登山計画書6割が「必ずしも出さない」-「山の日」施行まで1年、調査で課題が浮き彫りに
昭文社は、2016年8月11日(木)より施行する、国民の祝日「山の日」まであと1年にちなみ、登山の安全意識等に関するアンケートを実施した。安全確保に重要な登山計画書についてのアンケートでは、「現地で求められたら出す」が40%、「ほとんど提出したことがない」が15%となり、全体の6割近くが必ずしも提出しないという回答だった。 登山計画書は登山届や入山届とも言われ、登山者の氏名や年齢、連絡先などの個人情報のほか登山予定、携行する装備などを記入し、家族や関係先に提出する書類だ。いざというときに、計画書を提出した登山者を捜索する手がかりになるだけでなく、入山者からの目撃情報など、有効な情報を得るための助けにもなるものだ。 また、最近は各地で火山の噴火活動が報じられることが多いが、火山活動を事前に知ってから登るように気をつけているかとの設問に対しては、「必ず調べてから登る」が62%である一方、「あまり調べずに登る」も8%で、まだまだ火山への警戒意識は低いことが明らかになった。登山の際の情報収集では、山に行く際の情報源としては、90%と最も多かった「インターネット」と、76%の「ガイドブック・雑誌」となった。またルートを知るのに頼りにするツールでは、「山と高原地図」が84%、次点に「スマートフォンアプリ」が55%となり、情報収集がデジタル化傾向にあることが分かった。その一方、インターネットで登山計画書が提出できることを「知っているが利用したことがない」が62%、「全く知らない、関心がない」が21%となり、安全対策としてのデジタル利用は、まだ普及していないことがわかった。 この調査は、2015年7月27日(月)~8月6日(木)にインターネットで、昭文社のガイドブックの購入者、宿泊予約等のサービス利用者、「山と高原地図」アプリユーザーなどを対象に実施。回答者数は3,783人だった。(NEWS forTravelより)------------------------------興味深い結果ながらも、昭文社の関連商品を買った方が主のアンケートなので、回答者が比較的意識が高い層であることは考慮しなければならないだろう(地図なしで山へ行くような人はたぶん昭文社ガイドを購入しない)。登山計画のインターネット提出が可能になったことはもちろん、ヤマレコのようなSNSが多く利用されている状況は、登山者全体の情報共有を通じてリテラシー底上げへの期待はある。そういう意味でとらえれば、実はデジタル化はポジティブに捉えていいのではないかと思っている。もうひとつこのアンケートで意外だったのは、思ったより火山への意識が高いこと。昨年の御嶽山噴火の印象が強く残っていることに加え、全国のさまざまな火山で活動が活発化していることが報道されるようになっていることを考えれば頷ける結果ではあるが、それにしても多いと感じた。