとって必要な情報を俯瞰的かつ迅速に提供できる。また、地方自治体による情報発信業務自体をレスキューナウの危機管理情報センターが24時間代行支援するメニューも用意している。配信する情報のカテゴリーは、天気予報、特別警報/気象警報/気象注意報、東海地震関連情報、地震情報などの「気象災害情報」、鉄道情報やフライト情報などの「交通情報」、健康安全情報、光化学スモッグ情報、新型インフルエンザ情報などの「生活安全情報」、緊急情報、避難情報、ライフライン情報などの「緊急情報」の4種類。（週刊アメーバニュースより）------------------------------昨日紹介したのは国土交通省の災害情報共有システムだが、こちらは民間のサービス。目的や使い方はほぼ一緒。で、提供される情報には全国避難所データベースなど民間所有のデータ。情報共有のプラットフォームとして有効なことはもちろん、地方自治体による情報発信業務自体をレスキューナウの危機管理情報センターが24時間代行支援するメニューもあり、災害発生時にリソース不足で情報共有に手がつかない場合など、これまでの課題の核心部に触れているのもいい。それにしても電通がここに名を連ねているのはちょっとした驚き。企画と仕様策定が役どころだが、電通が地図や防災も手掛けることで色々と変化が起きれば面白い。

  2015.09.04

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  災害情報をネット地図で確認　国交省が新システム始動

  国土交通省は１日、大規模災害時にインターネット上の地図で、各地域の被災情報や気象をリアルタイムで確認できる「統合災害情報システム」（ＤｉＭＡＰＳ）の運用を開始し、一般公開も始めた。システムを通じて被災状況の把握や共有をしやすくし、迅速な応急復旧や救援活動につなげることを狙いとしている。国交省で同日に行われた防災訓練では、首都直下地震を想定してシステムにダミーデータを入力。地図上には火災や浸水が起きた地域、通行不可となった道路などが色や印で示された。システムには平時から、水害や土砂災害などが想定されるエリアを示した各地のハザードマップを登録。災害が発生すると、気象庁などから集めた情報を地図上で更新する。震源や震度、津波警報のほか交通機関や道路、橋の被害、防災ヘリから撮った画像も確認できるようにするという。（産経ニュースより）------------------------------統合災害情報システム（DiMAPS）はこちら。災害に関する様々な情報を統合的に集約して共有するためのプラットフォームという位置づけ。ベースは地理院地図で、事前情報として河川の浸水想定区域（内水氾濫は除く）や土砂災害危険箇所等のハザード情報（これがシームレスで見られるのは助かる）、緊急輸送道路などの道路情報、水位観測所やダムといった河川関連情報、下水道関連施設、都市公園、公共施設、人口分布など様々なデータを見ることができる。実際に災害が起こると、被害状況などがこのプラットフォームに集約されることになる。刻々と変わる状況をリアルタイムに共有できることは大きい。今回防災訓練で使われたこともあり、テレビのニュース等でも取り上げられるなど、一定のインパクトは残したのではないか。仕組みとしては一つの形になったが、本当に大事なのは実際の運用だろう。現時点で台風15・16号の被害状況が登録されているが、縮尺レベルによって表示される情報が異なる（精度を加味してのことと思われる）など、分かりにくい部分もある。この辺りは使われることで徐々に改善されていくはずで、まずは利用の周知が重要になりそう。見る人によって色々な意見はあると思うが、まずは継続的にきちんと運用されることが前提で、その上で様々な意見を取り込みながら改善していけばいいのではないか。

  2015.09.03

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• 大分県が県内全域のさまざまな環境情報を一括して閲覧できる環境地理情報システムを構築へ

  大分県は、県内全域のさまざまな環境情報を一括して閲覧できる環境地理情報システムを構築する。再生可能エネルギーが注目され、地熱など豊かな地域資源の活用が進む一方、乱開発に対する懸念が出ている。開発事業者が必要とする環境情報を入手しやすくして、十分な配慮を促す。新規の温泉モニタリング調査など盛り込むデータも充実し、地域資源の有効利用と環境保全の両立に生かす。本年度中に完成させ、情報はホームページで公開する。利用者が必要な情報項目を選択すると、大分県の地図上に表示される仕組みになる予定。システムに蓄積する情報は、県庁の各課が別々に持つ大気環境、水質環境、自然公園区域、藻場・干潟分布、温泉分布など。民間の業者や有識者が保有する環境アセスメントの調査結果といった各種データも掲載できるよう、関係者に協力を求める。地熱活用の活発化など新たな動きを踏まえて、県は新規の調査を始め、そのデータも加える。温泉熱発電などの開発が進んでいる別府市と九重町で、計４カ所の泉源に計測機器を設置。温度、成分、湧出量を継続的に調べ、開発に伴う影響が出ていないかチェック。開発を検討する際などに、事業者と地元住民の参考にしてもらう。県が希少種野生動植物に指定している２１種類についても、最新の生息・生育状況を調べる。システムはネット上にデータを保存するクラウドを活用して、情報は随時更新していく。事業費は約２８００万円。システムにより開発事業者は環境情報を集める手間が軽減される。県生活環境企画課は「十分な情報を基に、環境に配慮しながら地域資源の有効利用を図ってほしい。県としても蓄積したデータを環境保護施策に生かす」としている。（大分合同新聞より）------------------------------大分県は日本最大の地熱発電所である八丁原発電所（活火山である九重連山の地熱地帯の地熱によって加熱された高温の蒸気を利用）を擁しており、国内で最も地熱発電が盛んな地域である。（直接関係はないが家庭用太陽光発電の朝日ソーラーも大分の企業）地熱発電は天候、季節、昼夜によらず安定した発電量を得られる再生可能エネルギーとして期待が高い一方で、地下との熱水の出入りにより微小な地震が発生するケースがあることや、地熱発電が温泉に影響を与える可能性があること、地下水や大気の汚染、さらには景観の悪化など環境への影響が懸念される部分もある。記事にある大分県の環境GISはこうした地域資源の活用と開発による環境の影響のバランスをモニタリングしようとする役割を担うことになる。様々な関連情報を合わせた形で可視化することで、適切な資源の利用を促す効果はありそう。事業費がそれほど高くはないので、パッケージ型のクラウドサービスと既存のデータを組み合わせる形で運用されるのではないだろうか。県内の環境ポータルとして上手く機能するようであればいい先例になると思うが。

  2015.08.20

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  inbound insightはSNSの情報をもとに訪日外国人の行動データを可視化する

  2020年に開催される東京オリンピック。その需要を想定した新事業や新サービスが次々にスタートしている。昨日のニュースだけを見ても、楽天がVoyaginを買収してインバウンド（訪日旅行者向け事業）を強化するとしているし、MAU（月間アクティブユーザー数）1000万人という数字を発表したRettyも、訪日外国人満足度ナンバーワンのサービスを目指すと語っている。今日もそんなオリンピック需要を見越した新サービスを紹介する。ナイトレイは7月3日、訪日外国人の行動データ可視化ツールとデータを提供する「inbound insight（インバウンドインサイト）」の提供を開始した。ナイトレイはこれまで、場所や店舗の情報に特化したソーシャルメディア解析エンジン「T-Rexa（トレクサ）」を提供するなど、3年以上にわたりSNSのデータを元にした位置・移動・行動データ解析を行ってきた。今回のサービス提供にあたり、言語判定や国籍判定、入出国判定などを常時解析する技術を新たに開発。これにより、訪日外国人が観光をする際の行動データについて可視化が可能になったのだという。行動データの解析対象となるのは、Twitterや新浪微博などのSNSのうち、一般公開されているユーザ投稿の情報。投稿内容から地名やランドマーク名や、緯度経度の情報などをもとに位置を特定する。現在1カ月あたり約6500人の訪日外国人旅行者のデータ解析を実現しているという。inbound insightは、ブラウザから利用できる行動データ可視化ツールと解析データ購入プランの2つのサービスを提供。ツールには無料プランと月額10万円のPROプランの2つのプランを用意する。無料プランでは、地図上でのヒートマップ表示、人気エリアランキング表示、行動データのグラフ化が可能。PROプランではこれに加えて、地図上での行動ルート表示、国籍判定（中国、香港、台湾、韓国、タイ）、性別判定（中国、台湾、香港）、ポイントデータ表示、クチコミ詳細内容表示、投稿写真表示の機能が提供される。また解析データ購入プランは1カ月のデータで50万円となっている。投稿日時、緯度経度、住所、プレイス名、ユーザID、性別、推定国籍、投稿テキスト、投稿画像URLなど、必要な期間の解析結果をCSV形式で提供する。ナイトレイでは訪日外国人の誘致を進める官公庁や観光業、ホテル業、商業施設、商店街等に向けて導入提案を進める。2015 年末までに行動データ可視化ツールを100社、解析データ購入プランを20社に導入することを目指す。（TechCrunchより）------------------------------2020年のオリンピックを控えて各分野でインバウンド関連のニーズが目立つようになってきているが、この記事は行動解析に関するトピック。インバウンドビジネスを考えるにあたり、しっかりとしたマーケティングを行う上では行動解析は大きな武器になることは確かだろう。それも単なる移動ログと異なり、SNS投稿は何らかの興味を顕在化させている行為ともいえる。ただし人間のやることなのでノイズも多い。そのあたりをどう解析するのかも運用の重要なポイントになる。例えばテキストから何らかのキーワードで抽出するのか、あるいは画像から読むのか（写真を撮影する行為も興味の現れと考えられる）、色々なアプローチがありそうだが。国籍や性別ごとの傾向が分かることで、商店であれば商品構成であったり、メーカーであれば販促展開であったりで効果が見込める。またこうしたデータはホテルや商業施設といった観光関連産業の新規出店の参考になる他、行政にとってみれば地域創成的な視点で重要になるように思う。問題は導入の費用対効果か。シミュレーションに使うケースや、実際の効果測定に使うケースなど活用の仕方次第ではあるが、今後（五輪後も含めて）訪日観光客が順調に伸び続けるのであれば価値はありそうだが。

  2015.07.04

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• サークルKサンクス／店舗の立地評価モデルを構築

  日本IBMは7月1日、サークルKサンクスが高度な分析により、的確なセグメンテーションを可能にする「IBM SPSS Modeler」を採用して、地理情報を分析に活用し、高精度な店舗の立地評価モデルを構築したと発表した。サークルKサンクスは、的確な出店を図り、自社チェーンの優位性を高めるため、客観的な数値に裏付けられた判断力を重要ととらえ、地理情報システム（GIS）を活用した立地評価に取り組んでいる。同社は、出店ポイントの確定後、そのポイントをGISに入力し、マーケティング分析や商圏作成をし、最終的な立地評価を行っているが、分析モデルが導き出した立地評価結果が、ビジネス現場の感覚と乖離してしまうことがあるため、GISから得られた結果を分析する基盤として「IBM SPSS Modeler」の活用を開始した。GISでは、現場の経験から得られた知見について、数値的な裏づけとして駐車場や間口の広さといったインプットとなるデータと売上などの結果となるデータを集計して取り入れるなど、精度を上げるために調査項目とモデルの見直しを継続している。GISの調査項目では、地理情報に加え、作成した商圏の人口動態や就業者数などの統計データ、店舗のさまざまな機能、人や自動車の交通量のバランス、開店した店舗の周辺環境などを確認するなど、データ内容を精査し、立地評価の分析精度を高めるための取り組みを開始している。必要に応じて研究会を開催し、現場の担当者や部門長などから意見を募り、GISの活用を通じて培ったノウハウや知見を共有することで、分析モデルの構築とリモデルに取り組んでいる。サークルKサンクスは、立地評価モデルに加えて、新しいアプローチから物件を評価するマニュアルの整備や、出店後の店舗を客観的に検証できる検証ツールなどを導入して、さまざまな視点から店舗を評価することで総合的な立地評価をさらに推進している。「IBM SPSS Modeler」は、CSVなどの多様な形式のデータを容易に取り込めることや、データの作成や加工の手軽さ、ノンプログラミングでのモデリングの実現に加えて、分析結果の有効性や有意性などを把握できることで、ビジネスを支援する。（流通ニュースより）------------------------------GISを使った立地評価構築の話題。コンビニエンスストアは立地が店舗の成否の大きな要素を占めるとされいる。よく知られたところでは交差点の手前か先かで異なることや、記事にあるように駐車場や間口の広さも影響を与えるといわれる。エリアマーケティングや出店計画においてGISが有効であることはよく知られているが、様々なデータを駆使したところで、何らかの指標がないことには結果を評価できない。その意味でも評価モデルの構築はGISを使う上でもっとも重要なことといえるだろう。分析精度を上げていくにはそれぞれのデータの特性を認識することはもちろん、出された結果について定量的な検証を行うことも重要であり、こうした数値がきちんとフィードバックされることが評価のノウハウに繋がっていくことになる。結果の検証のインバージョンによる検証までができるならモデラーとしての利用価値は高そうだが。

