苗木136万3千本、進む防災林再整備 太平洋沿岸6県
東北から関東の太平洋沿岸6県で、津波に流されたり塩で枯れたりした海岸防災林の再整備が進んでいる。林野庁や各県によると、クロマツやアカマツなど計136万3千本以上の苗木が既に植えられた。最終的には、約1千万本の苗が必要という。広大な更地が広がる宮城県東松島市の矢本海岸に、木枠で区切られた長方形の囲いが規則正しく並ぶ。春に植え始める苗木を、風や砂から守るためのものだ。海岸の西側に点々と立つ約50本の木は、災害を生き抜き、伐採も逃れた「奇跡の」クロマツだ。調査で、タカの仲間ミサゴの営巣が確認された。マツが育ち、元の防災林のようになるには数十年かかる。津波に襲われた長い海岸線で、時間と手間をかけながら、青松を復活させる取り組みが進んでいる。(朝日新聞より)------------------------------防災林(防風林や防潮林)がさまざまな効果をもたらすことはよく知られているが、果たして津波に対してどれほどの効果があるのだろう。東日本大震災において陸前高田の高田松原が消滅するというショッキングな事例を目の当たりにしているだけに、どうしても懐疑的になってしまう。何しろ東日本大震災ではで宮城県内だけで400年以上前から造られてきた1,400haを越える海岸防災林が壊滅的な被害を被っている。しかしその一方で、石巻市や旭市などで防潮林の背後で家屋が壊れず残った例もあることからその効果を認める研究者も多い。もちろん常にあのレベルの津波がやってくるわけではないのでこの時の結果だけで防潮林の可否を考えるべきではないだろう。過去の事例から効果を推定した論文があった。この憲章には東日本大震災は含まれていないが、効果と限界の両面について触れられている。他では森林総合研究所の説明も分かりやすい。災害に対してはハードは手早く効果を発揮できる対策ではあるけれど、常にハードだけでどうにかなるものでもないし、またハードについてもさまざまな種類のものが一長一短で存在するわけで、0か100かという問題ではなく、多角的な議論が必要があることはいうまでもない。防災林という手段に頼り切るのでなく、さまざまな対策の一つとして防災林の役割を考えていくことが重要で、どのようなハードと組み合わせるとどのような効果を生むのか、またそれを前提にしてどういうソフトを考えていくべきなのか丁寧に検証していくことで見えてくることがあるのではないだろうか。