吾妻山に火口周辺警報 噴火警戒レベル2に
福島県と山形県にまたがる吾妻山では12日朝、火山性微動が観測されたあと、火山性地震が増える傾向となっています。気象庁は今後、小規模な噴火が発生する可能性があるとして、12日午後3時に吾妻山に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルをレベル2の「火口周辺規制」に引き上げて、大穴火口から500メートル程度の範囲では警戒するよう呼びかけています。気象庁によりますと、吾妻山では、12日午前6時20分すぎから地下のマグマや火山ガスなどの動きを示すと考えられる火山性微動がおよそ34分にわたって観測されました。吾妻山で火山性微動を観測したのは去年8月以来で、火山性微動に伴って一時、地盤の変化を捉える傾斜計で火口側が上がる変化が観測されました。また、火山性微動のあと、火山性地震が増える傾向となっていて、12日は午後3時までに44回の地震が観測されています。このため気象庁は、吾妻山では火山活動が活発になっていて、今後、小規模な噴火が発生する可能性があるとして、12日午後3時に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルをレベル1の「平常」からレベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。吾妻山の噴火警戒レベルが引き上げられるのは、平成19年12月に導入されてから今回が初めてで、気象庁は、大穴火口からおおむね500メートルの範囲では小規模な噴火に伴って噴石が飛ぶおそれがあるとして警戒するよう呼びかけています。吾妻山の火山活動に詳しい東北大学の三浦哲教授は「継続時間が長い火山性微動が起き、地震の回数も増えているので、地下の熱水の活動が活発化していると考えられる。過去の活動と比べてかなり高いレベルの火山活動になっており、今後、水蒸気噴火が起きる可能性もあるので、火口の周辺には近づかないようにしてもらいたい。今後、火山性微動や火山性地震がより活発にならないかなど、活動の推移を注意して見ていく必要がある」と話しています。福島市は12日午後開いた会議で、大穴火口周辺の登山道と、先月中旬から冬の間、通行止めになっている観光道路「磐梯吾妻スカイライン」への立ち入りを規制することを決め、看板を立てるなどして立ち入らないよう呼びかけています。福島県と山形県にまたがる吾妻山は複数の火山からなり、最も高い一切経山は標高が1949メートルあります。明治以降は一切経山の大穴火口やその周辺で小規模な噴火が繰り返し起きています。このうち、明治26年の噴火では、噴石などで火口周辺で調査をしていた2人が死亡しました。また、昭和25年の噴火では、1キロ余り離れた場所まで噴石が飛んでいるのが確認されたほか、昭和52年にも小規模な噴火が起きました。その後、噴火は確認されていませんが、平成20年11月以降、大穴火口では噴気活動が続き、3年前の巨大地震のあとには、噴気は一時、火口から700メートルほどの高さに達しました。その後も大穴火口では噴気活動が活発な状態が続き、ことし10月以降は火山性地震がやや多い状態が続いています。(NHKニュースより)------------------------------阿蘇に目を奪われていた隙に今度は吾妻山が警戒レベル2に引き上げられた。吾妻山は磐梯吾妻スカイラインで1600m付近まで上がれるので、所謂観光ルートにもなっている山。実際に中学の修学旅行で浄土平や吾妻小富士に行ったのを覚えている。一般観光客が多いだけにこうした状況は心配だが、この時期なのでスカイラインは冬季閉鎖中であることは不幸中の幸いかもしれない。<地理院地図より>ややこしいのは吾妻山が複数の火山からなる山塊であること。記事では最も高いのを一切経山としているが、一般的に吾妻連峰としては西吾妻山(2,035m)を最高峰としているケースが多い。<地理院地図より>もっとも、今回の火山活動については報道通り一切経山と浄土平の間にある大穴噴気口から500m程度の範囲が規制区域になる。実際に吾妻山火山防災マップでもそのような想定となっているので目は通しておきたい。