海のない埼玉県が津波対策
埼玉県は、県内で想定される津波被害を県の地域防災計画に項目として盛り込むため、具体的な検討作業を始めた。東京湾を津波が襲い、県内を流れる荒川を遡上する可能性が指摘されていることから、東日本大震災を踏まえた被害想定見直しの一環として盛り込むことにした。海岸のない内陸県では全国初の取り組みという。東京湾で起きる津波の高さについて、国の中央防災会議は2005年に公表した首都直下地震の被害想定で約50センチ未満と予測。03年に公表した東南海・南海地震の被害想定でも1~2メートル未満としている。だが、東日本大震災を受けて同会議の専門調査会は津波対策の見直しを行い、関東大震災を引き起こした「相模トラフ」での巨大地震を政府による首都直下地震の想定に加える最終報告書を昨年9月にまとめた。(読売新聞より)--------------------海のない埼玉県で津波の想定は驚きだが、東日本大震災での各地で津波が予想外に遡上したことで被害が出た事実がある以上対策を取らざるを得ないのは理解できる。実際、昨年の地震の際に川口市付近で荒川の水位は50cmほど上昇したという。想定見直しの一環として津波の遡上を考慮するのは現在の世論からすれば当然だろうが、これが100年200年と経過した後にどうなるか、という課題もある。あの震災を見ている世代は津波の遡上を現実的に捉えるかもしれないが、代変わりしてしまえば徐々にこうした事実は風化する。後世になって「なぜ海がないのに津波?」と思われないような伝承が想定や対策と合わせて必要になることを、県には是非考慮してもらいたい。