  2015.07.03

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• アプリで空き家データを一覧表示　全国自治体向けシステム開発

  福井県美浜町のＮＰＯ法人ふるさと福井サポートセンターはこのほど、全国自治体向けの空き家調査管理システム「ふるさぽマップ」のサービスを始めた。タブレット端末「ｉＰａｄ（アイパッド）」を使ったアプリで効率的に空き家のデータをまとめられる。同センターの北山大志郎理事長（４５）＝美浜町＝は「地図上でデータが一覧できる、今の時代にあった空き家実態調査の仕組み」と話している。５月から空き家対策の推進に関する特別措置法が施行され、各自治体で空き家の基礎の構造、外観、壁や屋根の状態などの基本情報をデータベース化する必要性が一層高まっている。それに合わせ、同センターがｉＰａｄアプリの地図上に空き家データを一覧表示できる仕組みを開発した。これまで空き家の現地調査は、紙に情報を書き込んだり写真を撮ったものを後でパソコンに取り込み、長い時間を要していた。データ量も膨大なため、どの情報がどの空き家のものか分からなくなり、もう一度足を運ぶケースもあるなど、作業効率が悪かった。「ふるさぽマップ」を入れたｉＰａｄを使い現地で住所や基本情報を打ちこんだり、写真撮影すれば、データをそのままシステム内に保存できる。データ管理も簡単。現在、県内外から問い合わせがあるという。北山さんは「効率的にきちんとデータ化することで、これから空き家を使いたい人に対しても情報提供が容易になる」と話していた。（福井新聞より）------------------------------iPadを利用した空き家調査管理システム。紙ベースの調査をデータ化する手間やタイムラグを考えれば現場で入力できるのは確かに合理的で、そのまま地図上で一覧できるのも便利。ツールの使い勝手はさておいても、空家問題が深刻化している現状を考えればいかにデータベースを構築して維持管理していくのかが重要になる。その上で現地調査結果をそのまま反映できる同システムが評価できるのではないか。記事にもあるように、同じ空家でも状態は多様だ。特に崩壊寸前で聴けんな状態にあるような建物には何らかの処置が必要であり、行政はそうした状態を診断した上で常時把握しておく必要がある。データベースのあり方も含めて、有効な運用がされて欲しいツールではある。

  2015.06.28

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• 自治体のオープンデータ 活用考える

  自治体などが保有しインターネット上などで公開しているさまざまな情報、「オープンデータ」の幅広い活用方法を考える「オープンデータ自治体サミット」が、横浜市で開かれています。「オープンデータ」は、自治体などが保有しインターネット上で公開している統計や地理情報などの情報で、民間の技術やアイデアなどと組み合わせることで、幅広い分野での活用が期待されています。今回のサミットは、こうした取り組みをさらに進めようと、横浜市や総務省などが初めて開いたもので、横浜市中区の会場には、全国の自治体の担当者４５０人が集まりました。この中で横浜市の担当者は、民間の不動産取り引きの際に、市が作成したハザードマップなど防災関係のデータを活用してもらう新たな情報システムが、今月から試験的に運用されていることを説明しました。このほか千葉市では、市民から寄せられたまちづくりに関する要望をウェブサイトに公開する取り組みを行っていることも紹介されていました。横浜市政策局の小林一美局長は「多様な可能性を秘めたオープンデータを社会に役立てていく方法を、ほかの自治体と共に探っていきたい」と話していました。（NHKニュースより）------------------------------全国の自治体の担当者４５０人が参加という本格的なオープンデータイベントで、まさに「サミット」の名にふさわしい。テーマは「オープンデータを活用したオープンイノベーション！」ということで、データをどう出すのかよりもデータをどう生かしてもらうのかに主眼が置かれている。オープンデータに積極的な自治体も徐々に増えてきており、今後は利用事例の実績を重ねたいところ。本格的な普及を見据えればサミットという形で大々的にイベントが行われるのは意味があること。データをオープンにすることで、地域にどのようなイノベーションがもたらさせるのか。イベントでの議論を通じてどれだけ共有できるのがカギを握りそう。

  2015.06.26

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• インドネシアで地図データを省庁共有　ＮＴＴデータ開発　業務効率化に期待

  国土地理院（ＢＩＧ）は２０日、中央ジャカルタのホテルで新しい地図データ共有システムを公開した。同システムの導入により、各省庁間でさまざまな情報を共有でき、行政業務などの効率化が期待される。ＮＴＴデータがシステム構築を担当。２０１０年の１２月に契約を締結後、システム構築に約４年半をかけた。同事業は政府開発援助（ＯＤＡ）の一部で、地理情報のネットワークシステムを構築するもの。これまで、各省庁機関が独自に産業・研究分野の地図情報を作成していたため、作業工程で重複したり、情報収集の煩雑さなどが課題とされていた。システムを導入することで、省庁や自治体、教育機関などが国土データを一元化し、開発計画や、災害管理を把握するための情報が迅速に入手できるようになる。国土地理院によると、現在２３の省庁や１８の州などでシステム導入を開始、維持・管理を進めている。今後は５７の省庁、３４州、５００の県や市、３４教育機関まで導入を広げていきたい考えだ。現時点の導入省庁は、海洋水産省や農業省、環境林業省、公共事業・国民住宅省、エネルギー鉱物資源省など。ジャカルタ特別州も導入する。導入した国家開発計画省では、「地域開発計画の策定上、必要な情報の統一化が図られ、効率化が図られている」（同省幹部）と評価。人口分布図や豊富な資源の場所、排他的経済水域なども共有データで把握できる。今後、ほかの省庁間と連携が増えることで、さらに多くの情報が共有されていく予定。インターネットを通じて民間人も利用でき、病院や警察の立地など政府機関公認の情報を入手できるようになる。ＮＴＴデータは１１年に現地法人を設立後、初めて政府と大規模な案件を手がけた。本社の公共システム事業本部の加藤浩治部長は「インドネシアのさらなる成長につながると信じている」とシステム完成を祝った。（じゃかるた新聞より）------------------------------スケール大きな統合型GISのイメージか。情報を一元化して共有することが業務を効率化することは間違いなく、それは行政においても例外ではない。その一方で、導入されたGISを最大限に活かすためには、時として組織のそのもののあり方も変えていかなければならないケースもあり、その場合GISが行政改革のトリガーとしての役割を果たすことになるだろう。それにしても「今後は５７の省庁、３４州、５００の県や市、３４教育機関まで導入」というスケールはなかなか凄い。大掛かりなシステムだけに、セキュリティやバックアップといった問題もデリケートだ。ただ、NTTデータ現地法人を設立して11年ノウハウを重ねており、インドネシアの様々な事情をビジネスを通じて理解していることは大きいだろう。ところで記事中に「国土地理院」とあるのは文脈からインドネシアの国土地理院という意味だと受け取れるが、BIGはインドネシア地理空間情報庁（旧インドネシア測量地図庁）とするのが一般的だと思っていた。それでも調べるとインドネシア国土地理院という表現もあるようで、この記事を見ると日本の国土地理院がODAでインドネシアのシステムを整備したのかと勘違いしそうでちょっと紛らわしいかも。

  2015.05.22

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  スマホで水田管理:農業にＩＣＴ活用　新潟市

  新潟市とＮＴＴドコモ（東京都千代田区）、農業ベンチャー２社は１４日、稲作農業にＩＣＴ（情報通信技術）を活用する実証実験を開始し、協定を結んだ。一般に水田は分散していることが多く、特に水の管理は現地までの移動時間を含め労働時間の２５％を占めるといわれている。ＩＣＴの活用により、現地に行かなくてもスマートフォンで水温を確認したり、生育記録などのデータを翌年以降の生産に生かしたりできるようになり、負担軽減や生産性の向上が期待される。ほかに協定を結んだのはベジタリア（同渋谷区）とウォーターセル（新潟市中央区）。実証実験では、ベ社が開発したセンサーを水田に設置し、水位や水温、日射量などを計測。データはドコモのネットワークを活用してクラウドサーバーに蓄積される。農家はスマホやタブレット端末などの専用アプリを通じてチェックできるほか、天気予報や病害虫注意報などの配信も受けられる。また農家は端末から、農業日誌に当たるアプリ「アグリノート」（ウ社開発）に生育や肥料の投入量などを記録し、検索サイトの地図や航空写真を登録しておけば、水田ごとに管理状況が一目で分かるようになる。記録は、収穫量や品質と合わせて検証することで、翌年以降の生産性向上にも役立つ。これまで勘や経験に頼りがちだった米作りに、数値化や視覚化を持ち込むことで経営の安定も期待できるという。今回の実証実験の対象は、市内で稲作農業を行う１３団体と個人の農家９軒。総面積約４６０ヘクタールの水田に約３００個のセンサーを設置する。来年３月までの予定で、予算総額は約４０００万円。ほぼ全額をドコモが負担する。ベ社は来春をめどに全国向けのシステムの展開を目指すという。会見したドコモの加藤薫社長は「ＩＣＴを活用した農業は日本ではまだ普及しておらず限定的だ。効率化で国際競争力強化の余地がある」と話した。篠田昭市長は「農業特区となった新潟市に着目してもらい、発信力の高いところで始まったと思う。大規模農業の変革拠点となれば」と期待感を示した。（毎日新聞より）------------------------------ここのところICTの農業への応用が加速している。位置情報を利用したロボットトラクターや、各種センサーによる農作業支援は技術的には決して珍しいものではなくなっている。また機器の小型化・低廉化への取組も行われるようになり、大規模な農場でなくてもロボットが活躍できる余地が生まれてきつつある。記事で紹介されているのはセンサーやクラウドを利用したスマホによる水田管理。水田は分散していることやそのための移動時間の負荷を軽減する発想をベースにしているが、作業記録を数値化・視覚化することで収穫量や品質との関係の解析、記録することで生産の安定も視野に入れるなど付加価値も大きい。実証実験は比較的大規模な農地が多い新潟市が対象になっているが、パッケージシステムとして確立されれば中山間部での需要も高そう。今後農業分野でへのICT利用はますます広がるはずだが、導入・維持コストとの兼合いも大きいだけにパッケージ化はマストだろう。その意味でも実証実験の成果に期待したいが。

  2015.05.18

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  観光庁、ビッグデータを活用した訪日外国人旅行者の行動・ニーズ調査を開始

