地域商品と商標登録
「喜多方ラーメン」の「地域団体商標」登録を認めないのは不当だとして、福島県喜多方市の44のラーメン店が加入する「蔵のまち喜多方老麺(らーめん)会」が特許庁の決定取り消しを求めた裁判で、知財高裁(塩月秀平裁判長)は15日、請求を棄却する判決を言い渡した。 地域名と品名を組み合わせた「地域団体商標」制度は地域ブランドの育成を目指して2006年に導入された。登録の可否をめぐる判決は初めて。判決は、喜多方市内のラーメン店の老麺会への加入率が低いことや、市外でも「喜多方ラーメン」がかなり普及していることを考慮。消費者は「喜多方ラーメン=老麺会加入店のラーメン」とは認識していないと判断した。 老麺会は、独特の太いちぢれ麺としょうゆ味の発祥地として、地域振興のほか質の低下を防ぐ目的で登録を申請していた。側面支援してきた市商工課は「認められてしかるべきだと考えていたので大変残念だ」とコメントした。 地域団体商標は通常よりも認定の要件が緩いが、ラーメンで認められたのは「和歌山ラーメン」だけだ。(asahi.comより)--------------------知名度のある地域商品は地元にとっては魅力的な集客ツールだ。名物をありがたがるのは人の習性だし、実際名が通る名物は質も伴っていることが多い。「地域団体登録商標」は地域ブランドの既成事実化と地域への集約・還元いう意味で、地元にとっては非常に大きい。ブランド力があるがゆえに様々な枝葉が派生したり、周辺部を含めて他の地域でも人気が出たりと必ずしも地元の利益になるわけではない。(もちろん知名度のアップという意味での貢献度は計り知れないが)今回の見送りもも「老麺会」という組織と地域ブランドの関係がはっきり認められなかったことが大きい。裏を返せば、それだけ喜多方ラーメンの広がりが認められているということだろう。有名になり過ぎると、ブランドそのものが全国区になってしまう。札幌ラーメンや博多ラーメンなど、大手食品会社の商品名にも採用されているほど、全国的なブランドになっている。このあたり、地域還元や町おこしのあり方も含めて検討する必要があるだろう。商標登録というやり方が必ずしも正解とは限らない。