昭文社「山と高原地図」による山行計画ウェブサービス「ヤマプラ」登場、登山SNS「ヤマレコ」と共同開発
株式会社昭文社は29日、ウェブ上で登山ルートのプランニングと登山計画書の作成が行えるサービス「ヤマプラ」を公開した。昭文社が発行する「山と高原地図」シリーズの地図よび登山情報を活用。同シリーズ全59点に掲載されている約1500カ所の山の登山ルートプランニングが行える。登山専用SNS「ヤマレコ」を運営する株式会社ヤマレコと共同開発したもので、同SNS内の機能として提供する。利用するには、ヤマレコへの会員登録(無料)が必要。各登山コースに設定されているポイントを選択していくだけで登山ルートを作成でき、やり直しや別ルートとの比較も容易に行えるという。また、ポイント間の所要タイムや全行程にかかる時間が表示されるため、「山行行程を想像しやすく、無理のない登山計画を立てる手助けになる」としている。山行計画機能とも連動しており、作成したルートは、日程や連絡先などの必要事項を追加することで、提出用の登山計画書を作成できる。昭文社によると、登山ブームとともに山岳遭難が年々増加。警察庁の統計では2014年の山岳遭難事故は2293件に上り、統計が残っている1961年以降で最悪だったという。昭文社では「遭難を未然に防ぐためには、しっかりとした登山計画も重要」と説明。また、登山計画書を作成して登山口のポストや家族・職場などに提出しておけば、万が一、遭難した際に捜索を行う際の重要な手掛かりになると重要性を強調している。なお、似たようなサービスとしては、登山ガイドブック「ヤマケイアルペンガイド」を発行する株式会社山と溪谷社による地図サイト「ヤマタイム」においても2014年7月より提供されている。(INTERNET Watchより)------------------------------昨年のサービスを開始した「ヤマタイム」が高い評価を得ている中での類似サービスが出現したという印象が強いが、基本的にはヤマレコの延長線上にあるサービスと見るべきだろう。ヤマレコはコミュニティの中で登山記録を共有することでさまざまな情報を得ることができるのが特徴で、本日現在で613,623件の記録と16,128,225枚の写真が登録されているようにユーザーは多い。そこへ昭文社の協力のもと登山計画が作成できるサービス「ヤマプラ」が追加された形。元々ネット上に存在していたコミュニティをベースに地図やプランニングが追加されたヤマプラと、長年書籍として登山ガイドを手掛けてきた山と渓谷社がWeb上にサービスを展開したヤマタイムでは、同じようなサービスでありながらアプローチは大きく異なる。ヤマプラは元々ヤマレコを使っていた人がそのまま拡張的に使う形になるだろうから、ある程度のユーザー数は計算できる点は有利だろう。また、地図として使われる昭文社の「山と高原地図」シリーズはビジュアルとしても非常に評価が高いだけに、付加価値のひとつとして寄与することができそう。もう一つの違いは、ヤマレコがいわゆるコミュニティがベースになったSNSであり、言うならば多くの口コミ情報を共有し合うスタイルであるのに対して、ヤマタイムはその世界の老舗専門出版社が主催しているようにプロの目で作られている点か。こうした違いを考えれば、どちらも上手に使っていくという選択肢も十分にありそう。外野から言わせてもらうならば、複数のサービスが並立するのはいいことだと思う。それぞれの個性を前面に出しながらユーザーを増やしていって欲しいところ。