  観光庁は5月1日、訪日外国人旅行者数2,000万人の達成に向け、ビッグデータを活用した訪日外国人観光客の行動・ニーズ調査を開始すると発表した。同調査では、訪日外国人旅行者のTwitterやWeiboなどのSNSにおける投稿(英語、中国語、韓国語)から、興味・関心や満足度、今後改善すべき受入体制などについて情報を抽出。対象地域は、韓国、中国、台湾、香港、アメリカで、10万人/月を目標数としてデータを分析するという。また、GPS地図アプリ「NAVITIME for Japan Travel」を使って、訪日外国人旅行者の位置情報を5月中旬(予定)以降に収集し、日本全体のマクロな動態や、大都市・地方におけるミクロな動態などについて調査する。調査分析結果は、地方公共団体や観光関係者に公表される予定だ。（マイナビニュースより）------------------------------こうした動態調査は以前であればアンケート等に依存することが多かったが、ビッグデータ利用はより合理的かつ拡張性の高い調査が期待できる。その一方で、SNSビッグデータであありがちなノイズをどういう形でフィルタリングするかは一つの課題だろう。場所の情報についてはテキストと位置情報を整合させることで検証できるが、「Oh My God！」「Fantastic」といった感嘆詞は位置情報と整合しても実は関係ない文脈からつぶやいていることも普通にある（併せて投稿された画像などは参考になるはずだがさすがに自動認識は難しいか）。実際の有効投稿がどの程度になるのかは解析してみないことには分からないだろう。GPS地図アプリによる調査は訪日旅行者の動きをみる上でかなり有効だと思う。交通手段やルートの選択はスピードやサービス、料金との兼合い等に対する解釈の参考になるだろう。後はGPSから得られた動きとSNSから得られたニーズ、満足度、改善点等をどう関連付けるか。各地の地域創成の動きにフィードバックできるところまで持っていければひとまず評価できるのではないか。

  2015.05.02

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  「全国農地ナビ」稼働　ネットで農地情報提供

  全国農業会議所が運営する「全国農地ナビ」が4月1日より稼働した。 インターネットを通じて、市町村農業委員会の保有する全国各地の農地情報を地図上で視覚的に閲覧できる。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットでの閲覧も可能で、誰でも無料で利用できる。 閲覧にあたっては、地域を選ぶ「地図検索」や「所有者が貸したい農地」といった「条件検索」も可能。地図上で情報を知りたい農地のピンをクリックすると、所在・地番・地目のほか、貸借権などの種類・存続期間、遊休農地かどうかなどの情報が表示される。 新しく農業を始めたい人や農地の規模拡大を考える人に活用され、農地の有効利用の促進が期待される。【全国農地ナビのHP】　（全国農業新聞より）------------------------------全国の農地情報を検索閲覧できるWebGIS。都道府県ごとに地図から探せるほか、条件ごとの検索も可能。地図はyahoo地図がベースになっており、任意の項目で色分けやラベル表示ができる。また地図上で農地を選択するとその農地の基本的事項の帳票を見ることができる。条件検索では所在・地番、地目や面積の他、「よく使われる検索条件」として、例えば『1年以上作付されていない農地で所有者が貸したい農地』といった検索もできる。使い勝手のいい仕組みになっているが、利用を促進するにはユーザーへの周知が必要だろう。新しく農業を始めたい人や農地の規模拡大を考える人がどれくらいいるのかは分からないが、農業の法人化が進んでいることを考えれば、そうした法人による利用が多くなっていくのかも知れない。またスマートフォンやタブレットでの閲覧も可能とのことなのでGPS対応もしているのだろうか。そうであれば現地を実際に見ながらの利用できるのは便利だと思う。有効に使われて欲しいシステム。

  2015.04.12

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  全国自治体の観光情報を提供するオープンデータサイトが稼働

  総務省は3月25日、自治体が持つ行政データを公開API（アプリケーションプログラミングインタフェース）を通してオープンデータとして民間に提供する「公共クラウドシステム」を稼働させた。第1弾として自治体の観光情報の提供を開始した。公共クラウドは、政府の「骨太の方針」に基づいて2013年度から開発を進めてきたもの。総務省が「公共クラウドプラットフォーム」を構築し、各自治体が保有する行政データを入力する。民間事業者や住民がデータを活用して新しい行政サービスをつくり出すのを促すことで、住民サービスの向上、民間企業の事業創出、行政事務の効率化などに生かす狙いがある。公共クラウドでは、情報の一括ダウンロードに加えて、APIとしてHTTPの「GET」コマンドを利用して、観光情報名・所在地・地理座標などをパラメータに指定して、JSON・XML・CSV形式でデータを取得できる。取得したデータは編集・加工による二次利用が可能である。データの利用は無料で、数値データや簡単な表・グラフは著作権の対象ではないためクリエイティブコモンズ（CC）ライセンスの表示も不要だが、総務省は「できれば、出所の表示をお願いします」としている。今回提供する観光情報は、名称や場所情報（地理座標、住所など）、画像のほかに、駐車場、トイレ、料金、入場期間、宿泊、防災、外国語、無料無線LANなどの情報を含む。公開時点での登録済み観光情報は1万1000件を超えている。総務省は今後、提供する情報を公共施設（美術館、コンサートホールなど）、地域産品、企業誘致（産業用地、ビジネス環境など）などにも拡大していく計画である。（nikkei BP netより）------------------------------総務省による全国自治体の観光情報をオープンデータとして提供するシステム「公共クラウド」の運用開始のニュース。現在のところ観光情報のみの公開だが、将来的にはジャンルも拡大されるとのこと。CSVの一括ダウンロードとAPIによる取得がある。提供は基本的にCC-BYライセンスによるが、数値データや簡単な表・グラフは著作権の対象ではないことでライセンス表示は不要ながら、「出所表示希望」となっている。また、画像も提供されているが、写真は肖像権・パブリシティ権について別途許諾が必要（肖像権はオーブンデータの範疇に含まれない）。総務省による自治体オープンデータポータルが稼働したことは、今後さらに自治体のオープンデータの動きを加速させる原動力になりそう。今後観光以外でどんなデータが出てくるのかが一つの試金石になりそう。一方でオープンデータの利用が増える中で、上述の写真の肖像権・パブリシティ権が問題になるケースは増えそう。肖像権についての周知も今後は必要になってくるのではないか。

  2015.04.05

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• 沖縄県で「新産業創出に」行政が使う電子地図販売

  沖縄県と地理情報システム（ＧＩＳ）の高度利用に取り組む沖縄地理情報システム協議会は３月から県や市町村、関連機関で使っている電子地図「沖縄県数値地形図」を一般向けに実費で販売している。協議会は特定非営利法人で県民生活の利便性向上のためＧＩＳの基盤構築や流通促進、普及啓発活動などを進めている。同地図は県の事業として２００９～１１年に協議会参加の企業が作成。２５００分の１と５０００分の１の縮尺で、航空測量をもとにした道路や建物、河川、海岸線など基本データが示されている。現在、行政では災害マップや工事図面などの基盤地図として使用。一般の利用者が必要なデータを載せることで、それぞれの利用法で活用できるのが特徴。単価は地図の範囲が１市町村で９４０円。範囲が広がるごとに段階的に割り増しされ、４１市町村全部購入しても１５９０円。他の電子地図より安価なことから、小渡玠理事長は「新たな産業の創出につながってほしい」と話した。問い合わせは同協議会、電話０９８（８６３）７５２８。（沖縄タイムスより）------------------------------市町村の地形図は紙媒体では役場等で販売していることが多いが、データとなるとなかなかない。電子地図ではいわゆるオープンデータの流れで公開する自治体が増えては来ているが、県単位でとなるとそれほど多くないだろう。東京都の場合は「共有著作権者」である株式会社ミッドマップ東京が販売している。これは整備更新コストを抑えるために東京都が民間会社に共有著作権を認めたことによるものでちょっと特殊なケース。「著作権を半分持っていいから地図更新作業を安く受けてね」というイメージ。沖縄県のように協議会が販売する形式は珍しいのではないか。販売は市町村単位で、DM、DXF、Shape、3種の形式。2500レベルの測量図なので精度は高いが、後はどう使うのかというところ。なお、公共測量成果なので複製・使用には承認申請が必要。

  2015.03.16

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  145MWの洋上風力発電所、秋田港と能代港で建設計画が決まる

  洋上風力発電事業は秋田港と能代港の港湾区域内を対象に実施する。丸紅が秋田県に提案した計画では、発電能力が5MW（メガワット）の大型風車を採用して、秋田港に13基、能代港に16基を設置する。合計29基で発電能力は145MWになる。現在までに明らかになっている洋上風力プロジェクトでは、新潟県の村上市で計画中の220MWが最大だ。秋田港と能代港を合わせると日本で2番目に大きい洋上風力発電所になる。洋上風力の設備利用率（発電能力に対する実際の発電量）は30％が標準値で、それをもとに計算すると年間の発電量は3億8000万kWhに達する。一般家庭の使用量に換算して10万世帯を超える。秋田県の日本海沿岸は風況に恵まれていて、陸上には100基以上の風車が稼働中だ。風力発電は年間の平均風速が5メートル/秒以上になる場所が適している。県の協議会がNEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）の風況マップで試算したところ、風車を設置する上空75メートルで秋田港は6.5メートル以上、能代港では7.0メートル以上の平均風速になった。一般に年間の平均風速が6.5～7.0メートル/秒の状態で設備利用率は30％になる。秋田港・能代港ともに条件が合致する。ただし洋上に風力発電所を建設するためには地域の漁業関係者と調整する必要がある。2港の港湾区域の中で共同漁業権が設定されていない水域を対象にすることが公募の条件に入っている。丸紅は3月中に発電事業の実施に関する覚書を秋田県と締結して、4月から事前調査の準備に着手する。合わせて発電事業を運営する特定目的会社を設立する方針で、大林組とエコ・パワー、地元の秋田銀行と北都銀行が出資を予定している。10MW以上の風力発電に必要な環境影響評価の手続きを完了してから工事に入る。運転開始は2021～22年になる見通しだ。（ITmediaより）------------------------------風力発電の立地には年間の平均風速が5メートル/秒以上になる場所が好ましいとこのとで、秋田港と能代港のNEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）による風況マップが紹介されている。風車を設置する上空75メートルで秋田港は6.5メートル以上、能代港では7.0メートル以上の平均風速とのことで条件はよさそうだが、洋上への設置となると地域の漁業関係者と調整する必要があり、港湾区域の中で共同漁業権が設定されていない水域を対象とすることが条件。こうした条件を満たす場所が秋田に関わらず国内にどれくらいあるのだろうと思ってNEDOのHPをチェックすると風況マップ表示システムというのがある。全国の風況を見ることができるのだが、見るとなるほど、北東北と北海道が高いことが分かる。太陽光発電や風力発電などの立地を考えるのはすごくGISチックな行為なのかもしれない。国際航業が太陽光発電に関わっているのもそのあたりがあってのことだろう。

  2015.02.09

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  東大・NICT・日立、「G空間情報」プラットフォーム開発に着手

