Appleが目指す地図アプリの「人間らしいナビゲーションシステム」とは?
2015年4月にAppleがスマートフォン・タブレット・ウェアラブルデバイスなどの地図アプリ向けに「人間らしいナビゲーションシステム」の特許を出願をしました。自動車と自動車産業を中心にまとめているサイトAutoblogで報じられています。Apple files patent for 'humanized' navigation systemAppleが特許を出願した「人間らしいナビゲーションシステム」とは、人に理解させることを重点に置いたシステムのことを指しています。従来の機械的なナビゲーションシステムの指示による、ユーザーのストレスを軽減することを目的としています。「人間らしいナビゲーションシステム」は、運転を始めてから目的地に近づくまで、助手席に座っている友人のように、周りの詳細な情報を知らせてくれます。「北へ向かってください」や「目的地は150メートル先の右側にあります」というような指示ではなく、近くにある目印や周囲にあるものを使って、ナビゲーションシステムが適切な方向に導いてくれるようなシステム。また、目的地に向かう途中、どの車線を走ればいいのか表示がない場合でも適切な車線に誘導してくれます。Appleが提出した特許出願書には「従来のナビゲーションシステムはユーザーの精神状態まで考慮できていない」と書かれています。ただし、「人間らしいナビゲーションシステム」と「従来のナビゲーションシステム」との違いがあまり明確化されていないので、今後どうなるかが期待されます。なお、実際にAppleが提出した特許申請書の内容は以下のサイトで確認できます。Humanized Navigation Instructions for Mapping Applications Patent Application (Application #20150112593 issued April 23, 2015) - Justia Patents Database(GIGAZINEより)------------------------------Appleの狙いが他のナビとの差別化にあることは明らかだが、記事からはその具体的な違いは見えてこない。特許を出願したことで差別化を意識させる効果はあるのかも知れないが。「人間らしいナビゲーションシステム」というキャッチはインパクトはあるし、暗に従来のナビの物足りなさを示すことで特許への注目を高めているものと思われるが、「人に理解させることを重点に置いた」というのは表現方法であり、インターフェイスであると考えるのが自然だろう。そこでどういう差別化がされるのか。○○mなどの数字を使わず目印を使ってさりげなく案内をする、あるいは走行すべきレーンに誘導するなどが例として挙げられているが、これを実現するにはより高精度かつ更新頻度の高い地図データが大前提となる。以前より改善されているとはいえ、Appleの地図に対する脇の甘さは、Apple地図リリース当初の騒動でユーザーへの印象として刻まれている。これを覆すようなデータ整備ができるのかどうか。また、「ユーザーの精神状態まで考慮する」ナビがどのようなものであるのか。イライラを増幅させる渋滞や規制を上手に避ける、広くて見通しがいいなど安全度の高い道路を優先的に提示するなどは考えられるが、それ自体はとりたてて新しいことでもないだろう。果たしてどのような提案がされるのか、まずは楽しみに待とう。まさか花火だけ打ち上げて終わるわけでもあるまい。