「帰宅困難調査」
ウェザーニューズは11日、今後起こりうる震災時の帰宅困難に備えるため、東日本大震災における「帰宅困難調査」を実施し、その結果を公表した。実施期間は4月1日~4日の4日間で関東の通勤者(電車/車の利用者)28188人(男性49%、女性51%)から有効回答を得た。3月11日の地震発生後、関東では鉄道や道路など、多くの交通機関が麻痺したが、まず「ふだんの通勤時間(片道)」と「3月11日、会社・外出先から自宅に着くまでにかかったトータル時間」を質問し、その時間を比較した。その結果、電車通勤者23,678人(84%)の普段の通勤時間の平均は70分だったが、3月11日の平均は8時間30分と、ふだんの7倍以上かかったことが判明した。この結果を時間別に分けてみてみると、通常の平均時間が30分未満の人は、3月11日は平均3時間58分かかっており、30分~1時間位の人は7時間8分、1時間~1時間30分位の人は11時間6分、1時間30分~2時間位の人は13時間27分、2時間以上の人は16時間38分となった。また行動の選択肢として「帰ろうとした、またはとどまった一番の理由を教えてください」との質問をした結果、帰ろうとした人は、“帰ることができる距離だった”が35%、“家族に会いたかった”が21%、“ただ家に帰りたかった”が19%、“交通機関が復活した”が17%、“翌日仕事が休みだった”が6%、“家族が緊急状態だった”が2%になった。一方、とどまった人は、“交通手段がなかった”が61%、“帰ることができる距離ではない”が17%、“混乱防止のため”が9%、“仕事が残っていた”が5%、“帰宅困難者の支援のため”が4%、“動く気がなかった”が4%になった。また、ふだん、電車で1時間半以上の人に注目してみると、その半数以上は駅や会社や飲食店などに6時間以上とどまっていた。「当時困ったことは何ですか?」(複数回答可)との質問をし、22個の項目(“電車が止まった”“電車混雑”“バスに乗れない”“タクシーに乗れない”“車の渋滞”“ガソリン不足”“電話が繋がらない”“ネットワークが繋がらない”“携帯の充電が切れた”“携帯充電器売切れ”“空腹:店がない”“空腹:品切れ”“トイレがない”“トイレが混雑”“トイレを貸してもらえない”“お金が足りなくなった”“体力不足”“靴擦れ”“防寒が足りなかった”“帰宅ルートが分からない”“特にない”“その他”)から選択してもらった結果では、もっとも多かったのが“電話が繋がらない”、続いて“電車が止まった”の2項目が圧倒的に多かった。また、「今後の帰宅困難に備え、次のうち何を準備・確認しようと思いましたか?」(複数回答可)との質問をし、15個の項目(“充電器”“携帯ラジオ”“懐中電灯”“電池”“帰宅地図”“スニーカー”“非常食”“カイロ”“マスク”“避難場所”“帰宅支援スポット(エイドステーション)”“家族の集合場所”“家族の連絡先メモ”“体力”“その他”)から回答してもらったところ、もっとも多かったのが“携帯の充電器”となった。帰宅困難時、家族と連絡が取れないことや身近な情報を入手する手段の1つの携帯電話が使用できないことが、多くの通勤者を困らせた実態が明らかとなった。また「アナタの勤め先では、社員の皆さんにどんな対応をしていましたか?」(複数回答可)との質問をし、9個の項目(“特になし”“飲食物の提供”“休憩場所の提供”“寝袋や毛布の提供”“通信手段の提供”“送迎”“就寝時間の変化”“強制帰宅”“その他”)から回答してもらった結果、“特になし”が28%あったが、何らかの対応を取った職場が7割以上になった。一方、「アナタの勤め先は帰宅困難者のために(社員は除く)何かされましたか?」(複数回答可)との質問では、“特になし”が70%で何らかの対応を取った職場は30%となった。社員に対して対応を取った会社は多かったものの、社員以外の帰宅困難者に対して何らかの支援を行った会社は3割に留まった。(RBB TODAYより)--------------------もうあの日からひと月もたつ。被災地の恐怖とその後の苦労については様々な報道がされているが、本当の意味では知るべくもない。せめて一筋の希望や夢のある話が出てくれば人は頑張れるものだが、今をひたすら耐えるのみの被災生活を思えば、我々の恵まれた環境は本当に感謝に値する。その東京も地震当日の混乱はすごかった。大都会ならではの帰宅難民の続出は記憶に新しいし、今後同様のケースへの課題を露呈したといえる。帰宅を断念した人も多かったが、それでも多くの人が長い時間をかけて我が家を目指した。理由は様々あるが、自分の場合やはり「家族に会うこと」がもっとも大きかったように感じる。今回の津波被害で大きな注目を集めた「津波てんでんこ」。家族がばらばらに逃げても後で無事に再会することができればそれでいい。それでも我々が初めて直面したこの非常時に、やはり家族の安否は最大の関心事であり、一刻も早く家族のもとへ駆け付けたいという気持ちは多くの人にとって純粋なものだったろう。実際、この震災をきっかけに家族の大切さを再認識した若者が多いという。今日再び大きな余震がやってきた。あの日を思い出すにつけ、被災地の人たちが家族で安心して暮らせる環境が早く戻ることを祈らずにはいられない。