  東京大学は、情報通信研究機構（NICT）、日立製作所とともに、位置情報とそれにひもづけられた統計値や地区名などの属性データからなる「G空間情報」の流通や利活用に向けたプラットフォーム開発に着手すると発表した。「G空間情報」の「G」は「Geospatial（地理空間）」を指し、位置情報（たとえば緯度経度のように、空間上の特定の地点、または区域の位置を示す情報）と、それにひもづけられた統計値や地区名などの属性データからなる情報を指す。東京大学、情報通信研究機構（NICT）、日立製作所は24日、総務省「G空間プラットフォームの開発・実証」事業を受託し、G空間情報を円滑に活用するためのプラットフォームの研究開発を共同で行うと発表した。この事業で構築するG空間プラットフォームとは、特性・分野別に集約されたG空間情報について、利用者が統合的にワンストップで検索・閲覧し、円滑な情報入手を可能とするシステムを指す。今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、2016年度から運用を開始する予定。このプラットフォームによって、特性の異なるさまざまなG空間情報を、利用者が統合的に検索・閲覧し、Webマップなどを用いて円滑に入手することが可能になる。また、約50種類にわたるG空間情報をWeb地図や検索画面を用いながらインタラクティブに扱うことができる。今後は、経済活性化や防災・減災に関わる4つのテーマ（観光・農林業・集中豪雨対策・津波対策）について、G空間情報利活用の実証実験も行う。また、運用開始に向け、約50種類の基盤的・静的・動的なG空間情報を収集。これらのG空間情報は、プラットフォーム上で、Web地図や検索画面を用いながらインタラクティブに扱うことが可能になる。（MarkeZineより）------------------------------以前からことあるごとに構想は語られていたが本格的に発注されたのか。豪華コラボだけに期待は大きいのだが、正直最終的に行き着く場所（最終的に何を実現したいのか）が見えない。というのもプラットフォームはあくまでもプラットフォーム。そこに何を載せてどう共有するのか、また共有することの先に何があるのか、多くの人に見えていないように思う。「特性・分野別に集約されたG空間情報について、利用者が統合的にワンストップで検索・閲覧し、円滑な情報入手を可能とするシステム」で何が生まれるのか、この研究を通じて具体像を示すことができるのだろうか。今でもプラットフォームとなり得るベースの仕組みは色々あるわけで、あえてこのプラットフォームを立ち上げる意味を伝えてほしいところ。

  2014.12.26

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  首都高技術など、3次元点群データを活用した道路・構造物の管理システム

  首都高技術、エリジオン、朝日航洋の3社は11月20日、道路・構造物の維持管理の支援を目的としたシステム開発を共同で実施することに合意し、地理情報と3次元点群データを活用したシステム「InfraDoctor」を開発したと発表した。同システムは朝日航洋が提供するGIS(地理情報システム)とMMS(移動計測車両による測量システム)で計測した3次元点群データや全方位動画などを連携させ、道路・構造物の状況を画面上で確認したり、点群データから必要な図面を自動作成したりすることで、道路・構造物の維持管理業務をトータルでサポートするシステム。「InfraDoctor」は三つの基本機能を備えている。まず一つ目は「GISプラットフォーム機能」。MMSで取得される3次元コンテンツと道路維持管理業務に欠かせない橋梁などの図面、点検記録データを、位置情報をベースに統合管理し、各種データの総合窓口として点検業務の効率化を図ることができる。2つ目は「点検結果台帳機能」。これは、日々実施される道路・構造物の点検・補修の最新情報を簡単に検索し入手できる機能。橋脚番号や距離標をキーに関連する構造物の情報を一括で検索できるほか、劣化に起因する事故が発生した場合などにおいて同種構造物の検索を可能とし、緊急点検業務のリードタイム短縮を実現する。3つ目は計測した道路・構造物の3次元点群データを活用し、各工程を効率化する「3次元点群データ活用機能」。例えば、オフィスにいながらにして3次元での位置関係を含めた任意の寸法を計測することや、GISから取得した現場の地理情報、レーザースキャナーで計測した点群データにより作成された空間、重機のCADデータを画面上で融合し、軽快に表示しながら重機と構造物の干渉をシミュレーションが可能となる。加えて、3次元点群データを活用し、建築磁器が古く図面が残されていない道路や構造物のCADデータ化を支援する機能、取り込んだ地理情報と点群データを活用し規制図を素早く簡単に作成する機能も備えている。なお、「InfraDoctor」のベータ版が11月20日より東京都内で2日間開催される「ハイウェイテクノフェア2014」で参考出展してされる。（マイナビニュースより）------------------------------各種インフラの維持管理はGISのもっとも力を発揮できるステージ。記事のシステムは現時点でのその集大成的なシステムともいえるかもしれない。「GISプラットフォーム機能」はまさにGISのGISたる所以。情報を位置情報をキーにして整理することでデータベースに命を与える役割になる。「点検結果台帳機能」はデータベースとしての台帳と管理するインフラを結びつける重要な要素でもある。システムが使いやすいか否かは事実上ここで決まるといっていい。そしてもっとも応用的であり、このシステムの特長ともいえるのが「3次元点群データ活用機能」になる。3次元点群データによるインフラの点検・管理はセンサーのポテンシャルばかりでなく、処理する技術が伴って初めて生きるもの。GISには従来3次元化のポテンシャルはあったものの、（データのつくりも関係するが）これまでなかなかそのよさを生かせずにいた。ここが進化したことで解析・シミュレーション・可視化のすべてのステージで高品質化と効率化を促すことになる。高度成長期を中心に一気に整備された日本のインフラはほぼ同時に老朽化の波にさらされており、その安全性を担保するためには維持管理が大きなカギを握る。維持管理はつくることに比べると労力やコストが外にはなかなか見えにくい部分でもある。こうした維持管理の仕組みの緻密さや、それを可能にしている技術の高さはもう少し一般にアピールしてもいいのではないかとも思う。

  2014.11.21

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  「地図が語る戦没者の足跡」に奨励賞　Geoフェスタ

  独創的なアイデアや画期的な技術などを使った地理情報の作品を競う「Ｇｅｏアクティビティフェスタ２０１４」（主催・国土交通省など）で１５日、沖縄タイムス社とＧＩＳ沖縄研究室（八重瀬町、渡邊康志主宰）が共同制作した「地図が語る戦没者の足跡」が奨励賞を受賞した。報道機関の受賞は初めて。同作品は、沖縄戦の戦没地に落とし込んだ地図から戦没者の足跡をたどったもので、旧具志頭村の戦争体験者の証言や写真、動画などを組み合わせ、インターネット上で沖縄戦の実相を視覚的に表現した。一般公募から最終選考に残った２０作品の制作者が１３日から１５日まで、東京の日本科学未来館でプレゼンテーションや作品展示を行い、競った。　最優秀賞は、「首都大学東京倉田研究室＋東京大学原研究室」の「地図上での直感的な街歩きプランの作成を可能とする対話的ツールＣＴ―Ｐｌａｎｎｅｒ」が受賞。優秀賞には読谷村在住の小川智史さん（まちクエスト取締役）が作った「みんなでつくる案内板データベースＭｏｎｕｍｅｎｔｏ」、近畿大学うごスタチームの「フィットネスバイクによる仮想スタンプラリーシステム『うごスタ』」が輝いた。（沖縄タイムスより）------------------------------Geoアクティビティフェスタで奨励賞を受賞した沖縄タイムスの記事。確かに報道機関の受賞は初めてだ（たぶん応募も初めてなのでは？）。「地図が語る戦没者の足跡」は集落ごとの聞きとりで戦没者がいつどこで亡くなったのかを調査し、地図にプロットしたもの。GISを利用して時系列で死亡場所の推移が視覚化されており、非常に優れた、しかも意義のある取組。特に具志頭村の例は、ほとんどの村民が逃げる暇もなく村内で一気に犠牲になった凄惨な状況に衝撃を受ける。昨日受賞後に話を伺ったのだが、渡邊氏は2001年にはもうこうした取組を始めていたそうで、しかしなかなか死亡者のデータが公開されず、取組が進まなかったことを痛恨であるとしている。それから15年近くが流れ、その間に貴重な証言を残すことなく亡くなった方も大勢いる。きちんと調べるためには「時間がない」という。このように戦死者のデータを動的に視覚化することで沖縄戦がより深く見えてくることになる。奨励賞をきっかけに、データが出てくるようになって欲しいものだが。

  2014.11.17

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• ［鳥獣害と闘う］　生態知り獣害に先手　予防視点で全国初　東北農政局マニュアル

  東北農政局は、東北地域での鳥獣害を未然に食い止めようと「予防的鳥獣被害対策マニュアル」を全国で初めて作成した。東北６県の鳥獣被害の現状を踏まえ、野生動物の生態や他地域での被害対策を紹介。野生動物と関わりがなかった地域の行政担当者や農業者に、野生動物の基礎知識をつけてもらい、早期対策の実践につなげる。マニュアルは、野生動物の生息域の変化を地図で示した上で、被害拡大の恐れが強いイノシシと鹿の生態、見た目の特徴、足跡やふんなど痕跡の見つけ方を紹介。農業関係の市町村担当者や農業者が生態を理解し、被害に遭う前に先手を打てるよう工夫した。全国の対策も記した。東北６県の２０１２年度の鳥獣被害額は約２２億円。１１年度に比べ７億円以上増えた。秋田県で生息が確認されなかったイノシシや鹿の目撃情報も寄せられるようになった。被害のない地域でも対策をしなければ鳥獣害が発生する恐れがあることから、マニュアルを作成した。農政局のホームページから入手できる。（日本農業新聞より）------------------------------こうした自然を相手にしたケースでマニュアルがどこまで有効なのかは未知数。むしろ野生動物の生息域や鳥獣害の発生地を地図上で解析することが重要だとおもうけど、そのあたりはマニュアルに含まれているのだろうか。目撃情報などを地道に集めるようなことができていればいいが、それはそれで負荷が大きい。まだ試行錯誤がありそうな予感がしなくもないが

  2014.11.04

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  災害時に求められる「状況認識の統一」

  危機管理とBCPの専門誌であるリスク対策.comに興味深い記事がアップされているので引用したい。+-+-+-+-+-+-+-+27日に噴火した長野と岐阜の県境にある御嶽山は、現在も噴火が続いている。安否確認がとれない方々の一刻も早い救助が求められる一方で、今後、噴火活動が更に活発化すれば、各地の降灰被害などについて、地元自治体、県、国、関係機関らが協力・連携して対応にあたることが求められる。その際、重要になるのが情報共有である。大気汚染や人的被害がどのような傾向で広がっているのか、どのような農作物にどのくらいの影響が出ているのか、ライフラインや河川など自然環境への影響の広がりはどうなっているのか…、こうした情報が適時、災害対応にあたる主体間で共有されなくては、効率的な災害対応は進められない。また、現状でどのくらい対応が進んでいるのか、対応状況の変化も重要な共有すべき情報になる。テレビやラジオの放送からは、市町村ごとの被害状況が断片的に入ってくるため、発災当初からの全体の被害状況・対応状況の推移が把握しにくい。特に、日常的に、地元消防や警察、自治体、国が連携するようなことはほとんどないし、現地自治体ごと災害対策本部が立ち上がっているため、情報共有は、多機関が連携する上で最重要の課題になる。その際、役に立つのがCOP（状況認識の統一：Common Operational Picture）と呼ばれるものだ。被害状況の変化や、対応状況の変化を、色分けして「見える化」することで、誰でも簡単に作成することができる。欧米の災害対応や、東日本大震災でもCOPは活用されている。3.11で、岩手県沿岸部のCOPの作成にあたった京都大学防災研究所の牧紀男教授の資料を参考に、簡単なイメージを作成してみた。まず、縦軸に「〇県〇市」といった具合に、自治体名を書く。横軸には、被害の状況を把握したい項目を書く。例えば、降灰量、大気汚染、健康被害、ライフライン、農林業…。ポイントは、今後発生しそうな被害についても網羅的に整理しておくことだ。それにより、被害を見落とし、対応が後手に回ることを防げる。その上で、市町村ごと、項目ごとに、被害状況を色分けで示していく。例えば、被害が確認できない状況なら「黒」、かなりの被害がでているなら「赤」、中ぐらいの被害なら「黄」、少しだけ被害がでている状況なら「緑」、被害がないなら「白」。経過時間ごと、この図を作っていけば、現状、どのような傾向で被害が拡大しているか、あるいは収束に向かっているかが、ひと目で把握できるため、連携する上での目的・目標の設定や、戦略に関する合意形成が容易になることが期待される。もちろん、必ずしも紙上に示す必要はない。GIS（地理情報システム）などを活用して、地図上に被害項目ごとレイヤー分けすればさらに使い勝手はよくなるかもしれない。災害対応においては後手に回らないことが大切だ。COPもそのための1つのツールである。+-+-+-+-+-+-+-+現場において刻々と変化する状況。大きな災害であれば現場が混乱することは当然であり、情報の入り方もバラバラだろうし、中にはノイズを含むような情報もあるかも知れない。それだけに情報の整理の仕方が重要になることは牧紀男教授のの指摘の通りだと思う。情報を視覚化することで状況認識の統一が促され、対応が後手に回らずにすむ。それは特に救難活動においては大きな意味を持つ。COPを支援するためにツールを上手に使って視覚化することも重要で、地図やGISもその手段の一つである。ただし、ツールがあれば何でもできるというものではない。適切に使って初めて生きることになる。最高級のツールがあったとしても、使い手がそのポテンシャルを発揮できなければただのハコ。そこは勘違いしないようにしたい。いざという時に有効に使うには、平時から使っていることはもちろん、いざとう時にどのように使ってどのような情報の整理をするかというイメージを養っておくことが重要になるだろう。難しい機能を使いこなすことができればそれはそれでいいが、それ以上に大事なのは「何のためにどう使うか」ということに主眼を置いて整理方法をイメージしておくことだろう。情報をどのように分類するか、あるいはGISであればどのようにレイヤを切るか等試してみることは色々ある。どんな災害であれ、当初はなかなか情報が入って来ない。情報が入らなければ何も手が打てないかといえば必ずしもそうではない。例えば、当初は事前の想定やシミュレーションの値を入力しておき、それに従って対策（の準備）をすることは可能だ。その上で実際に現場から情報が入ってきたら値を置き換えて具体的な対策に入ればいい。仮の値を入れて準備を進めておくだけでも対応はスムーズになるはずだ。入ってくる情報の精度も徐々に上がってくるだろう。その都度値を置き換えていくことで対応も精度を上げていけばいい。ツールはあるから使うのでなく、使うためにあると考えたい。

  2014.10.10

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• ソフトバンクテクノロジー---地理情報連携ソリューションの提供開始、ビジネスの見える化と意思決定を加速

  ソフトバンクテクノロジーは14日、顧客情報や地域別売り上げなど複数のデータを組み合わせて簡単に地図上に示せるソフトを発売すると発表すると、日本経済新聞社が報じている。報道によると、地域別の特徴をつかみ、効率的な営業を支援するツールとして、小売企業や不動産会社などに売り込むと伝えている。また、地図情報を提供するスウェーデンのイデビオAB社と国内初となる代理店契約を結んだ。価格は税別130万円から。企業内外のデータと地理情報を連携させるソリューション「IdevioMaps for QlikView」は、専門的な技術スキルを持たないユーザでも、直感的に理解できる分析レポートを作成できるのが特徴。例えば、地図上に顧客の住所や自社拠点などの位置情報をマッピングし、そこに地域別売上情報や対応履歴データを重ねて表示させることで営業活動を見える化し、その結果を営業戦略に活かすことができる。また、性別・年齢別割人口、天候データなどのオープンデータと連携させて分析し、これまで見えなかったデータの関連性を見つけ出すことで、新しいビジネス価値の創出につなげることができる。（マイナビニュースより）------------------------------ソフトバンクテクノロジーがGISビジネスに本格進出という記事。ターゲットはいわゆるマーケティング分野になりそうで、「専門的な技術スキルを持たないユーザでも、直感的に理解できる分析レポートを作成できる」のが売りのようだ。ただ、地図情報を提供するスウェーデンのイデビオAB社というあたりはよく分からない。このサービスは日本が対象というわけではないのか？もしくは地図情報を提供するのではなく、アプリケーションの提供なのか。価格の130万円から、というのは他のサービスとの競争を考えれば、新規参入としては微妙かも知れない。この価格に見合ったソリューションを提供できるのかどうかがカギになりそう。

  2014.08.17

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• 全国初の支援システム開発　森林の境界線を明確に

  富山県の森林研究所が森林の土地の境界線を明確化するシステムを開発し、７日初めて実際に運用されました。この森林境界明確化支援システムは森林のどこまでが誰の土地かの境界線の目安となる情報を提供するものです。システムでは過去の年代ごとの空中写真や森林組合の所有する地図などを照らし合わせて土地所有の境界線を推定します。森林研究所によるといくつものデータを体系的に活用したシステムの開発は全国で初めてだということです。「境界の不明確化は全国で問題となっていることで、このシステムはほかのところでも使える」（県森林研究所副主幹研究員・小林裕之さん）７日は、ＧＰＳ機能を使って境界線が推定された地点へ行き、土地の所有者立会いの下、データーをみながら境界線を確認しました。森林の土地の境界線を明確にすることで、境界線付近の間伐や、作業道路の建設が可能になり、林業の効率化が期待できます。今回このシステムを採用した新川森林組合では今後２、３年かけて管轄する森林の境界線の明確化を目指すということです。（チューリップテレビより）------------------------------都市部の再開発で地図混乱地域が問題になるのと同じようなことが森林においてもあるようだ。（地目上の）森林地域の地形や林班（森林区画の単位）を示す地図として5000分1の森林基本図があるが、国有林と民有林で別々で、比較的縮尺が大きい図でありながらも地形の描画が大雑把であったりで現況と一致しないなどの問題は以前から指摘されていた。富山県の森林研究所が開発した森林境界明確化支援システムは、昭和20年代以降に撮影された過去の空中写真のオルソ変換を行い、森林基本図や計画図その他のデータを組み合わせることで境界を判読するもの。過去の写真を使用するのは、森林所有者の違いにより施業履歴や林相も異なることから、撮影年度の異なる時系列写真でそれらの違いを判読できる可能性が高いことによる。各データは森林組合など各機関でフリーソフトのカシミール3DやQuantumGISで閲覧することを想定して変換される。各機関ではこのシステムを利用することで境界の確定やノートPCやハンディGPSを使用してのナビゲーションや現地確認、あるいは説明会でのプレゼンなどが可能になる。本システムの研究レポートがこちらにある。基本的には年代別のオルソ写真とGISで境界を推定するというもの。それなりのスキルは要するように思えるが、森林業従事者であれば判読は容易ということなのだろうか。現地確認ツールは有効だと思うがタブレット等で行えるようであればさらに便利だとは思う（現時点では複数のオルソを表示するにはタブレットは非力とのこと）。実際の使用例をもう少し見たいところだが、面白い試みだとは思う。

  2014.08.09

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• 避難所どこ？即答アプリ…今秋に実用化へ

  旅先や外出先など、どこで災害に遭っても最寄りの避難場所が一目でわかるスマートフォン（スマホ）用アプリの開発を、国土地理院が進めている。各地の避難所の位置を示す地図データを開発者に無償で提供し、広域で使えるアプリを今秋にも配信する計画だ。防災情報を提供する「防災アプリ」は東日本大震災を機に急速に普及。種類も多彩で、専門家は「機能に応じて使い分け、必要な情報を収集してほしい」と呼びかける。京成線千住大橋駅（東京都足立区）前で防災アプリ「足立区防災ナビ」を起動すると、スマホの画面上の地図に近くの避難所の位置が表示された。だが南へ約５分歩き、荒川区に入ると、間もなく地図は消えた。区がアプリの配信を始めたのは昨年９月。区内約１２０か所の避難場所や病院の位置を示し、防災に関する情報を受信できる機能もある。ダウンロード数は既に１万件以上に上っている。ただ区外の避難所は表示できず、受信できる情報も区が発信するものだけと使い勝手が悪い面もあり、機能を向上させるにも、予算が足りないのが実情という。他の自治体が配信する同様のアプリも、管轄エリア外で使えない弱点は、おおむね共通している。国土地理院が内閣府などと進めているのは、全国地図を基盤にした、どこにいても使えるアプリだ。４月施行の改正災害対策基本法では、災害時に住民が一時避難する「緊急避難場所」と、生活の場とする「避難所」を区別して、市区町村があらかじめ指定することが義務づけられた。同院が現在、構築を進める「防災地図共用データベース」（仮称）にはそうした場所の情報が集められ、インターネット上の地図に記号で図示。津波からの避難の際に参考となる各地の標高も表示する。同院はこのデータベースをアプリの開発・運営者に無償提供し、新たなアプリ作りに役立ててもらう考えだ。データベースには、土砂災害の警戒区域などを示した各自治体のハザードマップを取り込むことも検討しており、同院は「利便性にすぐれたアプリにしたい」と話す。（読売新聞より）------------------------------避難所が自治体ごとに定められているのも災対法の問題のひとつ。本来隣の町の避難所の方が近ければそちらへ避難すべきだし、水害などは水系の単位で定めた方がむしろ合理的なように思える。シームレスにするのは好ましいこと、というよりそうでなければ意味がないとも思う。機能は最低限であってもエリア外といってデータが消えるのは災害時には使えない。そういう意味でも「防災地図共用データベース」への期待は大きい。大事なのは情報のベースになるプラットフォーム。そこがしっかりしていれば後は何とでもなるだろう（災害時を考えれば地図がオフラインでも使えれば尚いい）。防災アプリは普及面で考えればまだこれからの分野。試行錯誤しながらでも進化を続けて欲しい。それにしても「機能に応じて使い分け、必要な情報を収集してほしい」と呼びかけている『専門家』って誰だ？何の専門家なのだろう。

  2014.08.02

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• 石巻市が「被災者自立支援システム」を構築、秋の運用開始を目指す

  宮城県石巻市が「被災者自立支援システム」を構築し、秋からの運用を計画している。構築を支援する地元IT企業のメディアテックと国際航業、日本IBMが7月22日に共同発表した。被災者自立支援システムは、東日本大震災の被災者に関する住所や公営住宅の申し込み先情報など、市の各部署が保有している基本情報と、被災者を支援している保健福祉の専門職などが持つ健康情報などを一元管理するもの。総務省の被災地域情報化推進事業の一環としてメディアテックが石巻市から受託した。メディアテックは全体のプロジェクトマネジメント、国際航業は豊富な行政業務支援の実績を活用した地理情報システムの構築、日本IBMは統合データベースの構築およびビジネスインテリジェンスを担当する。被災地では現在、被災者向けの公営住宅の事前申し込みや移転先を定める作業が行われている。移住後の被災者の生活を健全なものにしていく条件に、地域のコミュニティ作りや健康維持施策の充実が挙げられる一方、被災地自治体では基礎的な住民情報も一部不正確なまま、平常時の行政運営や各種の復興事業が取り組まれている状況だという。被災者自立支援システムは、市民協働・住民台帳部局が管理する現住所や、被災時住所などの情報、防災部局が持つ罹災証明や避難行動要支援者の情報、医療・福祉部局の健康指導・ケア情報、復興まちづくり部局の入居希望情報などの基本情報と、住居表示台帳・地番図・家屋図、都市基盤復興状況縦覧図などの地図情報を一元的に管理する。これにより、各被災者が希望する防災集団移転用宅地や、これまで住んでいた地域のコミュニティ、健康指導・ケアを担当した専門多職種の担当者、支援したボランティア、当該被災者とつながりがある者・グループなどを把握していき、きめ細かい住民ケアが可能になる。また、同システムで集約した情報を基にして、仮設住宅の空き状況の把握、支援が必要な人の把握、地域ごとの健康状態の傾向などを分析できるようになる。こうしたビッグデータを活用したまちづくり作り支援は全国的にも珍しく、今後被災地以外でも高齢者の支援に応用できると期待されている。（ライブドアニュースより）------------------------------役所業務はどうしても対応が縦割りになりがち。これはそもそも業務領域が多岐にわたる上、各業務の専門性が強いにもかかわらず担当職員の異動も多いといったような制度上の問題もある。その影響は被災者支援においては特に顕著。記事にある被災者自立支援システムは、総合的かつきめ細かい被災者対応を支援するもので、限られたリソースを有効に使う意味での切り札的ツールという位置づけになりそう。いわば統合型GISの被災者対応版といったところか。もっとも、システムそのものはあくまでも支援ツール。これですべてが解決できるわけではない。やるべき課題のなかには新たなコミュニティの形成など、ハードルの高いものもある。システムの導入で課題の共有など部署間の連携や被災者対応の迅速化が進むことが期待されるが、そこでカギを握るのはいかに有効な運用ができるかという点だろう。ここは何としてもいい前例になって欲しいところ。

  2014.07.23

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  日立ソリューションズ、地図上で船舶のリアルタイム位置情報を可視化するサービスを提供開始

  日立ソリューションズは、地図上で船舶の動向を可視化する「船舶位置情報サービス」を6月23日から提供すると発表した。本サービスは、世界中で航行する船舶のリアルタイム位置情報を地図上に表示し、位置の検索や航行の軌跡表示により船舶の動向を可視化するサービスで、海事関連業務における経営戦略の策定や船舶運航管理を支援する。さらに本サービスでは、米国の調査会社IHSの海事部門、IHSマリタイムが提供するAIS（船舶自動識別装置）データを使用し、世界中で運航している船舶の位置をリアルタイムで把握、動向を確認する。沿岸域のAISデータに加えて、衛星で受信したAISデータも利用し、位置情報と併せて、諸元（スペック）・オーナー情報・建造情報など船舶に関する詳細情報も確認できる。現在、国際貿易による物流の9割以上を海上輸送が担っており、約10万隻の船舶が運航している。船価や傭船契約料、燃料コストが大きく変動しており、造船会社、海運会社、荷主などの海事関連企業は、安定的な海上輸送を確保する観点から、利用する船舶種別や運航計画、運航管理などの最適化を求めている。船舶位置情報サービスは、船舶から発信されるリアルタイムの位置情報や航行履歴を、地図ベースの画面に分かりやすく可視化するとともに、同時に提供する船速情報や仕向地（送り先）情報との組み合わせにより、船舶運航管理を支援する。地図上で指定した範囲の情報を抽出する空間検索機能により、特定の港湾や海域、海上交通の重要な拠点などを航行する船舶の情報を容易に把握し、海域や航路に着目した造船・傭船の需要予測に役立てることができる。本サービスでは、PC上のWebブラウザからアクセスするだけで利用可能。地図をベースとする操作画面のため、関心のある海域の状況確認や船舶位置の把握が簡単にでき、メニューアイコンから船舶絞り込み表示機能、フリーキーワード／船舶スペック検索機能などの機能に簡単にアクセスできる。また、船舶の航行履歴（過去の航行軌跡）を確認することができ、動向分析や航行予測も支援する。IHSマリタイムの船舶に関する詳細情報や港湾情報を活用して、船舶名などによるキーワード検索機能、船種、サイズなどによるスペック検索機能も提供する。地図上で指定した範囲を通過した船舶を検索する空間検索も可能となっている。（レスポンスより）------------------------------これは壮大なサービス。10万隻の船舶をリアルタイムに捉えるのは凄いこと。しかもAISデータから諸元等も分かるというきめ細かさ。国際貿易による物流の9割以上が海上輸送というあたりにビッグビジネスの可能性あり、ということなのか。確かに運航管理などの需要は世界的に見ても高そう。記事には金額のことが書かれていないのだけど、調べたら1ライセンスあたり年額498万円(税別)。さすがにこの金額だと購入できる企業は限られそうだ。でも一度見てみたい。

  2014.06.07

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• 地理、防災など保有する公共データ公開へ　兵庫県

  兵庫県は２５日、保有する公共データの活用に向け、２０１５年度から「オープンデータ」として公開する方針を示した。庁内にプロジェクトチームを設け、公開するデータの整理などを進める。県議会本会議で前田朋己議員（民主党・県民連合）の一般質問に答えた。オープンデータは、行政が保有するデータをコンピューター処理に適した形で公開すること。企業などがデータを加工・編集することで新規事業の創出なども期待される。地理・空間情報や防災情報、統計データなどが対象となり、都道府県では静岡県と福井県で公開が始まっているという。兵庫県は１４年度、データを扱う部局によるプロジェクトチームをつくり、公開できるデータを選別してカタログにまとめる。大学や企業と連携したソフト開発や、シンポジウムの開催などでデータの利活用も促す。県は「自治体が保有するデータのニーズは高く、企業などが利用しやすい形で公開したい」としている。（神戸新聞NEXTより）------------------------------オープンデータの中でも特に需要が高いといわれる地理空間情報。阪神地区を含む兵庫県が公開するのは大きい。どのようなデータがどのような形で公開されるのかは不明だが、静岡県を例にとれば、公開できるものから順々に、シェープファイルで提供されている。恐らく兵庫県もこれに準ずる形になるのではないだろうか。阪神・淡路大震災を経験しているだけに、防災関連データは特に注目が集まりそう。実際に静岡県でも地質・ボーリングデータはそれなりに使われているのだという。取組としても、プロジェクトチームを組んだり、産学官協力の下でのソフトづくりやシンポジウム開催など、かなり積極的に見える。あとは早い段階でいい事例が出てくると利用に弾みがつきそう。

  2014.02.27

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  位置情報を地図に重ねＨＰで公開　越前市、避難所や路線バスなど

  越前市は、市内施設やバス路線など、市が保有する約９０の位置情報をパソコンやスマートフォンに表示した地図上に重ねて見ることができる、市民向けの地図情報システム（ＧＩＳ）「越前市ぐるぐるマップ」を１０日からホームページ（ＨＰ）で公開する。コメントを書き込んだりすることもでき、市は「防災マップ作成やイベントの案内などさまざまな活用が期待できる」としている。ＧＩＳは地理的な位置を手がかりに、さまざまなデータを総合的に管理・加工したり、地図の作成や分析などを行うシステム。同市は業務の情報共有と効率化を図るため２００７年度から、各課が保有する地図情報を統合したＧＩＳを庁内向けに整備し活用している。住民サービスの向上を目的にこのデータの一部を市民向けに公開することにし、システムを新たに構築した。市内施設、除雪、バス路線、避難所などの防災関係、自動体外式除細動器（ＡＥＤ）設置箇所など１６のテーマを設定。市内施設では学校、幼保育園、体育施設、警察、消防など１７の分類の中から必要な位置情報だけを選び、道路と住宅だけを表示した基本図や航空写真上にアイコンで示し、保存や印刷ができる。アイコンをクリックすると、施設名などが表示されるほか、「１人暮らしの高齢者宅」など、印を付けてコメントを書き込んだり、地図上で範囲を指定して面積や距離を計測する機能も持たせた。１月２７日にデモンストレーションがあり、幹部職員らが情報統計課の担当者から説明を受けた。同市のＨＰに設けられる専用のバナーから利用する。今後、市広報やＨＰに取り扱い説明を掲載するほか、要望に応じて出前講座などを行い、市民の利用促進を図る。公開情報は順次増やしていく。（福井新聞より）------------------------------越前市の公開型GIS導入の記事。機能は標準的で、ユーザーインターフェイスは可もなし不可もなし。テーマは16で、それぞれのテーマでアイコンのオンオフが可能。背景は民間地図・基本図（地形図）・航空写真の切り替えができる他、二画面分割も可。テーマを切り替えるたびに利用規約が出てくるのはちょっとくどい。公開されている情報や地図の内容などは決して悪いものではない。ただし、市民に積極的に使ってもらうにはかなりの周知をしたうえで、便利な使い方の事例などを示さない限り難しいだろう。多くの自治体の住民公開型GISがそうであるように、普段使い慣れたGoogleマップやYahoo地図を差し置いて使ってもらうには積極的な動機づけが必要。その点では機能面でも現在公開されている情報という面でもやや物足りない。ただし教育現場などで学習のベースとして使う手はあるように思う。そうすれば子どもたちに地図やGISを教えながら、このGISの周知も果たすことになる。一度使ってしまえばその後も使い続けてもらえる可能性は高い。せっかく整備したのだから使ってもらってこそなのだ。

  2014.02.19

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• 被災状況 スマホで集約　京都府、開発費用を予算計上

  京都府は、道路の寸断やがけ崩れなどの災害現場に赴いた職員が被災状況をスマートフォンで写真送信し、電子地図上に自動集約できるシステムを開発する。広い範囲で同時多発的に発生する被害をいち早く把握し、災害復旧までの時間短縮につなげる。■写真と位置即時反映京都府土木事務所の職員らが携帯するスマートフォンやタブレット端末の購入費と専用アプリの開発費用計４７００万円を、３１日発表した２０１４年度当初予算案に計上した。アプリを使って災害現場を撮影すると、撮影した職員名や時間、衛星利用測位システム（ＧＰＳ）で得られる位置情報が自動で写真に添付されるようにする。現場から送信された写真は府庁の電子地図上に集約され、災害対策本部に詰める幹部職員が写真で被災状況を確認しながら、通行止めや復旧工事などの対策を立てることが可能になるという。現在、災害現場に到着した職員が電話で被害状況を対策本部に伝えている。本部側に電話を受ける要員が必要になるほか、被災地点を正確に把握するまでに時間がかかっていた。スマホでの情報集約で１カ所あたりの情報把握時間を半分以下にする。府内では２００４年の台風２３号、１２年の府南部豪雨、１３年の台風１８号と災害が相次いでいる。情報集約システムは年内に稼働させる方針で、府情報政策課は「スマホやタブレット端末に専用アプリを導入するだけで情報送信が可能になる。市町村と連携した災害情報の把握も検討したい」としている。（京都新聞より）------------------------------災害情報を現地収集してそのままGIS上にアップする仕組み。この手の試みは各地で行われていて、成功するための運用方法も徐々に浸透してきてはいる。最大のポイントはこの仕組みが日常的に使われるものであるということ。災害時にしか使われない仕組みは、結局使えないものであることがほとんどである。日頃の業務の中でどう活かしていくのかが分かれ道になる。十日町市などは上手に活用している事例だろう（災害が多いということもあるのだが…）収集してアップされた情報をどう整理するのかは課題のひとつ。整理の方法は色々あるが、現場で出来ることには限りがあり、せいぜい大分類程度。後は庁内（災対本部）でアップされた情報を整理編集する専門要員の確保が必要だろう。また、こうした仕組みをある程度全国で標準化していく取組も必要。知恵をを出し合うこと最適の方法を探りやすいし、発災時に応援職員の行き来がある場合を考えても有効なはずだ。ある程度標準化された仕組みを地域ごとの特性に合わせてチューニングしながら運用できればベストか。

  2014.02.01

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• アップル、レイヤー構造の地図表示に関する特許申請へ

  アメリカの特許商標局は、17日にアップルが出願した特許申請資料を公示しました。具体的な特許内容は、アップルが現在提供している地図アプリの双方向技術であり、地図情報をレイヤー構造で表示することで、地図上に豊富なデータを新たな視点で表示できるようになるようです。アップルが今回特許申請した双方向性地図に関する表示技術では、ユーザーは様々なレイヤー構造でインターネット上のコンテンツを地図上に表示させて閲覧できるようになるようです。例えば、交通事情、観光情報、気象情報などを地図上にレイヤーをかけて閲覧できるようになるといったことです。 特許申請書類によると、選択した地点（多くの場合ユーザーの現在地となりますが）周辺の特徴を表示することができるようになるようです。申請書類には、気象情報のレイヤーを閲覧しているユーザーには合わせて嵐の接近情報も表示することが可能になるといった例が示されています。 この技術を利用すれば、各種の地図上のモードを切り替えることでショッピングモールでの位置情報を表示できたり、現在地近くの様々な特徴を表示できます。今回出願された特許ではその他にもいろいろと応用できる技術が記載されているようです。アップルの地図アプリでは過去にいろいろとお騒がせした事件がありましたが、これらの特許でさらに便利になることが期待されます。（iPhone Maniaより）------------------------------うーん。正しく理解できていないのかも知れないけど、これで特許になると色々と問題が生じるような…というのも、どう考えても普通のGISだと思うのだが。この文面だとユーザー側がレイヤーを自由に重ねられるということがポイントのようだけど、それも普通のGISだと思うのだが。参照元の出願書のアブストラクトを見ても（この記事よりは詳細が示されているが）やはり普通のGISだと思うのだが。「インタラクティブである」というところが拠り所となっているようだが、「Webマップ」はともかく「WebGIS」では普通に行われていることなのでは。この内容で特許になってしまうと、多くのWebGISが触れることになるような気がするのだが。ESRIあたりは何らかの反応を示しているのだろうか。

  2013.12.21

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• GIS NEXT45号発刊

  GIS NEXT45号（2013年10月号）発刊のお知らせです。【本号の主な記事】■トレンドインタビュー　　──────────────────────　地理空間情報をみんなでつくり、維持し、活用する社会へ　　 ―― 国土地理院長　稲葉 和雄 氏■特集　───────────────────────────────　『富士山を知る』　日本で17番目の世界遺産に登録された富士山。　それを祝うように、今年は例年を大きく上回る登山者がここを訪れた。　日本の文化や信仰の源泉ともいわれる富士山はそもそもどのような山なのか。　自然としての富士山のなりたちと現在の姿をあらためて振り返ってみたい。◯ 300年分のマグマが眠る「火山」としての富士山　　　　　　　　―― 産業技術総合研究所地質情報研究部門◯ 人の営みも含めた生物の最適環境の回復を　　　　　　　　―― 富士山自然保護センター自然共生研究室◯ 富士山独自の植物生態とその変化を追う　　　　　　　　―― 山梨県環境科学研究所植物生態学研究室◯ 「水の山」富士山を解き明かす　　　　　　　　―― 「水の山」富士山を解き明かす◯ 「富士山環境ごみマップ」を作り、「特定外来生物マップ」へとつなぐ　　　　　　　　―― 富士山クラブ■直前特集　─────────────────────────────　『G空間EXPO2013』　◯ 【特別寄稿】G空間EXPO2013開催の意義（日本科学未来館 毛利衛 館長）　◯ 日本科学未来館と地理空間情報科学　◯ G空間EXPO メッセージゾーン　◯ 地理空間情報フォーラム2013　◯ Geoアクティビティフェスタ　◯ Geoエデュケーションプログラム■連載　───────────────────────────────　・自治体GIS訪問記 vol.32（静岡県）　・GITA-JAPAN通信 No.3　・平下治のGISビジネス推進室 vol.40　・USER'S FOCUS 海外事例紹介　・地図のチカラ　（上は天文、下は地理）　・グローバルの風 vol.3（海上での位置情報計測と海域状況認識）　・続:Happy EARTH！ Google Earth活用テクニック講座 その27　・プロフェッショナルのためのArcGIS講座 第30回　・もっと使おう! MapInfo Professional活用講座 スピンオフ　・GeoCloud活用講座2013 第3回　・スモールワールドからリアルワールドへ、GE Small Worldの世界 第9回　・GIS TODAY!　主なデスクトップGISソフトウェア一覧　・GIS TODAY!　主なGIS対応日本地図データ一覧　・リレーエッセイ 空間情報利用の未来へ 第18回　・Book Review（『富士山　――大自然への道案内』）　　そのほか、コラム、トピックス、スクエアなど※詳しい内容はこちらをご覧ください→GIS NEXTのご購読申し込みは、こちらからお願いいたします。今回は特集が『富士山を知る』ということで、私は富士山自然保護センター自然共生研究室の渡邊先生と、山梨県環境科学研究所植物生態学研究室の中野先生の取材をさせて頂きました。取材を通じて、他の山とは明らかに違う富士山の姿が見えてきました。個人的に富士吉田や河口湖は年に何度も行っている街なのに、見えていないことがたくさんあるのだな、と。また、自治体GIS訪問記では静岡県のキーマンである杉本さんを取材させて頂きました。実にアグレッシブに新しいことにチャレンジしていく姿には大いに感化されました。G空間EXPO2013は直前特集です。日本科学未来館毛利館長から特別寄稿も頂きました。是非♪

  2013.10.29

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• 地理空間情報の活用へシンポ　農作物被害防止や防災対策向上に

  熊本県人吉市は７日、情報通信技術（ＩＣＴ）を活用した地域活性化策を議論する「Ｇ空間×ＩＣＴシンポジウムｉｎ人吉」を同市下城本町の市カルチャーパレスで開く。市は「Ｇ空間情報」と呼ばれる人や動物、物などの位置を示す地理空間情報とＩＣＴの活用による市民生活の向上や新たな産業創出を、市の成長戦略の柱に位置付けている。将来の事業構想として、有害鳥獣による農作物被害の防止▽球磨川流域の氾濫や山腹崩壊などの防災対策▽行政サービスの効率化－などを挙げており、シンポを事業推進の足がかりとしたい考えだ。シンポではこうした地理空間情報を取り巻く現状や将来像、国の関連施策などについて、総務省官房審議官や慶応大、九州大の教授らが講演やパネル討論する。市は「今後、産学官連携の研究組織なども検討したい」としている。午後１時半～同５時。入場無料。定員４００人で、４日までに市企画財政課までファクスで申し込む。問い合わせは同課＝０９６６（２２）２１１１。（西日本新聞より）------------------------------こちらが総務省サイトでのお知らせ。プログラムは以下のとおり開　会主催者挨拶　人吉市長　田中　信孝来賓挨拶　総務副大臣　坂本　哲志　様　ほか基調講演１　「G空間を取り巻く現状と、総務省の関連施策」【仮称】　　　総務省官房審議官　渡辺　克也　氏基調講演２　「G空間×ICTの未来」　　　慶應義塾大学大学院　准教授　神武　直彦　氏基調講演３　「G空間技術の地域行政への導入」　　　九州大学大学院　教授　三谷　泰浩　氏基調講演４　「地域活性化とG空間×ICTの役割」【仮称】　　　（株）野村総合研究所　社会システムコンサルティング部　　　　　部長　神尾　文彦　氏パネルディスカッション　「人吉から日本の元気・成長がはじまる」人吉宣言閉　会総務省主導ということで、国交省系のイベントとはまた違う色になりそう。地域行政の視点からとらえるようなイメージだろうか。それにしても人吉で開催するというのが何ともいいじゃないか。

  2013.10.05

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  「買い物弱者」支援マップ　北九州市が独自作成　移動販売業の参入促す

  政令市で高齢化率が最も高い北九州市は１９日、６５歳以上の高齢者の人口分布と、スーパーやコンビニエンスストアの位置を重ね合わせた市独自の「買い物環境マップ」を公表した。歩いて買い物をすることが難しい高齢者の多い地域を赤く色付けし、業者に出店や移動販売を促す狙い。市によると、「買い物弱者」を減らすため、政令市がこうした地図を作るのは初めてという。マップは、国勢調査を基にした総務省の統計地図から、高齢者の居住状況を小学校区単位などで調査。▽半径５００メートル以内にスーパーやコンビニがあるか▽路線バスなど公共交通機関があるか▽移動販売があるか－などの観点から各区域を点数化し、色付けした。赤色が強い地域ほど「買い物の困難度」が高く、緑色の地域は高齢者でも買い物しやすいことを表している。北九州市の人口に占める６５歳以上の高齢者の割合は２５・５％（２０１２年３月末時点）で、京都市の２３・９％や静岡市の２５・０％を上回り、２０政令市でトップ。特に門司区や八幡東区は坂道が多く、買い物をする高齢者の負担が大きい。北九州市はマップを市のホームページ上で公表することで「地域ニーズに細かく対応した業者の参入を期待したい」（市保健福祉局）としている。（西日本新聞より）------------------------------これは面白い試みだ。マーケティングなどではよくある手法だと思うが、確かに行政がこういう地図を作ることは珍しい。それだけ市が高齢化問題、あるいは買い物難民問題に対して真剣に向き合っていることの証ともいえるだろう。高齢化対策を視覚化した好例と言えるかも知れない。本当の成果については、思惑通り参入業者があるかどうかだが…

  2013.08.20

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• 電子地図に坂井市のお薦め登録　職員のＧＩＳ授業で児童、公開へ

  さまざまなデータをコンピューターで組み合わせて電子地図上に表示する「地理情報システム（ＧＩＳ）」について学ぶ特別授業が１７日、福井県坂井市三国南小で行われた。児童は、お薦めの場所を紹介するオリジナルマップづくりに励み、ＧＩＳへの理解を深めた。ＧＩＳは地理的位置を手がかりに、さまざまなデータを総合的に管理・加工したり、地図の作製や高度な分析などを行うシステムで、坂井市は２００７年度に導入した。授業はＧＩＳに対する興味や関心を児童に高めてもらおうと企画。市企画情報課の北岡武さん（４０）が講師を務めた。同市によるとＧＩＳについて市職員が児童に授業をするのは全国的にも珍しいという。６年生３７人が参加した。北岡さんはＧＩＳが活用されている市の電子地図を使い、津波発生時の予想浸水エリアと避難所を組み合わせて表示したりしながら、ＧＩＳの特徴を説明した。児童は電子地図を使い小学校や東尋坊のデータなどを調べた後、オリジナルマップ作りに挑戦。地図上に東尋坊や近所のアイスクリーム店など三国町内のお薦めの場所を１人１カ所ずつ情報登録。「東尋坊タワーから見る景色は最高です」「おいしいアイスがいっぱいあります」など一言紹介文も添えた。今後、北岡さんが児童全員の情報を集約し、市の電子地図で公開する予定。授業を受けた西端隆汰君は「こんなシステムがあったなんて知らなかった。いろいろな情報が調べられてすごいなと思った」と話していた。（福井新聞より）------------------------------GISを授業で使用することは珍しくなくなったが、自治体が導入したGISを使用するのはレアケース。もちろん、市の職員が子どもたちにGISを教えるという図式も珍しい。導入されたGISを有効に使う意味でも、子どもたちの興味を呼び起こす意味でも有効な取組だと思う。地理教育であれ地図教育であれ、身近なテーマからアプローチするのが一番興味を引きやすいわけで、その意味では地域学習を教科横断的に取り込むことはもっとされていいし、その橋渡しをするツールがGISであればなおいい。可能であれば単発でなく、継続的な形で出来ればいいのだが。子どもたちの興味を持続させることが出来れば将来的に大きな可能性があると思う。

  2013.07.26

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• 長浜市:ＨＰにＧＩＳ　今月から公開　／滋賀

  長浜市は市内の公共施設や都市計画区域などの情報をインターネット上で詳しく紹介する地理情報システム（ＧＩＳ）「長浜市地図サービス」を今月から公開している。県内でＧＩＳを市民に公開しているのは大津市と長浜市だけ。「キーワード」「住所」「施設」「地域」別に検索できるほか、「テーマ検索」では市役所・支所など（公共施設マップ）▽都市計画図や屋外広告物規制区域など（都市計画マップ）▽介護福祉関係施設や高齢者相談窓口（介護福祉マップ）▽地震マップや避難所（ハザードマップ）など９種類のマップを掲載。誰でも自由に閲覧、印刷できる。長浜市のホームページ上のバナー「長浜市地図サービス」から入る。（毎日jpより）------------------------------長浜地図サービスはこちら。市民公開型のGISとしてはなかなかの充実ぶり。背景地図は地形図・航空写真・iPC地図・Googleマップ・数値地図の切り替えが可能。上載せコンテンツは公共施設や介護施設はもちろん、都市計画図やハザードマップ、生活情報や安心安全、観光情報に遺跡マップまでと手広い。2画面を並べて表示することも可能。動きもサクサクとストレスがない。自治体の公開型GISも最近はすっかりこなれてきた。それにしても滋賀県の市民公開型GISって大津市と長浜市だけなの？

  2013.07.06

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• 情報の一括配信機能を備えた防災・防犯情報共有システム、岩手県奥州市が運用開始

  岩手県奥州市と富士通は共同で、災害情報を一元管理し、奥州市の災害対策本部での迅速な情報把握や市民への確実な情報提供を可能にする「防災・防犯情報共有システム」を構築した。7月1日に同システムの本格運用を開始した。奥州市では2011年の東日本大震災において、地域の被害状況の把握、市民の安否確認、避難所における市民の情報取得手段の確保、水、電気、ガスなどの供給情報を迅速に配信する手段がなかったことが課題として浮き彫りになった。これらの課題を乗り越え、「災害に強いまちづくりの推進」に取り組んできたという。運用を開始した「防災・防犯情報共有システム」は、市民の安心・安全を確保するために必要となる情報の一元管理と共有、および配信を行うシステム。全国瞬時警報システムから送信される、地震、津波、各種警報・注意報などの気象関連情報をはじめ、大規模テロなどの有事関連情報、災害による被害状況、避難者情報、災害用備蓄物資情報、不審者や熊出没情報などの情報がシステムを活用して情報を一元管理し、市民への迅速な情報提供を行う。また、保管した情報から奥州市全体の被災状況を統括表示する機能や岩手県への被害報告書を作成する機能などにより、奥州市の災害対策業務の支援を行う。さらに、避難勧告や避難所開設、避難者および被害状況などの情報配信機能も装備しており、奥州市はワンオペレーションで市民の携帯電話・スマートフォンへの緊急速報メール、テレビでの緊急文字放送、公開ポータル、奥州市の公式Facebook、Twitterへ情報配信できるという。このシステムの導入により奥州市は、災害状況の全庁的な把握が可能になり、災害対策の意思決定や市民への確実な情報配信を迅速に行うことができるとしている。（ITmediaより）------------------------------安心安全総合プラットフォームといったところか。奥州市のような広い市域を持つ自治体では必須なのかも知れない。東日本大震災の際の課題を補うシステムということなので、機能的にはそれなりに洗練されていそう。一元管理はもちろん、県との連携やマルチな情報発信機能など痒いところに手が届きそうなシステム。これで市民からの投稿も反映できるような仕組みなら完璧だが。もっとも多機能ゆえの運用の難しさもある。そのあたり統合型GISでも同じようなケースは多々あったが、仕組みの構築に並行して人材の育成も同時に進めなければ宝の持ち腐れになる危険も。上手く運用できるようであれば、市町村合併で市域が巨大化した自治体でも同じような仕組みは有効だろう。システムを利用した人材育成プログラムなども待たれるところ。結局のところ、GISも防災も人が主役であることには変わりはないので。

  2013.07.02

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• 竜巻で死亡した人の数を視覚化した地図「All Killer Tornadoes Since 1950」

  先日、オクラホマ州を史上最強クラスの竜巻が襲いましたが、1950年以降にアメリカを襲った竜巻はいつ・どこで・どれぐらいの規模で発生したのかということを視覚的にわかりやすいようマッピングしたものが「All Killer Tornadoes Since 1950」です。Map charts killer tornadoes in U.S. since 1950. - Slate MagazineAll Killer Tornadoes Since 1950の地図はこんな感じです。竜巻というと日本ではあまりなじみの無い現象ですが、アメリカでは2005年から2012年の年間平均で722回も発生しています。1番新しいものでいうと2013年の5月20日に竜巻がオクラホマ州を襲い、24名が死亡し被害総額は10億円を超えるという大災害を引き起こしています。オクラホマ州ムーアを襲った竜巻はEF5ランクのもの。これがどれぐらい強いかというと「強固な建造物も基礎からさらわれてぺしゃんこになり、自動車サイズの物体がミサイルのように上空を100メートル以上飛んでいき、鉄筋コンクリート製の建造物にもひどい損害が生じ、高層建築物も構造が大きく変形するなど、信じられないような現象が発生する」とのこと。オクラホマ州を襲った竜巻は地図上に緑の丸で記されています。こういった竜巻の損害が「いつ」・「どこで」・「どのくらいの規模で」起きてきたのかが、この地図を見ると詳しく分かるというわけです。アップで見ると発生した日にちや死者数、竜巻のランクが記されており、さらに竜巻の軌道が線で記されています。（livedoor NEWSより）------------------------------災害情報の視覚化事例のひとつ。こうした情報がしっかりとデータベース化、そして共有化されることで様々な研究・対策が進んでいくことになる。死者が多い地域や、竜巻が何度も通っている地域などが地図上ではっきりと分かる。災害履歴の位置情報データベース化は日本でも防災科研が行っている他、静岡県などでも事例があったように記憶している。しかしながら、産学官で共有しての有効活用という意味ではまだまだということころもある。災害に関する情報はなかなか一元化できないので、どこかで集約・共有化するプロセス、そしてそうした人材も必要。このあたりも大事な防災施策の一つだと思うのだが、どうなんだろう。

  2013.05.27

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• 高齢者の足代わりに　日立、自動運転「ロボカー」

  日立製作所は12日、タブレット端末の地図で場所を指定すると、自動で送り迎えをしてくれる１人乗り移動ロボットを開発したと発表した。高齢者や歩行が困難な人が、自宅と近くの病院やスーパーなどを行き来する手段として検討している。開発したロボット「ＲＯＰＩＴＳ」は長さ1.5メートル弱、幅約70センチメートル、高さ約1.6メートルで重量は200キログラム。リチウムイオン電池を使って、時速６キロメートルで走行する。カメラやレーザー距離センサーなどで、周囲の環境や路面の凹凸、障害物などを検知。障害物は大きくよけ、狭い場所では減速し、人が飛び出してきた時は停止する。「玄関の前」「公園のこの場所」と地図で指定すれば、無人で迎えに来る。ルートも指定できる。茨城県つくば市の「モビリティロボット実験特区」での走行実験で、目的地に誤差１メートル以内で到着することを確認した。原動機付き自転車として登録し、つくば特区で特区専用ナンバーを取得、歩道を走行する。年内に一般の人からも実験への参加を募り、ロボットの改良を進める予定。（日本経済新聞より）------------------------------これはすごい。センシング技術と位置情報技術が融合した、まさにG空間社会の象徴ともいえるロボット。来るべき高齢化社会を考えれば重要なツールなのかも知れない。今年は11月にG空間EXPOが日本科学未来館で開催されるのだが、そこで展示されるだろうか？展示されれば目玉のひとつになりそうだが。このロボットは原付扱いとのことだが、歩道走行が基本という。その意味でも今後歩道改良がまだまだ必要。結局すぐれたロボットであったとしても、それを活かすためのインフラや体制が整っていないとその効果は半減する。それにしてもこのロボット、あまり増えすぎるのもちょっと…

  2013.03.13

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• 期待されるGoogleマップの産業利用：GEが契約

  ゼネラル・エレクトリック（GE）は、給湯器の製造から原子力発電所の開発、電力系統の設計まで、あらゆる事業を自社で手がけている。ただし、そんな彼らもデジタルマップに関しては話は別のようだ。 GEは先ごろ、グーグルとパートナー契約を結び、自社の地理情報システム「Smallworld」にGoogleマップを利用するライセンスを取得したことを発表した。Smallworldは電力系統や配管系統、通信ネットワークなどの大規模なシステムの設計や管理に利用されるソフトウェアツール群だが、Googleマップと連携することで（Smallworldとは皮肉だが）大幅に規模が拡大するとみられる。同時に、この動きを受けて新たな産業界のユーザー増加が見込まれ、Googleマップの進化がさらに進む可能性もある。 GEのデジタルエナジー部門でソフトウェア・ソリューションの責任者を務めるブライアン・フリーハウフは、同社がGoogleマップとの連携に踏み出した理由について、この地図ソフトが多くの人に馴染みがあること、そして情報の精確さの2点を挙げている。「こういった類のツールは、誰もが消費者として利用したことがあり、期待水準の高いものです。すでに誰もが慣れ親しんでいるGoogleマップを利用すれば、マニュアルを用意する必要もなくなります」。 GEは現時点で価格は明らかにしていないものの、ユーザーは年間使用料を支払うことでSmallworldの情報が付加されたGoogleマップに無制限にアクセスできるようになる。例えば、ある場所に光ファイバー回線を通したいと考えたエンジニアが、Smallworldの情報とGoogleマップのストリートヴューとを組み合わせて、回線の経路が駐車場や他家を通らないよう調整する、というようなことも可能になる。さらに将来、こういった機能をAndroidのスマートフォンやタブレットからも利用して、その場で手直しなどができるようになることで、回線の開通作業の効率向上も期待されているという。 こういった機能は産業界に大きく貢献するものになるだろう。例えば、次世代の産業向けGoogleマップでは、あらゆる電線や配管システムがどのように地中に広がり、家や建物内をつないでいるのかを見ることができるようになる可能性もある。（PC Onlineより）-------------------------確かにこうなるとシステムのポテンシャルを言い表した「Smallworld」が皮肉に変わる（笑）GEのSmallworldといえばいわゆるGISの中でも電気や上下水道などインフラネットワークに強い硬派な印象が強いだけに、Googleマップという「庶民派」とのコラボレーションは意外といえば意外だ。そしてインフラ管理は大縮尺が基本。このあたりは現状のGoogleマップではほとんどカバーしていない領域だが、棲み分ける形をとるのか、あるいは今後Googleマップがその方向へも領域を広げていくのか。そのあたりも気になるところ。いずれにしても世界的にも稀にみる強力なコラボレーション。色々な意味で関連業界に大きな影響を与えることになるだろう。果たして吉と出るのか、それとも。

  2013.02.26

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• うべパーソナルGIS

  宇部市が無償で使える「うべパーソナルGIS」を公開した。うべパーソナルGISは、宇部市のデジタル地図とそれを活用するための Windows 用簡易型GISソフトウェアのセット。データも含めて、誰でも無償で利用することができる。もちろん業務での利用も可能だ。建物の形まで詳細にわかる高品位の地図を無償で使用できる。地図はPCに保存することができ、オフラインでも使用可能。毎回データをダウンロードする必要がなく、高速でスムーズな操作ができる。 また、一般的なオンライン地図サービスでは制限されている印刷物などへの利用も可能（ただし営利目的を除く）。パンフレットなどの印刷物やホームページへの画像掲載はもちろん、車庫証明申請などの官公庁への届出書類にも使える。スマートフォンなどで撮った写真を、GPSデータを使って撮影場所に取り込み、アイコンや線・面・文字などの様々な形式で表示することも可能。登録したデータを配布したり（無償であれば配布も可能）、他の人から受け取ったりすることで、さらに活用が広がる。また、行政機関などが配布している GIS 用のデータ（shape 形式）を取り込むこともできる。 自分が登録したデータを出力して、電子メールに添付し送信したり、共有データベース機能を使い、関係者内での情報共有にも有効。 これだけの優れものソフトを自治体が公開するとは驚きだ。しかも地図データも自由に使えるというのがすごい。ダウンロードはこちら。正直、自治体がこれだけやるとは思わなかった。そう言えば作秋の災害情報学会にも宇部市の担当者が来ていた。職員の熱意も感じる。今後他の自治体も追随してこういった形でオープン化が進めば面白いが。

  2013.01.10

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